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横浜アリーナを満員にするという目標を掲げ、菅波栄純(THE BACK HORN)や田仲圭太(TOPICS.LAB、ex.SCRAMBLES)などが手掛ける青春パンクを歌い叫び続けている女性アイドルグループ・BLUEGOATS(ブルーゴーツ)が、6月15日(日)クズ撤回マラソン~ライブ【BOYS ON THE RUN】を開催した。
<覚悟を決めたクズアイドルとチームBLUEGOATSの総力戦>
青春をテーマに自らの人生を乗せた全身全霊のライブを各地で繰り広げている一方で、競馬観戦などのギャンブル企画やファンと酒盛りしながら盛り上がる宴など、アイドルらしからぬイベントでも注目を集め続けているBLUEGOATSだが、今回は日頃の言動から「クズアイドル」と称されているメンバーの「クズ撤回」を目的とした42.195キロフルマラソンを敢行。そのチャレンジャーの名は、ほんま・かいな。
直前まで自身のYouTubeチャンネル「アオヤギチャンネル」を通し、骨折したと嘘をついて他のメンバーに代走してもらおうとしたり、なんとか逃げようとしてた彼女だが、マラソン当日。スタート地点となる朝9時の埼玉・春日部駅前には、降りしきる雨に打たれながらスタンバイしているかいなの姿があった。「苦手なんですよ、こういう気合い入れて頑張る系の企画。だから、アイドルを始めてからずっと他のメンバーにこの手の企画は任せてきたし、今回もこねられるだけのダダをこねてみたんですけど、ダメだったんで(笑)。もう覚悟を決めて頑張ります! みんな、ライブ会場で待っていると思うんで。」
大好きなギャンブル企画では率先して主役を張ってきた彼女だが、いわゆる体力気力勝負のスポ根系企画は大の苦手。しかし、今回は19時開演の東京・SHIBUYA THE GAMEでのライブに間に合わせなければいけない制約もあり、走らない選択肢はなかった。で、そんな彼女の激走ぶりを生配信しながら併走するスタッフがここにひとり。BLUEGOATSを結成時から支え続ける林田マネージャーもカメラ片手にスタンバイしていた。「僕はこの手のマラソン企画は3回目ぐらいなんで、気持ちはリラックスしています。直前に左足を故障しちゃったんですけど、それぐらいのハンデを背負ってもいけるかなって。」
メンバーが無理をするのであれば、スタッフも無理をする。アイドルグループを運営するうえで理想的な関係性である。また、そんなふたりをゴールまでバックアップ(各休憩ポイントでの給水や食事の用意、機材の充電、他のメンバーが見守るスタジオやライブハウスとの中継操作、ランナーのケアなど)するべく車内には、三川プロデューサーに運転手兼スチールカメラマンの大すけさん、ヘアメイク兼現場マネージャー代理の多賀さん、取材スタッフの平賀)が乗り込み、ゴール地点にも複数のスタッフがライブの準備に駆けつけており、まさに総力戦の様相を呈していた。
また、スタート地点から少し離れた場所には、かいなを応援する為に多くのファンも待機。これだけお膳立てされたシチュエーションで、これまで幾度となく「ロックスター」と評価されてきたかいなが及び腰になるわけもなく、彼女は盛大な歓声を浴びながら林田マネージャーと共に胸を張り、軽快なスタートを切るのだった。
<必死な併走スタッフ陣に「応援する人の気持ちが分かった」>
なお、このマラソンの模様はYouTubeで生配信されており、ワイプにはスタジオからかいなを応援するメンバー、ダイナマイト・マリンとソンソナのトークする姿も映し出され、同時に残り「○○km」の表示も用意し、視聴者を飽きさせない構成となっていた。絶え間なく書き込まれる応援コメントとスピードを落とさず綺麗なフォームで走り続けるかいなの姿。20℃台後半の夏日ということもあり、小まめに休憩を挟みながらも、1時間で5キロ地点まで好調な走りを見せていた。
しかし、この時点で併走&配信係の林田の左足がうっ血。顔も茹でダコのように真っ赤。それでもペースを落とさないように走り続ける姿に触発され「自分よりツラそうな人が目の前にいると、頑張らなきゃと思える」と、かいなも負けじと疾走。その後、15キロ地点では「まだ15キロ? 体感的には30キロぐらい走ってるけどなぁ。人間って20キロぐらいしか走れないようにできているのかなって思ってきた。体が痛くなってくる。それ以上は魂の問題。気合いだな、気合い」と、疲れを感じながらもフォームを崩すことなく走り続けていく。
