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夢限大みゅーたいぷが9月7日、東京・TACHIKAWA STAGE GARDENにて【夢限大みゅーたいぷ 4th LIVE「アンロック・ザ・フューチャー」】を開催した。
次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」が“次の一手”として贈る、新進気鋭の5人組ポップバンド=夢限大みゅーたいぷ(以下:ゆめみた)。コンセプトには“夢(バーチャル)と現実(リアル)を飛び越える運命共同体(バンド)”を掲げ、2023年11月に配信シングル『夢現妄想世界』でデビューした。
4度目を迎えた今回のナンバリングライブでは、全曲オリジナル作でのセットリストに初挑戦したほか、アンコール以降で明かされた通り、タイトルから想像していたよりも上をいく、たくさんの未来を“アンロック”してみせてくれた。彼女たちの可能性は、本当に“夢限大”であるーーこの記事を読み終えた頃には、そう頷いてしまうに違いない。
ライブは、デビュー曲「夢現妄想世界」で開幕。続く「新人類は仮想世界の夢を見るか?」を含めてまず認識させられたのが、これまでの「BanG Dream!」発リアルバンドと比べて、曲中のコールがとにかく多いことだ。特に「新人類は仮想世界の夢を見るか?」には、会場中のファン=みゅーたいぱーがメンバーの名前を順に叫び散らすパートが設けられているわけだが、“この時代にこれほどコールをする楽曲てほかにあったっけ?”と、思わず立ち止まって考えさせられたほど。約2,500名キャパとは思えぬ声量すぎる。
シンセを全面に出したサウンドも込みで、アニソン現場の原点回帰といった様相を呈していたし、曲作りの面においてはコロナ禍を経た実感を改めて抱かされるに至った。MyGO!!!!!やAve Mujicaとはまた違う道を辿り、世界観で圧倒するのではなく、むしろその場の全員で一緒に賑やかに。冒頭2曲で、ゆめみたのカラーを大いに掴んでもらえたことだろう。
アンコール以降に待つ“重大発表”を控えてだろうか。3曲目以降は本編終盤まで、メンバーモチーフ曲を2曲ずつ演奏し、改めてゆめみたを一人ずつプレゼンテーションするかのような時間に。
1番手は、宮永ののか(Gt.)。中毒的なサウンドが人間の本能を解放するキラーチューン「▽animaるパーティ▽開催中▽」は、流行の”かわいいカルチャー”に対するアンサーを「BanG Dream!」なりに提示したとも思える楽曲。浴びるだけで、とにかく自己肯定感を高めてくれる。さらに間奏での、宮永がメンバー各人に指定の動物になりきらせる“声の圧迫面接”タイムも最高だった。クマ、フェレットなどを「クマ~」「フェレット~」と、動物名をそのまま鳴き声にしてしまうシュールな瞬間があったり、客席からもさまざまな鳴き声が聞こえてきたり。新手の人類補完計画さながらな光景だった、とだけ記しておこう。
2番手・峰月律(Gt.)をモチーフとした「エンプティパペット」は、かなりシリアスな展開に。自身のアイデンティティを失いながらの<夢見ていたいんだよ>。ゆめみたの地図を描いていきたい……そんな悲痛な叫びにも、それでも光を求める意志にも聞こえてくる。そこからの「TRASH LIFE」に救いこそ見受けられたものの、この強烈なタイトルを何度もリフレインするインパクトたるや。ポエトリーリーディングを重視したこの曲は、構成としてもハイパーポップ的な勢いがあり、ライブでも緩急に大きく揺さぶられた。
3番手は藤都子(Key.)。悪い意味でなく、都子のパートは“色モノ”である。彼女の楽曲に触れずとも、そのキャラクターぶりが伝わるとすら考えたところだ。というのも、先ほどの「TRASH LIFE」を歌い終えて暗転を挟むと、ステージ下手前方に“とあるセット”が置かれた時点で、フロアがざわざわ。用意されたのは、モノクロで映りそうなブラウン管テレビを型取った大道具と、画面下に映る「∞-24-385」の電話番号(ちなみに取り外し式)。この番号が示す通り、都子によるテレビショッピング=ブシネットみやこの始まりである。
都子が販促、もといダイレクトマーケティングするのは、今回のライブグッズ。彼女が熱弁を繰り広げるなか、テレビ横では律がコールセンターのスタッフ役でひたすらに受電していたり、千石ユノ(DJ/Mp.)がレイブホーン代わりに、視聴者の驚く声やツッコミを手元のサンプラーで鳴らしていたり。メンバー全員を駆使したおままごとが展開される。お金をかけすぎだし、大人が本気を出したおふざけすぎる。
“おふざけ”続きでいうと、この後の都子モチーフ曲「限界現実サバイブ天使」では、ニコニコ動画の懐かしの弾幕をオマージュ。それだけでもかなり“おなかいっぱい”だったのだが、続く初披露の新曲「LET’Sあちあちトレーニング!」に入ると、ステージ上に“スクワット界隈”が発生。メンバーが前述の電話番号プレートを抱えながら自身の腿をいじめる時間が流れて、またしても新たな扉を開くーーアンロックって、つまりそういうこと?
