<ライブレポート>ビッケブランカ/KREVA/アジカン/AIが示した国境を越えた愛のビート【MASSIVE BEATS OSAKA 2026】

2026年5月8日 / 20:00

 4月28日、大阪城ホールにてFM802が主催する音楽イベント【FM802 MASSIVE BEATS OSAKA 2026】が開催された。

 本イベントは、ジャンルや国境を越えて愛される音楽を“大阪から世界へ”と発信することを掲げ、大阪・関西万博をきっかけにスタートしたステージ。その言葉通り、会場には国内外から世代もバックグラウンドも異なるファンが集結し、開演を待つアリーナは早くも熱気に満ちていた。さらに、FM802の看板DJである大抜卓人、落合健太郎による“おもてなしDJ”が、フロアの温度を巧みに引き上げる。集まった観客は、これから始まるステージを迎え入れる準備を完璧に整えていた。

 まず、「スターター」として登場したのは、ビッケブランカ。場内に『ライオン・キング』の「サークル・オブ・ライフ」を高らかに引用した、雄大で神聖なSEが鳴り響く。会場が息を呑むような静謐さに包まれた直後、その空気は一変した。ステージに現れたビッケブランカは、片手に太鼓を携え、自ら打ち鳴らす胸をつんざくような身体を揺さぶる凄まじい重低音のビートが大阪城ホールを支配していく。まさにイベントタイトル【MASSIVE BEATS】を全身で体感させるような、あまりにマッシブな幕開けだ。そのままなだれ込んだ「×L×C×A×」で、会場のボルテージは瞬時に沸点へと達した。

 続く「夢醒めSunset」のイントロに乗せて「今日は楽しい日になること間違いないですね!」と、軽やかに自己紹介を放つ。会場の歓声を全身で浴びて「すいません、欲しがりなもんで(笑)」とはにかみつつ、「久々の城ホール、とても気持ちいいです!」と喜びを爆発させた。さらに「今日は海外からのお客さんやメディアの方も来ている。みんなでウェルカムしましょう!」と呼びかけ、国境を越えた祝祭という本イベントのアイデンティティを鮮明に浮かび上がらせた。

 ハイライトは3曲目。前週にFM802で世界初解禁されたばかりの新曲「Beast≠Knight (feat. Novel Core)」のライブ初披露だ。本来はNovel Coreとのコラボ曲だが、この日はビッケブランカが一人でステージに立ち、重厚な世界観を再構築。802で放った楽曲が、わずか数日後に同じ802のステージで命を吹き込まれる。その瞬間に、観客は息を呑み、そして熱狂した。

 彼が今回テーマとして掲げた「嵐がやってきて、嵐のように去る」という言葉通り、その後も「Black Catcher」や「Snake」で攻め立て、クライマックスの「Ca Va?」からラストの「ウララ」では、大阪城ホールが春の祝祭のような多幸感に包まれた。憧れの先輩たちへの敬意を胸に、自らも新たな嵐を巻き起こした彼は、音楽のバトンを最高潮の状態で次へと繋ぐ、完璧なスターターであった。

 ビッケブランカが残した熱狂の余韻の中、FM802のDJ陣から告げられたのは、体調不良により出演キャンセルとなったamazarashiからの粋なサプライズだった。

 スクリーンに映し出されたのは、未発表曲「クラウン新車で買ってあげる」の特別映像。モノクロームの車窓から流れる街並みや一筋の煙に、歌詞一文字一文字が強く、鋭く前面に浮かび上がる。過度な装飾を排したそのシンプルかつインパクトのある映像美は、かえって彼らの言葉が持つ力を増幅させ、広大なアリーナを深い静寂で包み込んでいった。

 そこに本人の姿はなくとも、放たれるメッセージはあまりに重厚だ。ファンの想いに応えるように届けられたこの特別上映は、不在という事実に「圧倒的な存在感」という名の答えを示してみせた。会場全体がその深い世界観に呑み込まれたこの時間は、間違いなくこの夜の重要な一幕であり、次に続くステージへの最高にドラマチックな序奏となった。

  その研ぎ澄まされた空気の中に現れたのは、日本のヒップホップシーンを牽引し続けるKREVAだ。1曲目「No Limit」、続く「基準」。ノンストップで畳み掛けられるライムと圧倒的な情報量のワードが、鼓膜に直接叩きつけられる。一寸の狂いもないデリバリーのスピード感に、会場は歓声を上げる隙すら見失い、ただただその覇気に圧倒された。

  「人生」のイントロでは、この日最も胸を打つ言葉が放たれた。「世界ではいろいろなことが起きている。でも、僕らには音楽があって、大阪にはFM802がある。それが俺らの人生だろ!」。不安定な情勢の中でも、音楽という居場所が確かにあることを叫ぶ彼の言葉は、観客一人ひとりの魂を揺さぶり、会場を一つに束ねた。

  中盤、ゲストヴォーカル・SONOMIを迎えた「ひとりじゃないのよ」で多幸感溢れるハーモニーを響かせた後、ファンやFM802、そして音楽を聴いてくれるすべての人への感謝を乗せて「Expert」を披露。続く名曲「音色」では、イントロが鳴った瞬間に歓声が沸き起こり、観客がその“音色”に身を委ねていた。

 「やっぱ、全力って伝わるんすね。全力でぶつかるとみんなに気持ちが届くんだなと実感しました」という言葉の後、客席の「え!?(もう終わり?)」という声を逆手に取り、「“イッサイガッサイ”のみこんで~」とそのままラストの「イッサイガッサイ」へ突入。すべてを祝祭へと変える圧倒的な品格を見せつけ、ステージを後にした。

