<ライブレポート>GLAYが迎えた30周年イヤーのグランドフィナーレ「永遠にGLAYをやりたいです」

2025年6月6日 / 18:00

 GLAYが、5月31日と6月1日に東京ドームで【GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE】を開催した。

 2024年よりデビュー30周年イヤーをスタートさせたGLAY。1年を通して“GLAY EXPO”というテーマのもとに様々な取り組みが行われてきた。2024年は、怒髪天との対バンライブ、ENHYPEN のJAY とコラボした、30周年記念ニューシングル『whodunit-GLAY × JAY(ENHYPEN)- /シェア』のリリース、「ファン投票で決める!もう一度見たい!リバイバルして欲しいツアー」という企画で生まれたベルーナドーム公演【GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025】の開催、自身初となる夏フェス【SUMMER SONIC 2024】への出演、10月には約3年ぶりとなるアルバム『Back To The Pops』がリリースされると共に、ツアー【GLAY 30th Anniversary ARENA TOUR 2024-2025“BACK TO THE POPS】へと突入した。

 年末には数年ぶりに『輝く!日本レコード大賞』や『第75回NHK紅白歌合戦』へと出演し、「Winter,again」や「誘惑」が披露されたことで、若い世代にもGLAYの名を轟かせたのも記憶に新しい。2025年2月に開催された【The Millennium Eve 2025】も熱い夜だった。約25年の時を越えて、盟友LUNA SEAと東京ドームで競演したのだ。3月には、【BEAT AX Vol.6】でENHYPENと共に特別なステージを展開。そして、グランドフィナーレを迎える目前に“あなたとGLAYで創る”をテーマに『DRIVE 1993~2009-GLAY complete BEST』『DRIVE 2010~2026-GLAY complete BEST』の2タイトルがリリースされた。

 そんな“GLAY EXPO”を締め括った本公演は、Buddy全員が満場一致で最高の夜だったと答えるだろう。ただの総括ではなく、10年前、20年前から約束の地として印象が強い、東京ドーム公演のリバイバルを感じさせる場面も所々に散りばめられていた。本稿では、2日目の6月1日をもとにレポートする。

 17時開演と同時に暗転して、スクリーンに映像が流れ始める。TAKURO(Gt.)が山の中でサバイバルをしている様子から、JIRO(Ba.)がジムでトレーニングをして、白いリムジンに乗って走りだす。一方でHISAHI(Gt.)はストリート・レースを彷彿とさせるような場面から愛車『FX-7』に乗ってエンジン全開で走り出す。最後にTERU(Vo.)は滑走路でクールにバイクを走らせてから、ヘリに乗り込む。すると、会場には実際に『FX-7』からHISASHIが登場し、タバコを吹かす姿に歓声が上がる。TERUはステージ上にワイヤーに吊るされて颯爽と登場。ステージはツアータイトルの看板に、尾田栄一郎による30周年イヤーのロゴデザインに描かれている矢印型の花道が用意されており、シンプルかつ華やかなセッティングだ。ライブは「口唇」で幕開け、そのままHISASHIのディレイから高揚感をそそられる「嫉妬」へ。歌詞にもあるように<嫉妬するね 口唇に本能>と、最強の2曲コンボが序盤から披露されていった。

「30周年駆け回って来ましたが、ここまで辿り着いたのは、みんなのおかげです。30年経ってもこんな素敵な光景を見せてくれてありがとうございます!」(TERU)

 全員の幸せを願い、そして感謝の気持ちを込めて歌う「生きてく強さ」もグッと心を掴まれた。JIROは先陣を切って花道を歩き出す。サビではTAKUROのコーラスに、オーディエンスの合唱と、青く光ったLEDブレスレットがシンクロする。途中でTERUが「みんなどうにか、なっていくんだよ!」と希望を叫び、楽曲とGLAYの力を改めて感じる瞬間だった。

 「この10年間、色々あったと思いますけど、そんな辛いことや苦しいことは会場に置いて行って、会場を出る頃にはすっきりしているようなライブにしたいと思っています。歌ってもらいたい時はマイクを向けます。マイクを向けない時は静かに聴いてください」とTERUが笑いを誘うと、メドレーへと突入。1曲名は「シキナ」で、TAKUROの鳴きのギターソロが楽曲に緊張感を与える。「STREET LIFE」「Missing You」とGLAY自身を描いているような珠玉のバラードが采配されており、どの年代にも刺さるメドレーになっていた。そこに間髪入れずに哀愁漂う「都忘れ」。特に最後の「MIRROR」は一見明るい曲調に感じるが、歌詞からは制作された当時の苦悩を読み取ることができる。後ほどメドレーはHISASHIによる選曲だったことがわかったが、GLAYの“裏側の歴史”を凝縮した選曲だったに違いない。