が、中間地点となる残り20キロぐらいを走ったところで、真っ昼間で気温が30℃近くになったこともあり、林田が限界を迎えると判断した車内では、三川、多賀、平賀の3人で次の並走配信者をジャンケンで決めることに。一撃で負けて走ることになった三川は「マジか!」と叫びながらもコンビニの駐車場でウォーミングアップし、挫けそうになりながらもかいなと同じペースで走り続けてみせる。そんなプロデューサーの姿に対し、かいなは「めっちゃツラそうに走ってたんで、がんばれって応援しながら走っていました(笑)。応援する人の気持ちが分かった。こういう気持ちでみんな応援してくれているのか」と笑顔を見せていた。
マラソン当日を迎えるまではなんとか逃げようと策を巡らせていたかいなだが、いざ走り出してからはひとつの文句も言わず、弱音も吐かず、スタッフたちに笑顔も振り撒きながら、チーム内に良い空気を生み出している。気付けば、小雨も止み、灰色の雲が消え、青空が広がり、まさしくピーカン。まるでかいなの心模様を反映しているようでもあった。
<炎天下での並走体験レポート「今から呑み歩きたい!」>
とは言え、後半戦になると、各区間の想定通過時間に次第と遅れを取るようになり、走っても走ってもなかなか時間を巻けず、焦りの表情を浮かべ始めるかいな。この状況を打破するべく、生気を取り戻した林田メインにヘアメイクの多賀、ライターの平賀という外部スタッフも併走配信役として共に走り、チーム全員で炎天下での並走をリレー形式で繋いでいくことになった。
というわけで、せっかくなので、かいなと共に走ることになった私、平賀の体感レポートをここに記したい。私はかつて他のアイドルグループの長距離マラソン企画を密着取材したことが10回ほどあり、途中で自分も併走することになるパターンも幾度となく経験してきた。だから、今回も走る覚悟はしていた。メンバーが無理をするのであれば、スタッフも無理をする。と冒頭で書いたが、メンバーもスタッフも無理をするのであれば、取材陣も無理をしなければ、この手の企画の本質について記すことはできない。ゆえに「平賀も走ります」と名乗り出た。期待の眼差しで送り出してくれたスタッフたち。
自分が担当したのは、赤羽エリア。普段なら昼から呑んだ暮れている、慣れ親しんだ町並みである。この日は日曜日。酔っ払いたちが楽しげに騒いでいる横丁を突き進み、すでに30キロ以上走り続けている彼女を精神的に元気づけたいと思っていた私は「この店は、赤羽を代表する立ち呑み屋で美味いうなぎも食えるんだよ」なんて説明しながら併走していると、かいなは「私も今から呑み歩きたい!」と笑いながら走ってくれていた。気持ちが軽くなれば、足取りも軽くなる。よし、この感じで任された区間をふたりで走り切ろう!
と、やる気に満ちていた私の想いとは裏腹に、五臓六腑と足腰は早々に限界を迎えてしまう。日々呑んだ暮れている47歳のおじさんの現実。ぜぇぜぇ激しく息を切らす私に「大丈夫ですか?」と心配しつつ「私がカメラ持って平賀さん映したほうが面白いかも(笑)」とおどけて逆に元気づけようとしてくれるかいな。しかし、すでに私に笑い返す余力は残っておらず、「いや、ほんとにごめん」としか言えないおじさんは、さらに次の休憩ポイントを見失う始末。情けない。本当に申し訳ない。
それでも、かいなは「私は大丈夫です! とりあえずこの道をまっすぐ行けば、曲がれるところがあるはず!」と逆に私をリードし、なんとかスタッフ陣と合流できるところまで辿り着かせてくれた。そして、使い物にならなくなった汗だくのおじさんに対し「本当にありがとうございました!」と丁寧に礼までして、次の併走者であるマラソンが大好きな多賀女史と軽快に走り去っていく。普段は「クズアイドル」なんて言われ、非常識なイメージも持たれているかもしれないが、自分だってしんどいのに他人に優しくできる彼女は「クズアイドル」どころか「アイドルの理想系」である。
と、長々と体験レポートを記させてもらったが、私がかいなと併走した距離はわずか3キロ。いや、ほんと、なにやってんのよ。もしまたマラソン企画を取材させてもらえる機会があるのであれば、この日の恩返しができるぐらい颯爽と走れるよう自分を鍛え直してから臨みたいと思う。酒も控えよう。本当にごめんなさい。そして、ありがとう!
