<ライブレポート>GLIM SPANKYが初ビルボードライブ公演、新旧ナンバーを織り交ぜて魅せた特別な一夜

2026年6月5日 / 17:00

 ナノ・ユニバースとビルボードライブが共同で開催するイベント【music from NANO universe】。ファッションと音楽のクロスオーバーをテーマにしたこのイベントに、GLIM SPANKYが登場した。

 松尾レミ(Vo. / Gt.)、亀本寛貴(Gt.)によるロックユニットGLIM SPANKY。2014年のメジャーデビュー以来、60~70年代のロック、ブルースなどをルーツにしたサウンド、松尾の卓越したボーカルを軸にした音楽性によって、現代のロック・シーンに鮮烈なインパクトを与え続けている。

 2026年3月にはニューアルバム『Éclore』をリリースし、6月から8月にかけて同作を携えた全国ツアーが控えている2人。ビルボードライブ初登場となった今回のステージでは、【Éclore Tour】とは異なる選曲を披露し、この日だけのスペシャルなライブが実現した。

 18時ちょうどに1stステージがスタート。松尾、亀本、サポートメンバーの栗原大(Ba.)、かどしゅんたろう(Dr.)、中込陽大(Key.)がステージに登場。松尾は鮮やかな青のリボンをあしらった白のワンピースドレス、亀本は青と黒の花柄シャツ姿。大きな歓声と拍手が巻き起こるなか、ブルージーなギターリフに導かれた「ダミーロックとブルース」でライブは幕を開けた。

 さらにディープなサイケデリアが広がる「MIDNIGHT CIRCUS」で観客を魅了。ニューアルバム『Éclore』の収録曲「大天使」では、ハンドマイクを持った松尾が〈蘇る私は大天使/悪魔も味方につけるんだ〉というラインを華やかに歌い上げた。
 
 松尾はこれまでa flood of circle、野宮真貴、THE BAWDIESなどのゲスト・ボーカルとして出演したことがあるが、GLIM SPANKYとしてビルボードライブに登場するのは今回が初めて。「全然違う緊張があります。いつもとは一味違った、特別な“ビルボードライブ・バージョン”でやろうと思いますので、楽しんでいってください!」(松尾)というMCの後は、松尾が弾くアコギの音色が印象的な「Velvet Theater」へ。アルバム『Éclore』収録曲「わたしはあなた」では中込が生ピアノを演奏し、〈どこかで生きててよ/あなたはずっとわたしの光だから〉というフレーズを一人一人に手渡す。ルーツ・ミュージックにしっかりと根ざしながら、現代的なロック・ミュージックを体現し続けているGLIM SPANKY。その豊かな音楽性は、ここにきてさらに深みを増しているようだ。

 「来月からニューアルバムのツアーが始まるんですけど、今回はどうしようかなと思って。わりと古めな曲も持ってきています」(亀本)/「そうだね。次は、私の地元(長野県)の朝のイメージで作った曲です」(松尾)というやり取りから始まったのは、「Hello Sunshine」。松尾、亀本がアコギを響かせ、フォーキーな手触りのサウンドがゆったりと広がっていく。続く「美しい棘」はアコギと生ピアノを中心にしたオーガニックなアレンジで演奏。今回の公演のために準備されたアコースティック・バージョンだ。

 楽曲「春色ベイビーブルー」から着想を得たオリジナルカクテル“Baby Summer Blue”で乾杯し(松尾はノンアルコールで、亀本はアルコール入り)、客席との距離をさらに縮めた後は、亀本のアコギのリフを軸にしたグルーヴィーなナンバー「こんな夜更けは」。それぞれの音と歌声が有機的に絡み合い、オーディエンスが気持ちよさそうに身体を揺らす。「すべての平和の為に歌います」という、松尾の凛とした宣言に導かれたのは「吹き抜く風のように」。松尾の祖父が他界した際の実体験から生まれたこの楽曲には〈宗教や戦争も僕にはないのさ〉という歌詞がある。2017年リリースの3rdアルバム『BIZARRE CARNIVAL』に収められたナンバーだが、この曲に刻まれたメッセージは2026年の世界においてさらに強いインパクトを放っていた。

