<ライブレポート>Homecomingsがストリングス編成で初ビルボードライブ公演 「自分たちの夢が叶いました」

2024年9月27日 / 19:00

 ビルボードライブ初登場となったHomecomings。今回はストリングス・カルテットをフィーチャーした“Chamber Set”での公演だ。東京でチェンバー・セットをやるのは久しぶりのこと。この日、サポートでドラムに入ったのは元CHAIのユナ。畳野、福田、ユナの3人はおそろいのヘアメイクをしていて、バンドがこの公演を楽しみにしていることが伝わってきた。

 オープニング・ナンバーは「Blue Hour」。曲名のブルー・アワーとは、日の出前や日の入り直後に空が濃い青色に染まる時間帯のこと。2ndステージのライブが始まったのが18時だったのでぴったりの選曲だ。ゆったりと曲は進み、途中からストリングスが加わる。そして、太陽が沈んだ後にのぼるのは月。ということで、2曲目は映画『三日月とネコ』の主題歌として書き下ろされた「Moon Sheped」。この曲は石田が在籍時に最後にレコーディングした曲でもある。弾むビートに揺れるストリングス。曲の終盤では、ドラムの前で福富と畳野が寄り添ってギター・ノイズが炸裂する。ユナのタイトなドラムとの息も合っていた。

 これまでの共演を経て、どの曲もバンドとストリングス・カルテットの一体感に磨きがかかっている。なかでも圧巻なのが「euphoria/ユーフォリア」だ。バンド・サウンドとストリングスが緻密に絡み合い、巧みなアレンジで曲は次々と表情を変えていく。そして、そこからギターのカッティングとバイオリンが共鳴するライブ定番曲「光の庭と魚の夢」へと繋がるのが前半のハイライトだ。そして、クラシカルなストリングスが奏でられる「Smoke」は、まさに「煙(Smoke)」のようにふわふわと浮遊感を漂わせたサウンドが会場を包み込んだ。

 「Smoke」を演奏した後のMCで、バンドがビルボードライブの公演を楽しみにしていたことが語られらた。「ビルボードライブでやる、という自分たちの夢が叶いました」と嬉しそうな福富。この日、ビルボードライブでは、Homecomingsにちなんで「Moon Sheped」というオリジナル・カクテルがメニューに加えられたが、どんなカクテルにするのか、そのアイデアを出したのは畳野だったとか。「星型のナタデココが入れられなかったのが残念でした」と畳野は微笑む。そして、「次は大切な曲をやります」と前置きして初期の代表曲「Songbirds」を演奏した。

 「Songbirds」は彼らが京都で活動していた時期に、京都アニメーションの映画『リズと青い鳥』の主題歌として提供した曲。彼らにとって初めての映画主題歌だった。バンドにとって、ファンにとっても感慨深い曲が終わると暗転。ミラーボールが周り出すとステージ背後の幕がゆっくりと開き、六本木の夜景が広がっていく。そして、この日いちばんアップテンポな「US / アス」を演奏。ロックな高揚感に満ちた演奏でライヴのクライマックスを盛り上げる。続くラスト・ナンバーは、昨年リリースされた最新作『New Neighbors』の最後を飾った力強いロック・ナンバー「Elephant」。爽やかな余韻を残してバンドはステージを降りた。

 1時間強というコンパクトな時間だったが、練られた構成と見事な演奏で、一本の映画を観たような満足感を与えてくれたHomecomings。観客の拍手は鳴り止まず、そこで現れたのが畳野一人。「こういう場所じゃないとなかなかできないので」とアコースティック・ギターの弾き語りで「So Far」を歌ったが、これが実に良い雰囲気。ドラマティックに聴かせるストリングス・セットも良かったけれど、こんな親密な歌を聴くことができるのもビルボードライブならでは。星屑を撒き散らしたような夜景をバックに、ギターを爪弾く畳野の姿が美しい。

 曲が終わると他のメンバーやストリングス・チームが戻ってきて、新作アルバム『see you, frail angel. sea adore you.』のリリースが発表された。その新作には、ビルボードライブ公演を収録したブルーレイがセットされたバージョンも発売される、という情報に観客も大喜び。そして、バンドはこの日最後の曲「Cakes」を演奏。「優しいことは忘れないでいる いつだって さよならのあとには」という出だしのフレーズは観客に語りかけているようだった。ライブを通してリラックスした雰囲気で曲を聴かせるHomecomingsを観ながら、こんな大人な会場も似合うバンドになったんだな、と結成10年を超えた彼らの成長ぶりを実感。Homecomingsにとって、ビルボードライブは新しい「ホーム」になるかもしれない。そんな予感がするライブだった。

Text:村尾泰郎
Photo:新家菜々子

◎公演情報
【Homecomings Chamber Set at Billboard Live TOKYO 2024】
2024年9月14日(土)ビルボードライブ東京

【angel near you】
2024年12月20日(金)京都・京都 MUSE
2024年12月21日(土)愛知・名古屋JAMMIN’
2024年12月22日(日)大阪・梅田Shangri-La
2024年12月28日(土)東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
2025年1月18日(土)石川・金沢 vanvan V4
2025年1月19日(日)香川・高松TOONICE
2025年1月21日(火)福岡・the voodoo lounge
2025年1月24日(金)宮城・仙台 enn 2nd
2025年1月26日(日)北海道・札幌 ベッシーホール

◎リリース情報
アルバム『see you, frail angel. sea adore you.』
2024/11/27 RELEASE


音楽ニュースMUSIC NEWS

故マック・ミラー、遺作AL『バルーンリズム』が『サークルズ』5周年記念日にリリース決定

洋楽2024年11月22日

 故マック・ミラーの遺族が、2020年にリリースされた最初の遺作アルバム『サークルズ』の5周年を記念して、2枚目の遺作アルバムをリリースする予定だ。『サークルズ』は、2018年に急逝したミラーが生前に制作していたアルバムだった。  米ピッツ … 続きを読む

Eve、TVアニメ『アオのハコ』EDテーマ「ティーンエイジブルー」MV公開

J-POP2024年11月22日

 Eveが、TVアニメ『アオのハコ』エンディングテーマとして書き下ろした「ティーンエイジブルー」のミュージックビデオを公開した。  現在配信中の本楽曲は、11月27日発売のニューアルバム『Under Blue』にも収録される。 ◎映像情報 … 続きを読む

TM NETWORKのツアーに密着、デビュー40周年ドキュメンタリー映画の公開決定

J-POP2024年11月22日

 TM NETWORKのドキュメンタリー映画『TM NETWORK Carry on the Memories -3つの個性と一つの想い-』が、2025年春に劇場公開される。  1984年4月21日に、シングル『金曜日のライオン』でデビュー … 続きを読む

モーニング娘。’24が初登場、「恋愛レボリューション21」を披露<THE FIRST TAKE>

J-POP2024年11月22日

 モーニング娘。’24の一発撮りパフォーマンス映像『モーニング娘。’24 – 恋愛レボリューション21 / THE FIRST TAKE』が、2024年11月22日22時にYouTubeプレミア公開される。  一発撮りのパフォー … 続きを読む

tuki.、「15歳になるまでに作った曲」を集めた1stアルバム『15』リリース決定

J-POP2024年11月22日

 tuki.が、2025年1月8日に1stアルバム『15』を発売する。  同作は、tuki.が15歳を迎えるまでに作ったという楽曲が収録されたアルバム。「晩餐歌」をはじめ、「一輪花」「サクラキミワタシ」「ひゅるりらぱっぱ」といった既発曲のほ … 続きを読む

Willfriends

page top