<42.195キロ完走「格好良いアイドルになりに来ました!」>
その後もひたすら走り続けるも、気付けばライブの開演時間まで残り70分。「足が棒になりました。足じゃないです。思い通りに動かない。私の足がどこかで木の棒と入れ替わってる」と訴え始めるかいな。そんな彼女にマッサージをしてあげながら「マラソンできて機嫌が良い、楽しいまである」と何故か元気いっぱいな多賀さん。ちなみに、彼女の本業はヘアメイクながら、この日はBLUEGOATSの現場マネージャーのごとくSNS更新と後半の併走を担当し、ゴール前にかいなをライブ衣装に着替えさせる場所まで手配していた。スチールカメラマンながらこの日の運転手を担当していた大すけさんも「BLUEGOATSの現場は、本業以外の仕事をしてなんぼ!」と笑っていたが、この状況を分かりやすく訳すと、BLUEGOATSが大好きな変人の集まりである。
そんな愛情深い変人たちの期待に応える為にも、ライブ会場で待つマリン、チャンチー、ソンソナやファンのみんなのもとへ辿り着く為にも、かいなは木の棒になった足で再び走り始める。残り3.9キロ。このペースでは19時開演に間に合わないと知り、最後の最後でさらに速度を上げるかいな。今日誰よりも長い距離を並走してる林田マネージャーも全力で追いついていく。気付けば、生配信の同接視聴者数は200人から700人近くまで増加。この事態にはスタッフ陣も驚いていたが、それだけの人を惹きつける魅力がかいなの走りにはあったのだろう。原宿某所で衣装に着替えて足への負担が大きくなるも、とっくに限界を超えているはずなのに、全身全霊で渋谷まで爆走しきった彼女は、ゴール地点のSHIBUYA THE GAMEへの階段を駆け上がり、そのままオーディエンスがつくったアーチを潜り抜け、メンバーが待つステージへ!
マリン、チャンチー、ソンソナに抱き締められながら「すみません、お待たせしました! 私が来るって信じて待っててくれてありがとうございます! みんなとメンバーがいなかったら、私、多分、走ってここまで来てなくて。LUUP(電動キックボード)に乗って、途中で家に帰っていたと思います。マジでみんなのおかげです。本当にありがとう! 今日、クズ撤回マラソンということで走っていたんですけど、私、こういう気合いとか根性とか頑張る系のことが本当に苦手で、今まで他のメンバーに任せていたんですけど……私、ずっと格好良いアイドルになりたくて。その為には、こういう格好悪いこと全部やんなきゃ格好良くなれないんだなと、走っていて思いました!
