<ライブレポート>ギタリストakkin「音楽やってきてよかった」 Taka(ONE OK ROCK)、阿部真央、崎山蒼志、黒猫同盟を迎えたハートフルなバースデーライブ開催

2024年12月30日 / 16:00

 ギタリスト、プロデューサーのakkinがバースデーライブ【akkin Birthday Live 「まだ50歳です。」】を2024年12月18日ビルボードライブ東京にて開催した。ゲストボーカルに阿部真央、崎山蒼志、Taka(ONE OK ROCK)、ボーカル&MCとして黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)を迎え、その幅広い音楽性と多くのアーティストに慕われる人柄の良さが伝わってくる、ハートフルな一夜となった。

 ハートバザール、ジェット機といったバンド活動を経て、ギタリスト、アレンジャー、プロデューサーとして様々なアーティストの活動を手掛けてきたakkin。最近では、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の劇中バンド「結束バンド」の楽曲の編曲、演奏を担当するなど、常に音楽シーンの最前線で活躍しているミュージシャンだ。この日のライブは、翌日12月19日に51歳を迎えるにあたり、“まだ50歳”のakkinを祝うべく、豪華ゲストを迎えたバースデーライブとして開催された。このレポートでは2ndステージの模様をお届けする。

 まずは主役のakkinを先頭にホストバンドのメンバー、比田井修(Dr.)、高間有一(Ba.)、渡辺シュンスケ(Pf. / Key.)高橋あず美(Cho. / Perc.)がステージに上がる。akkinはステージに向かって右端にスタンバイすると、客席に向かい深々と一礼してギターを構えた。続いて、MCを務める黒猫同盟が登壇して「【akkin Birthday Live 「まだ50歳です。」】!ビルボードライブへようこそ!」とタイトルコール。上田はakkinの所属事務所(カムイレコード)の社長であり、akkinは黒猫同盟のツアーにも参加している。まずは小泉の音頭でお客さんと共に「お誕生日おめでとう!」と乾杯すると、「ありがとうございます!」と応えるakkin。「今日は、ギタリストであり、アレンジャー、プロデューサーとして活躍しているakkinが愛してやまないミュージシャンの方たちが集まってくださって、素敵な歌をみなさんにプレゼントしたいと思います。一緒に歌ってお祝いしてあげてください」(小泉)

 一番手として登場する崎山蒼志との関係を、akkinに代わり上田が紹介。「2021年発売のメジャーデビュー・アルバム曲でアレンジを担当したのが出会い。その後、数曲アレンジャーとして楽曲に参加しているが、付き合いは浅い」と読み上げて客席から笑いが漏れた。「現在22歳、今後どんな音楽を創り出すのかワクワクするし、期待している存在なので、今回イベントに是非参加してほしいとお願いしました」とのこと。また、崎山にアンケートを取ったそうで、「akkinが好きなおでんの具の予想」の回答は「ふんわりはんぺん」。「akkinの意外な一面」としては、「SNSをやっていないこと」そして、「akkinのギターをひと言で表すとしたら?」には「エッヂ」と回答を寄せていた。

 呼び込まれて登場した崎山は、「お願いします」と挨拶してエレキギターを弾きながら、デビュー・アルバム『find fuse in youth』からの「花火」を歌い出す。文字通り花火のように瞬く照明を浴びて激しく頭を揺らしながら歌うと、間奏ではakkinの方を向き互いにギターをかき鳴らす。曲を終え「誕生日おめでとうございます!」と祝福する崎山に、「ありがとうございます。大きくなったね」とakkin。「花火」が出会いの曲とのことで、「さっき付き合いが浅いなんて言ってたけど、気持ちはそんなことなくて。数曲関わらせてもらったんだけど、良い曲がたくさんあるよね。すごく大好きなアーティストです」と称えた。「この曲は衝撃でした」というakkinの曲紹介から、「逆行」へ。大音量のドラムのビートと対峙するようにアコースティック・ギターを弾き歌う崎山。カオティックなサウンドの中で独特の歌声が映える。ラストは静かなリムショットと鍵盤の音と共に始まった「燈」。akkinが弾くディレイの効いたギターサウンドが曲の世界観を彩った。

 続いて黒猫同盟に紹介されたのは、阿部真央。akkinは2012年のアルバムでアレンジャーとして初参加以降、全部で22曲に参加しているとのこと。今年秋のツアーにはギタリストとして参加。「長くも未だ濃い付き合いをしております。彼女の作品は彼女の人生そのままで、強くて愛のある人です。出会えて本当によかったといつも思います」と上田が代読した。続いて小泉がアンケートの回答を読み上げる。「akkinが好きなおでんの具の予想」の回答は「大根」。「akkinの意外な一面」は、「意外と目立ちたがり屋さん」、「akkinのギターをひと言で表すとしたら?」には「正確でソリッド。でも年々柔軟性も深みも増している気がします」と回答した。

