<ライブレポート>トム・グレナン初単独公演で魅せた、進化し続ける表現者の姿──力強い声に宿る人生の輝き

2025年10月3日 / 16:00

 2018年にデビュー・アルバムをリリースして以降、数多くのヒットを量産。地元・英ロンドンではO2アリーナ公演を大成功させるなど、人気と実力に磨きをかけている、トム・グレナン。昨年の【GREENROOM FESTIVAL】出演以来、かつ自身初となる来日ヘッドライン・ショーが、渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにて開催された。

今年8月にリリースされ、3作連続で全英チャート1位を獲得している最新アルバム『エヴリウェア・アイ・ウェント、レッド・ミー・トゥ・ホウェア・アイ・ディドゥント・ウォント・トゥ・ビー』を携えてのステージ。オーディエンスの熱狂的な声援に包まれるなか、トムを含めバンド・メンバーはブラック・コーデで統一。最新作の冒頭に収録の「Full Attention」をパフォーマンスする。そのクールなたたずまいと反比例した、コーラスの力強くソウルフルなヴォーカルと、1980~90年代のアシッド・ハウスやマンチェスター・サウンドを彷彿とさせる祝祭感と陶酔感にあふれたグルーヴに会場が包まれると、トムは変幻自在な声を惜しげもなく轟かせる。ハスキーな声はオアシスのリアム・ギャラガーのようなワイルドさ、またハイトーンを響かせる際にはクイーンのフレディ・マーキュリーのようなゴージャスさをまとっているようなイメージだ。その憑依型なパフォーマンスに、観客は瞬く間に魅了されたのだった。

その興奮の余韻に浸る暇などなく、トムは最新作からのシングル曲「Higher」を披露。繰り広げるディスコなサウンドに、会場はさらに熱狂のダンス・フロア化。オーディエンスのドリンク(アルコール)消費量もアップしていく。トムも、1年ぶりとなる日本(を中心にした)ファンとの再会に興奮しているようで、最初のMCでは感謝の気持ちを述べている。

「この1年間、ずっと待ってたんだ。みんなに言い続けてきたからね。<日本に戻らなきゃ>って。今日は自分にとって特別な場所になる。日本での初めてのヘッドライン・ショーに来てくれたみんな、本当にありがとう。約束するよ、ここから輪はどんどん広がっていく。ファミリー、コミュニティの絆はもっと強くなっていく。みんな、ひとりひとりを本当に大切に思っている。これは始まりなんだ。だからみんなの顔を覚えておくよ」

 オープニングから続くアップテンポの楽曲の数々で、会場の熱気はさらに上昇。すると、トムは途中でジャケットを脱ぎ、グリーンのTシャツ姿で、圧巻のバルク・アップされた肉体を披露する。また、それはヴィジュアルを追求するためのものではなく、力強く表現力豊かな声を出すために鍛え上げられているものではないかと感じさせる、体幹の強さを感じさせるヴォーカルを次々と披露。また、その声を駆使して、観客をさまざまな風景・場所へと導いていったのだった。

 「これは僕たちだけが行ける場所についての歌だ。今夜、自分が行きたい唯一の場所はここ。セクシーだろ?今夜はキラキラ輝くみんなの姿が見えるよ。これは君たちに捧げる曲だ」と伝えると、最新作収録のシングル「Somewhere Only We Go」をパフォーマンス。空中遊泳しているような壮大なサウンドにのせて、<みんなどこだって好きな場所に行けるんだ>という力強いメッセージをのびやかな声で会場に届け、会場にいる誰しもに自由の翼を与えたのだった。

 その後、コーラス隊との息のあったソウルフルなハーモニーを奏でたエラ・ヘンダーソンとの21年発表のデュエット曲「Let’s Go Home Together」や、タイトル通り会場に輝きの魔法をかけた最新作収録の「Diamonds」などを披露。また途中では、機材(ドラム)トラブルで演奏がストップしてしまい、その合間に観客から日本語のレクチャーを受け「かっこいい(ハンサム)」という言葉をかけられ、照れた表情を浮かべているのも印象的だった。

 終盤にはアルバムのクライマックスを飾るバラード「I Won’t Miss a Thing」をピアノの伴奏をバックに熱唱する。

「これはとても大切な曲。祖父に向けたものであると同時に、精神や人生について、そして人生とは何かを理解することについて綴ったもの。正直、自分は人生とは何かがいまだにわかっていない。でも理解しようと努力をしている。また、祖父の人生に思いを巡らせると、僕はもっと真剣に理解しようとしなければならないと思うんだ」

 それまでの太陽のような華やかさから一転。じっくりと人生を歌い上げる姿からは、また新たなトムの魅力というか。30代を迎え、また父親となり、新たなステップへと踏み出そうとする決意を感じることができた。フィナーレは、21年発表の「Little Bit Of Love」をパフォーマンス。失恋のせつなさを綴った楽曲ではあるものの、ラストにはオーディエンスの熱い思いが集結して大きな愛が生まれたような気がする。 

 何度も手を振り、お辞儀もしながら「アリガトウ」と伝えステージを颯爽と去った、トム。その軽快な足取りで、今後もさまざまな興奮や感動の音楽やパフォーマンスを我々に届けてくれるだろう。

Text: 松永尚久
Photo: 古溪 一道

◎公演情報
2025年10月1日(水)東京・duo MUSIC EXCHANGE
<セットリスト>
1. Full Attention
2. Higher
3. All These Nights
4. Cool With That
5. Found What I’ve Been Looking For
6. Boys Don’t Cry
7. Dont Break The Heart
8. Crown Your Love
9. Certified
10. Royal Highness
11. Somewhere Only We Go
12. Let’s Go Home Together (Feat. Tom Grennan)
13. Diamond
14. How Does It Feel
15. Lionheart
16. By Your Side
17. Remind Me
18. I Won’t Miss A Thing
19. Little Bit Of Love
https://TomGrennanJP.lnk.to/TokyoSetlistBJ


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