【2025年米ビルボード年間ソング・チャート】レディー・ガガ&ブルーノ・マーズが首位に、人気デュエット曲がTOP10を賑わす

2025年12月10日 / 09:00

 2025年の米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”は、レディー・ガガとブルーノ・マーズによるコラボレーション・ソング「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」が年間1位に輝いた。

 言わずと知れた大スター同士の初タッグとなる「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」は、2024年8月16日にリリースされ、同月8月31日付のチャートで3位に初登場。約4か月間を経て2025年1月11日付のチャートで1位に到達し、通算5週間首位を獲得した。

 週間チャートではブルーノ・マーズが通算20曲目、レディー・ガガは通算18曲目のTOP10入りで、年間チャートではブルーノ・マーズが7曲目、レディー・ガガは4曲目のTOP10入りを果たしている。

【年間チャート TOP10ランクイン曲】

<ブルーノ・マーズ>
・「グレネイド」(2011年/6位)
・「ホエン・アイ・ワズ・ユア・マン」(2013年/8位)
・「アップタウン・ファンク マーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズ」(2015年/1位)
・「ザッツ・ホワット・アイ・ライク」(2017年/3位)
・「リーヴ・ザ・ドア・オープン(シルク・ソニック)」(2021年/7位)
・「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」(2025年/1位)
・「APT. with ロゼ」(2025年/9位)

<レディー・ガガ>
・「ポーカー・フェイス」(2009年/2位)
・「ジャスト・ダンス feat コルビー・オドニス」(2009年/3位)
・「バッド・ロマンス」(2010年/8位)
・「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」(2025年/1位)

 年間チャートで首位を獲得したのは、ブルーノ・マーズが2015年の年間チャートを制したマーク・ロンソンの「アップタウン・ファンク」以来10年ぶり、2曲目で、レディー・ガガは自身初のタイトルとなる。

 ブルーノ・マーズはもう一曲、BLACKPINKのロゼとコラボした「APT.」が9位に、2曲を今年の年間TOP10にランクインさせている。

 「APT.」は、アメリカ(Hot 100)での週間チャートでは3位どまりだったが、グローバル・チャートのGlobal 200では12週間首位を獲得した。なお「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」はそれを上回る18週間を記録している。どちらの曲も日本をはじめ各国での知名度も高く、まさにグローバルに今年を代表する曲となった。

 ロゼは、2021年の年間11位を記録したBTSの「Butter」を上回り、K-POPアーティストとして史上初のTOP10入りを果たした。

 K-POPアーティストの躍進は、その他にもNetflixのアニメーション映画『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』から4曲が週間チャートで同時にTOP10入りするサウンドトラック史上初の快挙を達成。

 同サントラから大ヒットしたHUNTR/X(ハントリックス)の「Golden」は、週間チャートで通算8週間(非連続)1位を獲得し、年間チャートでは25位にランクインした。さらには、Saja Boysの「Soda Pop」が最高3位(年間61位)、「Your Idol」が最高4位(年間54位)、HUNTR/Xの「How It’s Done」が最高8位(年間68位)に、それぞれ週間チャートでTOP10入りを果たしている。

 週間チャートでTOP10入りはしていないが、本作からはHUNTR/Xの「WHAT IT SOUNDS LIKE」が83位、イジェ&アンドリュー・チェの「Free」も92位に、それぞれ年間チャートにランクインした。『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』関連以外では、BTSのJIMINによるソロ曲「WHO」(最高12位)が57位に、ソロとしては初のランクインを果たしている。

 2025年は「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」や「APT.」の他にも、2組のアーティストによるコラボレーション曲(デュエット)がヒットした。

