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Lucky Kilimanjaroの結成10周年を締めくくる年またぎワンマンツアー【Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “YAMAODORI 2024 to 2025″】が、2月16日に幕張メッセ国際展示場 4・5ホールにてファイナルを迎えた。
ホール5はロビーエリアとしてフード&ドリンクの出店やファンクラブブース、多数のモニュメントやフォトスポットの設置、グッズ販売などが行われ、開場前から観客は悠々自適に愉しむ。そこを抜けてホール4のライブエリアに足を踏み入れると、幕張メッセで開催される音楽フェスのような広大でフラットな空間が広がり、前方にはシンプルなステージと縦型のLEDモニターが配備されていた。
ひしめき合うフロア前方で目を輝かせる若者、キッズエリアで戯れる親子、後方で床に腰を下ろしながらのんびりと開演を待つ人、すれ違いざま立ち話に花を咲かせる人々など、フロアの雰囲気も和気あいあいとしている。秘密基地のようなプレミアム感と高揚感がありながらも、どこまでも生活と地続きのような自然体の空気感。Lucky Kilimanjaroの音楽性ともリンクする。
大瀧真央(Syn./Vo.)による情感たっぷりの影アナが期待を煽るなか、開演時間になると青い光が差し込むステージに幻想的な空間音が響き渡り、ラミ(Perc.)、山浦聖司(Ba.)、柴田昌輝(Dr.)、松崎浩二(Gt.)、大瀧が現れると、最後に熊木幸丸(Vo.)がステージのセンターに就く。熊木の歌声に一人ずつメンバーがハーモニーを重ねると少しずつ楽器の音も重なり、後光が差し込んでビートが強く響き渡るや否や「一筋差す」でツアーファイナルの幕を開けた。
Lucky Kilimanjaroのライブと言えば、始まれば最後までノンストップ。DJのように巧みに曲をつないで、バンドならではのダイナミズムで躍動感を生み出し、フロアを踊らせる。琴線に触れるコードワークと熊木のソフトなボーカル、エモーショナルな演奏が観客の感情を掻き立てる「ひとりの夜を抜け」の後は、「皆さんの感情のままに好きに楽しんでほしい」と呼びかけて「350ml Galaxy」へとなだれ込み、大瀧の振り付けや熊木のビールジョッキの持ち込みなど、キャッチーなワードが並ぶ歌詞に合わせた人懐こいステージを展開する。ユーモラスな「I’m NOT Dead」と「Ran-Ran」ではフロアも存分に飛び跳ね、「Kimochy」では観客のシンガロングやクラップにいざなわれるように松崎がステージ前方に躍り出て、さらに迫力あるパフォーマンスを見せた。
なめらかな曲間のつなぎ、リフレインが効果的なアレンジ、ドラムとパーカッションと同期音が織りなす立体的なビート、熊木の「ダンスは自由です」という言葉に導かれるように、観客は思いのままに6人の奏でる音へ身を委ねる。開演後はロビーエリアとライブエリアの往来が自由になり、観客もライブ中に休息を取ったり、後方で観ていた人もふらりと前方エリアへ足を伸ばすなど、クラブのように音楽を楽しむ。メンバーと観客、一人ひとりが持ち寄った心の余裕や安心感が煌めいた会場を眺めながら、ステージもフロアも互いに信頼し合っているからこそしがらみのない気高い空間ができあがることを実感した。
浮遊感のある「High」からヒットソング「Burning Friday Night」につなぐと、シンガロングが湧き起こる。同曲の<寂しいのはお互いさま/ならば一緒に踊ってみませんか?>という歌詞は、彼らの活動のスタンスを象徴するラインと言っていい。フロアはステージからの熱い思いを受け取り、さらに心を深く通わせると「エモめの夏」「フロリアス」と理性から解き放つ楽曲を並べ、「初恋」「LIGHTHOUSE」と心に染み入るメロディで魅了する。歌いながら腕を左右にゆっくりと振るフロアの景色も、熊木がアカペラで締めくくるラストも、非常に純度が高かった。
