ブランデー戦記、クアトロツアー【BRANDY SENKI QUATTRO TOUR 2026】のオフィシャルレポート到着

2026年3月18日 / 18:00

 ブランデー戦記が、3月13日に東京・SHIBUYA CLUB QUATTROで【BRANDY SENKI QUATTRO TOUR 2026】を開催した。

 いいライブを見ると筆が走る――これは多くの音楽ファンが共感してくれる事実だと思うが、ブランデー戦記にはお世辞抜きに毎回驚かされる。上昇気流に乗るバンドの勢いをまざまざと見せつけた6都市完売の【1ST ALBUM RELEASE TOUR】、完璧主義ゆえのリアルな心情も吐露した過去最大キャパの【BRANDY SENKITOUR 2025 AUTUMN】に続く今回のワンマンは、彼女たちにとって約2年ぶりとなるクアトロ・ツアー。最終日の渋谷クアトロは満員札止めで、バンドが新たなフェーズに入ったことを証明する一夜となった。

 RPGを連想させる、朽ち果てた神殿を思わせる柱と植物に囲まれたステージに3人が登場。ボリ(Dr.)の凶器レベルに尖ったモヒカン(「Fix」のミュージック・ビデオよりも1本多いらしい)には前列のファンもどよめいていたが、ポルカドット使いが印象的なみのり(Ba./Cho.)、ノースリーブ&ファーをまとった蓮月(Gt./Vo.)と、全員がブラック系の衣装で統一していたこともこの夜のモードを決定づけていた。たっぷりと空気を含んだギター・リフで幕開けた「ラストライブ」、緩急自在のソリッドなアンサンブルを響かせる「春」を筆頭に、音源よりも少しラフな蓮月の歌唱がライブ感を増幅してくれて素晴らしい。早くもフロアの大合唱を巻き起こした「僕のスウィーティー」では、みのりも「もっと聞かせて!」とオーディエンスを煽る。キャパ1,000人以下の距離感だからこそ、会場の一体感は目を見張るものがあった。

 ライブ中盤は代表曲の「Musica」や、カントリー調の「赤いワインに涙が・・・」といった新旧入り交じった選曲。配布されたセットリストを見ると、「水鏡」or「メメント・ワルツ」、「Twin Ray」or「黒い帽子」と2択になっているパートが散見されたが、これは当日の気分やフロアの雰囲気でどちらを演奏するか決めていたのだろう(この日は「メメント・ワルツ」&「黒い帽子」)。今回のツアーは広島以外すべて2デイズだったので、2日間来場したガチのファンに対してはもちろん、自分たち自身がワクワクしたいという思惑があったのかもしれない。それを裏付けるように、蓮月は終始笑顔で最前列の観客と触れ合ったり、ピックを飛ばしたりと上機嫌だった。昨秋のZepp DiverCityでは「自分が納得できないものは(人に)見せたくない」と涙ながらに重圧を語っていた彼女だが、12月の韓国ワンマンでの大歓迎や充電期間を経て、「完璧じゃなくっていいんだ」という心境の変化があったのだろうか。その表情は、憑き物が落ちたかのように晴れやかだ。

 個人的にハイライトだったのは、「新曲か!?」と勘違いしかけたほど生まれ変わった3つのナンバーである。ボリのドラム・ソロを兼ねた「The End of the F***ing World」では、音源でゴーストのように聞こえる「スリー、ツー、ワン」の声をドラムパッドに再サンプリングし、爆裂生ドラム&電子音とかけ合わせてクラブ・ミュージックのような音像を展開。また、「27:00」の場合は不穏な教会の鐘や着信音をループさせることで、”クリスマスに1人取り残された“主人公の焦燥感を表現(と、勝手に思っている)。そのままボリの人力ドラムンベース→蓮月のAメロになだれ込むアレンジが白眉で、ブンブンと唸るみのりのベースラインもドラマ性を助長する。そして終盤で披露された「Coming-of-age Story」では、ピンスポを浴びた蓮月が原曲にはない歌詞のフレーズを弾き語る光景も。楽曲は世に放たれた瞬間、自分だけのものじゃなくなる――という言説があるが、生み出した本人が再び手を加えちゃいけないなんてルールはどこにもない。ライブを重ねて楽曲との付き合い方が変化していく――そんな柔軟さと実験精神も、ブランデー戦記の魅力のひとつだろう。

 ライブ終盤ではグッとギアを上げ、みのりのグルーヴィーなベースが牽引する「土曜日:高慢」、「Kids」、「ストックホルムの箱」と一気に駆け抜ける。とりわけ「土曜日:高慢」は圧巻で、どんどんボリュームを増していく蓮月の獰猛なギターは紛れもなくオルタナティヴ・ロック~グランジ黄金期の音。彼女たちが敬愛するニルヴァーナが思い浮かぶほどの凄みがあったし、フロアのボルテージが最高潮に達した瞬間でもあった。ニルヴァーナといえば、開演前~終演後のBGMでも「You Know You’re Right」がフィーチャーされていたが(しかもフー・ファイターズの「All My Life」と連続)、ブランデー戦記はもともとニルヴァーナのコピー・バンドとして出発した背景がある。念願の【FUJI ROCK FESTIVAL】出演も決まった今、バック・トゥ・ザ・ルーツなサウンドを武器に、これからブランデー戦記と出会う新しいオーディエンス(特に洋楽ファン)の度肝を抜いてやりたい――といった野心があるのかもしれない。

 そして先日アナウンスのあった通り、秋には自身最大規模のツアー【BRANDY SENKI TOUR 2026】も決定。そろそろ新曲が待ち遠しいが、彼女たちの存在が世界に見つかるのも時間の問題だろう。2026年は、ブランデー戦記にとって飛躍の年になりそうだ。

Text by Kohei UENO
Photo by Edo Sota

◎公演情報
【BRANDY SENKI QUATTRO TOUR 2026】
2026年3月13日(金)
東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO


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