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北海道出身のボーカリストのAzumiと大阪府出身のギタリストのso-toによって結成され、1999年にメジャー・デビューを飾ったwyolica。90年代のネオ・ソウルやその起源である70年代ソウルやファンクなどからの影響を巧みに消化し、切ない歌詞と洗練された音楽性で和製フォーキー・ソウルを極めた名デュオが、デビュー25周年イヤーの締めくくりとしてビルボードライブ大阪に登場。懐かしくも今また改めて新鮮に響く名曲の数々を響かせた一夜のレポートをお届けします。
90年代後半の日本の音楽シーンにおいてR&B~ネオ・ソウル色の強いアーティストを次々と手がけていた大沢伸一をプロデュ―サーに迎え、99年5月にシングル「悲しいわがまま」でデビューしたwyolica。昨年にはデビュー25周年イヤーを迎え、その締めくくりとして5月15日(木)にビルボードライブ大阪で行われたワンマン公演は、初期から彼らと繋がりを持ってきた実力プレイヤーたちが顔を揃えたバンドとともに新旧の代表曲を駆け抜けた充実のステージに。近年のネオ・ソウル復興や90年代再評価の流れなども経た中で、懐かしくもフレッシュに響いた名曲の数々は、フォーキー・ソウル的なスタイルを極めたwyolicaというデュオの魅力を改めて豊かに提示するものとなった。
ドラマーに坂田学、ベーシストに澤田浩史、そしてキーボード奏者を松本圭司が務める鉄壁のバッキングを得て、ライブはso-toが弾くアコースティック・ギターのリフから歓声が上がった「ありがとう」から幕開け。「久々の大阪です。今日は楽しんでいってください」とボーカルのAzumiが挨拶代わりに話すと、ブラジル音楽色の強いグルーヴが心地よい「青い月」、フォーキーな「渚」と続け、初期の3枚のアルバムから1曲ずつセレクトされた初夏に合った選曲で魅了した。
MCでは、この日にso-toが56歳の誕生日を迎えたことが告げられ「25周年ということで、1stアルバムのメドレーを作ってきました」と前置きすると、2000年に発表された名作『who said 〝La La…〟?』に収録された「悲しいわがまま」「are you missin’ me?」「キスの温度」とメロウな佳曲を立て続けに披露。続いても、昨年末に2024年バージョンが配信リリースされた「シェルター」を取り上げ、70年代のオーガニックなソウルの温かみとヒップホップ~R&B以降なシャープなグルーヴ感を絶妙に同居させたwyolicaならではの持ち味を、じっくりと聴かせるタイプの曲調で発揮した。
ここで誕生日を迎えたso-toがギターの弾き語りソロで、訃報が伝えられた名ギタリストのエディ潘が作曲したことで知られる「横浜ホンキートンクブルース」の“横浜”を“大阪”に置き換えながらアドリブで歌うと、ライブは後半戦へ。昨年に久々の新曲としてリリースされた「メトロにゆられて」では、以前から山下達郎へのリスペクトを公言していたso-toのフォンキーなギターのカッティングを活かしたシティ・ポップ調の新境地を高らかに響かせ、〝踊ろうよ、朝まで〟という歌詞のリフレインとともにグルーヴィーに盛り上げた。そして、3拍子のグルーヴを伴った「僕は忘れない」を挟んで、ベースの澤田が重量感のある音色でおなじみのベースラインを奏でると、Azumiが序盤から観客に“クラップ・ユア・ハンズ!”と呼びかけ、『who said 〝La La…〟?』の冒頭を飾った代表曲の1つである「風をあつめて」へ。場内の熱気を一気に高めたところで「最後の曲です。みんな歌ってね」と伝えると、本編ラストには力強いギター・リフトと歌声から高揚感に溢れたサビのメロディへと流れ込んでいく名曲「愛をうたえ」を。曲後半には、各メンバーの紹介を兼ねてのソロ回しでさらにテンションを高め、久々となった大阪でのステージでしっかりと健在ぶりを示した。
アンコールでは25周年を記念して作られたユニットの新ロゴがプリントされたTシャツを着て再登場し、ツアータイトルの“銀色の翼”という一節が歌詞の中に含まれた「ラジオ」を披露した。この曲がデビュー前から存在していた曲だったことなどを思い出深くトークすると、予定していなかった2007年にシングルとして発表した「星」もギターと歌のデュオでワンコーラスだけ聴かせ、和やかなムードで集まったファンを楽しませた。そして、この日の締めくくりとして選ばれたのは、サビのリフレインを観客と一緒に歌うことが恒例となってきたライブに欠かせない定番曲「さあいこう」。ゆったりとしたブレイクビーツとAzumiによるラップっぽいボーカルから〈未来は僕たちを待っているのさ/涙では救えない悲しみは、僕たちの未来で消してしまおう〉と普遍的で前向きなメッセージを放つサビの部分へと流れ込んで、25周年イヤーの締めくくりにふさわしいエンディングを迎えた。
キャリアを重ねて表現力に深みを増したAzumiの歌声と、ソウル、ファンク、ブルースにシティ・ポップまでと多彩なニュアンスを含んだギターワークで名手ぶりを示したso-to。大沢伸一や福富幸宏、渡辺善太郎といった名プロデュ―サーたちと組みながら、時代の流れに風化しない良質なフォーキー・ソウルの名曲を数多く生み出してきたwyolicaだが、ミュージシャン・シップに溢れた地に足の着いたステージングと新曲の充実ぶりから、さらなる展開にも期待を高める充実のセットだった。
なお、7月30日(水)には今回のツアーにおける録音テイクで構成されたライブ音源集のリリースが決定しており、今回のツアーに足を運ばれた方はもちろん、残念ながら足を運べなかった方も楽しみに待っていてほしい。
さらに同日、AzumiのソロEP『STILL HERE』もリリース。wyolicaとはまた異なる、モダンで心地よいグルーヴが魅力の全5曲が収録されている。
Text:Hidesumi Yoshimoto
Photo:オイケカオリ
◎リリース情報
『wyolica 25th anniversary live at Billboard LIVE』
2025/7/30 DIGITAL RELEASE
Billboard JAPAN Records
<収録曲>
1.ありがとう(Billboard Live TOKYO, 2nd Stage)
2.青い月(Billboard Live OSAKA, 1st Stage)
3.渚(Billboard Live OSAKA, 1st Stage)
4.悲しいわがまま/are you missin’ me/キスの温度(Billboard Live TOKYO, 1st Stage)
5.Mercy Me(Billboard Live TOKYO, 1st Stage)
6.シェルター(Billboard Live OSAKA, 1st Stage)
7.メトロにゆられて(Billboard Live OSAKA, 2nd Stage)
8.僕は忘れない(Billboard Live OSAKA, 2nd Stage)
9.風をあつめて(Billboard Live TOKYO, 1st Stage)
10.愛をうたえ(Billboard Live OSAKA, 2nd Stage)
11.ラジオ(Billboard Live TOKYO, 2nd Stage)
12.さあいこう(Billboard Live OSAKA, 2nd Stage)
◎リリース情報
Azumi Solo EP『STILL HERE』
2025/7/30 DIGITAL RELEASE
株式会社Styrism / monogram records
<収録曲>
1.HERE feat. タブゾンビ (SOIL&“PIMP”SESSIONS)
2.Harbor
3.Everlasting Love
4.cheat day
5.夕暮れ
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