<ライブレポート>中島健人、ソロ初ライブで見せた決意の涙「俺は負けないし、変わんないわ」 キタニタツヤも駆けつけたファイナル公演

2025年1月28日 / 18:00

 中島健人が、1月17日、18日、19日に【KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 “N / bias”】を東京・有明アリーナにて開催した。

 2024年のクリスマス、12月25日にアルバム『N / bias』をリリースしソロデビューした、“ケンティー”こと中島健人。「自らの体験や感情にフォーカスし、これまでの“中島健人”に対する評価や偏見をすべて振り払い、殻を破っていく決意を込めた」というアルバムと同じ名前にふさわしい、彼のアイドルとして生きる決意と覚悟が形になったライブであった。3日間4公演で開催された今回のライブのうち、本稿ではファイナルとなった1月19日公演の模様を独自レポートする。

 開演前、「ジョーカー」と名乗る、キュートにデフォルメされたピエロのキャラクターのアナウンスにならって、観客が手に持つ「ピカレスクの銃口」(ピストル型のペンライト)が会場のあちこちでキラキラと光る。アナウンスがそっと中島の声に重なるようにして会場が暗転すると、オープニングムービーがスタートし、ヨーロッパの古い街並みを軽やかに歩く中島が映し出された。その爽やかな姿に見入っていると、映像はどんどん退廃的で不穏な雰囲気に。そしてステージが明転すると、ステージにはひとり佇む中島の姿が。そのまま、時折観客へ手を振りながら、会場の底から響くようなビートに合わせてセンターステージへ歩いていき、一瞬の無音から「ピカレスク」の1コーラスをアカペラで歌い出す。そして再びサウンドが戻ると、8人のダンサーを従え一糸乱れぬフォーメーションダンスを披露。続く、全編英語詞の楽曲「N / o’clock」では、途中のセリフパートでメインステージ壇上に据えられた演説台に立って、スピーチをするような演出も。

 最初のMCでは、今回のライブが388日ぶりのステージになることについて触れ「お待たせ!」とU:nity(ファンネーム)へ呼びかける。「ようやくここで爆発できます」と、自身もこのライブに並々ならぬ気合いで望んでいることをうかがわせると、U:nityの前に姿を現さなかった間、活動について思い悩むことも多かったことを明かす。「全部を通してみんなに僕の気持ちが伝わるライブになっていると思います」と語り、「嫌なことなんて全部……ヒトゴトだから」と、そんな苦悩も詞に昇華させた「ヒトゴト feat. Kento Nakajima」へ続けていった。「黄昏てゆく夜に」では、白く光るペンライトが会場を星のように彩るなか、ステージ脇に置かれたベンチに腰掛け、ゆったりと歌声を響かせる。

 VTRを経て、スタジアムジャンパーに白Tシャツ、ダメージデニムのカジュアルなスタイルで再登場すると「Teleportation」「Bye Bye Me」と軽やかなダンス曲を重ねる。そして「ケンティー!」と叫ぶ声が飛び交った「SHE IS…LOVE」では、本人が「N Flying」と名付けたジップライン風のフライングシステムで、会場後方へ華麗に空を舞う。「多くのスターが立ったここ有明アリーナ。バックストリート・ボーイズ、ハリー・スタイルズとか……でもたぶん、ここまで飛んだのはケント・ナカジマだけ!」とその後のMCで語ると、「これ何度やっても楽しいわ」と笑顔を見せる。その後も、今回のライブにつけられたハッシュタグ「#ケンティーの有明ライブ」をチェックしている話や、SNSでも話題を呼んだペンライトが売り切れてしまった話、活きのいい男性客たちの「可愛いー!」コールに突っかかってみせたりと、トーク力でも会場を沸かせた。中でも、これまでのライブの様子から、付き添いで来た男性客も「1年後は普通に(コールやダンス)やってんのよ!」と笑顔を見せたり、スタッフチームから、自身が大ファンである『遊戯王』のレアカード「ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン」にちなんだプレゼントをもらったことを熱く話す楽しげな様子には彼らしさが滲む。事前にInstagramの質問箱で募集したU:nityからの質問に答えるコーナーでは、自身のモットーを聞かれ「一生夢を“追いかける”こと」と明かし、「みんなと一緒に夢を追いかけているのが幸せ」と、現状に満足しないハングリー精神とファンへの信頼を語った。

 29歳の時に作詞作曲したがタイミングが合わずにお披露目できず、「30歳になって、みんなと初めて過ごすアリーナのライブで、この楽曲を歌うことに意味があるなと思って」と語りパフォーマンスされた「Scene29」では、後ろのモニターに幼少期から現在までの中島の写真と、手書きの歌詞が映し出されていく。最後は、ステージ上の彼の手元に置かれた「愛してる!!」という直筆メッセージと、歌唱中に撮ったチェキがカメラで抜かれ、彼のこれまでの“アイドル”としての人生を凝縮したような演出であった。しっとりと歌い上げた「Jasmine Tea」、妖艶な一面を見せた「ROSSO」の後は、「jealous」へ。公式のコール動画が公開されていた通り、大きな声でコール&レスポンスが返り、会場の熱気がどんどん上がっていく。ラストサビでは金吹雪が舞い、シンセサイザーが印象的なサウンドにぴったりの煌びやかな景色を作り上げていた。

 ラップ部分にアドリブを入れ、会場を煽った「Mr. jealousy」、モニターの指示に合わせて観客が次々にペンライトの色を切り替え、会場全員でステージを作り上げた「Dance on the floor」のあとはムービーを挟み、メインステージ上には鎖に繋がれた巨大な「N」のオブジェが。まるで、彼を縛っていたしがらみのように絡みつく鎖を引きちぎって扉が開き中島が姿を見せると、「Nocturne」「THE CODE」とハードなダンス曲を重ねる。