4番手は、ユノ。ラップを織り交ぜたデジロック調の「ビッグマウス」で、彼女が下手のお立ち台まで出てきてボーカルを届けてくれた後、5番手・仲町あられ(Vo.)パートはラウドなロックチューンで勝負。披露した「コハク」「グラディエント」のうち後者にて、間奏で可憐なフェイクを響かせると、そこに重ねてキーボードが祝福のように心癒してくれる。最後はあられが右の拳をステージから客席へと突き出し、会場中のみゅーたいぱーに、一歩踏みだす勇気とはなにかを教えてくれた。
気づけば本編も終盤までなだれこみ、最後に披露するは新曲「真夜中遊園地」。作編曲の哥丸雄貴に加えて、編曲にはゆめみたの楽曲を手がけるクリエイターチーム・PHYZより堀江晶太も加わっているが、なにかを“駆け抜け”させる疾走感を描かせたら、堀江の右に出る作家はいない。真夜中の遊園地で秘密のパーティを開くかのごとく、シンセをがんがんに鳴らした賑やかなサウンドのなか、あられが何度もハイジャンプを披露。最後の<日陰で何が悪い!>の宣言が、本当に清々しいと思わされた。
本編を終えればもちろん、客席からアンコールの歓声が。ここからの時間は、ゆめみた公式YouTubeチャンネルでもリアルタイム配信がなされたわけだが、しばらくすると舞台上のスクリーンに、Live2Dアバターを使用した、バーチャルYouTuberとしての普段の配信模様。加えて、過去のライブ映像、さらには夢幻戦隊むーたいぷが歌う「熱風海陸ブシロード ~熱き咆哮~」など、これまでのバンドの歩みが走馬灯のごとく流れ始める。
さらに映像終盤には、新衣装に身を包んだメンバーの写真が。ただし写っているのは、キャラクターではなく実写キャスト。しかもこれまでと異なり、口元を手で隠していない。実写アーティスト写真の解禁。これがひとつめのアンロックである。
早速、同様の新衣装に身を包んだメンバーがステージに現れるも、あられとユノの姿だけが見えない……と思っていると、みゅーたいぱーの視線が1階席後方に集まる。なんと、ふたりがフロア中央に置かれたお立ち台まで、「Dream Voyage」を歌いながら客席に接近して練り歩いてくれたのだ。その途中、ユノに手を振られ、わかりやすく崩れ落ちていた2階席後方1列目のみゅーたいぱー。本当に微笑ましい限りだった。
歌い終えると、新情報を続々解禁するMCが。まずは、12月24日に1stアルバム『プログレス サイン』をリリースすることを発表。アートワークには、先ほどの実写アーティスト写真に見覚えがある……というより、それと同じ構図で仕立てたキャラクターのイラストが採用されている。同作を携えては、47都道府県を制覇する全国ツアー【夢限大みゅーたいぷ 47都道府県制覇の旅「スーパーポジション」】も開催され、まずは“スピンアップ編”として1月末から5月末まで、全8公演に繰り出すとのこと。ゆめみたにとって思い出の地でもライブをするほか、文字通り“全国”を武者修行するとのことで、期待感は語るまでもない。
その勢いままに「コミュ着火Fire!」を演奏してアンコールが終わったかと思いきや……この日はさらにその先へーーダブルアンコールの時間である。披露されたのは、ライブ当日にアニメーション・ミュージック・ビデオ、翌日に音源配信がなされた新曲「チューニング」。全体を通してフューチャー感あるロックサウンドで、転調がとにかく気持ちよい。楽器隊が“ラララ”のハーモニーを奏でながら、ボーカルが主旋律を歌うスタイルも含めて、これまでにない“ゆめみた像”を提示してくれたのではないだろうか。
