<ライブレポート>有安杏果、本格的なジャズで酔わせた【Jazz Note 2024】

2024年2月19日 / 16:00

 有安杏果が、ビルボードライブツアー【有安杏果 Jazz Note 2024】を開催した。2月13日の横浜公演を皮切りに、14日は東京、16日は大阪で各日2ステージ制で全6公演を実施。本稿では、初日の横浜公演・2ndステージの模様をお届けする。

 幼少期から芸能活動を始め、音楽や写真など幅広い分野で活躍している有安杏果。彼女の初のビルボードライブは、ジャズピアニストの大林武司を迎え、ボーカル、ピアノ、ベース、ドラムによるバンド編成で臨んだ。

 開演時刻にバンドメンバーのAlon Benjamini(Dr.)、小川晋平(Ba.)、大林武司(Pf.)がステージに姿を現すと、続いて有安が登場。演奏はAlonのドラムから始まり、大林のピアノと小川のベースが加え、有安が英語でジャズの名曲「Bye Bye Blackbird」「Social Call」「You’d Be Nice to Come Home to」を立て続けに披露。少し驚いた表情を見せた観客もいたが、すぐに有安の甘美な歌声と洗練されたバンドの演奏に酔いしれていく。有安も歌唱中にバントメンバーや観客とアイコンタクトを取り、MCでジャズという普段親しみを感じていないジャンルに緊張しているオーディエンスに「何でそんなに硬いの? いつももっと元気じゃん」と冗談まじりながら話しかけ、会場が一気に微笑ましい空気に包まれた。

 続いて披露されたのは「Speak Low」。曲名の通りにささやきのような歌声と大林・小川それぞれのソロパートに盛大な拍手が送られる。間奏では、Alonが変化自在なドラムソロを演奏し、会場を圧倒させると、有安もそれに負けないように即興的にスキャットを披露。歌声とドラムの音が2人のダンスのように、時には激しくぶつけ合い、時には同調していく。その勢いが「How High the Moon」に続き、再び各楽器をフィーチャーしたパートの演奏が終わり、有安の歌が演奏を締めくくると、会場のボルテージも最高潮に達した。

 後半で「Over the Rainbow」も披露。ピアノの最小限の音を背景に、有安の歌声の抑揚が楽曲に含まれている感情をすべて引き出し、客席が静かに魅入れていく。MCでは、次に新曲を披露することを伝えると、客席から大拍手が送られる。「Tsuki Talk」と題された新曲は「お月様とお話しをする」がテーマ。月明かりのような照明の中で、悲しさに近い儚さを纏っていた歌声が弓で弾いたベースの低く沈んでいる音色とともに、暗雲の隙間に月を見上げる侘び寂びを感じさせた。2曲目の新曲「Regeneration」では、有安と大林のリクエストに応え、会場が一体となりメロディーを口ずさんでハーモニーになっていく。演奏中に大林も「バンドいらないですね。みんながバントだ」とこの一体感に感服された。オーディエンスとともに完成させたこの曲は、まさにタイトル通り音楽の形を歌い手と聞き手の関係を超えて「再生」していると言えるだろう。

 拍手と歓声の中で迎えたアンコールでは、有安が代表曲「サクラトーン」のジャズアレンジを披露。「みんなに春が訪れますように」と有安が優しく願いを込めたこの楽曲は、オリジナルバージョンと比べて、センチメンタルなギターの旋律はメロウなジャズピアノの音色に変えて、春の木漏れ日を彷彿させるような暖かさが別離の季節の切なさと同居するようなムーディーな一曲となっている。演奏が終わると、4人は上手、下手側、そして中央のオーディエンスにそれぞれ深く一礼をしてステージを後にし、この日の公演は幕を閉じた。

 全曲を英語で歌い上げた有安。その努力の片鱗はSNSなどでも見える。ジャズというジャンルはアドリブなど不確実性が満ち溢れているが、この夜に会場にいたすべての人は間違いなく確実に彼女の努力の結晶に触れただろう。彼女は今後どのようなパフォーマンスを届けてくれるか、期待しかない。

Text by:ian li
Photo by:Apricot Music Records

◎有安杏果コメント
3日間初めてのビルボードライブツアーありがとうございました。
お客さんとして観に行ってた憧れの場所で、ずっとやりたかったJazzライブを素敵なメンバーと一緒に出来て嬉しかったです。
私のファンの皆さんもビルボードライブという場所でJazzの世界に浸って楽しそうにお酒を飲んでる姿、少し頬がピンクに染まった笑顔が新鮮で印象的でした。まるで私のライブじゃないみたいでした。
デザートやカクテルもオリジナルで作れて嬉しかったです。
私自身今回初めて全編英語で歌うのも勿論初挑戦だったし、気分はもうニューヨークでライブをしているかのような演奏力、音に包まれて歌うことが出来て刺激受けまくりの日々でした。
またパワーアップしてビルボードライブのステージに立てるようにこれからも頑張ります!!

有安杏果

◎セットリスト
【有安杏果 Jazz Note 2024】
2024年2月13日
神奈川・ビルボードライブ横浜
(2ndステージ)
01. Bye Bye Blackbird
02. Social Call
03. You’d Be Nice to Come Home to
04. Speak Low
05. How High the Moon
06. Over the Rainbow
07. Corcovado
08. Tsuki Talk
09. Regeneration

EN. Sakura Tone


音楽ニュースMUSIC NEWS

【Top Japan Hits by Women】月10ドラマ『モンスター』の主題歌、ちゃんみな「FOREVER」など9曲が初登場

J-POP2024年11月23日

 Billboard JAPANとSpotifyによるコラボレーション・プレイリスト「Top Japan Hits by Women」が、11月22日に更新された。  Billboard JAPAN Hot 100からWomen Songs … 続きを読む

和楽器バンド、活休前最後のツアーが開幕 10年分の感謝をこめた渾身のステージ

J-POP2024年11月23日

 2024年12月末をもって無期限の活動休止を発表している和楽器バンドのツアー【和楽器バンド Japan Tour 2024 THANKS ~八奏ノ音~】が、11月22日・23日の東京・LINE CUBE SHIBUYAからスタート、そのオ … 続きを読む

DECO*27、新曲「モニタリング」MV公開

J-POP2024年11月23日

  DECO*27が、新曲「モニタリング」のミュージックビデオを公開した。   新曲「モニタリング」は、ドアスコープを覗き込む初音ミクを起点に物語が始まる歌謡曲ベースハウス。   冒頭はドアベルとノックの効果音から楽曲がスタートしており、「 … 続きを読む

荒谷翔大、鈴木真海子(chelmico)を迎えた「Focus feat. 鈴木真海子」配信リリース決定

J-POP2024年11月23日

  荒谷翔大がソロとして初めて客演を迎えた楽曲、「Focus feat. 鈴木真海子」を12月6日に配信リリースすることが決定した。   10月に配信リリースした最新曲「Focus」に、鈴木真海子(chelmico)がリリックを書き下ろし歌 … 続きを読む

ももいろクローバーZ、Xmasライブ映像作品より「momo」ライブ映像公開

J-POP2024年11月23日

  ももいろクローバーZが12月18日に発売する『ももいろクリスマス2023 PLAYERS』LIVE Blu-ray&DVDより、「momo」のライブ映像を公開した。   今回公開された映像は、2023年12月23日・24日の2日 … 続きを読む

Willfriends

page top