「KIDS」からは再びムードを変え、若者ならではの焦燥感や繊細さが昇華されたエッジの効いたダンスミュージックでフロアを揺らす。ロックなアプローチのドラムから始まり感傷的なメロディが心を掴む「Find you in the dark」、ソフトさと鋭さを併せ持つ「実感」、民族音楽と日本人的な情緒を織り交ぜたファンタジックかつノスタルジックな「太陽」、センチメンタルな「ファジーサマー」と内観的なムードを高めた。心とじっくり向き合った楽曲と演奏が、観客一人ひとりの記憶や感情を刺激する。
恋の切なさときらめきを閉じ込めた「恋あおあおと」、熊木がマイクスタンドでパフォーマンスした「MOONLIGHT」とロマンチシズムで包み込むと、「ここからダンスチューンをお送りしていきたいと思いますがまだ踊れますか?」と呼びかけてラストスパートへ。「かけおち」「踊りの合図」と様々な感情が入り乱れるダンスナンバーでさらにフロアを揺らし、「Dancers Friendly」「でんでん」と情熱的なステージを繰り広げると、ピュアでスウィーティーな「メロディライン」でハッピーな空間を作り出して本編を「HOUSE」で締めくくる。全曲通して非日常的なのにリアリティに富んだLucky Kilimanjaroの音楽は、一歩フロアに踏み入れれば、音に乗せて身体を動かせば景色は見違える、浮かない心も少し軽くなると伝えてくれるようだった。
熱烈なアンコールに呼ばれ6人が再びステージに現れると、熊木が「あんたら最高です。バンドを続けるといいことあるなと思いました。本当にありがとう」「10年やってきたけど、まだまだ俺らこれからもやっていきますから。そういう気持ちを込めて作った曲をやります」と告げ、大阪公演でサプライズ披露した最新デジタルシングル曲「楽しい美味しいとりすぎてもいい」を披露する。歌詞の一つひとつが熱いメッセージとして響き、観客もそれを嘘のないナチュラルなダンスで返した。
「コーヒー・セイブス・ミー」の後、6人は大阪フリーライブを皮切りに全国12箇所を回るツアー【LOVE MY DANCE LOVE YOUR DANCE】の開催を発表する。「ファイナルはまだ言えない」と追加日程があることをほのめかすと、結成11周年へと突入する2025年も精力的な活動を続けることを表明し、「まだまだここから10年皆さんと踊っていきたいです」と笑みを見せた。
メンバーひとりずつの挨拶ではラミと山浦が今年の活動の意気込みを語り、柴田はマイクを通さず肉声でフロアへ感謝を告げる。松崎は先月誕生した第1子がこの幕張メッセで初めてのお出かけを果たしたことに触れて「かっこいいパパになりたい」と宣言し、大瀧は「この10年、バンドを辞めたいと思ったことが一度もないんです。それくらい気の合う仲間たちでバンドをやれているのは奇跡に近いと思う。最高の仲間と最高のお客さんとここまでこれて幸せです。もっともっと邁進していきます」と胸を張った。
最後に熊木が「皆さんが明日から毎日踊れるように、そう願って音楽をやっています」と告げ、「君が踊り出すのを待ってる」で穏やかに雄大にツアーの幕を下ろした。ほぼノンストップの演奏は曲と曲のつなぎという概念すらもなくし、ただただLucky Kilimanjaroというひとつの生命体の心意気を表現しているように感じられた。楽しさとダンスが結びつけばエネルギッシュに、悲しみとダンスが手を取り合えば救いに、切実な思いとダンスが交差すればエモーショナルになる。心と身体どちらも震わせるLucky Kilimanjaroのダンスミュージックが、誠実に鳴り響いた一夜だった。
Text by 沖さやこ
Photo by 田中聖太郎
◎公演情報
【Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “YAMAODORI 2024 to 2025″】
2025年2月16日(日)
千葉・幕張メッセ国際展示場 4・5ホール
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