 年間2位にランクインしたケンドリック・ラマー&シザの「Luther」は、2024年11月22日にリリースされたケンドリック・ラマーのアルバム『GNX』に収録された曲で、アルバムが1位に初登場した2024年12月7日付のチャートで3位にデビュー。約3か月後の3月1日付で1位に到達し、5月24日付まで13週間連続で首位を獲得した。首位獲得週としては今年の最長記録で、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートでは31週間、ラップ・ソング・チャートでは44週間、どちらも史上最長記録を更新している。

 年間チャートでは、シザは2021年6位にランクインした「キス・ミー・モア feat. シザ」、2023年の3位にランクインした「キル・ビル」、同年9位にランクインした「スヌーズ」に続く4曲目、ケンドリック・ラマーは2017年の4位にランクインした「HUMBLE.」、2024年の6位にランクインした「ノット・ライク・アス」に続く3曲目のTOP10入りで、両者とも自己最高位を更新した。

 両者のコラボでは、シザのアルバム『SOS(デラックス盤『LANA』)』からカットされた「30 For 30」も年間21位(週間最高10位)にランクイン。ケンドリック・ラマーのアルバム『GNX』からは、「tv off」が15位(週間最高2位)「squabble up」が20位(週間最高1位)、本作未収録の「ノット・ライク・アス」は17位(週間最高1位)に、TOP20に4曲をランクインさせる大活躍を遂げた。

 以下、R&B/ヒップホップ・ソングの年間チャートではTOP5中4曲を両者の楽曲が占めた。

・1位:ケンドリック・ラマー&シザ「Luther」
・2位:ケンドリック・ラマー「tv off」
・3位:ザ・ウィークエンド「タイムレス with プレイボーイ・カルティ」
・4位:シザ&ケンドリック・ラマー「30 For 30」
・5位:ケンドリック・ラマー「ノット・ライク・アス」

 なお、3位の「タイムレス」は年間チャート(Hot 100)で16位にランクインしている。

 年間TOP10にはランクインしなかったが、男女のデュエット曲ではモーガン・ウォーレンとテイト・マクレーの「ホワット・アイ・ウォント」も週間チャートで1位を獲得、年間チャートでは27位にランクインした。

 この曲が収録されたモーガン・ウォーレンの4thアルバム『アイム・ザ・プロブレム』(年間2位)からは、以下のタイトルが年間TOP40にランクイン。

・11位「ラヴ・サムバディ」(最高1位)
・13位「アイム・ザ・プロブレム」(最高2位)
・18位「ジャスト・イン・ケース」(最高2位)
・27位「ホワット・アイ・ウォント」(最高1位)
・40位「アイ・ガット・ベター」(最高7位)

 年間チャートのTOP40にはランクインしていないが、以下の4曲を含む計9曲が週間チャートではTOP10入りした。

・「スマイル」(最高4位)
・「ライズ・ライズ・ライズ」(最高7位)
・「スーパーマン」(最高8位)
・「アイ・エイント・カミン・バック with ポスト・マローン」(最高8位)

 本作には収録されていないが、ポスト・マローン名義の「アイ・ハッド・サム・ヘルプ feat. モーガン・ウォーレン」(2024年/最高1位)も今年に入ってから引き続き上位をキープして、年間チャートでは8位にランクイン。この曲は、2024年の年間チャートで4位を獲得していて、2年連続でTOP10入りを果たしている。

 今年は、「アイ・ハッド・サム・ヘルプ」の他にも年度が切り替わってヒット“し続けた”曲が多く、昨年と今年の年間チャートで2年連続TOP10にランクインした曲が4曲ある。

 昨年歴代最長の19週間という首位獲得週の大記録を打ち出して、2024年の年間チャートでは2位にランクインしたシャブージーの「ア・バー・ソング(ティプシー)」は、今年の集計期間に入ってからも、ホリデー・シーズンを除けばほとんどの週でTOP10入りし、年間3位に食い込んだ。同じ曲が2年連続でTOP3にランクインするのは、2020年の1位、2021年の3位にランクインしたザ・ウィークエンドの「ブラインディング・ライツ」に続く2曲目のタイトルとなる。