 ここでFM802のDJ、中島ヒロトが登場。アジア各国の放送局と連携した番組コーナー『MUSIC MATE』の一環として、インドネシア・Mustang 88.0 FMのDJ カムイ、そして、台湾・Hit FmのDJ ブライアンがこの日サプライズで登壇した。ブライアンが驚くほど流暢な日本語でこの日のライブの感想を熱弁すると、会場からは驚きと歓迎の大きな拍手が送られた。その他にも韓国・MBSのDJ ヨンベや、台湾・Hit Fmイヴォンヌ・シエからのビデオメッセージも届き、このイベントがアジアの音楽シーンが交差する「結節点」ということを証明した。

 続いて、現在海外ツアー中のASIAN KUNG-FU GENERATIONが登場。結成から約30年という長い歳月を共に歩んできた4人が放つ空気は、驚くほど静かで、それでいて確かな重厚感に満ちていた。 

 1曲目「Re:Re:」の象徴的なギターリフが鳴り響いた瞬間、空気が一変。焦らすことなく、一音一音を噛み締めるように紡がれるアンサンブルは、熟成されたロックの響きそのものだ。続く「遥か彼方」では、鋭いエッジの中にも大人の余裕を感じさせるパフォーマンスを披露する。

 ここで後藤正文(vo./gt.)は、「こういうイベントなので、英語で自己紹介します。ちょっと恥ずかしいけど……。Good evening, we are ASIAN KUNG-FU GENERATION. Thank you!」と挨拶。続けて後藤は、まわりに合わせるのではなく自分らしくライブを楽しんでほしいと語りかける。「今日初めてアジカンを聴いたっていう人の肩が少しでも揺れたら嬉しいなと思います。出会った時が始まりの時だから……」。30年の歴史を背負いながらも、今日この場所での「初めまして」を何よりも祝福する。その開かれた精神こそが、彼らが今なお新しいリスナーを惹きつける理由なのだろう。 

 そんな温かな空気のまま、軽快なビートが心地よい「おかえりジョニー」へ。さらに切ない旋律が会場を浸した「ソラニン」、アニメ『鋼の錬金術師』のオープニング曲として海外でも根強い人気のある「リライト」と畳みかける。

 その熱狂の後、最後の曲を前に後藤は「このあとも、存分に歌の力に抱きしめられて帰ってください。皆さんのゴールデンウィークの始まりにふさわしい曲を歌います」と告げると、FM802『OSAKAN HOT 100』で首位を記録した楽曲「MAKUAKE」を披露。一切の揺らぎを見せずに鳴らされた良質なロックサウンドは、激動の時代にあって変わらないものの価値を物語っていた。

  今宵のフィナーレを彩ったのは、太陽のようなポジティブなエネルギーを放つAI。アジカンが残した「歌に抱きしめられて」という言葉に呼応するかのように、ステージに現れた彼女は「What’s up OSAKA!!」と、パワフルに登場、そのまま1曲目の「ハピネス」へ。会場全体でシンガロングし、「ハッピー」が会場に広がった。

  続く「Welcome To My City」では最強の布陣・KADOKAWA DREAMSのダンサー6人を引き連れ、AIのソウルフルな歌声に、彼らのダイナミックかつ緻密なダンスが重なり合う。曲の途中にSHOW IT OFFをリミックスし、ダンサーたちが次々と凄まじいパフォーマンスを繰り出すと、その圧倒的な身体能力と表現力に、オーディエンスからは歓声が沸き起こった。

  「Not So Different-Remix」の前には、彼女の魂の叫びともいえるMCが放たれた。「世の中いろんなことあるけど、音楽で乗り越えていきましょうよ! みんなでハッピーになって帰りましょう!」。その言葉に続くパフォーマンスでは、ヒップホップの名曲、Fugeesの「Ready or Not」をカバーする粋な演出も。間髪入れずに「I wanna Know」披露したこの2曲でA Iは、分断や困難がある世界を認めながらも、音楽という共通言語で一つになろうと呼びかけている気がした。 

 中盤、重厚なビートが響く「Untitled~ワレバ」では、盟友である、DJ HIRAKATSUの匠のプレイが光る。「今を楽しんでいってくださいっ! そして声を聴かせてください!」曲間に放たれるAIらしいストレートな言葉は、出演した全アーティストがそれぞれの形で提示してきた音楽の力を、一つの大きな「愛とパワー」へと束ねていく。後半、「はっちゃけるのも好きだけど、ピアノと歌だけでもいいよね……」と、名曲「Story」で、会場全体が息を呑むような感動に包まれる。ラストは「ラッキーアイラブユー」を披露。歌のエネルギーと<アイラブユー>が渦巻いた。

 出演した全アーティストが繋いできた情熱、そしてアジア各地から集まった熱い視線。鳴り止まない拍手の中で幕を閉じた【MASSIVE BEATS OSAKA 2026】は、大阪から世界へと鳴り響く、新たな音楽の幕開けを告げる一夜となった。

 なお、このライブの模様は、5月30日にFM802にて『MASSIVE BEATS OSAKA LIVE SPECIAL』と題し、オンエアが決定している。 

TEXT:森島良子
写真提供:FM802、PHOTO:渡邉一生

◎公演情報
【FM802 MASSIVE BEATS OSAKA 2026】
2026年4月28日(火)大阪・大阪城ホール
https://funky802.com/massivebeats/

◎番組情報
『FM802 MASSIVE BEATS OSAKA LIVE SPECIAL』
放送日時:2026年5月30日(土)20:00-22:00※生放送
DJ:落合健太郎、大抜卓人


AI

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