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ACIDMANが、2024年2月6日にTOKYO DOME CITY HALLにて、映画『ゴールデンカムイ』主題歌「輝けるもの」のシングル発売記念として【New Single Release Live「輝けるもの」】を開催。映画で鶴見中尉役を演じる玉木宏がサプライズ登場するなど、一夜限りのスペシャルライブで集まった観客を大いに楽しませた。
映画『ゴールデンカムイ』は、累計発行部数2,700万部を突破している同名コミックを山﨑賢人主演で実写映画化したもの。公開されるや、2月4日までの17日間で観客動員数111万人、興行収入16.3億円を突破しており、観客の満足度96%という高評価を得ている話題作だ。この日は、ACIDMANが今作のために書き下ろした主題歌「輝けるもの」をライブ初披露するだけでなく、イベントのために編集された『ゴールデンカムイ』特別映像の上映も予定されており、会場はフロアからスタンド上階までギッシリと埋まっていた。
開演の18時30分を過ぎて暗転すると、ステージバックの巨大なスクリーンに『ゴールデンカムイ』予告映像が流れ、「大ヒット上映中」の文字に大きな拍手が起こった。オープニングSE「最後の国」が徐々に大きくなる中、盛大なクラップで迎えられて、大木伸夫(Vo./Gt.)、佐藤雅俊(Ba.)、浦山一悟(Dr.)が姿を現した。スタンバイすると、なんとライブはいきなり新曲「輝けるもの」でスタート。もったいぶることなく、この日のメインである楽曲から始まったライブに、場内は初っ端から爆発的な盛り上がりとなった。激しく疾走するリズムに乗せて歌う大木の放つ言葉を、飛び交う青いレーザーと照明がさらにブーストする。「こんばんはACIDMANです! TOKYO DOME CITY HALL へようこそ! 最高の1日にしよう!」。大木の第一声から、浦山の叩くトライバルなリズムに導かれて始まったのは「ストロマトライト」。映像の中で広がっていくスモークも相まって、混沌としたムードに。サビでは佐藤が飛び跳ねながらベースを弾いてフロアを煽る。続く「波、白く」ではまさに会場が一瞬白くなるほどの眩い光がステージから放出されるなど、序盤からダイナミックな照明の演出もあり、気分を高揚させた。
「今年初ワンマンです。新曲『輝けるもの』発売記念ライブ…もうやっちゃったけどね(笑)」と話す大木に、場内から笑いが起こる。「映画『ゴールデンカムイ』観てくれましたか? こんな素晴らしい映画の主題歌をやらせてもらえるなんて、本当に光栄だなってつくづく思っています。観れば観るほど映画の世界に入り込んでいって、『輝けるもの』という曲がどんどん生命を帯びていることを感じています。映画同様、最後の最後まで見逃せないライブにしたいと思います」。
ミラーボールが輝く中、最高のカタルシスを感じさせたダンスチューン「FREE STAR」、じっくりと時間をかけて染み込んでくる「アルケミスト」、映像の中の森林から聴こえてくるようなミディアムテンポの「リピート」、荒涼とした未来に佇むロボットの姿が切ないミュージック・ビデオをバックに歌われた「2145年」と、歌と演奏、映像と照明の演出が曲ごとに感情を揺さぶる。
「世界が終わる夜」を歌う前に大木は、「明日なんて誰にも来ないかもしれない。だから今、人に優しくしてください。今、誰かを愛してください。その繋がりが、美しい人生になるんじゃないかなと思います」とメッセージ。その言葉を自分で噛みしめるようにアルペジオを弾いて、ゆっくりと丁寧に歌い始めた。背景の星空に、歌詞が浮かんでは消えて行く。包み込む歌声と演奏、力強く壮大に見せるサウンドスケープが胸に沁みた。「たった1つ、たった一度の命。輝いてください!」と呼び掛けてから始まった「夜のために」では、歌詞がスクリーンにランダムな大きさで表示され、激しく点滅するライト、パワフルなビートと共に迫って来る。雪崩れ込むように始まったのは、ライブアンセム「ある証明」。大木と佐藤がステージ前に身を乗り出してフロアからスタンドまで煽ると、拳を挙げて応えるオーディエンス。その人々を真っすぐ見据えて<今 光の中 溢れだす意志の その一滴が 花咲かすのだろう>と歌う大木。MCで話すメッセージと曲の中で歌っていることが、寸分もブレることなく連なっているところに、ACIDMANが音楽ファンに信頼されている理由を感じた。「まだまだ行くぞ!」と大木が叫ぶと、パンクチューン「造花が笑う」で会場の興奮は頂点に。<おぼろげ夢夜 覚えているか?>と、吐き捨てるように歌いギターを弾く右手を離して場内を見渡す大木に大歓声が集まった。
