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2026年2月17日、ヤングスキニーが自身のキャリア初となる日本武道館での単独公演【いつか僕は誰もが羨むバンドになってやる日本武道館】を開催した。チケットは見事にソールドアウトし、約8,000人の観客がバンドのメモリアルな瞬間を目撃しようと詰め掛けた。
開演時間になり、かやゆー(Vo/Gt)、ゴンザレス(Gt)、しおん(Dr)、りょうと(Ba)、そしてサポートの中野郁哉(Key)がステージに登場すると、かやゆーにスポットライトが当たり、彼がギターを奏でながら1曲目の「世界が僕を嫌いになっても」を歌い始めた。かやゆーの弾き語りに、途中から他のメンバーの奏でる音が加わり、演奏はバンドの厚みと温かみを手に入れる。記念すべき初の日本武道館公演の1曲目が、バンドが初めて発表した楽曲「世界が僕を嫌いになっても」。そして、かやゆーの弾き語りに他のメンバーの音が加わるという、まるでヤングスキニーの物語の始まりそのもののようなライブの幕開け。とてもドラマチックだ。
そこからなだれ込むように、演奏は「ヒモと愛」「関白宣言」へと続く。観客たちのハンドクラップも重なり、武道館の空気は一気に熱を帯びる。りょうとのベースが空気を震わせる中、「相変わらずSNSでエゴサすれば、『かやゆーに抱かれたい』とか、『遊ばれたい』とか出てくるんですけど、日本武道館でも『ゴミ人間』やってもいいですか!」とかやゆーが挑発的に語り掛けると、観客たちは大歓声で応え、初期の代名詞的1曲「ゴミ人間、俺」へ。こんなタイトルの、こんな歌詞の曲を、武道館で8,000人が分かち合う。幸福な景色が目の前に広がる。
最初のMCではひとりずつ、記念すべき日を迎えた思いを語る。かやゆーが「武道館でやることにそんなに興味があるわけじゃないけど、こうして8,000人の人がヤングスキニーだけを観に来てくれたことが嬉しいです。前から知っている人も、最近知った人も、今日だけはみんなを僕の虜にさせちゃいますので、よろしくお願いします」と告げると、しおんが「武道館、気持ちいいねえ! ソールドアウトして、みんなでこの舞台に立てることが嬉しいです」とパワフルに気持ちを伝える。りょうとは「お客さんとしても武道館に来たことはあるから、このステージに立てたことが嬉しい」と、歴史ある舞台に立つ感慨を伝えた。そして、ゴンザレスは「久しぶりに来てくれた人もいると思うけど、俺、ゴンザレスですからね」と、赤い髪にサングラスという、初期の頃から随分と変わった自らのビジュアルを気にしつつ、「今日もいいギターを弾きにやって来ました!」と力強い宣言。そしてリズミカルなバンドのセッションから「本当はね、」が始まる。弾けるようにポップな演奏に、武道館全体が揺れる。
先ほどの「いいギター弾きに来ました」宣言を有言実行するような、ゴンザレスの素晴らしいギターソロが響き渡った「君じゃなくても別によかったのかもしれない」、最新アルバム『理屈で話す君と、感情論の僕』収録の「本音」「るっせぇ女」……楽曲は次々と披露されていく。切なく情感豊かな「本音」の次に来るのが、ズンズンと力強く突き進んでいく演奏に乗せて、かやゆーが吐き捨てるように歌う「るっせぇ女」。そんなふうに音楽的にも感情的にも様々な方角にベクトルが突き進んでいくような楽曲が生まれるのも、ヤングスキニーの楽曲が、作詞作曲を手掛けるかやゆーの無防備な心から生まれているがゆえだろう。続く「カレーライス」は華やかな音楽性の内側に、かやゆーの感じた心の痛みが露わになる。
その後、「ロードスタームービー」をバックにしたバンドのドキュメンタリー映像がモニターに映し出され、観客たちが逸れに見入っていると、客電がつき、なんと4人がアリーナ席の通路を通って観客たちとハイタッチしながら登場。そのまま中央に設置されたセンターステージに上がると、アコースティック・セットでの演奏が始まる。まずは「バンドマンの元彼氏」。続いては「君の街まで」。アコースティック・セットならではの繊細でぬくもりに満ちた演奏に観客たちも酔いしれる。
観客たちに囲まれた形のステージ、そしてメンバー同士も円形になり顔を見合わせて演奏しているからか、まるで友達の部屋にでもいるかのような、とても親密な空気が武道館全体にも流れる。さらに、しおんのドラムに合わせて観客たちの手拍子も重なり、「三茶物語」へ。この曲では、かやゆー、しおん、りょうと、ゴンザレスと順番に歌い、そして観客たちの合唱も響き渡る。この場に集まったみんなで曲に刻まれた幸せを分かち合うような時間。かやゆーが「今までで一番いい『三茶物語』でしたね」と嬉しそうに告げた。そして、アルバム『理屈で話す君と、感情論の僕』の最後に収録された「ちゃんと帰ってくるから、許して」も披露すると、アコースティック・パートの最後には、かやゆーがひとりで「雪月花」をギターで弾き語る。曲に込められた想いを際立たせるように付け加えられた、音源にはない曲の冒頭部分も素晴らしかった。
