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miwaが、3月9日に【miwa 15th anniversary 再現ライブツアー”guitarissimo”】を東京・Zepp Hanedaにて開催した。
彼女のデビュー15周年を記念して企画されたこのツアーは、2011年に発表された1stアルバム『guitarissimo』の再現ライブとして行われたもの。2月28日の福岡・Zepp Fukuoka公演を皮切りに、3月22日の愛知・Zepp Nagoyaまで計4か所をまわるツアーの3か所目となる東京公演では、ロビーに設置されたmiwaの等身大パネルと記念撮影するファンなどで、開演前から熱気に満ちていた。
定刻を過ぎて会場が暗転すると、盛大な拍手に迎えられ、バンドメンバーに続きmiwaがステージに姿を現す。SEのリフレインがピタッと止まると、ステージ中央でスポットを浴びたmiwaがエレキギターでイントロのリフを刻み、「1、2、3、4!」と勢いよくカウントして「ありえない!!」からライブがスタート。サビで「Say!」とコールすると〈YEAH×4〉と応えるレスポンスが一斉にステージに大音量で返される。「Hey! Hey!」と腕を突き上げたりタオルを回したり、miwaの一挙手一投足に反応する会場の一体感が最初からものすごい。曲間には客席のあちこちから「miwaー!」と声援が飛び交う沸騰ぶりだ。
「『guitarissimo』ツアーにようこそ! すごいね、みんなの盛り上がり。1stアルバムを1曲目から再現していきます。最後まで一緒に楽しい時間を過ごしましょう!」
赤いボディのアコースティック・ギターに持ち替えて、デビュー曲「don’t cry anymore」へ。おなじみのバンドメンバー、eji(Key.)、オバタコウジ(Gt.)、宮本將行(Ba.)、白根佳尚(Dr.)の演奏がパワフルなmiwaの歌声を支えて、観客はオープニングとはうって変わり、食い入るようにステージを見つめて耳を傾ける。「friend ~君が笑えば~」では、学生時代の淡い恋心を描いた歌詞が、時の流れを感じさせるノスタルジックなサウンドとともに届けられた。
「今日演奏している1stアルバム『guitarissimo』の曲は、ほとんどが高校生や大学1、2年のとき……10代に書いた曲なので、それを時が経って披露する日が来るんだなと思うと感慨深いです。そんな“15年前”をみんなと一緒に感じながら、当時を想ったり、今の自分と重ねたり、そんな気持ちでアルバムの曲順に演奏します」。この日のコンセプトを伝えると、15年前のスマホもストリーミング配信もこれほど一般的でなかった時代、みんなが何で音楽を聴いていたのか観客へ質問すると、客席からは「ウォークマン!」と答える声が。すかさず「ウォークマンでしたか。ソニーさんが喜びますね!」と返すmiwaに拍手喝采。そんな和気あいあいとしたトークに、15年間で培ったファンとの距離感の近さが感じられる。
ドラムの弾むリズムに合わせてのコール&レスポンスから、ライブ定番曲「春になったら」が飛び出した。ステージを移動しながら歌うmiwaがマイクを向けると大合唱が巻き起こり、クラップとジャンプで楽しく賑やかな一曲となった。カラフルなライティングも眩しい「hys-」では、プレイヤーたちのファンキーな演奏をバックに、アコギを弾きながらラップ調にまくし立てるように歌うmiwa。グルーヴィーな演奏で一気に会場をカオスに誘うと、最後にはミュートしたカッティングで曲を締めた。
アンビエントな音像から始まったのは「オトシモノ」。ギターを爪弾きながら〈失くしたものの大切さを 失ってから今はじめて気が付いたの〉と、誰の心にも重なる歌詞を情感豊かに歌い上げた。リラックスしたあたたかなメロディの「Dear days」、アコギの疾走するストロークと大きく豪快なビートでバンドの一体感が際立った「醒めない夢」と、緊張と緩和を繰り返しライブは進む。しばしのセッション的な演奏から、暗闇の中でタオルをグルグル回して客席を煽るmiwa。ドラムのカウントから歌い出した「chAngE」で再び爆発的な盛り上がりに。扇動するように歌うmiwaと疾走するサウンドで興奮に包まれ、オバタがステージ前に出たソロで背面弾きを見せると歓声が上がる。終盤、miwaと宮本も前に出て煽ると、力強いコールとともに拳を突き上げて応えるオーディエンス。miwaはそれぞれと向き合ってギターをかき鳴らし、オバタとは互いのギターをかきむしるように弾き合う場面もあり、異様なほどの盛り上がりとなった。「みんなの熱気がすごい! イヤモニをしてないので(この部分には客席からどよめきが起こった)、みんなの声がめっちゃダイレクトに届くから、負けないように必死に歌ったよ! 本当に、自分の声が聴こえないぐらいだった」。ぶっ続けに披露されたこのセクションは、意外にも思えるオルタナティブ・サウンドからフォーキーな曲まで、デビュー時からの奥深い音楽性を感じさせた。