 ステージに上がった阿部は、「akkinさんに初めてサウンドプロデュースしていただいた曲です」との曲紹介で、「貴方が好きな私」からライブをスタート。阿部が歌いながら弾くアコースティック・ギターのダウンストロークに、akkinが呼応してエレキギターを鳴らす。ドラマティックなサビメロで伸びやかな歌声を響かせると、眩い照明がステージと客席を明るく照らした。間奏で「ギター、akkin!」と阿部が振ると、akkinはエモーショナルなギターソロを聴かせてさらに熱くさせる。1曲目から場内が拍手喝采に包まれる大熱演となった。「本当にかっこいいアレンジですよね!」(阿部)「ありがとうございます!」(akkin)。続いて歌われたのはakkinが選曲したという、7年前にリリースされたシングル曲「女たち」。ギターを置きハンドマイクで、アップテンポなポップソングを軽快に歌い上げて、サビではみんなで手を振り一体となって盛り上がった。MCで「今日で丸々50年生きたということです」と話すakkinに阿部が「素晴らしい!」と応えると「本当に生まれてきてよかった」と、akkinは噛みしめるように呟いた。最後はakkinのアコースティック・ギター、渡辺のピアノの3人編成でバラード曲「いつの日も」をしっとりと、やがて力強く歌い上げて大きな感動を呼んだ。

 続いては、黒猫同盟の歌唱パートへ。歌う前に、2人でステージ端まで行きakkinを両サイドから囲むと「ちょっと近くないですか(笑) 緊張しちゃう」とakkin。小泉になぜakkinと呼ばれるようになったのか尋ねられると、「年上のいとこのお兄さんがいて、気づいたらその人にakkinと呼ばれていた」のがきっかけとのこと。小泉が「穏やかな性格だから、“仏のakkin”って呼ばれてるんですよね?」と話を振ると、「緊張させるのがすごく嫌なんですよ。プロデューサーって立場的に偉そうじゃないですか?だから“違うよ、怖くないよ、楽しく伸び伸びやろう”って心掛けているつもりではあります」とakkin。「そういうところが若いアーティストさんたちは仕事がやりやすくて、今日みたいなイベントに繋がってるんでしょうね」と小泉が納得のひと言。さらに小泉はちなみに、とばかり「akkinさんが好きな本は江戸川乱歩の『人間椅子』だそうです」と、突然の新情報を投げかけて和ませた。センターに並んだ2人は、「プロヴァンスで夜更かし」を披露。小泉が歌い上田がギタレレを弾きながらのデュエットで、akkinはアコースティック・ギターをゆったりと弾く。渡辺のピアニカ、コーラスの高橋が叩くパーカッションも相まって、ほっこりトロピカルなムードが漂うコーナーとなった。

 「さあ、いよいよですよ。このためだけに、遠くから」と次なるゲストONE OK ROCKのTakaについて触れる小泉。上田による紹介では、「(akkinは)ONE OK ROCKの2008年のメジャー2ndアルバムのレコーディングでアレンジャーとして初参加。以降、日本で制作したすべてのアルバム、海外で制作した最初のアルバムに参加。日本で行われたライブでも一緒に演奏しています。ONE OK ROCKがモンスターバンドになっていくドキュメントをそばで見届けた、自分の音楽人生に欠かせないバンドのボーカル。僕の思い付きでふと声をかけたら、今日のためにきっと遠くから駆け付けてくれたと思うと、涙。」と、akkinの思いのこもった文章が読み上げられた。「そんなあの方にも、アンケートに答えていただきました」と小泉。「akkinが好きなおでんの具の予想」の回答は「ちくわぶ」。「akkinの意外な一面」は、「マイペースのように見えて体育会系」。そして、その人間性について「ワンオクの曲をプロデュースしてもらっていたときは、まったく眠れてなかったんじゃないかと思います。そんな中でもメンバーの要望に最後まで付き合ってくれる、本当に素敵なプロデューサー」と、尊敬の念が伝わるコメントが紹介された。

