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松隈ケンタがプロデュースする4人組アイドルグループ・Girls be bad。2024年夏「福岡からもう一度BiSHを作る」べく結成された彼女たちが、2025年9月20日(土)福岡 culture spot BADKNee LAB.にて1周年記念ワンマンライブ【Girls be bad 1st Anniversary Live「ONE」】を開催した。
<BiSやBiSHとの比較、順風満帆ではなかったデビューイヤー>
GBBの愛称で親しまれるGirls be badは、それまでBiSやBiSHなど数多のアイドルグループのサウンドプロデュースを手掛けてきた松隈ケンタが、自身の地元・福岡から全国で活躍できるグループをイチから育てようと、自らスカウトやオーディションを敢行。蝶(クール担当)、りんか(リーダー担当)、まりか(マシュマロ担当)、あやか(元気娘担当)の4人をメンバーとして選出し、2024年8月1日のデビューから16日間連続でミュージックビデオのゲリラ公開を行い、同月16日にステージデビューを果たした。
以降、松隈ケンタによるGBB楽曲レコーディング参加体験企画や、福岡ソフトバンクホークスの公式中継テーマソングへの起用、GBBの歌詞枠をファンが購入して楽曲を完成させるプロジェクトなど、様々な話題で注目を集め続けている──と記すと、さも人気音楽プロデューサーのもと順風満帆なデビューイヤーを飾ったと思われるかもしれないが、今回の1周年記念公演に辿り着くまでのストーリーは、決して平坦な道のりではなかった。
まず松隈ケンタがトータルプロデュースを行うグループということで、どうしても生まれるBiSやBiSHなど先輩レジェンドグループとの比較。BiSやBiSHもほぼ無名のパフォーマンスも拙いメンバーで結成されたわけだが、今の時代では許されないであろうセンセーショナルな活動内容に揉まれ、多くのアイドルファンに叩かれながらもステージに立ち続け、その結果として観る者を圧倒する存在へと成長し、1期BiSは当時の地下アイドルとしては異例の、デビューから僅か3年半で横浜アリーナにて解散ライブを実現するほどのカルト的な人気を獲得。BiSHはアイドルシーンの枠を飛び越えて日本の音楽シーンの主役となり、東京ドームでグランドフィナーレを迎えるほどのスターとなった。
そんな猛者たちと比較されて「物足りない、なんか違う」と切り捨てられてしまうことも少なくなかったGBB。だからと言って、コンプライアンスや規制の厳しくなった今の時代、前述の先輩たちと同じような活動内容でそのルートを歩むのは難しく、それが出来たとしても「過去の焼き増し」「○番煎じ」と揶揄されて終わるのが関の山。そもそも彼女たちはプー・ルイでもアイナ・ジ・エンドでもないのだ。まだ何者でもないからこそ、いつか何者かになろうともがき始めたばかりのアイドルたち。ゆえにその比較や、本人たちが誰より痛感している実力不足に幾度となく傷つき、落ち込んできたことだろう。それでも彼女たちは、ありのままの姿でこの1年間ステージに立ち続けてきた。
<松隈ケンタ「新しい時代のPUFFYを目指している」>
松隈ケンタは「福岡からもう一度BiSHを作る」と目標を掲げながらも、BiSHとまったく同じグループを完成させようとしているわけではない。簡単に言えば、BiSHクラスの人気グループを今までと違うアプローチで作り上げようとGBBを結成した。今回の1周年記念ワンマンライブを取材する前の打ち合わせでは「令和のゆるい女の子たちがどこまでやれるか」「新しい時代のPUFFYを目指している」と話してくれたのだが、PUFFYは小室哲哉プロデュース全盛の90年代、奥田民生がそのカウンターとして全く新しい世界観を生み出したユニットである。その音楽とメンバー(大貫亜美&吉村由美)の虚勢を張らないナチュラルな在り方は新しいカルチャーやスタイルとして世間に受け入れられ、多くの若者に影響を与えることになった。
以上の流れを踏まえたうえで【Girls be bad 1st Anniversary Live「ONE」】を振り返っていきたい。
<まだまだ荒くとも胸打つ叫び! 2期BiS/BiSHカバーも>
1周年ワンマン前日、GBBのドキュメンタリー映像がYouTubeに公開され、2024年7月21日「能力とか技術とか超越して、一緒に仕事をやりたいと思える人を選びました」と松隈ケンタがGBBメンバーを発表するところから、この日のライブに向けて「「荒いよね まだまだ」と思ってる人。まだまだ荒いです、見てください」とメッセージするところまでチェックしてから、私はGBBのライブパフォーマンスを目の当たりにすることになったのだが……仰る通り、まだまだ荒かった(笑)。冒頭から「みんな、声出せぇ!」「今日は良い曲、めちゃめちゃ持ってきたけん! 一緒に最後まで盛り上がりましょう!」と気合いの入った煽りで観客を盛り上げていくのだが、歌も動きも決して洗練されたものではなくまだまだ拙い。しかし「それじゃあ またね」「僕のイノセンス」「ビリビリドッチボー」「アブダビGO」「スッカスカSKA」「悔やんでゆくその日まで」と多種多様なキラーチューンをエモーションの限りに歌い叫び、それに呼応するようにオーディエンスも拳を振り上げながらこの瞬間を楽しみ上げていく。
