<ライブレポート>GLAY、“音楽をやり続ける” 未来へ向けて飽くなき挑戦の姿勢を見せた30周年ツアーファイナル

2025年1月21日 / 19:00

 GLAYが、デビュー30周年ツアー【GLAY 30th Anniversary ARENA TOUR 2024-2025 “Back To The Pops”Presented by GLAY EXPO】の神奈川公演を1月18日・19日に横浜アリーナにて開催した。

 2024年5月25日にデビュー30周年を迎え、11月8日の大阪城ホールからスタートしたこのツアー。北海道、東京、愛知、広島、福岡を経て迎えたこの公演を終えると、追加公演として再び北海道に戻り地元・函館へと凱旋することとなる。このレポートでは、大勢のGLAYER(GLAYファンの呼称)が広い横浜アリーナいっぱいに詰め掛けた千穐楽19日の公演をお届けする。

 開演時間の16時に場内が暗転すると、ピアノの旋律をバックに巨大なセンタービジョンに森の中を進む車が映し出された。車を降りたメンバー4人がディスクらしきものを置くと火柱が立ち昇っていき、暗がりのステージにTERU(Vo.)、TAKURO(Gt.)、HISASHI(Gt.)、JIRO(Ba.)が姿を現すと、凄まじい大歓声に迎えられた。煽情的なギターのイントロからTERUによる「OK、横浜アリーナ! いくぞ!」の第一声に続きオープニングを飾ったのはニューアルバム『Back To The Pops』からの「なんて野蛮にECSTASY」だ。「カモン!」とマイクを向けるTERUに、会場中から歌声が飛んでいく。おなじみのサポートメンバー、Toshi(Dr.)、村山☆潤(Key.)と共に激しいリズムの連打から「天使のわけまえ」へ続くと、JIROが前に出てメンバー4人がステージ前に並ぶ。飛び交うレーザー、観客が身につけたLEDリストバンドが様々なカラーで客席を染め上げて、序盤から興奮の連続となった。TAKUROがソリッドなギターを鳴らして向かい合うと、TERUがスキャットしてから始まったのは「ASHES-1969-」。TAKUROがステージ端まで走り込んでアクションすると、TERUも駆けつけての2ショットに近くのオーディエンスは大熱狂。間奏でTAKUROとHISASHIがユニゾンフレーズを繰り出すと、TERUは「全員の声を聴かせてくれ!」とコーラスを求めて一体となった。

 曲間であちこちからメンバーそれぞれへの声援が飛ぶ中、「ありがとう! ツアーは今日で15本目、そしてファイナルです。本当に良いツアーでした。なのでこのファイナルはみなさんと一緒に最高の夜にしましょう!」と呼び掛けたTERUは、「コロナで大変な思いをした方も、今これから新しい人生を歩もうとしている方にも、是非とも届けたい曲なので聴いてください。“生きてく事は 愛する事 愛される事”」と歌詞を引用すると、「春を愛する人」へ。イントロなしで鍵盤の演奏に合わせて歌い出すとドッと歓声が沸く。HISASHIが弾くディレイを効かせたギターに気分が高揚させられる。柔らかな春の日差しを感じさせるようなTERUの丁寧な歌い回し、タイトな演奏、スッと耳に入って来るメロディが心地良い。TAKUROが「SOUL LOVE 」のイントロを弾き出すと、「かれこれ27年この曲を歌ってますが、おじいちゃんおばあちゃんになるまで一緒に歌ってください!」とTERUが呼び掛けた。1998年リリースのこの曲が、2025年にも瑞々しく響いていることは、一瞬で広がったハンドクラップが証明していた。サビを委ねられたオーディエンスは大合唱。TERUは歌詞をもじって〈待ちこがれていた 横浜をこうして〉と歌うと、「愛してるぜ横浜!」と叫ぶ。この2曲は、GLAYが創り上げてきたJ-ROCK、J-POPのセンスを象徴していた。

 静かなピアノと、映像から流れるさざ波の音。歌い出したのは「海峡の街にて 」。年輪を重ねたからこそ歌えるのであろう、飾ることのない抒情的なバラードだ。〈自由に溺れ 無邪気なままの幼さから〉と歌うくだりで〈幼さから〉をフェイクしたTERUの歌声にグッと惹きつけられ、キラキラと光る水面の映像と共に印象深かった。シンフォニックな始まりの「さよならはやさしく」では、ビジョンに縦書きの歌詞が描かれてメッセージを伝える。

