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今週の米ビルボード・ソング・チャートは、ケンドリック・ラマー&シザの「Luther」が1位を獲得。ドレイクがTOP10に2曲をランクインさせた。
「Luther」は、ケンドリック・ラマーの最新作『GNX』の収録曲で、本作がアルバム・チャート“Billboard 200”で1位に初登場した2024年12月7日付で3位にデビューした後、上位をキープして登場13週目の今週(2025年3月1日付)1位に到達した。
高ポイントを記録した要因は、現地時間2月9日に米ニューオーリンズのシーザーズ・スーパードームで開催された【第59回NFLスーパーボウル】のハーフタイム・ショーでのパフォーマンス効果によるもので、「Luther」はセットリストの全11曲中8曲目に披露されている。
「Luther」は、今週の集計期間(2025年2月14日から2月20日)にラジオ・エアプレイ回数が4,670万回、ストリーミング再生回数が4,520万回(前週比6%増加)、週間セールスは6,000(前週比27%減少)をそれぞれ記録した。
主要チャートでは、ストリーミング・ソング・チャートで先週の2位から1位に上昇。ケンドリック・ラマーは同チャートで通算7曲目、シザは3曲目の首位を獲得した。デジタル・ソング・セールス・チャートでも、前週の6位から4位に順位を上げている。
エアプレイ・チャート(総合)では、先週の7位から6位にランクアップして最高位を更新。ジャンル別では、リズミック・エアプレイ・チャートで1位を獲得して、メインストリームR&B/ヒップホップ・エアプレイ・チャートとアダルトR&B・エアプレイ・チャートでTOP10入り、ポップ・エアプレイ・チャートではTOP15入りを果たしている。
「Luther」は、ケンドリック・ラマーにとってソング・チャート“Hot 100”での通算6曲目のNo.1タイトルで、直近ではわずか11か月間で4曲を首位に送り込んでいる。
・「バッド・ブラッド テイラー・スウィフト feat. ケンドリック・ラマー」(2015年6月6日付)
・「HUMBLE.」(2017年5月6日付)
・「ライク・ザット」(2024年4月6日~4月20日付)
・「ノット・ライク・アス」(2024年5月18日付、7月20日付、2025年2月22日付)
・「Squabble Up」(2024年12月7日付)
・「Luther with シザ」(2025年3月1日付)
この記録は、2020年12月から2021年10月にBTSが「Life Goes On」、「Butter」、「Permission To Dance」、「My Universe with コールドプレイ」で4曲を首位に送り込んだ10か月1週間以来の最短期間となる。
男性ソロ・アーティストとしては、ジャスティン・ティンバーレイクが2006年9月から2007年4月(約7か月)に4曲を1位に送り込んで以来の最短期間だが、4曲のうちの1曲はフィーチャリング・アーティストとしての楽曲だった。よって、リード・アーティストとしては、故マイケル・ジャクソンが1987年から1988年(9か月2週間)にアルバム『バッド』から5曲を輩出して以来、約35年ぶりに最短期間を更新したことになる。
上記の首位を獲得した6曲中、「Luther」と「Squabble Up」は前述のアルバム『GNX』の収録曲で、同じアルバムから2曲が首位を獲得するという自身初の快挙も達成した。ケンドリック・ラマー以前には、2024年1月から3月にアリアナ・グランデがアルバム『エターナル・サンシャイン』から「yes, and?」と「we can’t be friends (wait for your love)」の2曲を首位に送り込んでいる。
一方、シザは「Luther」が以下に続く通算3曲目の首位獲得で、そのうちの2曲は対立関係にあるドレイクとケンドリック・ラマーとのコラボレーションだった。
・「キル・ビル」(2023年4月29日付)
・「Slime You Out with ドレイク」(2023年9月30日付)
・「Luther with ケンドリック・ラマー」(2025年3月1日付)
「Luther」は、今週のR&B/ヒップホップ・ソング・チャート、ラップ・ソング・チャートの両チャートで1位に返り咲き、9週目の首位を獲得した。両チャートでは、ケンドリック・ラマーがそれぞれ7曲目、シザはR&B/ヒップホップ・ソング・チャートで通算4曲目、ラップ・ソング・チャートでは自身初の首位を獲得した。