 カントリーにクロスオーバーしたこの曲は、カントリー・ソング・チャートでも45週間1位を獲得して、歴代2番目の記録を達成(1位はフロリダ・ジョージア・ライン&ビービー・レクサの「メント・トゥ・ビー」で50週)。同曲が収録されたアルバム『ホエア・アイヴ・ビーン・イズント・ホエア・アイム・ゴーイング』のデラックス盤からは、「グッド・ニュース」(週間最高12位)も年間チャートで23位にランクインした。カントリーにクロスオーバーした曲では、ラッパーのビッグXザプラグと、カントリー・シンガーのベイリー・ジマーマンがタッグを組んだ「オール・ザ・ウェイ」(最高4位)がスマッシュヒットを記録して年間33位にランクインしている。

 昨年の年間チャートを制したテディ・スウィムズの「ルーズ・コントロール」は、今年の年間チャートでも4位にランクイン。集計期間終了(2025年10月18日付)までTOP10の滞在週を通算80週目、Hot 100のチャートイン総週を111週目に、それぞれ史上最長記録を更新した。

 2024年の年間3位を記録したベンソン・ブーンの「ビューティフル・シングス」(最高2位)は、今年のチャートでも6位にランクイン。今年に入ってからも上位を行き来し、TOP10のチャートイン総週を史上6番目の通算42週に更新した。収録アルバム『ファイアワークス・アンド・ローラーブレイズ』(年間アルバム27位)もロングヒットを記録して、2ndアルバム『アメリカン・ハート』は7月5日付で2位に初登場。本作からは、「ソーリー・アイム・ヒア・フォー・サムワン・エルス」が年間37位(最高19位)、「ミスティカル・マジカル」(最高17位)は47位にランクインした。

 2年連続のTOP10入りは逃したが、昨年の年間7位を記録したサブリナ・カーペンターの「エスプレッソ」(最高3位)は、今年の年間チャートで12位にランクイン。同曲が収録されたアルバム『ショート・アンド・スウィート』(年間7位)からは、「テイスト」(最高2位)が19位、「ベッド・ケム」(最高14位)が45位、「プリーズ・プリーズ・プリーズ」(最高1位)が50位、最新アルバム『マンズ・ベスト・フレンド』からは「マンチャイルド」(最高1位)も38位に、年間TOP50に5曲を送り込む大活躍を遂げた。

 昨年の年間チャートで15位にランクインしたビリー・アイリッシュの「バーズ・オブ・ア・フェザー」は、同年10月12日付で最高位の2位まで到達した後、今年の集計期間(2024年10月26日付~)に入ってからも上位をキープして、驚異的なロングヒットを記録。2月に開催された【第67回グラミー賞】の主要部門にもノミネートされた。ロック&オルタナティブ・ソング・チャートでは55週間首位を獲得して、歴代2位の記録を達成している。

 「バーズ・オブ・ア・フェザー」が収録されたアルバム『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』(年間9位)からは「ワイルドフラワー」(最高17位)も年間26位にランクインした。

 2024年、2025年の年間チャートで2年連続TOP10入りした曲数は4曲、TOP20入りした曲はその4曲を含む計6曲があり、いずれも過去最多を記録した。また、男女のデュエット曲が年間チャートでTOP2を占めるのは、意外にもHot 100史上初となる。

 1991年11月にルミネイトがデータ追跡をはじめてからは、それ以前よりも上位にランクインしやすい傾向になったが、ストリーミングが強化された近年のチャートでは、拍車をかけて“その傾向”が際立ってきた。なお、2026年度の最初のチャートからは、リカレント移行条件の基準が改定されるため、“粘る曲”がさらに粘るのか、あるいは回転が早まるのか、ヒットの傾向が変わる可能性があることは頭に置いておきたい。

