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2025年7月20日、Kアリーナ横浜で開催されたROF-MAOの2ndライブ【Limitless】。この日、2万人規模のアリーナをもってしても“足りなかった”という事実に、彼らがいまどれほどの熱を集めている存在なのかを、まざまざと見せつけられた気がした。現地に集まったファンは、用意された無線制御のブレスレットライトで客席を彩り、惜しくもチケットを手にできなかったファンは、コメントでネット配信画面を彩るというそれぞれの方法でライブを楽しんだ。
暗転したステージにツインギター、ベース、ドラム、キーボードによる生バンドの爽快な演奏が駆け抜けた瞬間。ステージ上の加賀美ハヤト、剣持刀也、不破湊、甲斐田晴のスポットを捉える。1曲目は、冒頭のアカペラで重ねられた4人の声が、空間の隅々までを満遍なく満たしていった「New street, New world」。あまりにも贅沢で、あまりにも鮮明なその響きに、ただただ目が離せなくなった。
2年前の大阪城ホールにて開催された1stライブ【New street, New world】のアンコールのラストで披露されたこの曲が、この日、再び“起点”として選ばれたことには意味があると思った。それは、前回の続きをなぞるというよりは、もう一度ここから限界を超えていくという宣言のように聞こえたから。サウンドの加速、声の立体感だけではない。兎にも角にも空気を一変させるそんなドラマティックな展開が、“序章”のような扉を空中に描いた。
4人がそれぞれオーラに包まれる斬新な映像体験を受け取った「情熱的ボーイ」のラストに打ち上がる音玉。大胆過ぎる演出に、次は何が繰り出されるのか。そうした期待が自然と膨らむ。次のスタイリッシュな「ガム」は、ROF-MAOというユニットがよく表れた曲になった。繰り返される〈ガム〉のフレーズや、無邪気な振り付け。それだけを取り出せば、キャッチーで、可愛らしいアイドルだ。けれど、それはあくまで外から見た印象。筆者の目には、誠実で芯の通った“男”たちの姿が確かに見えた。甘さの中に滲む硬質な何か。それがROF-MAOの“真面目にふざける”矜持にすら思える。
ファイヤーボールが打ち上がった「一撃」、トロピカルなサウンドが覗くアッパーチューン「勝利の歌~最強無敵ナンバーワン~」で表明した“決意”。そこから、ROF-MAOの“青春”を感じさせるスペシャルメドレーへと流れる。「Follow Your Heart」「ラックハック」「HANABI」「Do or Die」「Let’s Get The Party Started!」「前進宣言」「ウィーアーポップスター」……。色気や勢いも増幅されていたし、4人の持つ多彩な引き出しが次々と明かされていく感覚もあった。
チルアウトな「Refresh.exe」は果たして、幻想だったのか? メンバーが足元からリズムを刻み始めた「感情BONDING」からは、再び熱が舞い込んできた。剣持のがなり声が響いて、ROF-MALの着ぐるみたちも登場した「Bring it on」も、その象徴だった。
両手をすっと合わせる振り付けが目を引く「布袋尊」、タオルを振り回した「AGATTA」、一人ひとりの高音パートがくっきりと際立った「Hands Up」。とげとげしさのない、まろやかで芯のある響きが浮かび上がる。正直で真っ直ぐなアンサンブルで空気を震わせた「知っている手紙」「今日みたいに」。この会場に天井がなかったとしたら、4人それぞれの声は、一体どこまで届いていただろうか。こうしたバラードソングでこそ、ROF-MAOのボーカルワークは輝く、と実感したブロックでもあった。
アンコール後、ステージのスクリーンに映し出されたのは、ROF-MAO冠番組『木10!ろふまお塾』収録後の映像。アニコブ(不破と甲斐田のコンビ名)が手押し相撲、筆絵伝言、爆笑ゲームという三つの10秒チャレンジに挑戦し負けたことで、罰としてそれぞれのオリジナル曲を歌うことに。結果的に甲斐田は黒歴史をネタにした「古傷マーモット」を披露し、その最中にはどうしてそこで使ったのかと突っ込みたくなるタイミングで銀テープとスパークラーがダイナミックな音を立てて発射。不破もまた、8分を超過する「哲学ニンゲン」で〈かんけーねー!しらねー!〉と叫びながら、最終的にはアドリブで歌唱を続ける羽目になっていた。「I wanna! You wanna!」の途中、加賀美が「行きますか? みなさん。お待ちかねのやつ」と声をかけた途端、まさかの歌ってみたとして公式YouTubeチャンネルに投稿されていたROF-MAO without 剣持の「アイドル」がドロップ。「聞いてないよ」と困惑しながら絶叫する剣持は、最終的には衣装まで揃えられ、センターに押し上げられてしまう。これは、1stライブでも見た構図だった。そうやって全力で振り切る姿にこそ、ROF-MAOというユニットの“体当たりで面白くて、そしてカッコいい”というコンセプトが生きている。