ちなみに、このライブの直前にGBBのXアカウントからリハーサルの模様が一部生配信されたのだが、そこで聴こえてきた曲に驚きのポストがいくつか見受けられた。そして、その曲はライブ本番でも披露される。りんかが「私たちは1年前、まだGirls be badになる前。オーディション候補生として3チームに分かれて、ここBADKNee LAB.で課題曲を披露しました。まだダンスも歌も初めてだった私たちが自分たちでダンスを考え、たくさんたくさん向き合った曲です。今日は1周年ということで、その3曲を披露したいと思います」と告げ、そこに流れ始めた楽曲は……2016年から2019年まで活動し、無念の解散を遂げることになった2期BiSの代表曲「BiSBiS」のGBB ver.。解散後もWACKの研修生グループ・WAggがしばらく歌い継いでいたものの、WAggも解散してからはライブ会場で聴くことのなくなった名曲をGBBの4人が彼女たちなりの振り付けで、ここに甦らせる。自身でも「リズム感がみんなと違う」と歌への劣等感を語っていたまりかの「大人は全然信じたくないよ 今の私も嫌い でも信じようかな」というパート含め(かつて同じように自信がなくて、それでも涙声で懸命に歌っていた2期BiSメンバーと重なる部分もあり)胸に迫るものがあり、会場に集いしファンはもちろん、松隈ケンタもXにリアルタイムで「BiSのカバー!! 松隈もウルっとした」とポストするほどの感動を生み出してみせた。
その後もオーディション課題曲であった「in case…(GBB ver.)」「stereo future(GBB ver.)」(共にBiSHカバー)と歌唱難易度の高いナンバーをそれこそ能力や技術を超越したハートで響かせんとする4人。そして「限界なんてないよな、おまえら!」とオリジナル曲「限界なんてないさ」でもどんどんエモーションの増していく歌声を4者4様に響かせ、続く「太陽を覗く君と」ではメンバー自らシャボン玉を噴射させながらみんなと大はしゃぎ。さらには、福岡ソフトバンクホークスの公式中継テーマソングとして注目を集めた「ダイヤモンドクロニクルズ」で笛を吹きながら行進し、応援用のバットや太鼓を叩きながら、応援団さながらの振り付けとその歌声で会場中を扇情していく。蝶も「この1年間を一言で表すと、惚れて通えば千里も一里。ツラいこともたくさんあって、本当にもうマジで「これ、将来どうしようかな」と思うぐらい悩んだときもあったんですけど、結局、人の前に立って歌ったり踊ったりすることが好きなんですよ。その好きなことに比べたら、どんな遠い道でもめちゃくちゃ短く感じる。ということで、私は今がいちばんしあわせです!」と語っていたが、何があろうと大好きなGBBのステージとファンの為に駆け抜けてきたこの1年。その結晶と言える愛しき光景をこの日のGBBは創造してみせた。
<絶対にみんなで東京ドーム行きたい。だから、みんな、死ぬんじゃねーぞぉ!>
アンコール。オーディションからデビュー、そして、この1年を振り返り涙ぐむメンバーもいる中で「みんなに出逢えた歓び。そして、私たちが1周年を迎えた歓びをみんなと分かち合いたい!」と披露した「歓びの歌」に始まり、ハンドルを持って4人並んでドライブ気分で歌い、客席も同じように前の人の肩に手をかけながら一体となった「カリメンドライブ」、そのままハンドルパフォーマンスに加えて盆踊りを想起させる振り付けで最後の夏気分を堪能させた「Born – que – Bong !!」、みんなと飛び跳ねながら、肩を組みながら、繋いだ手を振り上げながら満面の笑みで歌い上げ「一生青春」感をスパークさせた「羽根」と、1周年ライブのクライマックスを駆け抜けたGBB。そんな特別な時間を共に過ごしてくれたファンたちに向けて、あやかがグループを代表して語り始めた。
「この1年間を思い返してみると……(涙を堪えながら)めちゃくちゃ楽しいし、めっちゃ好きだけど、もちろん楽しいことだけじゃないし、ツラいことも、半分半分ぐらいあったんですけど、失ってきたものもあるんじゃないかなって私の中では思っていて。……でも、1回も「辞めたいな」と思ったことはないです。夢を諦めたいなと思ったこともないし、本当に松隈さんの音楽が好きだし、メンバーが大好きだし、スタッフさんも大好きだし、ファンのみんなが本当に大好きだからこそ、こうやって1年間……1年間ってまだ短いかもしれないけど、続けられてこれました!