 ピアノのリフレインが響く中、盛大な拍手と歓声に迎えられて、黒いスーツにサングラス姿のTakaがステージに上がった。マイクスタンドに向かい、スポットを浴びながら静かに歌い出したのは、「We are」。静寂をやぶるように勇壮なリズムセクションが疾走すると、akkinがソリッドなギターを鳴らしながらTakaの歌声と並走する。真摯な歌声が広がって行き、歌い終えると大きな拍手に包まれた。「はじめまして、ONE OK ROCKのボーカル、Takaです! 50歳? 明日で?」と問いかけるTakaに、「明日で51歳なんだよ」とakkin。「ああそうなんだ、明日でもう50じゃなくなるんだ。それはそれは(笑)。おめでとうございます」と掛け合ってリラックスした雰囲気の中、改めて2人の関係に触れる。「akkinさんとは、先ほどもご紹介いただいた通り、僕がまだ10代ぐらいのときから、日本で活動している間、もう5人目のメンバーといっても過言ではないぐらい、いろんな曲を一緒にやらせていただきまして、本当に心から感謝してもしきれない、日本で一番大事なアレンジャーでありプロデューサーの1人です。今日はこのような場に呼んでいただいて、本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。さらに、「(今日は自分以外にも)アーティストさんが3組いて色んな曲をやるじゃないですか? 自分の誕生日に自分の首をしめるようなことをわざわざやるところがすごくakkinさんっぽいなと(笑)。僕らとしては、心の底からお祝いにしに来てるので、どうか最後まで疲れずに楽しんで帰ってください」と語り掛けると、「いや、めちゃくちゃ楽しいから大丈夫ですよ(笑)」と笑うakkin。何気ないやり取りに長年の信頼関係と親密さが伝わってくる。ライブを再開すると、akkinのエッヂが効いたカッティングから、「Suddenly」が飛び出した。ハンドマイクでキャッチーなメロディを歌い上げると、一斉にクラップで盛り上がりステージに手を伸ばすオーディエンス。「思い出しますね、ロサンゼルスを」(Taka)「この曲ね」(akkin)「僕も久々にやるんですよ。知ってる人いました? この曲」と客席に問いかけると、大きな拍手が返ってきた。

 2ndステージも大詰めということで、「もう、ちょっと寂しくなってきましたね」とTaka が呟くと、「これでもう、一生ないでしょうからね」と返すakkinに、「一生じゃないでしょ!? 60歳のときに駆けつけますよ」とTaka。「本当に? 聞きましたよね?」と客席を見渡すakkinに大拍手。「じゃあ、今後はちゃんと60歳になる日にやります」(akkin)「いいですね。じゃあ空けときます。(袖に向かって)マネージャー、空けといて」(Taka)と、軽妙なやりとりで楽しませた。最後に披露されたのは、「Be the light」。akkinがアコースティック・ギターを奏で、ステージ背後のカーテンが開き六本木の夜景をバックにTakaが歌う。その柔和な歌い回しに酔わされて、客席からはスマホのライトを掲げる人たちも。終盤、akkinの方を向いてコーラスするTaka。最後は圧巻のロングトーンを響かせて、「akkinさん、おめでとうございます!」と改めて伝えると、バンドに向き直り指揮者のように演奏を締めくくった。

 アンコールの声に応えて、akkinが1人でステージへ。「アンコールありがとうございます! 夢でも見れないような一日になりました。音楽やってきてよかったなと思います。50年間生きてきて、一番贅沢な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございます!」と感謝するakkinに温かい拍手が送られた。さらに「今日は一番の贅沢をさせてもらったので、これからは街のごみとか拾って質素に暮らしていこうと思ってます(笑)」と続けて、客席からドッと笑いが起きた。

 バンドメンバーを1人ずつ呼び込んだ後、上田を呼び込んだakkinは、「僕の人生のバイブルです」とリスペクトを伝える。ゲストボーカルの3人に続いて最後に登場したのは小泉。ステージセンターに立つと、「最後にアンコールでみんなで歌おうということで、akkinが選んでくれました」と紹介して、「アー・ユー・レディ?!」の掛け声から始まったのは、「学園天国」(小泉今日子によるフィンガー5のカバー)。「ヘーイヘイヘイヘイヘイ」と客席とコール&レスポンスして、最初からものすごい盛り上がりに。ドラム、ベース、ピアノ、コーラスのソロからakkinのギターソロを経て、2番ではTakaが歌い出して小泉、阿部、崎山へとボーカルリレーする、締めくくりに相応しい華やかなパフォーマンスとなった。「最高です! ありがとうございました!」(akkin)。最後は出演者全員が一列になってお客さんに感謝の一礼をして、最高にハッピーな余韻を残してバースデーライブは終演となった。

Text:岡本貴之
Photo:福政良治

【akkin Birthday Live 「まだ50歳です。」】
2024年12月18日(水)東京・ビルボードライブ東京

<セットリスト>
崎山蒼志
1. 花火
2. 逆行
3. 燈

阿部真央
4. 貴方が好きな私
5. 女たち
6. いつの日も

黒猫同盟
7. プロヴァンスで夜更かし

Taka(ONE OK ROCK)
8. We Are
9. Suddenly
10. Be the light

En. 学園天国


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