<ライブレポート>RIP SLYME ファンとメンバーとスタッフと駆け抜けたメジャー25周年 活動休止ラストナンバーは「マタ逢ウ日マデ」

2026年4月9日 / 21:00

 2026年3月20日~22日に東京・TOYOTA ARENA TOKYOで、RIP SLYMEのメジャーデビュー25周年記念&活動休止前ラストライブ【RIP SLYME 25th Anniversary GREATEST LIVE – Final Three Nights –】が開催された。3日間で計88曲がパフォーマンスされた、セレブレーション最終日の模様をお伝えする。

 遂にこの日が来た。来てしまったとも言える。活動休止が発表された2025年4月の頃は、そう遠くないXデーもまだ先のことに思えていたし、昨年は『THE FIRST TAKE』やテレビ出演、毎週のように繰り出ていたフェス出演もあってか、寂しさは一ミリも感じていなかった。しかし、フロウに合わせて口ずさみ、音に乗り、踊りまくるフロアを見ていると、何事にも終わりが来ることを痛感した。しかも、音の記憶とともに20年以上も前に吹き飛ばさるのだから、頭の中は軽い時間旅行モード。それは曲のイントロがかかるごとに「おお!」と唸ったオーディエンス、そして配信を見ていた視聴者も同じはずだ。

 とは言いつつ、5人には「しんみり・お涙頂戴モード」は一切なく、この日に向けて1年走ってきた最後のゴールをファンたちと迎えただけ。オーディエンスも寂しい気持ちは一旦置いて、メンバーと一緒に25周年記念日をお祝いする気で満ち溢れていた。

 会場に入ると(のちに判明したことだが)FUMIYAが18歳の頃に作った完璧すぎるミックステープが大音量で流れている。プロバスケットボールの会場ということもあり、LEDビジョンもゲーム中に選手の名前が流れるであろうリボンビジョンも、非常にハイクオリティ。“盛り上げる”ことに最適な会場は、ビジュアル面でも注目を集めてきたRIP SLYMEのハイセンスな演出を見事に写し出した(途中、『天才バカボン』風メンバーキャラクターが会場を駆け抜けるシーンは見応え十分だった)。

 カウントダウンが始まり、歓声と手拍子とともに0になると、左からPES、RYO-Z、FUMIYA、ILMARI、SUの順番で上昇ステージに立って登場。FUMIYAが流す「どON」のカッコよすぎるイントロに引きつけられながらも、4人の発音の良さに感服。爆音サウンドは非常にメロディアスだが、それにかき消されることなくひとつ一つの単語が聞きやすい。しかも、キャッチーでポップでディープでセクシーで。RYO-Zの「知らない曲があっても知ったふりしろ」という言葉どおり、正直に言えばこの日はそんな瞬間もあったのだが……それでもハイクオリティなマイクリレーによって初聞きの曲でも秀逸なリリックには一目散でわかった。

 3日連続公演のラストとなるこの日、「今夜こそが一番熱い夜になるはずですよね」(RYO-Z)が煽った「熱帯夜」に合わせて、そこら中が「オー」「イェー」ダンス。SUが〈君らこそダイヤ〉と言うと大歓声も上がった。基本リピートのメロディーだが、さすがFUMIYA。リリースから18年経っても古さはまったく感じられない。

 そして、プレミアムなゲストがRIP SLYMEの節目に駆けつけた。最初に登場したのはchay。「JUMP with chay」でジェットコースターのような高揚感とアドレナリンMAXの時間を届けた。中盤には在日ファンクから浜野謙太、橋本剛秀、ジェントル久保田、村上基が登場し、「Vibeman feat. 在日ファンク」で和製ファンクの帝王が降臨。“先輩ぶる”ハマケンとあえて後輩感を出す4人に笑いが自然と広がる。FUMIYAがプレイするのは、ファンクとヒップホップが見事にブレンドされた、それぞれの特徴を掴んだちょうどいい中間地点。エアロスミスとRUN D.M.C、リンキン・パークとJAY-Zが証明したように、完璧なミックスさえあれば異なる界隈も一緒に音の革命を起こす。それがこの日もステージで証明された。PESもぶるぶる震えるわけだ。

 RSと同じくデビューから四半世紀が経ったm-floのVERBALも、平成リバイバルを今まさに体感している一人。ILMARI、RYO-Zらと組んだTERIYAKI BOYZ®「TOKYO DRIFT (FAST & FURIOUS)」は世界で最も知られる日本曲の一つで、その地位が揺らぐことはそう簡単にはないだろう。旧友たちの千秋楽をサンバダンサーたちとともに「パーリーピーポー」で盛大にお祝いした。

