<ライブレポート>空白ごっこ×クレナズム×Hakubi、スペシャルコラボも実現したスプリットツアー初日

2025年3月13日 / 20:00

 【空白ごっこ×クレナズム×Hakubi split tour】が、2025年3月2日に東京・渋谷WWWにて開催された。3組の熱演に加えてアンコールでサプライズコラボも実現するなど、満員の観客を熱狂させるパフォーマンスの連続となった。

 このツアーは、交流のある3組それぞれの活動拠点となる東京(空白ごっこ)、京都(Hakubi)、福岡(クレナズム)で行われるもの。初日となるこの日のチケットはソールドアウトとなっており、フロアには熱気が充満していた。

 「福岡・クレナズムです! よろしくお願いします!」萌映(Vo.Gt)のひと言から「白い記憶」で、トップを務めるクレナズムのライブがスタートした。ステージ上が徐々に灯りで照らされて、萌映のシャウトと一体になった轟音が放たれて行く。しゅうた(Dr.Key)が叩くスネアとけんじろう(Gt)のノイズの残響が断ち切られると、一転して静かなアルペジオから「センチメンタル」へ。滔々と歌いながら時折むき出しになる感情にサウンドが寄り添う。「花弁」の間奏では、生々しい歌声とけんじろうのコードワークを活かしたソロで曲の世界観に引き込んだ。ディレイのかかったギターリフから導かれた「青を見る」では、水中にいるようなライティングと共に幻想的な音像が広がり、終盤では凄まじいノイズが炸裂した。

 「空白ごっこ×クレナズム×Hakubi split tour渋谷編、ソールドアウトありがとうございます!」(萌映)、「今日という日をめちゃくちゃ待ってました。このタイミングでこの仲が良い3バンドでできるんだって嬉しくて。それぞれのホームでツアーを回って行くので、東京だけじゃなくて京都、福岡もソールドしてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします!」(しゅうた)。

 クリーンなギターのストロークから疾走する「リフリジレーター」、手拍子が沸き起こった「リベリオン」から、新曲「あのモーニングセット」を披露。まこと(Ba)が弾くはみ出した音色のベースが先導する、同期も使われた弾むようなポップスが新鮮だった。「秒夏(びょうか)」でフロアがハンドクラップで埋め尽くされて、畳みかけるように「ひとり残らず睨みつけて」へ。「まだみなさん、本気出してないですよね!? いけるか渋谷ー!」と叫んだ萌映に応えて、ジャンプするオーディエンス。〈この場所は渋谷WWW!〉と歌詞をもじって歌うとさらなる盛り上がりとなった。

 たおやかなSEが流れ、ライトが天井を照らす中、Hakubiが登場した。フロアに向かって強烈な光が差すステージ上で、ピアノの音とドラムのリムショットに乗せて片桐(Vo.Gt)が「Twilight」を歌い出した。格子柄の照明の中で激しく疾走すると、ヤスカワアル(Ba)が弾く硬質なリフがリードする「クロール」へと続く。サビに合わせて一斉にフロアから手が上がり早くも一体となる渋谷WWW。曲ごとに趣向が凝らされた照明で、その世界観を演出している。片桐がギターをかき鳴らして歌い突っ走る「最終電車」では、キャッチーなメロディを一緒に口ずさむファンも。幽玄な音像に包まれた「:||」では轟音と静寂を繰り返しながら、三拍子で高まって行く。片桐が〈考えないようにしてた 明日はどう生きていこうかなんて 思うだけで吐き気がするんだ〉と呟くように歌い出したのは「午前4時、SNS」。激しく叫ぶように歌い、〈だから 死にたいって 呟いてみる 呟いてみる〉と言葉を置くように歌い終えると、大きな拍手がステージに送られた。

 MCで片桐は、「女の子ボーカルの3人が集まるのは、私にとっては珍しくて。学生時代に女の子3人組が苦手だったんですよ。でもこの3バンドのアーティストは全員、そうやって奇数になったときに両脇を見て喋ってあげられるような、そんな2組が一緒に回ってくれてます。音楽では違うかもしれないけど、心の奥底では繋がっている、そんなスプリットツアーになっています。その初日を目撃してくれてありがとうございます」と、真摯な言葉でツアーについて語った。初期楽曲をリアレンジした「もう一つの世界 (Alt. ver.)」では、躍動感たっぷりに会場を揺らし、ダンサブルな「Decadance」へと続くとクラップが自然発生。さらに「Eye」に突入すると会場一体となる盛り上がりとなった。「また会いましょう、京都・Hakubiでした!」ラストは「光芒」で眩い光に包まれてライブを終えた。

 トリを務める空白ごっこがステージへ。SEがピタッと止まると、セツコ(Vo.Gt)がゆらりとステージを移動しながら歌い、「ピカロ」でライブが始まった。16ビートの躍動感に乗って歌うセツコに向かい声を合わせるオーディエンス。カオティックなギターも興奮を掻き立てる。会場から沸き起こるクラップの音色も心地良い「雨」を歌いながら左手を掲げる姿を、後方からのライトがカリスマ感たっぷりに照らし出す。「スプリットツアー初日、盛り上がってますか!」の第一声に大歓声。「たぶんにんげん」では、強烈なバックビートに乗せてステージを行き来しながら力強く歌い上げて、ド迫力のハイトーンボイスを響かせた。続く「色鯉」でもバンドサウンドが直情的なセツコの歌声を乗せて疾走する。マイクスタンドを握り渾身の歌唱を聴かせた「カラス」から、エレクトロな同期のリフが小気味良い「サンデーミュージックエモーション」、フロアと対峙するように歌った「ゴウスト」と、幅広いアレンジで自己表現していく楽曲たちが観る者を惹きつける。