 続いて届けられたのは、アルバム『Éclore』収録曲「春色ベイビーブルー」。曲の途中でステージ後ろのカーテンが開き、夕暮れの東京の風景が目に飛び込んでくる。解放的な雰囲気のなか、疾走感にあふれたビート、気持ちよく鳴らされるギター、大らかに広がるメロディがひとつになり、会場全体のテンションをさらに引き上げる。〈見上げた屋上には手を振る君が笑う〉と歌いながら、観客に向かって笑顔で手を振る松尾の姿も心に残った。

 「都会のど真ん中、夕方から夜にかけての匂いを感じられる曲。学生時代からやっている曲です」(松尾)と紹介されたのは「夜風の街」。東京の街から滲み出る叙情、夢を抱えて生きる若者たちの表情が感じられるこの曲は、まさにGLIM SPANKYの原風景。時が経っても色あせることがない、2人の音楽に備わった普遍性をじっくりと味わうことができた。

 アンコールを求める歓声に応え、メンバーが再びステージに上がる。「念願のビルボードライブ、幸せです。ありがとうございます」(松尾)、「“曲が多いんじゃない?”って(スタッフに)言われたんですけど、やってみたらあっという間で。やりたい曲をやりました(笑)」(亀本)と、笑顔で話す2人に大きな拍手が送られた。

 大人になることへの葛藤をダイレクトに響かせる「大人になったら」、鋭利でポップなロックンロール「Flower Song」を放ち、ライブは終了。新旧の楽曲によるセットリスト、特別に用意されたアレンジ、そして、ダイナミズムと抒情性を共存させた演奏。GLIM SPANKYの多彩な魅力を体感できる、まさにスペシャルなステージだった。今後、本公演を記念したナノ・ユニバースとのコラボレーション商品も展開予定とのこと。さらに、6月から始まる全国ツアーでは、アルバム『Éclore』を中心にした最新型のGLIM SPANKYを堪能できるはず。こちらもぜひ期待してほしい。

Text by 森朋之
Photos by 新田君彦

◎セットリスト
【GLIM SPANKY music from NANO universe】
2026年5月29日(金)1st Stage
1. ダミーロックとブルース
2. MIDNIGHT CIRCUS
3. 大天使
4. Velvet Theater
5. わたしはあなた
6. Hello Sunshine
7. 美しい棘
8. こんな夜更けは
9. 吹き抜く風のように
10. 春色ベイビーブルー
11. 夜風の街
EN1. 大人になったら
EN2. Flower Song

◎公演情報
【Éclore Tour 2026】
2026年6月14日(日)神奈川県・横浜ベイホール
2026年6月19日(金)兵庫県・神戸チキンジョージ
2026年6月21日(日)岡山県・岡山YEBISU YA PRO
2026年7月3日(金)北海道・札幌PENNY LANE24
2026年7月5日(日)宮城県・仙台GIGS<全席指定>
2026年7月10日(金)福岡県・福岡DRUM LOGOS
2026年7月11日(土)熊本県・B.9 V1
2026年7月18日(土)福島県・郡山HIPSHOT JAPAN
2026年7月20日(月・祝)長野県・長野市芸術館 メインホール<全席指定>
2026年7月31日(金)新潟県・NIIGATA LOTS
2026年8月2日(日)石川県・金沢EIGHT HALL
2026年8月9日(日)広島県・広島CLUB QUATTRO
2026年8月11日(火・祝)香川県・高松DIME
2026年8月14日(金)愛知県・岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール<全席指定>
2026年8月20日(木)大阪府・NHK大阪ホール<全席指定>
2026年8月27日(木)東京都・LINE CUBE SHIBUYA<全席指定>


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