 温かく人間味が溢れるバンドの魅力が伝わる2曲が終わり、しばし間が空き静まり返る場内。するとTERUが「パコンッ」と舌で大きな音を鳴らして「30年もやってるとこんなこともできるんですよ。良い音した?(笑)」と語り掛けて、客席から笑いが起こった。「みなさんに支えられて、こうやって30年、楽しく活動できてます。本当にありがとうございます」と感謝したTERUは、「20周年のときはHISASHIもJIROも“もう終わってもいいんじゃね?”みたいな雰囲気でしたよね」と冗談めかしつつ明かして、客席をどよめかせたものの、それを受けたHISASHIは、「死ぬまでGLAYですよ」と宣言して大喝采を受けた。TAKUROが「今共に生きているみなさんの笑顔とか、僕らに対する熱い想いとかを曲にしたくて書いた」と紹介した曲「Buddy」では、最後にみんなで歌いたいパートがあるものの、「ラララ」という箇所と「Hey!」という箇所があるため、「デビュー40周年をTERUと迎えたい方は「ラララ」を、TAKUROと50周年を迎えたい方は「Hey!」で、60周年をGLAYと迎えたい方は両方やってください」と呼び掛けて曲へと突入。結果、全員が「ラララ」「Hey!」と叫んで、大盛り上がりに。そんな中でTAKUROはどちらでもなく拳を上げつつ「ダー!」的な絶叫コーラスで早くも進化を遂げていた。

 洒落たポップスながら切ない歌詞が胸に残るラブソング「シェア」から、対照的に強烈な4つ打ちビートによるアッパーチューン「BRIGHTEN UP」へ。冒頭のEDMテイスト、キャッチーなAメロ、 サビではパンキッシュに2ビートで突き進むジャンルを横断したアレンジの展開は30年のキャリアがあればこその大胆さだ。曲が終わった瞬間、すぐさま始まった「口唇 」へ。TERUとJIRO 、TAKUROとHISASHIの2組に分かれてステージ端まで行って煽るなど、縦横無尽なステージングで熱狂を生んだ。「紅と黒のMATADORA 」ではステージに炎が揺らめき、ハットをかぶったTAKUROがテレキャスターでスパニッシュ風のフレーズを奏でて、バンドが加わると激しく炎が立ち昇る。妖しげで情熱的なサウンドでカオスへと誘われた。30周年のファンへの感謝を込めたMCから歌われた「Beautiful like you」、「Eternally」と続いたバラード曲では、改めてTERUの歌唱力、表現力の豊かさ、バンドのフロントマン、ボーカリストとしての迫力が存分に発揮されていた。

 TERUが「OK! 熱くいこうぜ!」と叫んで、GLAY × JAY(ENHYPEN)として発表した「whodunit」へと場面転換。重低音が響く16ビートと炎、ミラーボールが回る派手な演出で一気に熱量が上がる中、HISASHIはフライングVを手にお立ち台でプレイ。オーディエンスは「Oh,Oh」と声を上げて盛り上がる。モダンで摩訶不思議なイラストがビジョンに映し出された「Romance Rose」、ドラマティックな曲調が光る「会心ノ一撃」 と、ニューアルバム収録曲で最新モードのGLAYを聴かせると、TERUが「横浜アリーナ、もっといけるか!? カモン! Toshi!」とドラムのフィルインを呼び込み「誘惑 」が飛び出して、大音量の〈Because I love you〉が横浜アリーナに充満した。TAKUROはステージ最上段に上がりビジョンを背にギターをかき鳴らし、HISASHI、JIROも移動しながら演奏して煽る。ToshiとTAKUROのセッション的な導入からスタートした「V.」では、会場全体が〈We Need Somebody〉と声を合わせ、先鋭的なグラフィックが映し出されたビジョンには、サビのワード〈Vertigo〉(めまい)が何度も映し出されて、文字通りクラクラするような興奮のるつぼとなった。

 中央に立ったTAKUROがイントロを弾き、横に並んだTERUが歌い出した「疾走れ! ミライ」では、ビジョンにステージ上の4人のリアルタイムの姿と、過去映像のコラージュが交差した。「OK、いくぞー!」とTERUの号令から、カラーテープが噴射されて歓喜に包まれた客席に向かい、TERUは「40周年、50周年と、一緒に歩んでいきましょう! この夢は絶対に終わらせねえぞ!」と叫んだ。「ツアーで約3ヶ月間、旅をしてきましたけど、集まってくれたみなさん、本当に感謝しています。みんなの笑顔を見てるとまた頑張れるって思うので、これからも笑顔を絶やさずに。僕らもみんなに笑顔になってもらえるような活動をしていきますので、これからもよろしくお願いします」。そんな言葉から歌われたのは、「Back Home With Mrs.Snowman」。村山が弾くアコーディオンの音色も楽しい、穏やかなサウンドが会場を包み込む。間奏ではTAKUROがカズーを吹いて、「submarine!」とひと言。曲の終盤では、サポートを含むメンバーの紹介で、ビジョンにそれぞれの若かりし頃の写真が映し出されて、大声援の中で本編終了となった。