頑張ることをずっと格好悪いと思っていて、失敗するのもイヤだし、みんなの期待を裏切ったらいちばん格好悪いしなと思って、ずっと頑張れなかったんですけど……こういうことを1個1個やって、全部やりきって、初めて格好良いアイドルになれるんだなって、今ここに立って思います! だから、今日、私は、ここに、格好良いアイドルになりに来ました! あんたたちに私の生き様を見せる為にここに来ました! 格好良いアイドルにいちばん相応しい曲やります!」
<すべてのアクションが音楽に帰結していくBLUEGOATS>
そう語って彼女がメンバーと歌い始めたナンバーは「クズアイドル」。クズを撤回する為のマラソンを走破しながら、ちっともクズじゃないところをこの日何度も証明しながら、それでもかいなが「おまえたちに私の人生見せてやる!」とこの曲を歌った理由は、その歌詞にある通り「常識ない お金もない だけど歌いたい ゴミだって捨てたもんじゃないぜ」という自らの生き様をここに証明したからこそだろう。彼女はクズだからこそ走った。クズだからこそ真の格好良いアイドルを目指した。クズだからこそ今ここで胸を張って歌えている。まさにかいなの、BLUEGOATSの人生そのものと言える歌にここにいる全員が大共鳴して歌い叫んでいた。
続く「GOOD LUCK!!」で、チャンチーが「ウチのかいな、格好良いだろう!」と絶叫していたが、今どきここまで面倒くさい、泥くさい、人間くさいアプローチで格好良いアイドル像を体現しようとする者たちはなかなかいない。その後の「ガムシャラ」で歌われた「かっこ悪いところも全部 かっこ良いあなたの一部」もそうだし、BLUEGOATSがこれまで歌ってきた楽曲のすべてが今日のかいなの42.195キロを物語っていく、そんな音楽とストーリー=人生がここまで純度高く一致するアイドルグループもなかなかいない。音楽以外の要素や話題で語られることが多いBLUEGOATSだけれど、すべてのアクションが音楽に帰結していく在り方こそがBLUEGOATSの本質であり、魅力であり、面白さである。
そして、この日のライブでまたひとつ、そんなBLUEGOATSらしい新曲が初披露され、さらにはミュージックビデオが公開された。タイトルは「あたしの人生クソすぎる」。かいながまずアカペラで「人生なんて少しくらい惨めな方が生きてる感じがするでしょ バカみたいだ今日もまた誰かに笑われて死ねる訳ない──」と熱唱し、何があろうと生きていこうとするからこそ生まれる哀愁も生命力も音楽化したバンドサウンドに乗せ、4人それぞれに歌い上げていくクソすぎる人生とその先で「クソみたいに光ってやるから」という宣言。それらをすべてひっくるめて「素晴らしき我が人生」と称えてみせるアティチュードがオーディエンスひとりひとりの人生をも輝かせていく。
そんなBLUEGOATSだからこそ生み出せた新たなアンセムの誕生を祝うように、最後は会場中の全員で肩を組んで揺れながら「最後はピースで解散!」とみんなでピースマークを高く掲げながら、今日という長く険しい、けれども最高の青春の1ページを締め括り、明日へ向かって笑顔で解散するBLUEGOATSとそのファンたち。いや、ほんと、42.195キロ走ったあとによくこれだけのライブができたなと思うし、同時にマラソンがあったからこそ生まれたライブでもあったと思う。前述したように最高の音楽とライブを生み出すためにすべてのアクションがあるBLUEGOATS。その最高を更新する為に今後もいろんな企画を考えていくのだろう。そして、季節は青春の代名詞でもある夏へ。
すでに過去最大総キャパシティへの挑戦となる3大都市ツアー【『永遠の愛』ツアー】もスタートしているし、様々なイベントへの出演も決定している。アオヤギチャンネルでもいろいろやらかしていくと思うので、ぜひ彼女たちの今後の動向にも注目してほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄
写真:すずき大すけ
◎BLUEGOATS「あたしの人生クソすぎる」Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=u8nl3ho8lTQ
◎【ゴール】クズアイドルがフルマラソンに挑戦【クズ撤回マラソン】~あたしがどんなにクズでも~
https://www.youtube.com/watch?v=cxYIFevhV-I&t=4796s
◎イベント情報
・東名阪ツアー【『永遠の花』ツアー】
6月22日(日)東京・新宿Marble(終了)
昼公演 OPEN 12:30 / START 13:00
夜公演 OPEN 18:30 / START 19:00
7月12日(土)愛知・RAD HALL
OPEN 16:00 / START 16:30
7月26日(土)大阪・福島2nd LINE
OPEN 16:00 / START 16:30
8月18日(月)東京・渋谷WWW
OPEN 18:00 / START 19:00
https://ticketdive.com/artist/uTucnkauQ2qlA0Hqpb1S
◎アオヤギチャンネル | BLUEGOATS
https://www.youtube.com/@BLUEGOATS
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