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米Billboard Proのニュースレター『Trending Up』(トレンディング・アップ)では、音楽業界の注目を集めた楽曲、アーティスト、興味深い出来事やトレンドを深掘りしている。突如として現れたものもあれば、話題になるまでに数か月を要したものもあり、そのいずれもがTikTokの動画一本で瞬く間に浸透する可能性を秘めている。
今週ポップ・ミュージック界最大の話題となっているのは、マックルモアがエド・シーランの【ループ・ツアー】から降板した一件の余波だ。同ラッパーはこのスタジアム・ツアーの前座として出演した初期の公演で“パレスチナに自由を”などと発言し、これが降板の発端となった。本稿では、その後マックルモア本人、同ツアーを降板した他の前座アーティストたち、そしてシーラン自身のストリーミング数字にどのような影響が及んだかを見ていく。
◎マックルモアの「Hind’s Hall」は2024年以来最高の日別ストリーミング数を記録
今週マックルモアに向けられた注目の多くは、彼が一貫して示してきた“フリー・パレスチナ”運動への揺るぎない支持に集まっている。そうした状況を踏まえれば、2024年のシングル「Hind’s Hall」への注目が高まったのも当然と言える。この曲名は、イスラエル軍によって殺害された5歳のパレスチナ人少女を追悼して改称された米コロンビア大学のホールにちなんでおり、同大学のパレスチナ支持派の抗議活動への支持を表明する内容となっている。
実際にこの楽曲は、エド・シーランの【ループ・ツアー】からの降板が報じられた現地時間9月14日(月)と、それを受けてシーランが声明を発表し、残る前座アーティスト全員が今後の公演から降板した9月15日(火)の両日にわたってストリーミング数を大きく伸ばした。ルミネイトが提供した速報データによると、9月13日(日)には米国内のオフィシャル・オンデマンド・ストリーミング数が5,000強だったのに対し、月曜には693%増の43,000まで急増し、火曜にはさらに倍増して約87,000に達した。この87,000という数字は、2024年5月10日のリリースから1か月足らずの6月5日に記録した88,000以来、「Hind’s Hall」にとって2年以上ぶりとなる1日あたりの最多ストリーミング数だ。
2024年9月にリリースされた続編「Hind’s Hall 2」も、規模はやや小さいものの大きな伸びを見せた。この曲にはパレスチナ系アメリカ人のシンガーソングライター、アニース、ガザ出身のラッパー、MCアブドゥル、そしてパレスチナ系アメリカ人の作家兼コメディアンのアメール・ザールが参加している。日曜には2,000弱だったストリーミング数が、火曜には11倍に伸び、22,000を超えた。
◎マックルモアのカタログ全体のストリーミング数がほぼ倍増
週の前半において伸び率で最も大きく動いたのは「Hind’s Hall」2曲だったが、このニュースの拡散を受けて、マックルモアのカタログ全体が大きく数字を伸ばした。ルミネイトが提供した速報データによると、長年のDJパートナーであるライアン・ルイスとの共作、およびソロ作品を合わせたディスコグラフィー全体のオフィシャル・オンデマンド・ストリーミング数は、日曜には100万回強だったのに対し、火曜には約200万回まで伸び、97%の増加となった。(これを受け、マックルモア&ライアン・ルイスによるレイ・ダルトンをフィーチャーした「Can’t Hold Us」が、火曜にSpotify Daily Top Songs USAチャートに166位で再ランクインし、水曜には95位まで上昇した。)
マックルモアの最大のヒット曲、すなわち米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で首位を獲得した2曲、「Can’t Hold Us」とワンズをフィーチャーした「Thrift Shop」は、いずれもライアン・ルイスとのパートナーシップ時代のものだが、今週大きく伸びを見せているのは彼のソロ作品の方だ。日曜の時点では、全体のストリーミング数(約100万回)のうちソロ作品が占めるのはわずか282,000だったが、火曜には全体(約200万回)のうち767,000まで172%増加した。一方、ルイスとの共作は68%の増加にとどまった。
◎アーロン・ロウがキャリア最高の日別米国内ストリーミングを記録、ベオガも大幅に増加
マックルモアの降板とエド・シーランの声明発表に続き、次に反応を示したのはアイルランド出身のシンガー・ソングライター、アーロン・ロウだった。彼は火曜、シーランとの友情にもかかわらず自身もツアーを降板すると発表し、「このまま何事もなかったかのように続けていたら、自分自身に対する敬意をすべて失ってしまうだろう」と述べた。
ロウはこれまでアイルランド・シングル・チャートにランクインした経験こそあるものの、米国内での商業的な知名度は比較的低かった。しかし今回の一件を受け、キャリアを通じて最高となる1日の米国内ストリーミング数を記録することになった。ルミネイトが提供した速報データによると、ロウは火曜、カタログ全体で約80,000の米国内オフィシャル・オンデマンド・ストリーミング数を記録した。これは前日の3,000弱から2665%の増加であるだけでなく、2026年8月7日に14,000を記録した従来の自己最高記録からも460増となっている。
一方、同ツアーでシーランのバッキング・バンドを務めていたアイルランドのフォーク・グループ、ベオガも火曜にマックルモアおよびパレスチナの人々への連帯を示して降板しており、このニュースの拡散を受けて数字を劇的に伸ばした。月曜には2,000強だったストリーミング数が火曜には1092%増の約27,000まで伸び、これは同グループにとって3月17日以来最高となる1日の米国内ストリーミング数となった。
◎エド・シーランのストリーミング数に変化は見られない
マックルモアのツアー降板とそれに続く自身の声明によって巻き起こった論争が、エド・シーランのストリーミング数に何らかの実質的な影響を及ぼしたか気になるところだが、少なくとも今のところその答えは“ノー”のようだ。ルミネイトが提供した速報データ(一部のデジタル・ストリーミング・プラットフォームの数字はまだ反映されていない)によると、シーランは火曜に370万回強の米国内オフィシャル・オンデマンド・ストリーミング数を記録しており、これは同じ数社のプラットフォームを除いた数字で月曜に記録した370万回弱とほぼ同水準だ。
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