 アンコールを待つ間、「BRIGHTEN UP」が流れ、映像が公開された。『ONE PIECE』原作者の尾田栄一郎が手がけた30周年のキービジュアルをCGで動かしたアニメーションで制作されたMVとのことで、思わぬサプライズに多くのファンが感嘆の声を上げていた。また、4月に2枚のベストアルバムがリリースされることも告知された。映像の余韻が冷めやらぬ中、メンバーがステージに上がり「Winter,again」でアンコールへ。TERUの熱唱、TAKUROのエモーショナルなギターソロ、HISASHIのバッキング、JIROのタイトなビートが紡ぐ珠玉の冬ソングに会場中が息を飲んで聴き入った。

 ここでTERUが「ファイナルなので、変わったことをしようと思います」とひと言。スマホを手にすると、ステージ上でインスタライブを開始して、メンバーそれぞれに話を振る。

 JIROは東京ドームで行われる25年振りのLUNA SEAとの対バンイベント【The Millennium Eve 2025】と30周年のグランドフィナーレとなる【GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE】に触れ、「まずLUNA SEA先輩との東京ドームを大成功させて、自分たちのワンマンライブに向かいたいなと思います」と意気込みを語った。

 HISASHIは年齢の話題から、「私今日、久々に魔法をかけました。その名も「X」!X JAPANの「Xジャンプ」と腕を交差させて客席を見渡すと、「ほら、昨日上がらなかった肩が上がってる」Xジャンプの効能(?)を語る。さらにToshiに向かって「ちょっと付き合ってもらっていいですか?」とお願いして、即興で「X」を演奏開始。TERUが歌い、会場中がXジャンプで埋め尽くされるレア光景が広がった。

 TAKUROは4月にリリースされる2枚のベストアルバムがファン投票によって制作されることについて、「30年、たくさんの楽曲を生み出してきましたけど、「HOWEVER」や「Winter,again」だけじゃない、みんなから見たGLAYの隠れた良さを是非今回のアルバムにぶつけていただければという願いを込めて、みなさんに投票していただく運びになりました」と明かした。

 TAKUROにスマホを渡しインスタライブを委ねたTERUは、「みなさんと共に歩んだ30年間、今日ここで一区切り。そして東京ドーム、京セラドームでのグランドフィナーレ、是非みなさん遊びに来てください!」と呼び掛けると、「世界中の方たちがインスタライブを観ているということで、元気になる曲をやりたいと思います!」と、「生きてく強さ」へ。『ONE PIECE』仕様の4人の風船をバックにした力強い演奏で、TERUがマイクを向けると大合唱となった。

 「音楽はやり続けていかないといけないなということで、とある曲をGLAYだけでアレンジしました」とのTERUの言葉から始まったギターのイントロにどよめきが沸き起こる。最後に歌われた曲は、なんと「GLAY feat. KYOSUKE HIMURO」名義で発表された氷室京介とのコラボ曲「ANSWER」だ。力の籠った渾身の1曲で、会場を埋め尽くしたオーディエンスを圧倒。TERUは、「「ANSWER」久々に聴いたでしょ!? これが2025年バージョンです! 4月に発売されるベストアルバムに収録されるので楽しみにしていてください」と告げて曲を終えた。最後は「愛してるぞー! また会おうね!」と、メンバー全員で客席に手を振りながらステージを後にして、ツアーファイナルは大団円となった。

 ダイナミックな演奏と歌、なによりも親しみやすくキャッチーな楽曲でオーディエンスを先導するバンドの姿は、30年間メジャー音楽シーンのトップランナーとして走ってきた威風堂々とした貫禄がたっぷり。そして、ニューアルバムの楽曲を中心に据えたセットリストからは、まだまだ音楽をやり足りないという貪欲な姿勢を感じさせた。40周年、50周年へと本気で飽くなき挑戦を続けて行くのであろう未来へ向けたツアーファイナルだった。

Text by 岡本貴之
Photo by 岡田裕介、田辺佳子

◎公演情報
【GLAY 30th Anniversary ARENA TOUR 2024-2025 “Back To The Pops”Presented by GLAY EXPO】
2025年1月19日(日)神奈川・横浜アリーナ

<セットリスト>
1. なんて野蛮にECSTASY
2. 天使のわけまえ
3. ASHES-1969-
4. 春を愛する人
5. SOUL LOVE
6. 海峡の街にて
7. さよならはやさしく
8. Buddy
9. シェア
10. BRIGHTEN UP
11. 口唇
12. 紅と黒のMATADORA
13. Beautiful like you
14. Eternally
15. whodunit-GLAY × JAY(ENHYPEN)-
16. Romance Rose
17. 会心ノ一撃
18. 誘惑
19. V.
20. 疾走れ! ミライ
21. Back Home With Mrs.Snowman
EN1. Winter,again
EN2. 生きてく強さ
EN3. ANSWER


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