 そんな中、年度をまたぎヒットしているのが、米カリフォルニア州出身のシンガー・ソングライター=アレックス・ウォーレンの「オーディナリー」で、1位に到達した6月7日付から8月23日付まで非連続で10週間首位を獲得し、年間チャートでは7位にランクイン。最新のチャート(11月)でもTOP3に粘り強く居座っていて、次年度の年間チャートでも上位ランクインが予想される。

 現地時間2025年2月2日に開催された【第67回グラミー賞】でのパフォーマンス効果と受賞スピーチの反響を受けて、2月22日付でTOP10入りしたチャペル・ローンの「ピンク・ポニー・クラブ」は、その後も上位に長く滞在して年間チャートでは10位にランクインした。昨年の年間18位にランクインした「グッド・ラック、ベイブ!」(最高4位)は今年31位に、2年連続でTOP40入りを果たしている。

 両曲が収録されたアルバム『ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス』も、年間アルバム・チャートで同10位にランクイン。ソング、アルバムの両チャートで自身初のTOP10入りを達成した。

 今年新たにチャートインしたアーティストでは、アルバム『ザ・シークレット・オブ・アス』(年間14位)がヒットしたグレイシー・エイブラムスの「ザッツ・ソー・トゥルー」(最高6位)が年間14位にランクイン。TikTokでブレイクしたローラ・ヤングの「メッシー」(最高14位)は28位、女性R&Bシンガー=レイヴィン・レネーの「ラブ・ミー・ノット」(最高4位)が30位、レコーディング・アーティストとしては初のTOP10入りをしたレオン・トーマスの「マット」(最高7位)は22位に、それぞれTOP30入りを果たし、「バック・トゥ・フレンズ」(最高10位)でブレイクしたソンバーは、同曲が44位、「アンドレスト」(最高16位)は42位に、2曲をTOP50に送り込んでいる。

 上記のうち、アレックス・ウォーレン、ローラ・ヤング、レオン・トーマス、ソンバーは、今年の大活躍を経て現地時間2026年2月1日に開催が予定されている【第68回グラミー賞】で<最優秀新人賞>にノミネートされた。

 ヒップホップ・シーンからは、女性ラッパーのドーチーが「アングザエティ」(最高9位/年間39位)で注目された。ジャマイカ系イギリス人のシンガー=マイルズ・スミスは、TikTokをきっかけにバイラルしヒットした「スターゲイジング」(最高19位/年間29位)で、自身のセクシャリティを明るみにしたジジ・ペレスは、「セイラー・ソング」(最高22位/年間36位)で、今年も個性的な面々が頭角を現している。

 昨年に続き今年も、お馴染みの顔ぶれから新星まで、ジャンルや国籍が“縛られない”曲がヒットした。K-POP勢の上位進出、デュエットのヒット、年度をまたぐロングランの常態化。一方で、ヒップホップ勢はケンドリック・ラマーを除けば相対的に勢いが鈍化したというのも今年の空気感といえる。「瞬間最大風速よりも長く聴かれること」2025年のソング・チャート“Hot 100”は、その傾向をもう一段示した。

Text:本家一成

◎【Billboard Hot 100】2025年 年間チャートTOP10
1位「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」レディー・ガガ&ブルーノ・マーズ
2位「Luther」ケンドリック・ラマー&シザ
3位「ア・バー・ソング(ティプシー)」シャブージー
4位「ルーズ・コントロール」テディ・スウィムズ
5位「バーズ・オブ・ア・フェザー」ビリー・アイリッシュ
6位「ビューティフル・シングス」ベンソン・ブーン
7位「オーディナリー」アレックス・ウォーレン
8位「アイ・ハッド・サム・ヘルプ」ポスト・マローン feat. モーガン・ウォレン
9位「APT.」ロゼ&ブルーノ・マーズ
10位「ピンク・ポニー・クラブ」チャペル・ローン

集計期間:2024年10月26日付~2025年10月18日付チャート


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