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戦争の凄惨なニュースが日常的に届きますね。そういった状況下なのに、緊張感が見受けられない政権与党の不祥事も続き、憂鬱な気分に苛まれている人は多いはず。今回はそんな想いに少しでも寄り添えるかもしれない、平和について考えさせられた5曲を、新譜から選んでみました。インフルエンザが流行を迎え、コロナも決して終わったわけではないので、心身ともに健康を意識しつつ、年の瀬を乗り越えましょう。
「All the best to you」(’23)/ LOVE PSYCHEDELICO
まずは、開催中のアコースティックツアー『TWO OF US』でも披露されているLOVE PSYCHEDELICOの最新曲「All the best to you」。分厚い雲にも似た如何ともし難いたくさんの不安があって、今を生き抜くことが正直しんどくなったりもするけれど、そんな時に親しい友人から届いた、労いの言葉がしたためられた私信のような曲に感じました。歌もピアノやギターの音色もやさしく温かいので、きっと“平和”をイメージできるはず。
「カレーなる休日」(’23)/irienchy
12月6日に自身初のフルアルバム『MISFIT』をリリースするirienchy。その収録曲で先行配信中の「カレーなる休日」は、バンドのリーダーである諒孟(Gu)のカレー愛から生まれました。大好きな人と一緒にいられること、食を共有できることなど、つい見過ごしてしまいそうなかけがえのない幸せに気づけるし、このあったかさは今の寒い時期にもマッチ。在日外国人たちが笑顔で踊り出すMVも、ピースフルなムードに満ちていて最高です。
「Relay〜杜の詩」(’23)/ サザンオールスターズ
サザンの新曲「Relay〜杜の詩」は、東京・明治神宮外苑地区の再開発の見直しを最期まで求め続けた坂本龍一の想いを受けて作られ、まさに愛と平和を“引き継ぐ”姿勢が美しく表われています。《地球が病んで 未来を憂う時代に 身近な場所で何が起こってるんだ?》といった歌詞のひとつひとつが心に染み入る素晴らしさで、このテーマをしっかりとポップスに仕上げる手腕はさすが。「ピースとハイライト」と同じくらいグッときました。
「平和 feat.七尾旅人」(’23)/ 在日ファンク
約5年ぶりのアルバム『在ライフ』に収録されている、七尾旅人をゲストヴォーカルに迎えたナンバー。こういう重くなりがちなテーマを、《へっへっへっ平和平和 へっへっへっHey!》と言葉の響きやリズムを活かしながら、楽しくカジュアルに歌ってくれるのが在日ファンクらしい。社会問題に限らず、何かおかしいと思ったことに対してちゃんと声を上げる浜野謙太(Vo)のSNSも好きです。黙ってしまうアーティストのほうが怖いので。
「世界はこのまま変わらない」 (’23)/くるり
ラストはくるりの最新アルバム『感覚は道標』から。奇妙なアレンジに乗せ、増税や誹謗中傷を愚痴っているのがツボで、《Invoice しんど グリンゴ》など刺さるラインが多い曲ですが、特にサビの《世界はこのまま変わらない 君が居なければ》の倒置表現が秀逸だと思います。“君がいれば、世界は変えられる”“君さえいなければ、世界は変わるのに”のように、明るくも暗くも解釈できて面白い。シュールな縦型ショートPVも必見。
TEXT:田山雄士
田山雄士 プロフィール:フリーのライター。元『CDジャーナル』編集部所属。同誌の他、『OKMusic』『ナタリー』『bounce』など、雑誌/WEBを中心にお仕事をしています。日本のロックバンド以外に、シンガーソングライターとか洋楽とか映画とかも好きです。
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