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<ライブレポート>Gahoの初来日ツアーで見る多才ぶり、THE BEAT GARDEN共演も遂に実現

 韓国シンガーソングライターのGahoが自身初のジャパンツアーをビルボードライブ東京と大阪で開催し、圧倒的な歌声で観客を魅了した。4月20日に行われた東京公演の1stショーの様子をお伝えする。

 忘れられない素敵な夜を予兆するかのように、記念すべきツアー初日の1stショーは「Beautiful Night」でスタートした。Gahoもメンバーの一人であり、今年バンドとしてデビューも控えるKAVEの生演奏によって今までイヤホンや画面越しで聴いていた楽曲に真新しさを感じつつ、Gahoの力強くインパクトのあるボーカルが終始楽しめる。

 「Lost my way」を経て、一息ついたGahoは「ビルボードライブ東京へようこそ。Gahoです。みなさん、今日は来てくださってありがとうございます」と少し恥ずかしそうに日本語で挨拶し、オーディエンスは拍手と歓声で温かく迎える。「日本で単独ライブを行うなんて夢のまた夢だと思っていました。ツアーが実現できて信じられません」と喜びを噛み締めている姿が印象的だった。

 「それでは次にいきましょうか?」と、ここからは会場の雰囲気にマッチする大人モードに。 韓国はもちろん、他国でもライブ経験があるGahoとKAVEだが、食事を楽しみながらフォーマルな雰囲気を味わうライブハウスの経験はあまりないだろう。会場の特性も理解して、今回のツアーのためにじっくりと内容を考えてきてくれた。グルーヴィーな「Diamond」でGahoはステージ上をクルクルと回ったり、KAVEのメンバーたちにプレイを煽ったりしたが、ハイチェアに座るGahoにピンスポットが当たった「Love Me」は、まるでジャズバーにいるような時間に。視線を落として始まった「Lonely」はタイトル通り、一人では拭いきれない寂しさを歌う曲だが、キーボーディストのHyunが観客にウェイブを扇動し、優しさがGahoを取り囲むと、寂しさなどどこかに飛んでいった。

 名作『サウンド・オブ・ミュージック』からの一曲「私のお気に入り」と、尾崎豊「I Love You」のカバーは、アレンジをたっぷりと入れて、楽器それぞれの音も楽しめるスタイルで披露。マッコリ(ノンアルはヨーグルト)をベースにしたオリジナルドリンク「シジャ」を楽しむオーディエンスを目の前に、「飲んだり食べたりして楽しんでくださいね」と催促するGahoだが、その美声を目の前で繰り広げられてしまっては、どうしても手が止まり見入ってしまうのが本音だ。オーディエンスから好感触を得たGahoたちは、Official髭男dism「Pretender」も少しだけ披露。こちらも原曲に負けない伸びやかな歌声で会場にいる全員の気持ちを一層と盛り上げていく。Hyunと「よくできた!」と喜び、はしゃぐ姿がおちゃめだった。この日の2ndステージではマイケル・ブーブレ「オール・オブ・ミー」と優里「ドライフラワー」をカバーしたようで、こちらも素敵な歌声が披露されたことが想像できる。

 ここで、スペシャルゲストのTHE BEAT GARDENが登場。パク・ソジュン主演の大ヒット韓国ドラマ『梨泰院クラス』、竹内涼真のリメイク版『六本木クラス』のテーマソングをそれぞれ担当したことをきっかけに、対談やリモート共演を通じて交流を深めてきた両者だが、生で一緒にパフォーマンスをするのはこの日が初めて。日本の梨泰院と比喩されるここ六本木は、THE BEAT GARDENが下積み時代を過ごしたエリアでもあり、「いつかステージで一緒にそれぞれの言語で歌う機会があれば」とともに熱望していただけに、オーディエンスだけでなく、彼らもこの瞬間を待ちわびていたはずだ。

 一緒に歌うのは、もちろん「Start Over(はじまり)」。話していた夢の通り、日本語と韓国語を交えたパフォーマンスだ。〈ウォ!〉のパートで観客全員が当たり前のように拳を上げ、掛け声をするシーンを目撃。最後の〈そのままで〉をGahoとUが向かいあって歌い上げるシーンは感動的でもあった。約2年越しの夢が、縁のある場所で遂に実現した。

 この日はTHE BEAT GARDENの新曲「present」を4人で歌うサプライズも。事前のやり取りでてっきりGahoが韓国語で歌うと思っていた3人だが、日本語で歌うためにたくさん練習してきてくれたことを当日のリハーサルで知ったという。原曲キーそのままに、4人の優しくも説得力のある歌声が、愛をストレートに歌う曲の世界観にマッチしていた。

 会場が温まったところで、Gahoがこれまで担当した韓国TVドラマのOST(劇中歌)メドレーへ。『私の恋したテリウス』(2018)より「そうやって胸はときめく」と、2PMジュノと少女時代ユナのケミ(相性の良さ)が好評を得た『キング・ザ・ランド』(2023)より「Yellow Light」、そして若者たちの成長と挑戦を描いたナム・ジュヒョクとスジの共演作『スタートアップ:夢の扉』(2020)より「Running」のベストパートがそれぞれ歌われ、聞きなじみのある楽曲にオーディエンスもウキウキしているのが筆者の席から見てとれた。Gahoもそれを感じ取ったのだろう、返しに足をのせてロックスターのように「叫べ東京!」とムードを一気に盛り上げて、KAVEも気持ちよさそうにプレイしていた。

 Jisang(Gt.)、Hyun(Key. / Pf.)、Ownr(Key. / Ba.)、Kekinu(Dr.)がそれぞれ日本語で挨拶し、今年このメンバーと一緒にKAVEというバンドでアルバムをリリースすることをアナウンスしたあとは、「Going On」と「Memory」とGahoが20代前半に書いた楽曲がプレイされるのだが、改めて彼の声域の広さに圧倒される。歌謡曲もポップスもロックもR&Bもお手のもので、近年、韓国内でもバンドブームが来ているように、モダンでありながらどこか懐かしさも感じるKAVEのサウンドは、バンド好きのリスナーの心に刺さるはず。本編最後は自身のデビュー曲「Stay Here」を堂々と歌い上げ、Gahoはステージをあとにした。

 アンコールでは、なんとGahoは会場を歩きながら、観客一人ひとりとハイタッチ。「Right Now」のバンド演奏をバックに、熱唱するよりも、コロナ禍で会えなかった時間もサポートしてくれたファンに直接感謝を伝えることに注力するGahoの心意気と優しさにオーディエンスも大満足だ。残念ながらハイタッチできなかった人のためにも、フォトタイムを設け、この日をいつでも、どこでも振り返られるように記録も残していく。

 そして、最後の最後にGahoが選んだのは、もちろん「はじまり」。苦境に立ち向かう主人公パク・セロイに気持ちを重ね、何があってもめげない彼から勇気をもらった人も多いだろう。ドラマを盛り上げたこの曲も多くの人の心に残る、2020年代を代表する韓国ドラマOSTだ。イントロが流れた途端、立ち上がるオーディエンスが続出し、最後は大合唱で幕を閉じた。通常のビルボードライブ公演よりやや長めの約90分のショーでGahoは人々の記憶に残る素晴らしいパフォーマンスをして観客の心を掴み、自身初の来日ツアーの足跡を大きく残していった。

Text by Mariko Ikitake
Photos by Yuma Totsuka

◎公演情報
【Gaho 1st JAPAN Tour at Billboard Live】
2024年4月20日(土)東京・ビルボードライブ東京
2024年4月22日(月)大阪・ビルボードライブ大阪
※終了

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