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8月19日と20日の二日間、今年も千葉と大阪の2会場で音楽フェスティバル【SUMMER SONIC 2023】が開催された。ロックバンドはもちろん、近年はジャンル様々なブッキングが特徴的なサマソニ。今年は90年代英国ロックシーンの象徴ともいえるブラー、現行ヒップホップシーンを牽引するケンドリック・ラマーをヘッドライナーに迎え、SEKAI NO OWARI、YOASOBI、ジャニーズWEST、ナイル・ホーラン、リアム・ギャラガー、ザ・キッド・ラロイなど、いずれも見逃せない目玉アクトばかりで、タイムテーブルに頭を悩ませた来場者も多かったのではないだろうか。
また、今年のサマソニを語るうえでは、日本以外のアジア諸国から招かれたアーティストたちの存在も無視できない。韓国からはボーイグループのENHYPEN、言わずと知れたBIGBANGのSOL、昨夏に日本デビューも果たしたカン・ダニエル、さらには“台湾の歌姫”の呼び声も高い張惠妹 aMEI、同じく台湾出身でYogee New Waves、シャムキャッツらとも共演した落日飛車 SUNSET ROLLERCOASTER。
その中でもひときわ大きな話題となったのが、BTSらを擁するHYBEの新レーベル<ADOR>の第一弾アーティスト、NewJeansだろう。メンバーはMINJI、HANNI、DANIELLE、HAERIN、HYEINの5人で、2022年8月に1st EP『New Jeans』でデビュー。12月にリリースした1stシングル『OMG』の収録曲「OMG」と「Ditto」は、どちらも米ビルボードのメインチャート“Hot 100”にて成績を残し、日本でも“Billboard JAPAN Hot 100”のトップ10入りを果たすなど、とりわけ楽曲のオリジナリティや求心力がK-POPファンのみならず、幅広い音楽リスナー層から高く評価されている印象だ。
8月19日、NewJeansが登場したのは、東京会場のメインステージであるZOZOマリンスタジアム。出演キャンセルとなったJXDNに代わり、SUMMIT All Starsがフロアを大いに盛り上げたオープニングに続く二番手となった。時間帯は真夏の猛暑がピークに至る真昼で、それにもかかわらず大入りの満員状態となったスタジアムの熱気あふれる様子が、その注目度の高さを何よりも証明していたはずだ。
涼し気な「Ditto」のイントロが流れ出すと、すぐさま沸き立つオーディエンス。ショーの内容は二つのセクションに分けられていて、前半はファンにも馴染み深い『New Jeans』と『OMG』からの選曲に、バンドの生演奏が新鮮なエッセンスを加えていく。思いのほかパーカッシブなドラミングが際立った「OMG」を経て、「サマソニのステージに立つのは初めてなので本当にドキドキしています」と話すMINJI。一人ずつ自己紹介とコメントを述べていくのだが、その非常に流暢な日本語にもメンバーの日頃の努力が垣間見える。
「みなさん! クッキー好きですか?」と煽ればその名もズバリな「Cookie」へ。前半のバンド・セクションにおいて最も顕著なメタモルフォーゼを遂げたのがこの曲で、無機質なトラップビートとシンセを主体としたオリジナルはミニマルでクールな味わいだが、この日のリアレンジはもっと肉体的かつダイナミック。まさしくフェス仕様のアップリフティングなロックサウンドに生まれ変わっていて驚かされた。
その後も「Attention」「Hype Boy」と楽曲を立て続け、メンバーがステージ裏に戻ると前半は終了。しばしの幕間を経て「New Jeans」のイントロが流れ出すと、7月にリリースされたばかりの2nd EP『Get Up』から楽曲を披露していく後半へ。メンバーたちも「挑戦と学び」が多かったと語る『Get Up』は、ベース・ミュージックの多様性と革新性をさらに追求した作風で、だからこそ前半とは打って変わり、バンドではなく同期音源を使用してオリジナル本来のサウンドをプレゼンテーションした後半のプロダクションは大正解だったと思う。
バックダンサーを従えた「Super Shy」のパフォーマンスに続き、特に後半のハイライトといえる盛り上がりを見せたのは、オーディエンスも一緒になって<What’s your ETA?>と大合唱した「ETA」だ。MINJIが「みなさんの歓声のおかげで暑さなんて忘れちゃいますね」と話していたが、とはいえ本当に洒落にならないレベルの炎天下だったのも事実で、それでも満員状態のアリーナエリアではファンが歌って踊り、メンバーたちも積極的に彼らと交流する。そんな現場の有り様が、現在進行系でNewJeansが巻き起こしている現象のリアルを何よりも物語っていたのではないか。
なお、NewJeansは10月にぴあアリーナにて開催される【Coke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023】に出演予定。同イベントにはジョン・バティステ、そして日本からはMrs. GREEN APPLE、水曜日のカンパネラも参加が決まっている。特に後者は現行J-POPシーンの最前線をひた走るアーティストなだけに、彼らとの共演の機会が日本における“NewJeans旋風”のさらなる追い風になるかもしれない。
Photos by Siyoung Song
(C) 2023 ADOR. All Rights Reserved.
(C) SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
◎公演情報
【SUMMER SONIC 2023】
2023年8月19日(土)、20日(日)
千葉・ZOZOマリンスタジアム、幕張メッセ
大阪・舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
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