<ライブレポート>SATOH、ポジティブなバイブスでフロアを揺らした「モナリザ」リリース記念ライブ

2025年3月5日 / 20:00

 到着したらフロアは既に飛んでいた。オープニングDJのMARZYがプレイしている最中で、オーディエンスはエネルギッシュに音に反応している。ポジティブなバイブスがあり、なんというか、その時点で燃えるような夜が約束されていたように思う。1月26日、渋谷CIRCUS Tokyoにて【SATOH ONE MAN LIVE “Mona Lisa”】が行われた。

 「21 century boys」で始まった。SATOHのステージはのっけからはち切れんばかりのテンションである。客の多くは歌いながら携帯を掲げ、踊りながら撮影して揺れている。全身でこの音楽を感じているのだ。「最近はサザンとかが好きで。あとは演歌もいいなと思っている」(Linna Figg/Vo.)というMCから新曲の「モナリザ」を披露。リリース前の新曲ではあるが、事前にSNSで一部音源を公開。この日のライブで一緒に歌おうと投げかけていたこともあり、フロアからは一斉にサビのコーラスが聴こえてくる。ハイパーポップを通過したSATOHらしいポップソングで、切なさを含んだメロディにエモーショナルなギターフレーズ、そしてゴキゲンな音色が晴々しい景色を作っていくような楽曲だ。

 「Im not」「FIFA」「call me crazy」辺りの涼やかなメロディも、SATOHの大きな魅力だろう。エモ/マスロックを吸収したような「4kg」の抒情的なギターに吸い込まれる。この日一番美しかったのは、まさしくこの曲で爪弾くKyazm(Gt. / Manipulator)のフレーズではないだろうか。胸の内を畳みかけるように吐露するボーカルが、一層胸を締め付けてくる。オーディエンスと何かを確かめ合うように、歌い終わったあと静かに頷いたように見えたLinna Figgの姿も印象的だ。

 不穏でアグレッシブなサウンドを聴かせる「OK」でフロアの雰囲気がガラッと変わった。腰を刺激する低音に、脳天を揺さぶる硬質なギター。赤いランプに照らされるLinna Figgは燃えるようだ。そのムードは「Monkeys」でさらに爆発する。強迫的に打ち鳴らされるボトムと、鋭利に刻まれるギターリフが空間を埋め尽くし、そしてボーカルはグングンとボルテージを上げていく。「ライド」もこの日随一の演奏だったと思う。オーディエンスにもこの曲を待っていたと言わんばかりのテンションがあり、激しさと華やかさを伴って疾走するギターの音色がすべてを持っていく。まるで光のハイウェイを突き抜けていくような爽快さだ。その勢いのまま、この日2度目の「モナリザ」をプレイ。ライブが進んだことで、フロアとステージの感覚が重なってきたのもあるのだろう。1回目よりもずっと「モナリザ」の歌が浸透しており、改めてこの曲のパッと視界が開けるようなメロディにうっとりする。

 AOTOがステージに登場した「midrunner」、who28をゲストに招いた「getting out」と、中盤は客演と共に歌う曲が続く。前者は軽快なスピードを感じるトラックの上で、焦げ付くような熱気を放つふたりのボーカルがクールにこだまする。一方後者はエモラップからの影響を感じるメロディアスな曲調が印象的な楽曲である。オーディエンスが掲げる携帯のライトが一斉にステージを照らすと、光の花が咲いたようなロマンチックなムードに包まれた。

 「TOKYO FOREVER」は間違いなくこの日のハイライトだ。Linna Figgの「飛び跳ねろ!」の合図でバクチクが弾けたように揺れるフロアと、永遠に続くような<TOKYO FOREVER>というコーラス。KyazmのギターはCIRCUS Tokyoの天井を突き破り、天まで届いていきそうなカタルシスがある。最後は「RAINBOW」「Stuck in 1k」を演奏し、イントロだけで歓声が上がった「Fuse」を全員で歌った後、この日3度目となる「モナリザ」を畳みかけるように歌い終演。「モナリザ」はプレイする度に一層エモーショナルになっていたように思う。なんだかこの夜だけですっかりライブ・アンセムになったような気配である。

 SATOHのライブは最初から最後まで情熱的だ。まるで何かに急かされるようでもあるし、切迫感があるくらいの爆発力を感じるのである。「Stuck in 1k」を歌う前にLinna Figgが口にした、「みんなについてきてほしい」という言葉も印象的だった。<何か変わるはずさ>というリリックも、この音楽だからこそ響くものがある。そう、こんなひどい世界も、退屈で仕方ない毎日も、きっと何か変わるはずさ。SATOHの音楽はその瞬間のBGMであり、だから真っ直ぐな情熱を感じるのだろう。<いまだに聞こえてるモスキート音>(「Fuse」)というリリックも、あまりに象徴的である。

 ライブが終わるとASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ムスタング」が流れていた。抒情的なイントロ、懐かしいメロディが燃える身体をそっと包んでくれるような気がした。

Text:黒田隆太朗

◎セットリスト
【SATOH ONE MAN LIVE “Mona Lisa”】
2025年1月26日(日)東京・CIRCUS Tokyo
1. Intro 21CB
2. モナリザ
3.Im not
4. FIFA
5. call me crazy
6. 7
7. 4kg
8. OK
9. Monkeys
10. you hate caffeine
11. Sky Surfing
12. ライド
13. モナリザ
14. midrunner
15. getting out
16. TOKYO FOREVER
17. RAINBOW intro
18. RAINBOW
19. Stuck in 1k
20. Fuse
21. モナリザ

◎公演情報
【SATOH LIVE TOUR “MILE”】
2025年3月29日(土)愛知・栄R.A.D
2025年4月12日(土)宮城・仙台SHAFT
2025年4月20日(日)大阪・CIRCUS Osaka
2025年4月26日(土)台湾・台北 THE WALL(後日詳細発表)
2025年5月6日(火・祝)東京・代官山UNIT


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