重大トピックとしては、8月に初の海外ロケの映像が公開されることも発表された。MCパートで甲斐田は、「現地に来たかったけど来られなかった人、また来たいと思ってくれている人がいる」と語りかけ、こう言った。「また来たいよな! お前ら! ついてきてください!」
不破は、Kアリーナの規模でも「チケットが当たらなかった」という声も聞いたことで、「そんなにでかいことをやりたい欲はあまりないんですけど、今は少しでかいことをやりたいなと思っています」と、素直な胸の内を明かした。
剣持は、「Kアリーナに初めて来たのが演者としてだった」と驚きながらも、「僕らが楽しむことが一番大事。みなさんも続いてくれたらうれしい」と、これからの歩みに言葉を添えた。
最後に、加賀美。「3年で大阪城ホール、その翌年にKアリーナというスケジュール。普段は配信がメインのグループ、存在しません(笑)」と確信を持って語る。そして、「このとんでもないことを、当たり前じゃないと思っている4人がここにいるからこそ、今日があるんだなと感じた」と締めくくった。
加賀美が「街に響いたときに、日本、世界に広げていこうと思った曲」と紹介したのは、ラストナンバーの「フルカウント」。暗転したステージに一人ひとりの声が浮かび上がるように響くアカペラから、クライマックスとなる落ちサビで、加賀美の透明だけれど、一本筋の通った高音と同時に銀テープがぶわっと放たれる。その視覚と聴覚が同時に爆発する瞬間は、まさにこの夜の結びにふさわしい“結”だったと思う。1曲目の「New street, New world」が描いた“起”から始まり、辿り着いた先がここだった。
ダブルアンコールで放たれた「DiVE !N」のフレーズ〈好きに舵を切れ〉。無線制御が外れ、オーディエンスが自分の好きな色をここで初めて自由に灯し始める。1stシングルの表題曲であるこの曲が、ROF-MAOのアンセムだということは、拳を振り上げ、声を重ねる4人とオーディエンスのいる空間が物語っていた。
ひとつわかったのは、ROF-MAOというユニットは、「カッコイイオトナ」になることに対してとことん“誠実”であり続けているということだ。決して、言葉だけで片づけられる無責任なものではない。“決意”として、表情に、歌声に、演出に、そのすべてに刻みこまれていた。ここまでの限界をユーモアと本気で更新してしまう4人の姿にこそ、【Limitless】というライブタイトルの意味があったと思える。
Text:小町碧音
◎セットリスト
01. New street, New world
02. 情熱的ボーイ
03. ガム
04. 一撃
05. 勝利の歌~最強無敵ナンバーワン~
06. 2nd LIVE Specialメドレー
・Follow Your Heart
・ラックハック
・HANABI
・Do or Die
・Let’s Get The Party Started!
・Challengers
・前進宣言
・ウィーアーポップスター
07. Refresh.exe
08. 感情BONDING
09. Bring it on
10. 布袋尊
11. AGATTA
12. Hands Up
13. 知っている手紙
14. 今日みたいに
15. 古傷マーモット(甲斐田晴)
16. 哲学ニンゲン(不破湊)
17. I wanna! You wanna!
18. アイドル(加賀美ハヤト、不破湊、甲斐田晴)
19. フルカウント
20. DiVE !N
◎公演情報
【ROF-MAO 2nd LIVE – Limitless】
2025年7月20日(日)
神奈川・Kアリーナ横浜
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