「Luther」は、R&B界のレジェンド=故ルーサー・ヴァンドロスへのオマージュとして名付けられた曲で、マーヴィン・ゲイとタミー・テレルの「イフ・ディス・ワールド・ワー・マイン」のルーサー・ヴァンドロスとシェリル・リンによる同名曲のカバーがサンプリングされている。
オリジナルのマーヴィン・ゲイとタミー・テレルによる「イフ・ディス・ワールド・ワー・マイン」は、1968年にR&B/ヒップホップ・ソング・チャート(当時の名称はリズム&ブルース・シングル・チャート)で最高27位を記録していて、ルーサー・ヴァンドロスとシェリル・リンによる「イフ・ディス・ワールド・ワー・マイン」のカバー・バージョンは、1982年に当時の名称であるブラック・シングル・チャートで最高4位をマークしている。
2005年に死去したルーサー・ヴァンドロスは、生前ソング・チャート“Hot 100”で首位を獲得したことはなかったが、今週1位に到達した「Luther」の他には、ディオンヌ・ワーウィックの「ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム」(1964年リリース)をルーサー・ヴァンドロスがカバーした同名曲(1981年リリース)をサプリングした、トゥイスタの「スロー・ジャムス feat. カニエ・ウェスト&ジェイミー・フォックス」が2004年2月21日付で1位を獲得したことがある。
また、ルーサー・ヴァンドロスがバッキング・ボーカルとして参加したスティーヴィー・ワンダーの「パートタイム・ラヴァー」(1985年/1週間)や、シックの「おしゃれフリーク」(1978年~1979年/6週間)も、間接的に首位を獲得している。
前述の通り、ルーサー・ヴァンドロスは生前ソング・チャート“Hot 100”で首位を獲得したことはなかったが、1981年から2003年にかけて25曲を100位内にランクインさせていて、そのうち5曲がTOP10入りを果たしている。最高位は、ライオネル・リッチーとダイアナ・ロスによるデュエット曲「エンドレス・ラブ」(オリジナルは1981年に9週間1位を獲得)を、マライア・キャリーとカバーした同名曲が1994年に記録した2位だった。
ルーサー・ヴァンドロスの楽曲は、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートで27曲がTOP10入りしていて、そのうち7曲が1位を獲得。さらに【グラミー賞】では過去8回受賞をしていて、そのうち2004年2月に開催された【第46回グラミー賞】では、リチャード・マークスと共作した「ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー」が主要部門の<年間最優秀楽曲賞>を受賞している。
ルーサー・ヴァンドロスと「イフ・ディス・ワールド・ワー・マイン」をカバーしたシェリル・リンは、1979年から1984年にかけてソング・チャート“Hot 100”に4曲をランクインさせている。そのうち、彼女の代表曲として知られる「ガット・トゥ・ビー・リアル」は自己最高の12位をマーク。R&B/ヒップホップ・ソング・チャートでは、同曲を含む5曲がTOP10入り、2曲が首位を獲得した。
先週のチャート(2月22日付)で29週間ぶりに返り咲いた「ノット・ライク・アス」(今週2位)から、今週「Luther」が首位に、自身の曲から別のタイトルに首位を入れ替えたケンドリック・ラマー。この快挙は、テイラー・スウィフトが「イズ・イット・オーヴァー・ナウ?(テイラーズ・ヴァージョン)」から「クルーエル・サマー」に入れ替えた2023年11月18日付以来で、それ以前にはBTSが「Butter」(2021年7月17日付)から「Permission to Dance」(7月24日付)、再び「Butter」(7月31日付)に入れ替えたことがある。
男性ソロ・アーティストに限定すると、ドレイクが2018年7月に「ナイス・フォー・ホワット」(2018年7月14日付)から「イン・マイ・フィーリング」(2018年7月21日付)に1位を交代させて以来、約6年半ぶりのチャート・アクションを展開した。
そのドレイクは、今週のTOP10に「Gimme a Hug」が6位、「Nokia」が10位に、2曲を同時にランクインさせている。
