ケプラ、満員となった【ニュートン ワンマンツアー】でメジャーデビューを発表

2024年6月25日 / 13:05

 ケプラが、バンド史上最大規模となった【ニュートン ワンマンツアー】の最終公演を6月23日に恵比寿LIQUIDROOMで開催した。

 ケプラは柳澤律希(Vo./Gt.)、けんた(Gt.)、かず(Ba.)、ハヤト(Dr.)からなるロックバンドであり、高校2年生のときに同級生にて結成。受験の為にライブ活動を休止していた間にTikTokを中心に「これからのこと」が大注目され、一躍ネクストブレイクの筆頭バンドとしてシーンに躍り出る。高校卒業後はバンドを中心とした生活にシフトし、新曲もリリースし続けながら幾度となく全国ツアーも開催。20歳になったタイミングで制作し、これまでの3年半とこれから先の広がりを詰め込んだ1stフルアルバム『20』を引っ提げて行ったのが本ツアーであり、この最終公演は重要な節目であると同時に新たなスタートを告げるステージにもなった。

 早々にソールドアウトとなっただけあって、パンパンにフロアを埋め尽くした観客が今か今かとスタートを待ち構えていると、そこに流れたのはSEではなく、ツアータイトルのニュートンを連想させる博士や助手になったメンバーによる寸劇。リラックスして楽しんで欲しいという気持ちの表れでもある嬉しいサプライズの後、柳澤の「東京、よろしく!」という号令から「記念日」で始まったライブはまさに今の彼らをすべて詰め込み、しっかりと未来も感じさせる充実の内容だ。キレと抜けがいい代表曲「これからのこと」やケプラとしての始まりの曲「デイズ」も惹きつけるグルーヴが加わり、成長を感じさせる1曲として仕上がっている。その後のMCでお互いの緊張ぶりを同級生ならではの空気感でイジり合う場面もあったが、そんなことは微塵も感じさせないスタートダッシュを決めていくのだ。

 もっと気持ちを重ねようとする観客から大きなシンガロングが起こった「噂のツインズ」ではけんたのギターソロも炸裂し、よりライブの勢いを加速させるように疾走感抜群な「春が過ぎたら」を続けた流れも秀逸。柳澤は誰も置いてかないと言わんばかりにいちばん奥まで視線を飛ばし、彼らならではの快活なムードがどんどん増幅していく。

 序盤にこれまで注目を集めた曲を連投していったが、それは今のケプラならどんな曲でも勝負ができるという自信の表れであろう。そんな頼もしさも胸が熱くなるポイントだった。

 16歳のときに感じた不安や葛藤を綴り、当時の自分と向き合うように真摯に歌い上げた「16」、その心地よさに身を委ねたくなるミドルバラード「そばにいてね」で会場を包み込んでから、「かさねる」と「プランB」はアコースティックバージョンで披露。シンプルに削ぎ落としたアレンジにするのではなく、柳澤の弾き語りに3人が折り重なっていく「かさねる」、カントリー調のポップさを活かしながら温かみを持たせるアプローチになっていた「プランB」というようにバンドのポテンシャルもしっかり感じさせてくれた。

 後半戦に入っても淀みはなく、「一緒にいてくれる人?」という柳澤の呼びかけに満員の観客が両手を突き上げて大声を上げるという美しい光景も広がった「うわごと」は、青春時代がコロナ禍だったという彼らだからこそ、<きっとなんとなく過ごしていたら/なんとなく人生は終わってしまう>というフレーズも沁みる。1秒たりとも無駄にしないと自らの足で動き続けるバンド活動に邁進する彼らを投影しているようでもあった。

 ただ、何もかもがすべて順調なわけでもない。乗り越えるべき壁や悩みは何事にもある。「楽しいだけじゃダメで、一緒に楽しめるのって何だろう、っていろいろ考えて、途方もない不安みたいなモノが襲ってくるときがあります。みんな味方なのに、友達なのに、敵なんてひとりもいないはずなのに……みんなが怖くてたまらないときがあります」と柳澤が胸の内を明かしてから披露したのが「未来で逢いたい」だった。バンドに限らずとも、誰もが日常生活で抱えるモヤモヤした部分はあるはず。それをすべて振り払うことはできなくても、心は折れずに歩みを進める自信が欲しい。自分たちに活を入れるようでもありながら、バンドの強烈な意思表明として響き渡らせていく。

