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2024年11月23日、ビルボードライブ東京にてスペシャルライブ【~Stratocaster 70th Anniversary~ Fender x Billboard Live TOKYO presents The Strat Night 2024】が開催された。このイベントは、1954年の誕生以来、世界中で愛され続けているFenderのギター「ストラトキャスター」の70周年を記念した、FenderとBillboard Liveによる一夜限りのスペシャルライブ。音楽シーンで活躍する豪華ミュージシャンたちが集い、ストラトキャスターへの愛と音楽への情熱を伝えるギターサウンドを高らかに鳴らした一夜から、1stステージの模様をお届けする。
会場に入ると、出演者全員のサインが入ったフェンダーのストラトキャスターが展示されており、フォトスポットとなっていた。BGMに王道ロック・アーティストたちの流れる中、開演時間を迎えると、MCを務めるジョー横溝が登壇。Fenderでは、2024年を「The Year of the Strat(R)(ストラトキャスターの年)」と題して、本国アメリカをはじめ世界各国で様々な周年を祝うキャンペーンを行ってきたが、日本でのこのライブが70周年プロジェクトを締めくくるイベントとなることが伝えられた。
MCのジョー横溝がスペシャル・バンドのメンバーたちを1人ずつ呼び込むと、大きな拍手に迎えられてTOKIE(Ba)、SATOKO(Dr)、池尻喜子(Key)、最後にバンドマスターとして弓木英梨乃(Gt,Bandmaster)がステージに上がり、4人の演奏からライブがスタートした。SATOKOのフィルインからバンドが一斉に豪快な音を鳴らして突入したのは、ジェフ・ベックの「Led Boots」だ。弓木がストラトで伸びやかにテーマフレーズを繰り出すと、バンドは息ピッタリなキメでボトムを支える。ギター、キーボードの空を翔けるようなユニゾンフレーズ、キーボードソロを経てバンドが一体となり、変拍子を交えた難曲を見事な演奏力で表現。大喝采を受けて華やかにオープニングを飾った。
ゲストのトップバッターとして、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN, XIIX)が、ギターを抱えたまま階段を降りて登場して、しばし横溝とトーク。ストラトキャスターとの出会いについて、バンドを組んでから育ったライブシーンでみんながフェンダーのストラトを使っていたので、逆に避けていたというが、「いろんな人から“おまえは絶対ストラトを弾いた方が良い”って言われて、ライブハウスの店長から黄色くてかわいいストラトを渡されて。いざライブで弾いてみたらしっくりきたんです。みんなが弾くっていうのはこういうことなんだなって、そこから弾くようになりました」と語った。この日弾くギター「レディキラーストラトキャスター」は、マスタービルダーにオーダーして制作してもらったギターとのこと。横溝が「お高いんでしょ?」と問いかけると「どうなんでしょう?もらったので値段は知らないんですよ(笑)。」と、リラックスしたトークで和ませて、いざライブへ。ギターを鳴らしてアカペラで歌い出したのは、UNISON SQUARE GARDENの「スカースデイル」。斎藤が弾くアルペジオに弓木がストロークを重ねるギターアンサンブルを中心に疾走する。ピッキングハーモニクスを織り交ぜたりもしながら、間奏ではハイトーンのソロで爽快で粒立ちの良い音色を響かせた。続いてXIIXの曲「like the rain」では、対照的にゆったりとピアノの伴奏に乗せて歌い、熱くこみ上げるボーカルに沿うように、感情のこもったソロを披露。ストラトで表現できる2面性を聴かせてくれた2曲だった。