「一夜限りのワンマン、どうでしたか?」と呼び掛けると、会場からは満足そうな拍手。『ゴールデンカムイ』をもじって5月から全国ツアー【ACIDMAN LIVE TOUR “ゴールデンセットリスト”】を開催することを告知した後、138億年に及ぶ宇宙の歴史に思いを馳せると、「宇宙に比べたら自分はちっぽけだって思うじゃない? でも違うんだよ。ちっぽけじゃない。こんな宇宙のスケールの中に、俺は俺しかいない、あなたはあなたしかいないんだよ。こんな素晴らしいことってない。“生きるってすげえんだな”って、抱きしめるように生きていって欲しいなと思います」との言葉から、「ALMA」へ。壮大な宇宙空間が広がる神秘的な映像を背にして歌うと、ラストは英詞の日本語訳がスクリーンに表示された「Your Song」を歌い、ステージを降りた。
1人でステージに戻った大木が、「『ゴールデンカムイ』には、僕の20年来の友だちが出てるんですよ。今日、来てくれました。鶴見中尉、玉木宏!」と紹介して、玉木宏がステージに登場。思ってもみなかったサプライズに場内は割れんばかりの大歓声だ。ハグを交わし、「すごい人気だね! 絶対、俺の歓声の10倍ぐらいあった(笑)」(大木)、「そんなことないよ。僕も最初からライブも観させてもらったけど、かっこいいね、やっぱり」(玉木)と笑い合う。大木曰く「玉ちゃんって呼んでるんだけど、デビュー当時に共通の友人がいて、いろんなところでお酒を飲んだ仲」だという2人は、「いやあ、立派になって!」(大木)、「変わらず立派で!」(玉木)と、お互いを称え合った。大木は、『ゴールデンカムイ』で玉木演じる鶴見中尉について「観てない人もいると思うけど、マジで観てほしい。鶴見中尉、ヤバいから」と紹介。さらに、「あの目つきと体の動きと、あれは宿るの? それとも練習するの?」と問いかける大木。玉木が「原作も好きだったし、まさか自分が鶴見中尉をやらせていただけるとは思ってなくて、やりたい一心だったのもあって、自然と沸き出てくるものだった」と答えると、大木は「今の目は玉ちゃんの目だから全然大丈夫。でも鶴見の目はマジで怖い。俺の知ってる玉ちゃんじゃないもん! めちゃくちゃ怖かった。憑依してるというか、素晴らしかったです」と、その演技を絶賛した。しばしの楽しいトークから、客席をバックにして記念撮影して玉木はステージを後にした。
アンコールでは、『ゴールデンカムイ』の久保茂昭監督がこの日のために制作を手掛けた『ゴールデンカムイ』特別映像がスクリーンに流れる中、再び「輝けるもの」が披露された。「同じ曲をライブで2度演奏するのは初めて」という3人の演奏が始まると、スクリーンには主演の山﨑賢人演じる杉元佐一、山田杏奈演じるアシリパといったキャラクターたちの姿が映し出された。劇中のシーンに加えて黄金をあしらったビジュアルが交差する映像は、映画『ゴールデンカムイ』と「輝けるもの」の魅力をより一層印象強くした。この日一番の盛り上がりとなった2度目の「輝けるもの」を歌い終えた大木は、「どうもありがとう!またライブでお会いしましょう!」と、会場大喝采の中で特別な一夜のライブを終えた。
Text by 岡本貴之
Photo by Victor Nomoto – Metacraft / Taka”nekoze photo” / AZUSA TAKADA
◎公演情報
【ACIDMAN New Single Release Live「輝けるもの」】
2024年2月6日(火)
東京・TOKYO DOME CITY HALL
<セットリスト>
1. 輝けるもの
2. ストロマトライト
3. 波、白く
4. Rebirth
5. FREE STAR
6. アルケミスト
7. リピート
8. 2145年
9. 愛を両手に
10. 世界が終わる夜
11. 夜のために
12. ある証明
13. 造花が笑う
14. ALMA
15. Your Song
アンコール
16. 輝けるもの
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