 終わらない愛を捧げるように歌った「family」でシリアスな表情も見せつけてから、ラストスパートは終わりが迫る名残惜しさを振り払うよう元気いっぱいに「ルーシー」、SNS上でも大いなる共感を呼び、すでに彼らの新たなアンセムとなっいる「ぼくのてんし」を響かせてムードはまさに最高潮。「まだまだケプラ、これからです。応援、よろしくお願いします!」と柳澤が伝えてから、本編の締めくくりとしては「剣」をセレクト。本ツアーで感じ取ったことや受け取ったモノ、それら全部を抱きしめて、ひとつひとつの音や言葉に想いを込めて丹念に鳴らしていった。

 そして、もう少し一緒にいたいという観客からの大声援で呼び戻された彼らはツアーを完走した喜びを口にし、その後4人がせーので息を合わせて伝えられたのはメジャーデビューというビッグニュース。万雷の拍手に包まれる祝福ムードの中、9月4日に1stメジャーシングル「キセキ」でユニバーサル ミュージック/EMI Recordsよりメジャーデビューすると詳細が語られ、それに伴いオフィシャルFC「ZUTTOMO」の開設も発表された。

 「メジャーデビューがスタートラインとして進んでいけたら」(けんた)、「これからもこの4人で楽しくやっていけたら」(ハヤト)、「これまでと変わらずに変わったことをやっていけたら」(かず)、「この4人とずっとずっと応援してくれるみんながいれば、どんな壁も乗り越えていける」(柳澤)と意気込みを語り、アンコールとして「キセキ」を初披露。4人の歌声とアコギのみで構成された曲であり、根底にある友達としての関係性を崩さずに大海原へ乗り出す彼らの意志が混じりっけなしで伝え、見事なフィナーレを飾ってくれた。

 これからメジャーデビューを機に彼らの物語はどのように進んでいくのか。きっと誰のようでもなく、あくまでケプラはケプラとして歩んでいくに違いない。

Text by ヤコウリュウジ
Photo by Ryohey Nakayama

◎公演情報
【ニュートン ワンマンツアー】
2024年6月23日(日)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
<セットリスト>
1.記念日
2.これからのこと
3.デイズ
4.くしゃみ
5.噂のツインズ
6.春が過ぎたら
7.グランピー
8.百獣の唄
9.16
10.そばにいてね
11.かさねる
12.プランB
13.うわごと
14.未来で逢いたい
15.family
16.ルーシー
17.ぼくのてんし
18.剣
EN.キセキ(新曲)

◎リリース情報
シングル「キセキ」 
2024/9/4 DIGITAL RELEASE


音楽ニュースMUSIC NEWS

石崎ひゅーい、初カバーAL『night milk』全曲聴けるトレーラー公開

J-POP2024年11月22日

  石崎ひゅーいが、11月27日に発売する初のカバーアルバム『night milk』に収録される全曲を試聴できるトレーラーを公開した。   『ナイトミルク』は、石崎ひゅーいが、デビュー翌年の2013年11月7日よりスタートさせたインターネッ … 続きを読む

ももクロ・佐々木彩夏が率いる浪江女子発組合、新曲「会いに行っていいですか」“コール指南動画”公開

J-POP2024年11月22日

 佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)が総合プロデューサーを務めるグループ・浪江女子発組合が、12月4日発売の1st EPリード曲「会いに行っていいですか」のコール練習動画を公開した。  今回公開された映像は、新曲「会いに行っていいですか」を … 続きを読む

【コーチェラ2025】ヘッドライナーを務めるレディー・ガガ、“カオスな夜”が楽しみと明かす

洋楽2024年11月22日

 レディー・ガガが、自身の“ロックンロール・ファンタジー”をついに実現させることになる。来年の【コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル】のヘッドライナーの1人として発表された彼女は、SNSでこのニュースへの興奮と意 … 続きを読む

由薫、Netflixアニメ『BEASTARS FINAL SEASON』ED曲を含む4曲入り新作EPリリース決定

J-POP2024年11月22日

 シンガーソングライター由薫が、新作EP『Wild Nights』を2025年3月にリリースする。  12月5日配信開始の新曲「Feel Like This」が、同日よりNetflixにて独占配信スタートするアニメ『BEASTARS FIN … 続きを読む

マイリー・サイラス、サブリナ・カーペンターやチャペル・ローンにへの影響について語る「大切なのは自分なりのやり方でやっていくこと」

洋楽2024年11月22日

 Spotifyのストリーミング再生数が10億回を超えている楽曲を6曲持っているマイリー・サイラスだが、長年にわたって彼女の音楽を聴いていた人の中には影響を受け、やがて自分も大スターになった人たちがいる。  米ビルボードに独占公開された『B … 続きを読む

Willfriends

page top