続いて大声援に迎えられてステージに上がったのは、Ken(L’Arc~en~Ciel)。ブラックボディに2つのハムバッカー仕様のストラトを抱えて登場した。ストラトとの出会いを訊かれると、「あれは40年以上前…何かで見たんでしょうね。すごくカッコいいギターだな、あれ触りたいなあ、触りたいなあ、と思って触りました」と告白。その魅力は、「田舎に住んでいたんですけど、音を出した瞬間に“素敵な田舎”に変わるんですよ。クリーンでも歪ませても、素敵な田舎に変わる。そんなことってある!?みたいな。この前までただの田舎だったのに、キラキラするんですよ」と、魔法のようなストラトのサウンドとの出会いについて、独特な表現で話した。ステージ中央に立つと、シンフォニックなシンセのサウンドが鳴り響く中、Kenが弾き出したのは、ゲイリー・ムーア「The Loner」。ミディアムテンポのリズムでどっしりと、芯が太く重厚感のあるメロディを奏で、色気のあるサスティンで酔わせた。続いてL’Arc~en~Ciel「虹」をインストで披露することを告げると、客席からは思わず「キャー!」と嬌声が上がる。池尻がキーボードでメロディを弾き、後半につれて盛り上がっていくアンサンブルに包まれたKenのギターソロが熱い。弓木がメロディーを引継ぎユニゾンのフレージングでエンディングを迎えると、大きな拍手が送られた。
Kenがステージを降りると、バンマスの弓木が「音が好きです。カッティングするのが好きなので、ストラトでしか出ないクリーントーンが好きです」とストラトの魅力を語る。弓木が弾いているギターは、最新の性能を求めるプレイヤーのために開発されたというUSA製最新シリーズの「American Ultra IIストラトキャスター」。ゴールド調のソーラー・フレアと呼ばれるボディカラーとブラックのピックガードが個性的だ。その特色について、リアとフロントのピックアップをミックスした音が出せることを、スイッチを変えながら実際に音を出しながら説明した。こうしたギタリストの音へのこだわりを聴くことができるのもストラトに特化したイベントならではの面白さだ。トークの後にバンドが演奏したのは、日本でも未だ根強い人気を誇るレジェンド・ギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの「Testify」。疾走感満点の演奏で、ガッツあふれるテキサス・サウンド顔負けの音色を聴かせる弓木。池尻が流麗なオルガンを聴かせて、TOKIEのぶっといベースソロ、SATOKOのドラムソロへとリレーしてパワフルに曲を締めた。
ここで、「American Ultra II」の発売を記念して行われたキャンペーンでSNSに演奏動画をアップして、見事に【The Strat Night 2024】への出演権を獲得したNaoさんがステージに上がった。ギター歴は14、5年とのことで、ストラトの魅力については「最初に持ったギターがFenderのストラトキャスターだったので、自分のギター人生をずっと共に歩んできました。弾きやすくて、繊細で煌びやかな音がするところが良いです」とその魅力を語った。キャンペーンで贈呈された「American Ultra IIストラトキャスター」を手に、演奏したのはこの後登場する春畑道哉(TUBE)のインスト曲「The ONE」。バンドと共に力強いキメから始まり、艶やかでクリアな出音で卓越したプレイを聴かせた。バンドとの息もピッタリで、ライブ前に「すごく緊張しています」とコメントしていたとは思えないほど、百戦錬磨のミュージシャンたちと遜色ない堂々たる演奏だった。
2ndステージでは、春畑がステージにサプライズで登場。夢のセッショトラトキャスター」を手に、演奏したのはこの後登場する春畑道哉(TUBE)のインスト曲「The ONE」。バンドと共に力強いキメから始まり、艶やかでクリアな出音で卓越したプレイを聴かせた。バンドとの息もピッタリで、ライブ前に「すごく緊張しています」とコメントしていたとは思えないほど、百戦錬磨のミュージシャンたちと遜色ない堂々たる演奏だったンが実現し、会場を大いに沸かせた。