 そして、終盤にレジェンドの布袋寅泰がギター片手にステージ中央に登場すると、フロアが一気にどよめいた。布袋寅泰の「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」(「新・仁義なき戦いのテーマ」)とRIP SLYMEの「FUNKASTIC」をマッシュアップしたナンバー「FUNKASTIC BATTLE」(2006)は、それこそロックとヒップホップの融合を見事に混ざり合わせた究極のナンバー。リリースから20年が過ぎた今、ステージ上で繰り広げるマイクとターンテーブル、そしてギターソロが体中を駆け巡る。その圧巻のぶつかり合いを、観客はしかと見届けた。活動歴45年という正真正銘の大先輩にどこか恐縮した様子でハグを交わす5人。その姿からは確かなリスペクトがにじみ出ていた。

 そうした当時と今を繋ぐ瞬間は幾度もあったが、特にそれを感じさせてくれたのは「STAIRS」「黄昏サラウンド」のシーン。PESが「長い付き合いの私たちですが、僕たちだけではこの日はなかった。みなさんがいなかったら、俺らいない! みんなが歌ってくれたから、ここにいる」、RYO-Zが「階段を一段一段上がってきたわけです。それに異論なし!」と言ったように、メジャーデビュー初期からたくさんの“ヒップホップ史上初”を作ってきた彼らでさえ、頂点を目指して目まぐるしい時代を駆け抜けてきた。ファンに愛され、仕事仲間や音楽仲間と切磋琢磨し、ここにたどり着いたわけだ。ほぼ一発撮りで制作された、2004年発表の「黄昏サラウンド」のミュージック・ビデオを背に、当時の自分に22年後の自分の声が重ねる様は、まさに過去と現在が同時に鳴っているような時空旅行。今だから理解できる空虚さが静かに胸に染みる。そして、「One」へ。一度きりの人生をどう生きるかは、自分で選び取るしかない――そのシンプルで力強いメッセージが、ラストを締めくくった。

 時間とともに思い出は記憶から去ってしまうのも人生だが、人間とは不思議なことに、ある瞬間ふとしたきっかけが与えられると、消えていたはずの記憶の破片が一気に弾け、体が反応することがある。ライブ本編終盤は、そんな記憶を呼び覚ますかのようなノンストップの祝祭だった。会場のあちこちで人々が踊り、はじけ、歌い続ける。「楽園ベイベー」に続く「JOINT」はおなじみのタオルタイム。おそらく親――もしかすると祖父母に連れられてきた小学生までもが、まるでDNAに刻まれているかのようにタオルを振り回している。楽曲の途中、「ストップ!」の一声で、5人が一瞬すべての時間を止める。静寂のなか、SUが「25年間ありがとうございました」と感謝を告げる。そして「ありがとう」を合図に、ラストスパートへとなだれ込んだ。最後は「Dandelion」で、積み重ねてきた時間と、5人だけのストーリーを抱えながら、その音は未来へと放たれていく。

 熱いアンコールにもお応えして、5人は再びオンステージ。「Super Shooter」「Wonderful」は5人の息の合ったダンスステップが繰り出され、だんだんと加速する華麗なサウンドにオーディエンスも「Yeah!」状態。やまない手拍子と“RS”コールが会場に満ち溢れ、懐かしのオレンジ色のジャンプスーツを着た5人が登場すると、一段と歓声が大きくなった。「ほんとにほんとに、最後に1曲だけやってもいいですか? 25年間ありがとうございました!」とRYO-Zが呼びかけ、5人が最後に届けるナンバーに選んだのは、「マタ逢ウ日マデ」。一人ずつ見送ったあとに流れたエンドロール後に、手書きの「25年間ありがとうございました。」が映し出されて、約2時間半のショーをもって、彼らは活動休止に入った。四半世紀以上にわたり活躍してきた5人のタイムレスな音楽は、この先も語り継がれるだろう。

Text by Mariko Ikitake
Photos by Keisuke Sunagare

◎セットリスト
【RIP SLYME 25th Anniversary GREATEST LIVE – Final Three Nights –】
※2026年3月22日(日)公演
1. どON
2. STEPPER’S DELIGHT
3. 雑念エンタテインメント
4. GALAXY
5. チェッカー・フラッグ
6. 熱帯夜
7. JUMP with chay
8. By The Way
9. ミニッツ・メイド
10. 気の置けない二人
11. SLY
12. SPASSO
13. Bubble Trouble
14. Vibeman feat. 在日ファンク
15. STAIRS
16. 黄昏サラウンド
17. One
18. パーリーピーポー(Hosted by VERBAL)
19. BLUE BE-BOP
20. Watch out!
21. Wacha Wacha
22. Good Day adidas Originals remix by DJ FUMIYA
23. Good Times
24. 楽園ベイベー
25. JOINT
26. FUNKASTIC BATTLE~RIP SLYME vs HOTEI~
27. Dandelion
〈アンコール〉
1. Super Shooter
2. Wonderful
〈Wアンコール〉
1. マタ逢ウ日マデ


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