私たちGirls be badは「福岡からもう1回BiSHをつくりたい」という松隈さんの想いから活動が始まりました。私はこのGBBのスカウトを受けてから初めてBiSHさんやBiSさんの音楽を聴いたり、ライブ映像を観たりしました。そこで感じたのが、本当にすっごい格好良かったんですね。私はよく人の目を気にすることがあって。でも、BiSHさんやBiSさん、松隈さんの曲を歌ってきたみんなを見ると「イヤなことも全部ちっちゃいことなんだな」って思えたし……本当にいろんなことに出逢えたことが奇跡だと私は思っています。
でも「福岡からもう一度BiSHを作る」という言葉が清掃員(BiSHファンの呼称)や研究員(BiSファンの呼称)のみんなにとって、苦なんじゃないかなって考えたことがあって。私としても、先輩方に並べるか不安だし、昔のみんなの楽しかった頃とか思い出して悲しくなっちゃうんじゃないかなって考えたこともたくさんありました。中には私たちのことを認めない人もいると思うんですけど、私はそれでいいかなって思っています。そう簡単に何かの代わりになれるとは思っていないし、みんなが過去好きだったことを塗り替えることもできないし、みんなも無理に忘れようとしなくてもいいんじゃないかなって思いました。
でも、そういう人たちの中で、私たちのライブとか音楽を聴いて、青春を感じたり、もしかしたらBiSHさんやBiSさんを思い出して「あの頃、楽しかったなぁ」とか「あのとき、めっちゃ感動したよなぁ」とか、そういうことを自然と思い出して笑顔になってしまうような存在になれたらいいなって思います。まだ1年っていう短い時間しか活動はしてこれてないし、まだまだ未熟なところもあるけど……本当にめちゃくちゃ頑張るからさ、信じてついてきてほしいです! 絶対にみんなで東京ドーム行きたい。だから、みんな、死ぬんじゃねーぞぉ!」
デビューから1年。まだまだ知らないことだらけで、見たことない景色だらけで、この先どうなっていくかも分からないけど、それでもステージに立ち続けていく中で感じてきたプレッシャーもネガティブな声も受け止めながら、GBBなりに見出してみせた自然体で優しくてポジティブな生き方。それを提示してみせた彼女たちは「私はみんなの笑顔が本当に大好きだし、自分たちも笑っているほうがいちばん輝くと思っているから、次、ラストの曲は笑顔で終わりたいなって思っていますけど! みんな、笑顔を返してくれますかぁー!」と、最後にもう一度「スッカスカSKA」を歌い踊る。BiSやBiSHやそのファンたちへの敬意を払いながらも、GBBはGBBらしく自分たちだけのルートでしか切り拓けない世界を創造していく──その姿勢の表れとも言える、ちょっと緩くて荒くて拙いけれども、どこまでもハートフルなパフォーマンスで1周年記念公演を締め括ってみせた。
GBBなりのRoad to 東京ドーム。その遥かなる道程を一歩一歩あゆんでいく彼女たちの大冒険にぜひ注目してもらいたい。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎ライブ【Girls be bad 1st Anniversary Live「ONE」】
2025年9月20日(土)福岡 culture spot BADKNee LAB.
セットリスト:
01.それじゃあ またね
02.僕のイノセンス
03.ビリビリドッチボー
04.アブダビGO
05.スッカスカSKA
06.悔やんでゆくその日まで
07.BiSBiS(GBB ver.)※2期BiSカバー
08.in case…(GBB ver.)※BiSHカバー
09.stereo future(GBB ver.)※BiSHカバー
10.限界なんてないさ
11.太陽を覗く君と
12.ダイヤモンドクロニクルズ
13.歓びの歌
14.カリメンドライブ
15.湾岸高速2号線から
16.Born – que – Bong !!
17.今日も僕らは
18.羽根
19.スッカスカSKA
◎Girls be bad オフィシャルサイト
https://girlsbebad.scrambles.jp/
◎Girls be bad X公式アカウント
https://x.com/gbb_info
◎Girls be bad Instagram公式アカウント
https://www.instagram.com/gbb_info/?hl=ja
◎Girls be bad TikTok公式アカウント
https://www.tiktok.com/@girls_be_bad
◎Girls be bad YouTube公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCP1UANSoM–yJfY2S8PZipg
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