なお「チューニング」は堀江晶太によるプロデュース曲で、作詞にはあられ・ユノ、作編曲にはユノがそれぞれ参加。クレジットを見ると、作詞があられ・ユノ・堀江、作曲がユノ・堀江の記載順になっているあたり、メンバーが制作に対してかなり積極的に参加したことも伺える。特にユノは今回、これまで同様にライブのオープニングSEを手がけてくれたほか、ステージでも新たにMIDIキーボードを演奏するなど、確実に挑戦を続けているメンバーのひとり。ゆめみたを大きくしたい。そんな熱意が伝わるパフォーマンスの数々だった。
さて、ダブルアンコールとなるくらいの熱量である。これだけで終わるわけがない。冒頭から記してきた、今回最大の“重大発表”。それはーー念願のTVアニメ化だ。「BanG Dream!」シリーズ最新作として、TVアニメ『バンドリ! ゆめ∞みた』が2026年より放送されると決定したのだ。アニメーション制作を手がけるのは、ニチカライン。直近で『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』『BanG Dream! Ave Mujica』を制作したサンジゲンの新スタジオブランドであり、つまりは“直系”となる。
そんな明るい未来へと階段を駆け上がるように、再び鳴らされた「夢現妄想世界」。この日の冒頭で披露したよりもメンバーのバイブスが詰まっており、17曲をも歌い上げた後のはずなのに、あられのジャンプがこの日の最高到達点を記録していた気さえする。
歌唱直前のMCでは、メンバーから「“BanG Dream!”プロジェクトの“アンロック・ザ・フューチャー”も“ゆめみた”ができたら!」「ゆめみたは伝説になります!」と、なんとも勇気ある宣誓の声もあがった。“言った”からには、結果でわからせるしかない。口から出た言葉を覚えてやるだけ。ゆめみたの動きは、本当になる。メンバー、スタッフ、全世界のみゅーたいぱー、そして最後の記念撮影で登場した、マイクを持っていないはずなのに、なぜかマイクと同じくらいの声量を放って会場中を驚かせた謎のカメラマンを連れてーーいざ、夢限大の未来へ。
Text by 一条皓太
Photo by 福岡諒祠(GEKKO)/Lin Okuno(GEKKO)
©BanG Dream! Project
◎公演情報
【夢限大みゅーたいぷ 4th LIVE「アンロック・ザ・フューチャー」】
2025年9月7日(日)
東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN
<セットリスト>
M1 夢現妄想世界
M2 新人類は仮想世界の夢を見るか?
M3 ▽animaるパーティ▽開催中▽
M4 テレパシー
M5 エンプティパペット
M6 TRASH LIFE
M7 限界現実サバイブ天使
M8 LET’Sあちあちトレーニング!
M9 ビッグマウス
M10 Calling
M11 コハク
M12 グラディエント
M13 Hi-Vision
M14 真夜中遊園地
EN1 Dream Voyage
EN2 コミュ着火Fire!
WEN1 チューニング
WEN2 夢現妄想世界
【夢限大みゅーたいぷ 47都道府県制覇の旅「スーパーポジション ~スピンアップ編~」】
2026年1月24日(土)神奈川・1000 CLUB
2026年2月7日(土)愛知・THE BOTTOM LINE
2026年2月22日(日)京都・KYOTO MUSE
2026年3月14日(土)新潟・新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2026年3月21日(土)広島・LIVE VANQUISH
2026年5月5日(火)大阪・BIGCAT
2026年5月9 日(土)宮城・仙台darwin
2026年5月31日(日)福岡・BEAT STATION
※「▽animaるパーティ▽開催中▽」の「▽」の正式表記は十字架
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