 MCでは、「スプリットツアー初日、駆けつけてくれて本当にありがとう。2バンドとも個人的には交流があって、萌映ちゃん、片桐ちゃんとはプライベートでも仲良くしていて、3人で会議しながら完全に自主でこのスプリットツアーを開催することになりました。記念すべき初日、ソールドありがとう!」と感謝を伝えるセツコ。さらに、空白ごっこが5周年を迎え、6月27日東京・Spotify O-EASTで自身最大規模となるワンマンライブ【虚空延々】を開催することを告知した。

 「人生の迷い時、“今だな”と思って占いに行った」というセツコ。「みんな、人やライブや神様や占いとか、とにかく何かに寄りかからないと生きていけないんだなと思いました。なので久々にこの曲をやりたいです」と歌い出したのは、「かみさま」。ストレートなロックチューンが、キャッチーな旋律を運んで行き胸を震わせる。最後は、「ストロボ」で会場全体を巻き込んでステージを降りた。

 アンコールの声に応えて、空白ごっこがステージに戻ると、セツコは「もちろん、まだまだ足りないんじゃないですか? 普通のアンコールじゃ物足りないんじゃないですかね!? 完全合同自主のスプリットツアー、いろんなプレゼントをあなたたちに用意してます」と、萌映、片桐を呼び込んだ。「やっぱり、3組揃ったんだったらスペシャリティにいかないとね!?」と、3人が並んで歌ったのは、空白ごっこの「運命開花」。セツコ、片桐、萌映とマイクリレーすると、セツコ&片桐、セツコ&萌映で声を合わせ、サビで3人の歌声が1つになると、興奮はMAXに。拍手喝采の中、スペシャルなコラボでツアー初日を締めくくった。ツアーはこの後、3月19日京都MUSE、3月21日福岡CBへと続いて行く。

Text by 岡本貴之
Photo by toya

◎公演情報
【空白ごっこ×クレナズム×Hakubi split tour】
2025年3月2日(日)東京・渋谷WWW

<セットリスト>
クレナズム
1. 白い記憶
2. センチメンタル
3. 花弁
4. 青を見る
5. リフリジレーター
6. リベリオン
7. あのモーニングセット
8. 秒夏(びょうか)
9. ひとり残らず睨みつけて

Hakubi
1. Twilight
2. クロール
3. 最終電車
4. :||
5. 午前4時、SNS
6. もう一つの世界 (Alt. ver.)
7. Decadance
8. Eye
9. 光芒

空白ごっこ
1. ピカロ
2. 雨
3. たぶんにんげん
4. 色鯉
5. カラス
6. サンデーミュージックエモーション
7. ゴウスト
8. かみさま
9. ストロボ

En.運命開花 (空白ごっこ / 萌映(クレナズム)/ 片桐(Hakubi))


音楽ニュースMUSIC NEWS

&TEAMが東京23区を取材、新バラエティコンテンツ『東京お23』配信スタート

J-POP2025年3月13日

 &TEAMが、独自の目線で東京23区を取材する新バラエティコンテンツ『東京お23』(読み:とうきょうおにいさん)の配信をスタートした。  リーダーのEJ発案で決定した番組タイトルには、「かっこいい“おにいさん”たちが東京23区の魅 … 続きを読む

Creepy Nuts、ニューアルバム『LEGION』収録曲「中学22年生」ビジュアライザーを公開

J-POP2025年3月13日

 Creepy Nutsが、ニューアルバム『LEGION』に収録されている「中学22年生」のビジュアライザーを公開した。  いくつものCreepy Nutsの映像を手がけるHiroya Brian Nakanoによって作られた本作は、サイバ … 続きを読む

河野純喜(JO1)が作詞、初ソロオリジナル楽曲「Singing in the rain」公開

J-POP2025年3月13日

 JO1のメンバーセルフYouTube企画「PLANJ」にて、河野純喜の初ソロオリジナル楽曲「Singing in the rain」が公開された。  YouTube企画「PLANJ」は、JO1が個々のスキルアップとそれをグループに還元する … 続きを読む

【MUSIC AWARDS JAPAN】エントリー作品発表、今年のシンボルはYMO 新しい学校のリーダーズ「LAでアジアパワー、日本パワーを伝える方法を見つけてきます!」

J-POP2025年3月13日

 2025年5月21日・22日に授賞式が開催される【MUSIC AWARDS JAPAN】の全62部門の詳細とエントリー作品が発表、そして、今年の【MAJ】を象徴するアーティストとなる〈SYMBOL OF MUSIC AWARDS JAPA … 続きを読む

米津玄師×羽生結弦の対談公開、羽生による「BOW AND ARROW」ショートプログラムMVも

J-POP2025年3月13日

 米津玄師「BOW AND ARROW」の、羽生結弦のスケーティングによるショートプログラムMVが公開され、あわせて米津と羽生の対談動画が米津玄師YouTube公式チャンネルにて公開となった。  先日3月5日に公開された「BOW AND A … 続きを読む

Willfriends

page top