そして、最後のゲストとして春畑が盛大な拍手に迎えられてステージに登場した。先ほどのNaoさんは春畑の大ファンで影響を受けていることを聞くと、「嬉しいですね。熱いプレイでグッときました」と笑顔で讃えた。横溝から「春畑さんにとってストラトとは?」と訊かれると、「中学からエレキを始めて、そのときからほぼほぼストラトでした。憧れのギターでした」。この日弾くのは、自身のシグネーチャーモデル「MICHIYA HARUHATA STRATOCASTER(R) HEAVY RELIC(R) MASTERBUILT BY JASON SMITH」。リバースヘッドで、ピックアップはシングル×2にリアにハンバッカーを搭載。カラーはシブいサンバーストだ。「ストラトのおいしいところを全部凝縮したギター」とのこと。演奏曲は、中学から弾いているというレインボーの「Maybe Next Time」。幻想的なサウンドに始まり、静まり返った会場に哀愁漂う泣きのギターが空気を震わせる。古からのHR/HM界隈のストラト使いと言えば必ず名前が挙がるであろうギタリスト、リッチー・ブラックモアへのリスペクトを感じさせる様式美と魂の籠ったプレイだった。「大好きなストラトキャスターの70周年を記念したライブに呼んでいただいて嬉しいです」とのコメントから、オリジナル曲「EXPERIENCE #9」へ。ファンキーなリフを弾き始めると、クラップが自然発生。バンドもイキイキとダンサブルな演奏を繰り広げる。弓木のソロと春畑のカッティングが掛け合うシーンも。春畑はステージ前に出てソリッドなソロでオーディエンスを煽ると、バンドの方へと向き直って合図を送り、ギター、キーボード、ドラム、ベースと、順番に掛け合いを見せ、場内は熱気が充満するエキサイトぶり。激しくダンサブルな演奏の中でも、その風のような爽やかさすら感じられる、春畑ならではのギターサウンドだった。
全員がいったんステージを降りると、アンコールの拍手を受けて再び横溝がステージに上がり全員を呼び込んだ。ゲストの3人とスペシャル・バンドの4人は、イベントのために作られたお揃いのFender Tシャツで登場した。Kenと春畑が何やら楽し気にやり取りしている光景もスペシャルだ。ステージ背後のカーテンが開き六本木の夜景をバックに、アンコールの1曲へ。ステージに向かって左からKen、春畑、斎藤が並び、春畑が弾き始めたイントロは、ジミ・ヘンドリックス「Voodoo Chile」。ストラトを手にしたら誰もが一度は弾きたくなる、最高にカッコいいロックなリフを起点に、弓木がブルージーに、斎藤が速弾きで疾走して、Kenはかき鳴らすように歪んだ音を解き放つ。春畑は、ゆっくりと間を取ってソロを取った。終盤、ド迫力の音の塊と化して行く7人。テーマフレーズに戻り大音量のキメが炸裂して曲を終えた。客席大興奮の中、大喝采を浴びながらステージを後にしたミュージシャンたち。最後に沸き起こった万雷の拍手は、それぞれのプレイヤーと共に素晴らしいギターサウンドの魅力を伝えてくれた、ストラトキャスターにも贈られていたに違いない。
Text:岡本貴之 / Photo:Masanori Naruse
◎公演情報
【~Stratocaster 70th Anniversary~ Fender x Billboard Live TOKYO presents The Strat Night 2024】
2024年11月23日(土・祝)ビルボードライブ東京
ゲスト
春畑道哉(TUBE)
Ken(L’Arc~en~Ciel)
斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN, XIIX)
スペシャル・バンド
弓木英梨乃(Gt,Bandmaster)
TOKIE(Ba)
池尻喜子(Key)
SATOKO(Dr)
◎セットリスト
●スペシャル・バンド
1.Led Boots(ジェフ・ベック)
●斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN, XIIX)
2. スカースデイル(UNISON SQUARE GARDEN)
3. like the rain(XIIX)
●Ken(L’Arc~en~Ciel)
4. The Loner(ゲイリー・ムーア)
5. 虹(L’Arc~en~Ciel)
●スペシャル・バンド
6. Testify(スティーヴィー・レイ・ヴォーン)
●Nao(キャンペーン当選者)
7. The ONE(春畑道哉)
●春畑道哉(TUBE)
8. Maybe Next Time(レインボー)
9. EXPERIENCE #9(春畑道哉)
●スペシャル・バンド+ゲスト3人
EN1. Voodoo Chile(ジミ・ヘンドリックス)
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