再びメインステージに戻るとヘヴィーなセッションが始まる。そしてゴンザレス作曲の「ハナイチモンメ」へ突入。グルーヴィーな演奏に乗せて、ハンドマイクで歌うかやゆー。それまでの素朴な演奏とは打って変わり、武道館を満員にするロックバンドとしてのスケールのデカさを見せつけるように演奏は激しさと増す。続く「愛の乾燥機」では火柱も上がり、レーザー照明も盛大に会場を照らし出す。ゴージャスな特効演出と屈強なバンド演奏が武道館を飲み込むようだ。「美談」で演奏は再び静けさを取り戻すと、かやゆーの「どうか大切な人のことを、『大切だった』と失ってから気づくことがありませんように」という言葉と共に「さよなら、初恋」へ。中野の奏でる鍵盤が、切なく美しい。そして、会場がピンク色の照明に染まると、メロウな演奏に乗せて「ベランダ」が始まる。途中、この曲のフィーチャリング・ボーカルである戦慄かなのがステージに登場すると、観客たちの大歓声がそれを迎える。艶やかなデュエットが、武道館を愛と情の世界に浸していく。曲が終わり、武道館公演への祝福と感謝を伝え戦慄かなのがステージを去ったあと、「この甘く切ない世界はまだまだ続くよ」と言わんばかりにバンドは「コインランドリー」を披露した。
かやゆーはギターをかき鳴らしながら言う。「ひとりのゴミが、こんな大勢の前で今、歌を歌っています。やっぱり俺結構、バンド好きですわ」。さらに彼は続ける。「一番大切なのは、嘘をつかないこと。めっちゃ難しい。俺も生きていたら、誰かにカッコつけるため、見栄を張るため、嘘をついてしまう。でも俺は、俺の作る歌だけには嘘をつかない。マジで。だから、俺の歌の中にある本質まで見抜いてほしい。俺はこれからも芯を貫く」――その言葉に続き始まったのは「精神ロック」。かやゆーの覚悟と叫びをぶちまけたようなこのロックチューンに会場の熱気が一気に上昇する。そして「この街の歌です」というかやゆーの言葉に続き「東京」へ。ライブも終盤になり、バンドの決意と生き様が滲むような楽曲が投下されていく。
さらにMCで、かやゆーはこう語った。「今、すごく幸せです。やっぱり音楽で感じる幸せが俺には一番幸せなんだなと最近改めて思います。俺は曲に実体験しか書かないから、『こんなの共感できないよ』と思う人もいるかもしれないけど、人間なんてみんな同じだし、みんな辛い悩みがあると思うから。どこかで通じる部分を感じてくれたら、それでヤングスキニーの音楽を愛してくれたら、俺は一番幸せなんだろうなって、俺は心のどこかでそう思っているんじゃないかなと思います。これからもヤングスキニーをよろしくお願いします」。
そして、今のかやゆーの生き様そのものと言うべき楽曲「stay with me」が披露される。本編の最後を飾ったのは「憂鬱とバイト」。かやゆーがバンドを始め、大学を辞め、親からの仕送りを打ち切られた、そんな状況の中で作り上げたという1曲。初めてかやゆーが親に聴かせた曲だという、この「憂鬱とバイト」を披露する前にかやゆーはこう言った。「これからも俺は自分のために曲を書いていくけど、そこから勝手に救いを見つけてくれると俺は嬉しいです」。「勝手に救いを見つけてくれ」――このぶっきらぼうな優しさこそが、ヤングスキニーなのだろう。
アンコールでは「らしく」と「誰かを救ってやる暇などないけど」が披露された。〈僕は僕だ〉というフレーズを8,000人で大合唱する最高のカタルシスを生み出す「らしく」。「僕が一番好きな歌です。ここで、この歌を歌うヤングスキニーが一番カッコいいと思っています」というかやゆーの言葉に続き始まった「誰かを救ってやる暇などないけど」。まさに、バンドの本質が剥き出しになった2曲で締め括られたと言っていいだろう。ヤングスキニーらしさに満ちた、人間臭く、繊細で、腹の据わった約2時間半のライブだった。
Text by 天野史彬
Photos by うえむらすばる
◎セットリスト
【いつか僕は誰もが羨むバンドになってやる日本武道館】
1. 世界が僕を嫌いになっても
2. ヒモと愛
3. 関白宣言
4. ゴミ人間、俺
5. 本当はね、
6. 君じゃなくても別によかったのかもしれない
7. 本音
8. るっせぇ女
9. カレーライス
10. バンドマンの元彼氏
11. 君の街まで
12. 三茶物語
13. ちゃんと帰ってくるから、許して
14. 雪月花
15. ハナイチモンメ
16. 愛の乾燥機
17. 美談
18. さよなら、初恋
19. ベランダ feat. 戦慄かなの
20. コインランドリー
21. 悪い人
22. 精神ロック
23. 東京
24. stay with me
25. 憂鬱とバイト
〈アンコール〉
1. らしく
2. 誰かを救ってやる暇などないけど
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