 スクリーンには「A GLAY IS FILM」という文字が浮かび上がる。軍帽を拾ったHISASHIの映像から始まったのは、そうHISASHI vs JIROによる「BLACK MONEY」だ。10年前の東京ドーム公演でも披露された楽曲で、ゴリゴリに歪んだJIROのベースに、HISASHIがエッジの効いた音色を重ねる。

「これが俺の自慢のGLAYだ!」(TAKURO)

 TAKUROが胸元の開いたシャツを着て、花道に登場する。「GLAY4人で出発して、仲間を集めて、向き合った30年。こんな素晴らしい場を用意してくれた皆さんに感謝すると共に、改めてJIRO、TERU、HISASHIにお礼を言いたいと思います。彼らは俺にとっての憧れです」。そんな仲間たちと叶った夢について、「氷室京介さんとのセッションは一生の宝物です。あれ以降、余生かなと思っています(笑)。松本孝弘さんの『THE HIT PARADE Ⅱ』にTERUが参加したり、小田和正さんとレコーディングをするという。こんな幸せでいいのかな?と」「もうこの後何をすればいいんだ?(笑)。でも、今日新しい夢ができました。また皆さんの笑顔に会いに、必ずここに戻って来たいと思います」。GLAYのリーダーとしての威厳をしっかりと見せてくれたTAKUROだったが、「リーダーとしてGLAYを守っていかないと、と強がっていたんですけど、GLAYがしっかり進んでいたのは、みんながGLAYを守ってくれていたんだね? ありがとうございます。よし、今日からみんなGLAY!」と和やかなに語る。そんなことを思いながら、自然に詩とメロディーが浮かんだというTAKUROは、デモ曲「NEVER-ENDING LOVE」を弾き語りで演奏してくれた。<My Dear>という歌い始まりから、表情豊かに歌い上げていく。最後、深くお辞儀をするTAKUROの背に、TAKUROが感銘を受けた「死ぬまでGLAYをやらないか」というHISASHIの名言がモニターに映し出されていた。

 再び4人のステージになると、しみじみとした空気をぐっと纏めてくれた「軌跡の果て」が披露される。TERUの<「オマエとの生活(くらし)ほどの 夢はなかった…」>と力強く歌う姿が印象的だった。そして、本日のハイライトの一つ「つづれ織り~so far and yet so close~」へ。10年前の東京ドーム公演でも演奏された楽曲であり、サックスの竹上良成とストリングスが加わり、圧倒的に楽曲の潜在能力を引き出すアレンジだった。そこに情緒あふれるTERUの歌い方がパズルのピースのようにはまっていた。そして、30年分の愛情を込めて届けられた「pure soul」。「DRIVE 1994~2009年投票結果ランキング」で1位にも選ばれており、ある意味GLAYとBuddyを繋ぐ象徴的な一曲だったと感じる。

「世界はいろんな争いがあって、日本でも大変なことがありますけど、愛を持って皆さんと未来を見つけて、歩んでいけたらと思います」(TERU)

 そのままストリングスが入った状態で、メドレー2がスタート。「BE WITH YOU」「ここではない、どこかへ」「とまどい」「SPECIAL THANX」といった1998~2000年の日本に旋風を巻き起こしたシングルたちが一気に披露される。TAKUROはキーボードを弾き、JIROとHISASHI、ストリングスのミックスが、楽曲の音域全体に彩りを与えてくれた。最後は春の終わりを告げるように歌われた「春を愛する人」。鳥肌が立つほどの荘厳な仕上がりだ。演奏後は、10年振りに約束の地で再会を果たした指揮者の溝口肇、ヴァイオリニストの室屋光一郎が紹介された。

 後半戦は、最新アルバム『Back To The Pops』に収録されている「BRIGHTEN UP」から始まる。TERUがHISASHIの肩に腕を置いて歌う姿も。徐々に拍手が大きくなっていくのを感じる。スクリーンにたくさんのテレビが映し出され、画面にGLAYのミュージック・ビデオが流れるという映像をバックにした、定番曲「彼女の’Modern…’」でライブは最高潮に。ジャケットを脱いだTERUとTAKUROが向かい合って、息の合ったイントロを見せてくれた「疾走れ!ミライ」と、目まぐるしく展開していく。

「この東京ドームは夢のような場所で、やりたいからと言って、やれる場所ではなく、日々の積み重ね、そしてみんなの想いが重ならないとこのステージで演奏できない。ましてや愛情を受け止めることもできないので、みなさんがいてくれるからこそ、僕らはここに立たせてもらっています。ほんとにありがとう! またやりたいね」(TERU)

