<ライブレポート>中村雅俊が兵庫でオーケストラと共演 心揺さぶる歌と迫力の演奏と笑顔のトークで魅了

2023年12月26日 / 18:00

12月21日、兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールにて【billboard classics 中村雅俊 Symphonic Live 2023-2024 ~WHAT’S NEXT~】が開催された。

同公演は来年デビュー50周年を迎える中村雅俊の3年連続3回目となるビルボードクラシックス主催のシンフォニックライブで、今回は兵庫と東京の2か所で実施。指揮に海外でも活躍するマエストロの円光寺雅彦、サポートに中村のツアーを約40年支える音楽プロデューサーの大塚修司という気心知れた二人を迎え、初日、兵庫のステージは兵庫芸術文化センター管弦楽団とともに繰り広げた。ツアータイトルの【WHAT’S NEXT】を体現するがごとく、メモリアルイヤーに向け進化を続けるパワフルな姿で来場者をとりこにした一夜を紹介する。

 開演定刻、まずは円光寺と楽団が大ヒット曲のB面をやわらかに奏でて客席をウォームアップし、大塚と主役の中村を迎え入れると、注目の1曲目はほろ苦いサマーソングをホーンの迫力をまとわせ情熱的に。中村が「寒いなか、ようこそ!」と言うように大寒波が近づく夜だが、いっきに体感温度を上げる。そして今度は、中村主演の人気学園ドラマを飾った「俺たちの旅」をはじめとする三つのナンバーへ。舞台の端で語りかけるように歌ったり、大塚とハーモニーを織り成したりと、日本中を夢中にした物語を歌声でよみがえらせる。

 寄り添いながらもスケールを増すオーケストラの演奏や、哀愁ある大塚のギターは、観客の脳裏に浮かぶ名シーンや海の景色をより鮮明にし、誰もがあのころへタイムトリップ。しかし途中のおしゃべりは、もちろんアットホームな雰囲気で、三段オチやダジャレで笑いを起こすうえ、脚本家・鎌田敏夫との貴重なやり取りも披露。今後が楽しみになる二人の約束も明かせば、ファンは悶絶せずにいられない。

 また故郷の宮城で出会った子どもたちとの交流について話すと、彼らのために自身が手掛けた校歌も。東北の四季を映し出すやさしい調べは、今日はたくさんの楽器で豪華に展開される。さらにデビュー当時を振り返ると「この(曲との)出会いで今日まで歌い続けてこられました」と大切な曲「ふれあい」へ。繊細な大塚のギター、重厚な楽団の音色、秘めた熱を放つボーカルで客席は沸騰。大きな拍手に包まれ、いよいよライブは後半戦へ。

 休憩後、会場の色を変えるのはせつなく響くメロディたち。楽器の音が順に重なり層を作れば、歌も一つずつ言葉を重ねて胸を締めつけ、モノローグ的なシーンでは秒針にも似たパーカッションがリズムを刻む。そんななか、デビュー50周年に関して触れると「ただ感謝。支えられてきたな……それが実感です。(それを)感じる場所はここなんですよ、ライブ会場」と口にし、その思いを清々しい音楽にして昇華。気品あるオーケストラの音像と相まって感動を生み、曲中にも拍手が発生してファンと心を一つにする。かと思えば、MCは変わらず朗らか。ドラマ愛情物語の舞台裏をちょっとした芝居も入れて再現し、あちらこちらに笑顔を咲かせると、楽しいムードのまま「時代遅れの恋人たち」からアップテンポな3曲を連続させる。大観衆は立ち上がり、手拍子も大きく。円光寺のうしろ姿も人々のシルエットも弾んで一体感も抜群。中村が両手を広げ、力強いボーカルで聴く者を奮い立たせれば、多くの拳が突き上がり、楽団の演奏はスリリングに轟く。

 今日一番のロックな時間を堪能したあとは、真相がナゾになっている桑田佳祐との秘話をはさんで、その桑田が作詞作曲した「恋人も濡れる街角」で一転、ムーディに。紫色のライトに照らされ、歌声は湿度も高くつややか。大塚と並びハーモナイズする場面も目に焼きつく。そして最後は、恋愛や結婚を経て続くストーリーに、役者である中村が「こういうの好きなんです」と反応するナンバーへ。美しいピアノやストリングスなどに彩られ、温もりある声で丁寧に紡がれる詞と旋律はじわりと染み、本編は余韻たっぷりで終了した。

 当然、拍手は鳴りやまずアンコールに突入。中村は舞台に戻ると、期待が高まる来年の予定で観客を喜ばせ、一人ひとり楽団員を紹介して人柄も感じさせる。そして「また、どこかで会えたらうれしいです」と、願いを込めてもう一曲。吉田拓郎によるフォークソングは滋味深いボーカルで届けられ、フィナーレは今宵ならではの壮大なアンサンブルで劇的に。曲後、中村、円光寺、大塚は握手を交わし、会場はスタンディングオベーション。去り際にはビッグスマイルで何度も手を振り、大空間とは思えぬファンとの心の近さを表すハートウォーミングなラストシーンとなった。

 なお【billboard classics 中村雅俊 Symphonic Live 2023-2024 ~WHAT’S NEXT~】は、2024年2月1日に、すみだトリフォニーホール 大ホールにて東京公演が行われる。この日は中村の73歳の誕生日となり、本人にもファンにも特別な一日になるに違いない。

Text:服田昌子
Photo:ハヤシマコ

◎公演情報
【billboard classics 中村雅俊 Symphonic Live 2023-2024 ~WHAT’S NEXT~】

【兵庫】2023年12月21日(木) 開場16:15 開演17:00 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【東京】2024年2月1日(木) 開場16:00 開演17:00 すみだトリフォニーホール 大ホール

出演:中村雅俊
指揮:円光寺雅彦
サポートミュージシャン:大塚修司
管弦楽:
【兵庫】兵庫芸術文化センター管弦楽団
【東京】新日本フィルハーモニー交響楽団

<チケット>
料金:S席11,000円(税込) A席 9,000円(税込)
※全席指定・未就学児入場不可
※枚数制限:お1人様各公演1申込(最大4枚まで)のみ

一般発売 12月2日(土)10:00~

公演公式サイト
https://billboard-cc.com/nakamura-whats-next/

◎公演に関するお問合せ
【東京】キョードー東京 0570-550-799 (11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)


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