 そして突如会場が暗転すると、前方モニターには人の目を模した見覚えのあるマークが大きく映し出される。気づいたU:nityの悲鳴で会場が騒然とするなか、モニターが左右に開いて現れたのは――まさに先ほどのマークをロゴに掲げる、GEMNのメンバーでもあるシンガー・ソングライター、キタニタツヤ。ふたりが歩み寄りハイタッチを交わすと、始まったのはもちろんGEMN「ファタール」。このファイナル公演だけのサプライズ出演に、観客からは絶叫に近い歓声が上がっていた。曲が終わると「We are GEMN!」とふたりでポーズを決め、MCもそこそこにステージが暗転。そこからペアにならない、“ジョーカーとして生きる”中島の覚悟を暗喩するような形でムービーが終わると、アリーナに現れたトロッコに乗り込み「カレカノ!!」がスタート。なんと中島の後ろにはキタニもトロッコに同乗し、ペンライトを手に持って楽しそうに〈カレカノLOVE PEACE!!〉とコールしている。その後、センターステージに降り立つとふたりでのMCがスタート。「とんでもない経験を本当にありがとうございます!」と挨拶したキタニは、大歓声で迎えるU:nityのノリの良さに大喜び。「ピカレスク」のダンス動画を中島の無茶振りで撮影することになった話や、自身初の体験だったという先ほどのトロッコ、『THE FIRST TAKE』への出演や、中島とキタニのジャケットに隠されていたギミックの話で一通り盛り上がると、熱く握手を交わしステージを去っていった。

 「Love風」「Hey!! Summer Holiday」「Black Cinderella」と、長年歌ってきた楽曲を3連続で披露すると、「生きててよかったなって、思います。本当にとにかく、今日までの日々が楽しくて、U:nityのみんなに会えるのが嬉しくて」「4月から新たなスタートを切ったこの時間、U:nityのみんなは僕に愛をくれつづけました。ありがとうございます」と涙を浮かべながら語る中島。「人生が違う方向に受け取られちゃった」経験と、その苦悩を吐露しながらも「U:nityのみなさんがいなければ、自分はここにいない」と、改めて自身を支えるU:nityへ深い感謝を伝える。「アイドルでいれるかな?って思ったこともあったけど……でも、俺が負けるわけねえじゃんって思うのね? 俺は負けないし、変わんないわ」と不敵な笑みを浮かべると、「よく聞いてて、俺の覚悟。本物だから」と前置きし、「U:nityに何があってもそばにいる」ことと、事務所で、ソロとして東京ドームに立つ「最初のひとり」になることを力強く宣言した。そして本編最後を締めくくったのは、自身が作詞作曲を手がけた「迷夢」。ひとり真っ赤な衣装で佇み歌う彼の姿は、一輪でも華やかに咲き誇るバラのように見えた。

 アンコールは、〈LOVE KENTY!〉のコールに盛り上がらずにはいられない「CANDY ~Can U be my BABY~ (New Vocal Mix 2024)」でスタート。中島が手に持っていた棒付きキャンディは、当時19歳の彼が初めてこの曲をパフォーマンスした際に使っていたものと同じとのこと。「やっぱ、笑ってるときがいちばん幸せだな!」と微笑むと、自身が振り付けと構成を手がけた「Unite」へ。「僕とU:nityとの絆の曲、一生愛されますように!」との中島の願いを受け、客席からはこの日いちばんの大きな歓声が上がる。

 「LOVE?」「KENTY!」のコールを合図に銀テープも飛び、大団円の雰囲気で退場アナウンスが流れるなか、まだ足りない!とばかりに観客の歓声が会場にこだまする。するとその声に応え、またもや中島が登場。急いで駆けつけたのだろうか、髪型も少し崩れている。そして「今も頑張っている仲間に想いを馳せて。届いてるかな?」と歌い出されたのは、Sexy Zone「RUN」。目に涙を溜め、マイクスタンドに両手をかけて歌唱する姿に、胸を打たれずにはいられなかった。

 ライブが終わったあと、中島健人というアイドルはどうしてあんなに光り輝いていて、人を惹きつけるのか、ぐるぐると考えてしまった。そしてそれは、彼が見せてくれるものには美しさだけでなく、確かな“熱”があるからだ、と思った。これまでも、“アイドル”という存在への誇りと信念を一際強く抱いていた中島。初のソロライブに懸けるパフォーマンス、言葉、クリエイティブからも彼の想いは眩いばかりに突き刺さってきたが、それには裏にある努力や苦悩――そこで流れた汗や涙の温度すらも伝わってくるから、観た人はきっと、その瑞々しい美しさに目を奪われてしまうのだと思う。切り取られるほどその輝きを増すダイヤモンドのように、ときに身を削りながらも「一生夢を追いかける」アイドル・中島健人の姿は、いつまでも美しく輝いていることだろう。

Text by Maiko Murata
Photo by 田中聖太郎

◎公演情報
【KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 “N / bias”】
2025年1月19日(日) 東京・有明アリーナ

▼セットリスト
1. ピカレスク
2. N / o’clock
3. ヒトゴト feat. Kento Nakajima
4. 黄昏てゆく夜に
5. Teleportation
6. Bye Bye Me
7. SHE IS…LOVE
8. Scene29
9. Jasmine Tea
10. ROSSO
11. jealous
12. Mr. Jealousy
13. Dance on the floor
14. Nocturne
15. THE CODE
16. ファタール
17. カレカノ!!
18. Love風
19. Hey!! Summer Honey
20. Black Cinderella
21. 迷夢

En1. CANDY ~Can U be my BABY~
En2. Unite

W En. RUN


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