<ライブレポート>OddRe:がメジャーデビュー発表、開かれていく未来を刻んだ一夜【OddRe: showcase LIVE “TAPE:C-46” 】

2026年2月13日 / 17:00

 初めてOddRe:を聴いたのは「FEVER TIME」という曲だった。生々しくガレージ感のある手触りを残しながら、綿密に様々なエッセンスが取り込まれ、最終的には極めてシャープに、モダンに、仕上げられたそのサウンドに魅了された。20年以上前に、ザ・ホワイト・ストライプスの「Seven Nation Army」がクラブで流れまくっていた時代のことも僕は多少知っているが、時代は確かに前に進みながら、バンドミュージックは新しい熱源を生み出し続けているのだと実感した瞬間だった。

 そのあと、去年11月にリリースされた1st EP『THE GOLDEN PROTOTYPE.』を聴いて、「FEVER TIME」だけでは捉え切れない、想像以上の音楽的な引き出しの多さと、改めて歌詞をちゃんと読んだときに感じた雑多な言語感覚に魅了された。その歌詞に触れたときの感触は、僕にとっては、例えば大田ステファニー歓人の『みどりいせき』とか、市街地ギャオの『メメントラブドール』とか、そういう小説を読んだときに近いものだった。

 OddRe:の歌詞は、綺麗に整えてものを言う、という自己満足で綴られる言葉ではなくて、今、自分たちが本当にその皮膚で感じていることをリアルに受け手に伝えること、そして「自分たちはどうやって明日に向かっていくのか」という覚悟を本気で言葉にすることに意識を向けているのだと感じた。もちろん、彼らはときに遠くの大切な誰かに向けてしたためた手紙のような、美しい歌詞も書いていた。その『THE GOLDEN PROTOTYPE.』リリース時に、僕はインタビューで本人たちを目の前にして、それぞれがそれぞれの個性の方角にブッ飛びながら和気あいあいとしている3人の人柄にも完全に魅了されてしまったのだった。

 ライブを観るのはこの日が初めてだった。2月5日、東京・SHIBUYA WWW X。OddRe:にとっては初のワンマンライブとなった【OddRe: showcase LIVE “TAPE:C-46” 】。初ワンマンとは言っても今回はあくまでショーケースライブということで、演奏されたのはアンコールも含めて全8曲。時間もトータルで1時間程度とコンパクトなライブだったが、『THE GOLDEN PROTTYPE.』収録曲はもちろん、まだ音源化されていない楽曲も披露、さらに既発曲はライブアレンジで更なる音楽的な広がりを見せて……と、OddRe:の溢れんばかりの才気をこれでもかと感じた約1時間だった。

 ステージに立ったのは、メンバーであるAirA(Vo.)、ユウキ サダ(Ba./Vo.)、SOI ANFIVER(Gt./Composer/Trackmaker)の3人に加え、サポートドラムはtricotの吉田雄介。AirAの歌い出しから始まった1曲目は「東京ゴッドストリートボーイズ」。それぞれのパートの個性を存分に際立たせ、確かな体温を伝えながら、決して圧が強過ぎない、繊細さや柔らかさを兼ね備えたバンドのアンサンブルが素晴らしい。これはOddRe:の3人の関係性や距離感によって生まれるものなのかもしれないが、「完全に混然一体になってしまおう!」という陶酔感や忘我感というより、絶妙な距離感を保って、それぞれがそれぞれの立ち位置で輝きながら、でも、確かにそこにある「ひとつの希望」やきらめきを共有しようとする感覚……とでも言おうか。熱狂的でありながら、同時に、力を抜いてそこに立っていられるような優しい包容力がそこにはあった。OddRe:のバンドサウンドから感じたこの感覚については、時間をかけて、もっとしっくりくる言葉を探していきたい思いもあるのだが、とにかく、そのくらい、ここにあったのは「新しいバンドミュージックの音」だったということは記しておきたいと思う。

 2曲目に披露された、切なくも愛らしいインディーポップチューン「shiori」ではAirAがウクレレを奏で、3曲目の「CRASH OUT!!!」では、SOIが徹夜で作り上げたというダンストラックが間奏で差し込まれ、もはやダンスフロア使用のリミックス状態に。存在感のあるベースでアンサンブルを牽引するサダと、フロントマンとして力強く観客たちをアジテーションするAirA、そんなふたりのツインボーカルも最高。まだ発表されていない新曲たちも、OddRe:の音楽的懐の深さを感じさせる楽曲たちで、虫の声のSEを使った叙情的な曲があり、ど真ん中のポップロックを威風堂々と鳴らすような曲もあり、この先、数多の可能性に開かれていくに違いないバンドの行く末を力強く感じさせてくれる曲ばかりだった。

 この日、OddRe:はメジャーデビューを発表。メジャーデビューシングルとなる「Revival」もアンコールで披露された。疾走感のあるロックサウンドとAirAの燃えるような歌声が見事な絡みを生み出している1曲。この日のMCで、SOIは自分たちのことを「今、一番やる気のある新人」と言っていたが、本当に、「Revival」はとんでもない気迫が刻まれている曲だ。OddRe:が連れてくる未来が見てみたい。僕は今、そんな気持ちでいっぱいである。

Text by 天野史彬
Photo by 小杉歩

◎公演情報
【OddRe: showcase LIVE “TAPE:C-46” 】
2026年2月5日、東京・SHIBUYA WWW X


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