両曲は、今週のアルバム・チャート“Billboard 200”で1位に初登場したパーティネクストドアとのジョイント・アルバム『$ome $exy $ongs 4 U』の収録曲で、本作でドレイクは通算14作目の首位を獲得した。なお、今週TOP10にランクインした2曲は、いずれもドレイク単独の名義となっている。
アルバムのリリース週、「Gimme a Hug」はストリーミング再生回数が2,450万回、「Nokia」は2,020万回をそれぞれ記録。また、「Nokia」は初週のセールスが16,000を記録して、デジタル・ソング・セールス・チャートでは自身14曲目の首位を獲得した。セールス・チャートでの首位獲得曲数としては、同率で並んでいたジャスティン・ビーバーを上回り、男性ソロ・アーティストとしての最高記録も更新している。
女性アーティストを含めると、トップがテイラー・スウィフトの29曲で、2番目はニッキー・ミナージュの16曲、ドレイクはそれに続く3番目の記録に到達したことになる。
今週のチャートで2曲がランクインしたことにより、ドレイクはTOP10のランクイン曲数を通算80曲目に更新し、2位以下と大差をつけて記録をさらに塗り替えた。
80曲 ドレイク
59曲 テイラー・スウィフト
38曲 マドンナ
35曲 ザ・ビートルズ
32曲 リアーナ
30曲 マイケル・ジャクソン
29曲 エルトン・ジョン
28曲 マライア・キャリー
28曲 スティーヴィー・ワンダー
27曲 ジャネット・ジャクソン
26曲 ジャスティン・ビーバー
25曲 リル・ウェイン
25曲 エルヴィス・プレスリー(1958年以前の記録は含まれない)
ケンドリック・ラマーの再興により、先週4位にランクダウンしたレディー・ガガ&ブルーノ・マーズの「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」は今週3位に再浮上。今週の集計期間に6,300万回を記録して、エアプレイ・チャートでは3週目の首位をキープした。
ブルーノ・マーズは、BLACKPINKのロゼとのコラボレーション・シングル「APT.」が7位に、今週も2曲をTOP10に同時ランクインさせている。
先週3位に上昇したケンドリック・ラマーの「TV Off feat. レフティ・ガンプレイ」は今週4位にダウン。「Squabble Up」は先週に続き5位をキープした。
先週に続き、今週もTOP5が全て<インタースコープ・レコード>からリリースされた楽曲(「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」はアトランティック・レコードとの共同リリース)で、同レーベルの楽曲がTOP5を2週間独占したのは初のチャート・アクションとなる。
ビリー・アイリッシュの「バーズ・オブ・ア・フェザー」は先週の6位から8位に順位を下げたが、ロック&オルタナティブ・ソング・チャートとオルタナティブ・ソング・チャートではそれぞれ29週目の首位を獲得している。
昨年7月からソング・チャート“Hot 100”史上最長記録となる通算19週間首位を獲得したシャブージーの「ア・バー・ソング(ティプシー)」は、今週9位にランクイン。カントリー・ソング・チャートでは35週目の首位を獲得して、フロリダ・ジョージア・ライン&ビービー・レクサの「メント・トゥ・ビー」(2017年から2018年に50週間)に続く2番目、34週間で並んでいたサム・ハントの「ボディ・ライク・ア・バック・ロード」(2017年)を上回り、単独の史上2番目の記録に到達した。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは2月28日以降掲載予定となります。
◎【Hot 100】トップ10
1位「Luther」ケンドリック・ラマー feat. シザ
2位「ノット・ライク・アス」ケンドリック・ラマー
3位「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」レディー・ガガ&ブルーノ・マーズ
4位「TV Off」ケンドリック・ラマー feat. レフティ・ガンプレイ
5位「Squabble Up」ケンドリック・ラマー
6位「Gimme a Hug」ドレイク
7位「APT.」ロゼ&ブルーノ・マーズ
8位「バーズ・オブ・ア・フェザー」ビリー・アイリッシュ
9位「ア・バー・ソング(ティプシー)」シャブージー
10位「Nokia」ドレイク
Photo: Dave Free
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