<インタビュー>ジェニファー・ロペスが自身の恋愛遍歴を追体験『This Is Me…Now ディス・イズ・ミー… ナウ』と10年ぶりアルバムを語る

2024年2月16日 / 18:00

 ダンサー、歌手、女優、プロデューサーとして30年近くも第一線で輝き続けるジェニファー・ロペス。キャリアとともに数々の恋愛遍歴も注目を集めた彼女が映像と音楽で自身の愛とそこから得た気づきを語るオリジナル作品『This Is Me…Now ディス・イズ・ミー… ナウ』が、Prime Videoで配信され、同作品を彩る楽曲を集めた10年ぶりのオリジナル・アルバムもリリースされた。

 作品の話に入る前に、彼女のキャリアを簡単におさらいしよう。ダンサーとしてキャリアをスタートさせたジェニファーは、1990年代後期の主演映画『セレナ』や『アウト・オブ・サイト』を経て、音楽業界に進出。2001年のラブコメ『ウェディング・プランナー』や2ndアルバム『J.LO』の大ヒットとともに、その地位を確立させた(芸能人の香水プロデュースの礎を作った人物であることも忘れてはいけない)。2002年~2004年に交際していた俳優ベン・アフレックとの恋愛模様はメディアを賑わせ、交際期間中に発表した3rdアルバム『ディス・イズ・ミー・・・ゼン』は600万枚以上を売り上げた。ベンと破局後も出演映画や楽曲のヒットはやまず、2020年の【スーパーボウル】のハーフタイム・ショーではシャキーラとWヘッドライナーを務める。現在はラテン界のスター歌手マーク・アンソニーとの間にもうけた双子の子どもたちと、2022年に結婚した4人目の夫であり、18年ぶりの復縁が話題を呼んだベンと暮らしている。

 私生活もオープンにしてきた彼女には“恋多き女性”というイメージがつき、様々な批評も生まれた。そういったすべてを本人が理解しながら、改めてジェニファー・ロペスという人間、そして彼女に似た人物を通して愛とは何かを伝えているのが、この映像作品だ。

「もちろん世間は私が何度も結婚していることを知っているわけで、その部分が最も注目を集めることはわかっていました。主人公を演じて、私はある意味、追体験をしたわけですが、何か追求することを、性別で判断すべきではないと思います。この作品で描かれているのは、ただただ愛を見つけたいと願う一人の人間の旅路、そしてどうやって最終地点に辿り着いたかの過程です。」

 画面越しに現れたスーパースターは、とても明るい表情で、各国メディアから出る質問に対しても包み隠さず、しっかりとした口調で話す。最新作のタイトルからは2002年に発表した“ゼン”アルバムとの繋がりを感じさせずにはいられないが、当時をこう振り返る。

「今聴くと、とても無邪気なアルバムのように感じます。歌声は今よりもピュアに聞こえますし、当日の私は人生の伴侶と本気の恋愛をしていて、“近所のジェニー(Jenny from the block)”だなんて言ってもいました。あの頃の私はちょうど自分がなりたかった自分になっている、人生の転換期でした。」

 ベンとの復縁をきっかけに、「これが今の私なんだ」と世界に表明するアルバムを作ろうと奮い立ったという。「この20年の間に何があったのか、私が現在に至るまでにどれだけのことを経験し、変化を遂げたのかを掘り下げたおかげで、この作品が実現しました。『ゼン』を作っているときは、のちに『ナウ』ができるなんて当然思ってもいませんでした。二作品を通して一緒に私の人生の旅路を辿りながら、私が得たものを皆さんにも感じてほしいです。その中には、たとえば『真実の愛なんて存在するのか?』『永遠に続くものはあるのか?』という疑問に対する答えも含まれています。私は救いようのないロマンチストとして生きてきましたが、本当に愛は存在するんだということ、そして、愛することを諦めないでほしいと伝えたいんです。過去の出来事も今の自分も受け入れることの大切さ、世界中で何よりも自分を愛すべきだということも。」

 ニュー・アルバムのタイトル曲はこの映像作品のハイライトでもある。ありのままの自分を受け入れること、そして最も重要なポイントでもある自己愛について歌ったこの曲は、ジャスティン・ティンバーレイクとティンバランドによる大ヒット曲「クライ・ミー・ア・リヴァー」をサンプリング。2002年発表の原曲は、恋人の裏切りによって終了した関係を「川の水ほどの量の涙を流して後悔するがいい」と歌った悲しい内容ではあるが、ジェニファーの場合は少々意味が異なる。

「レコーディング・スタジオに入った初日に『Greatest Love Story Never Told』と『This Is Me…Now』の2曲を書きました。アルバムの共同プロデューサーの一人であるエンジェル・ロペスは、スタジオにいる間、曲のフィーリングとマッチするサウンドや要素を常に探していて、彼はそれを探し出す天才です。本編で使用されていないアルバム収録曲『To Be Yours』では、ルーサー・ヴァンドロスを取り上げています。エンジェルはほんの少しですが『クライ・ミー・ア・リヴァー』を『This Is Me…Now』の最後に付け加えました。『This Is Me…Now』が示していること――自分を受け入れ、ありのままの自分を愛すること――に到達するには、川ほどの涙が値します。幼少期や過去、人間関係、そういったものを深く掘り下げていくときには、測りきれない大粒の涙が伴うことを私は知っていますから。そういう意味で、この曲にマッチすると思ってサンプリングしているんです。」

 同曲の劇中シーンは、ジェニファーの憧れでもあるジャネット・ジャクソンやマイケル・ジャクソンを彷彿させるダンスブレイクがある(ジェニファーはジャネットのバックダンサーを務めている時期があった)。「私はミュージカルを見て育ちましたし、マイケルやジャネットのビデオからも影響を受けました。MTV世代ですから。私の人生には良いことも悪いこともありましたが、その経験すべてから得たインスピレーションをもとに、絶望的なロマンチストの旅を心温まるファンタスティックな方法で描いています。」

 現在の自分に辿り着くまでに大量の涙を流したことを明かしたジェニファー。視聴者は彼女の実体験を新しい方法で体験することになるが、彼女が自分の人生を振り返る中で一番辛かったこととは。

「本当は深く傷ついていたこと、憤っていたということを自認することでした。私は怒りやすいタイプではないですし、くよくよせずに前を向いて次に進んでいたと思っていたものの、本当はずっと怒りや悲しみが溜まっていたんです。『こんな自分じゃなかったら』と心の奥底では思っていたんですね。でも、ベンとまた会えたおかげで、私はこのままでも大丈夫で、嫌だと思っていた過去にも向き合うことができました。内に秘めた愛が時としてどれほど難しいものになるか。この物語は、人生のそれぞれの瞬間で自分を受け入れ、自分を愛し、許し、『これが今の自分なんだ』と思えるようになることが大切であると伝えています。私が完璧だとか、私の行いはすべて正しいと言っているのではありません。それどころか、答えが見つからないものがたくさんあります。それでも私は自分が生きてきた道を感謝し、自分を愛しています。自分が何者であるか、どうやってここまで来られたのか。それをやり遂げた自分に感謝しているんです。」

Text by Mariko Ikitake
Photos by NORMAN JEAN ROY 

◎作品情報
『This Is Me…Now ディス・イズ・ミー… ナウ』
2024年2月16日(金)より、Prime Videoにて独占配信
監督:デイヴ・メイヤーズ
出演:ジェニファー・ロペス、ファット・ジョー、ポスト・マローン、トレバー・ノア、キキ・パーマーほか
(C) Amazon Content Services LLC


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