MCでは、メンバーそれぞれがmiwaとのエピソードを語る。オバタは思い出深い曲として「醒めない夢」を挙げ、アルバムにはカントリー要素の曲が多いため、ボトルネック(スライドギター)が上手いギタリストとしてレコーディングに起用されたことを明かした。2013年のツアー【miwa concert tour 2013 “Delight”】から参加したという白根は、「15年の節目のタイミングで一緒にできることが嬉しい」と語る。宮本はツアーに参加する前から、当時のリハーサル音源の録音やミックスなどでも関わり続けており、miwaも「ありがた過ぎる存在。頭が上がりません」と称えた。バンドマスターであるejiは、miwaのCDで初めてアレンジしたという「めぐろ川」を数々のライブで演奏してきた思い出の曲として挙げ、「ライブアレンジからCDバージョンが生まれたというのが、いつまで経ってもその頃のライブを忘れない証だと思う」と語った。また、miwaはステージバックに掲げられた『guitarissimo』のロゴを見ながら、「真ん中の“is”が15になっていて。実は、最初に持っていたギターJ-45の色から、今のオリアンティにプレゼントしてもらったアコースティックギター(SJ-200)にグラデーションで変わっていくという……想いが込められたロゴになっています」と明かした。
そうした15周年の軌跡が伝わるトークから「めぐろ川 」でライブが再開。清廉なピアノの音色に始まり、シンフォニックなサウンドをバックにした渾身の歌唱で、グッと胸に響く感動的な一曲となった。爽快なポップス「ハツナツ」では右手を振って会場が一体となり、打ち込みのトラックがリズムを刻み出すと「1階! 2階!」とのコール&レスポンスから「リトルガール」へ。「いくぞ東京!」と煽るmiwaに、割れんばかりの大歓声が上がる。スライドギターが郷愁を掻き立てる「僕らの未来」と続き、ライブはアルバム最後の曲へ。
「高校卒業のとき、デビューも決まっていなくて、でも音楽をやりたいという気持ちだけは譲れなくて。そんな中で、今の気持ちを歌にしようと思って書いた歌です。あの頃に思っていた気持ちは、本当に今も変わってなくて。強くなったと思っても、また新しい壁が人生には待っていて……この15年間、乗り越えてきたぶん強くはなってきたけれど、新しい挑戦をする中でまだまだ私は強くなり続けたいと思っているし、みんなに歌を聴いてほしい。『私の歌が少しでも届いたらいいな』という思いは、むしろ強くなっていると思っています。そんな真っすぐな思いでこの曲を歌いたいと思います。『つよくなりたい』」。弾き語りに始まり、その歌声に引き寄せられるようにバンドの音が加わっていく。全身でギターを弾きながら「つよくなりたい」と繰り返す魂のこもった熱唱は、言葉を失うほどの迫力だった。
アンコールに応えたmiwaは、コロナ禍を経て同じ空間を共有できる喜びを歌ったという新曲のバラード「リアル」を、優しく包み込むような歌声で披露。そこから、ピアノの伴奏で「片想い」を切々と歌い上げると、「再現ツアーの最後を何の曲にするかめっちゃ悩んだ」と次が最後の曲であることを伝える。「音楽が大好きという想いが詰まった曲。初心に帰ってお届けします」とデビューシングルのカップリング曲「Wake Up, Break Out!」のタイトルが告げられると、「おおっ!」とのどよめきと歓声に迎えられて、一斉に明るくなったステージと客席が一つになる、多幸感あふれるラストを飾った。
バンドメンバーと手を繋ぎ一礼して、メンバーを送り出したmiwaは、「あと1曲、いいですか?」とひとりステージに残った。公演前日の3月8日“miwaの日”に、新宿は歌舞伎町で行われたmiwaカバーの弾き語り路上ライブを観て、「まだまだ歌い続けたい!」という勇気をもらったという。「最後は、私の原点である弾き語りでお届けしたいと思います。この曲がたくさんの夢を叶えてくれました」。薄明りの下、静かなアルペジオから歌い出したのは「ヒカリヘ」。途中からストロークでテンポアップすると、客席から手拍子が沸き起こった。アカペラパートを挟み、眩い光がステージから天井に放たれる。スポットライトを浴びながら歌い終えたmiwaに、万雷の拍手が送られた。何度も感謝の言葉を口にしながら客席に手を振ると、中央に戻りBGMを止めるように合図して、「ありがとうございましたー!」とオフマイクの大きな声で伝え、ステージを去っていった。
デビューから現在に至るまで、さまざまなきっかけでmiwaの音楽を聴いてきたであろう、幅広い世代の観客の想いがステージに向けられていたこの日のライブ。そのすべてを受け止め、歌とギターで返していく気合いと、原点を忘れない音楽愛が溢れるパフォーマンスに、15年間トップランナーとして駆け抜けてきた彼女の説得力と圧倒的な人間力をひしひしと感じた一日だった。
Text:岡本貴之
Photo:佐藤薫
◎公演情報
【miwa 15th anniversary 再現ライブツアー”guitarissimo”】
2025年3月9日(日) 東京・Zepp Haneda
▼セットリスト
1. ありえない!!
2. don’t cry anymore
3. friend ~君が笑えば~
4. 春になったら
5. hys-
6. オトシモノ
7. Dear days
8. 醒めない夢
9. chAngE
10. めぐろ川
11. ハツナツ
12. リトルガール
13. 僕らの未来
14. つよくなりたい
EN1. リアル
EN2. 片想い
EN3. Wake Up, Break Out!
EN4. ヒカリヘ
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