 本編最後に大合唱が生まれた「SOUL LOVE」では、<Buddyをこうしてuh>と、歌詞を変えて感謝を伝えるGLAY。10年前も同じ地でTERUは「10年後、20年後これからもGLAYは解散せずに活動していくので、たくさん夢を叶えていきましょう!」と語っていた。常にBuddyに感謝を伝え続けるGLAYと、信じて付いていくBuddy。そしてその想いにGLAYは30年間しっかりと答え続けてきた。その結晶は本公演で十二分に伝わってきた。

 アンコールは誰もが予想していなかった展開に、会場全体が吃驚仰天となった。なんと同じ90年代を駆け抜けてきた盟友hyde(Vo./L’Arc-en-Ciel)が登場したのだ。「誘惑」の始まりでhydeの第一声が出ると、この日一番の歓声が巻き起こった。「すごい、GLAYが集まってる(笑)」というhydeに、リハーサルの時間を伝え忘れてしまったことを謝罪するTERU。前日5月31日には、TERUのXのポストに「がんばってー!」とコメントしていたhydeだが、もしかしたら「気付いて!」というメッセージも込められていたのかと、想像してしまう。

 「おめでとうを言わせてください」というhydeに、ハッとGLAYが急いで横一列に並び始める。なんともシュールな光景に、hydeはノリノリで「30年間、共に時代を駆け抜けられて光栄です。30歳おめでとうございます。みんなの声が大きくて素晴らしかったです」と激励した。そしてTAKUROの鳴らすFコード、<ずっと眺めていた>というイントロから始まったL’Arc-en-Cielの「HONEY」。ひょっこりと身を近づけるHISASHIの頭を撫でるhyde、サビでTERUと肩を組み、不意打ちに頬キスをするhydeなど、歓声の波が止まらない。間奏ソロはGLAYならではのツインリードギターによるオリジナルソロが展開。ラストサビのTERUとhydeのハモリは最高で、夢のような時間だった。TERUは「お互い一緒に時代を歩んでいることが嬉しくて。今日は無理言ってお誘いしたら、快くOKしてくれて。本当に感謝しています」と語っていた。

 「みんなの声を聞かせてほしいです。一緒に歌ってください」と始まった「BELOVED」だったが、イントロのソロでHISASHIがうっかりミス。何事もなかったかのようにTERUが再び同じMCをすると、笑いが起こる場面もあった。「これからも皆さんを愛し続けます!」と、「SAY YOUR DREAM」が流れる中、トロッコに乗って会場を巡り始めたGLAY。一人一人の顔を見に行くGLAYに愛を感じる。

 「また東京ドームに立つ、そしてまた皆さんと会うという夢を持ち、この曲を最後にやりたいと思います。どんなに年を取っても、夢見ていこうぜ!!」と言葉を残して「BEAUTIFUL DREAMER」へ。<確かに今>と全員が歌うフレーズ、JIROが天を見上げ、TAKUROも高くギターを掲げた。ライブは盛大に、そして幸せ絶頂のまま大団円を迎える。スクリーンには、GLAY全員の答え「永遠にGLAYをやりたいです」が映し出されていた。

 数年後、この地に必ずGLAYは返ってくるだろう。彼らの軌跡を辿れば、間違いない。本公演は、31年目に突入した4人の足音がしっかりと聞こえてきた一夜だった。

Text by Tatsuya Tanami
Photo by 岡田裕介、田辺佳子、上溝恭香

◎公演情報
【GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE】
2025年6月1日(日) 東京・東京ドーム

<セットリスト>
M01 口唇
M02 嫉妬
M03 生きてく強さ
M04 グロリアス
M05メドレー1(シキナ~STREET LIFE~Missing You~都忘れ~MIRROR)
M06 BLACK MONEY
M07 NEVER-ENDING LOVE
M08 軌跡の果て
M09 つづれ織り~so far and yet so close~
M10 pure soul
M11 メドレー2(BE WITH YOU~ここではない、どこかへ~とまどい~SPECIAL THANKS~春を愛する人)
M12 BRIGHTEN UP
M13 彼女の’Modern…’
M14 疾走れ!ミライ
M15 SOUL LOVE
EN1 誘惑EN2 HONEY
EN3 BELOVED
EN4 BEAUTIFUL DREAMER

◎リリース情報
ベストアルバム『DRIVE 1993~2009-GLAY complete BEST』
ベストアルバム『DRIVE 2010~2026-GLAY complete BEST』
2025/4/23 RELEASE
https://www.glay.co.jp/feature/drive_completebest
購入リンク:https://glay.lnk.to/0423_CD

 


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