<ライブレポート>.ENDRECHERI. 会場を愛とファンクで揺らした【Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN】ステージ、新曲サプライズ披露も

2024年10月11日 / 20:00

 2011年にニューヨークでスタートし、夏の風物詩となった【Blue Note JAZZ FESTIVAL】。日本では2015年に神奈川・横浜赤レンガ倉庫野外特設ステージで初めて開催され、第1回目はパット・メセニーやインコグニート、翌年の第2回目はアース・ウインド&ファイアーやジョージ・ベンソンなどが出演した。そして今回、実に8年ぶりの開催となった【Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN】は9月21日および22日の2日間にわたって行われ、ナズやパーラメント・ファンカデリック feat. ジョージ・クリントン、マーカス・ミラーやナイル・ロジャース & シックといった豪華ラインナップが東京・有明アリーナに集結。初日のトップバッターを、堂本剛によるクリエイティブプロジェクト=.ENDRECHERI.が務めた。

 バンドはツインギターにベース、ドラム、キーボード、コーラスが2人、ホーンが3人と堂本剛という11人編成。開演時間になると場内が暗転し、バンドメンバーが位置に付き、キーボードの伴奏だけでしっとりと歌い出した「LOVE VS. LOVE」でライブが幕を開けた。2002年にシンガー・ソングライターの“堂本剛”として活動を始めた彼が、20周年を迎えた2022年に初のデジタル・シングルとしてリリースしたファンクバラードだ。バラードから始めるのは意外だったが、堂本剛は〈Love vs. Love〉と繰り返しながら、自身の胸に当てた手を観客へと伸ばし、場内を.ENDRICHERI.の揺るぎないコンセプトである“愛”でいっぱいに満たしていった。

 温かく大きな拍手が湧き上がる中で、ドラムとベースが打ち鳴らした強靭な音を合図に、濃厚なファンク・グルーヴの世界へと突入。エレクトロファンク「4 10 cake」=濃密なバターとたっぷりのメープルシロップをかけたホットケーキでぎゅっと挟んだ構成で、ここからの6曲はほぼシームレス、そのファンク・グルーヴは途切れることがなかった。スーパーの入店音から始まる速いパッセージのファンクナンバー「Super funk market」では、堂本剛はサングラスをかけてラップを繰り出し観客のテンションを上げ、キャッチーでメロディアスなアッパーチューン「MYND」ではコーラス隊と一緒に軽やかなステップを踏みながら、ラップで地球を蹴飛ばし、エフェクトのかかったボーカルで宇宙へと誘う。そして、サングラスを外した「ENDRE IT UP」「FUNK TRON」は、切れ目がわからないくらい滑らかに繋ぎながら、ベースソロからホーン隊のリフを挟み、キーボードやギターのソロでフロアの熱気をじわじわと上げていき、最後は堂本剛が神秘的ながらも親密なファルセットを響き渡らせる。自然と身体を揺らして豊かな音楽を堪能していた観客から大きな拍手が上がった。

 ここで、10月9日にジョージ・クリントンをフィーチャリングに迎えたデジタル・シングルをリリースすることを発表。昨年5月に開催されたジャズ・フェスティバル【LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023】で、堂本剛はジョージ・クリントン&パーラメント ファンカデリックのステージにギタリストとしてサプライズ出演し、「Flash Light」をセッションした。「昨年、ライブでセッションさせていただいた日のバックヤードで、ジョージ・クリントンから一緒に楽曲を作ろうと誘っていただき、実現いたしました。僕自身は今年、新たな道を歩き出し、人生が大きく変わりました。自分の個性を愛し、自分の心を、意思を信じて生きよう。この楽曲は今と向き合い、戦う人々へのエールです」と語り、新曲「雑味 feat. George Clinton」を初披露した。両手を上げて踊りながら〈That’s Me!〉(=「雑味」)と自然体の自分を表現するファンクチューンで観客の心と体を解放した彼は「手を加えて完璧に磨き上げた美しさもあるけど、荒々しいというか、生まれたそのままの自分を愛そうというメッセージを込めています」と語り、最後はこの日初めてエレキギターを手にして、約20分に及ぶフリーセッションへ。堂本剛の即興のリフにバンドがアンサンブルを奏で、彼の語りかけるようなギターソロに観客が両手を上げてクラップを打ち鳴らすと、バンドメンバーが次々にソロパートをプレイ。途中、キーボードの合図で転換し、ホーンのソロのパートではテンポをチェンジ。目まぐるしく変化していくサウンドに体を任せて踊っていると、キーボードがPファンクに愛された“トーク・ボックス”で観客に感謝を伝え、堂本剛による「サンキュ」という言葉とともに締めくくられた。愛と生、マインドとフィジカルがファンクによって心地よく揺さぶられた50分のステージであった。

Text by 永堀アツオ
Photo by 冨田 味我

◎公演情報
【Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN】
2024年9月21日(土) 東京・有明アリーナ


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