＜レポート＞あいみょん、甲子園ライブ上映会にサプライズ登場「球場にいるような雰囲気をDolby Atmosで味わって」

　あいみょんの上映イベント【”AIMYON 弾き語りLIVE 2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場” DolbyAtmos先行上映会】が7月10日に東京・大阪の映画館で開催された。このレポートでは、あいみょん本人がサプライズ登場した東京会場の模様をお届けする。

　完全ご招待制で行われたこの上映会は、7月19日に発売されるあいみょんのライブBlu-ray・DVD『Live & Documentary Film “AIMYON 弾き語りLIVE 2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場”』のリリースに先駆けて行われたイベント。2022年11月5日にあいみょんの地元・兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場で開催された弾き語りワンマンライブの模様とその裏側を捉えたライブ＆ドキュメンタリー映像を収録した4時間10分を超える大ボリュームの同作品から、ライブ本編が劇場の大画面とDolby Atmos（ドルビーアトモス）の立体的なサウンドで鑑賞することができるというものだ。今作のBlu-ray Disc に採用されているDolby Atmosとは、映像に合わせてサウンドが縦横無尽に移動する立体音響技術。4万5千人が集まったスタジアムライブがどのように感じられるのか、期待に胸躍らせながら開演を待った。

　上映会の冒頭、ライブ当日のグッズとして制作された「AIMYONS」のユニフォーム姿のMCによる紹介で、あいみょんがスクリーン越しに劇場に訪れた人々へ感謝のメッセージを伝えた。「まもなく上映スタートです。是非みなさんゆっくり楽しんでください。と、思いきや。今からそっちへ向かいま～す！」とのひと言から、ステージにまさかのサプライズ登場。どよめき交じりの歓声と大きな拍手で迎えられたあいみょんは、今回の上映会について「かなりソワソワして、さっき間違えて出てきてしまいそうになりました（笑）。なかなかこんな機会はないと思うし、数少ない上映のタイミングでみなさんにお会いできて嬉しいです。応募していただいてありがとうございます」と改めて感謝を表した。MCから、ユニフォームを着た人も来ていることを伝えられると客席を見渡して「おお～！　本当ですね……思ったよりもっていう、絶妙な数ですね（笑）」と笑わせる。

　ここからしばらく映像作品についてのトークコーナーへ。甲子園球場ライブの構想は2021年からあり、コロナ禍を経てフルに観客を入れられるようになったことで実現に至ったという。バンド編成ではなく、甲子園球場史上初の弾き語りワンマンライブとして行われたのは、「甲子園球場でライブが出来ることになりましたって言われたときに、スタッフさんの目が『弾き語りですよね？』っていう目をしていたので、『ですよね～』っていう流れになって（笑）。でも確かにバンドでっていう意識はなかったかもしれないです。初めての武道館もセンターステージで1人でやりましたし、同じ形で地元の西宮で弾き語りライブをやろうということは、すでに固まっていた気がします」と思いを吐露した。上映の様子をリハーサルで少し見たというあいみょん。「なるべく球場にいるような雰囲気をDolby Atmosで味わっていただけたらなと思っていましたし、球場に限りなく近いような音で聴いていただけるのはすごく嬉しいです」との感想から、ライブ当日の雰囲気が再現されているであろうことが伺えた。

　ライブ映像の見どころについて尋ねられると、「全部でしょ！　あえて言うなら、みなさんのペンライトの光がすごく綺麗やったので、センターステージで360度みんなに囲んでもらって照らされている私を見ていただけたら嬉しいなと思います」とのおすすめポイントを語ったものの、あまり客席の反応が芳しくなかったのか「めっちゃしけてる。どうしたらいいんですか（笑）」とぼやいて客席は爆笑。お客さんが緊張しているのでは？とのMCからの声に頷きつつ、「でも正直ちょっと、『来るかな』って思ってたでしょ？」と呼び掛けると「思ってた！」と客席から大きな拍手が沸き起こった。「ほら！　なんかあるかもなって感じしますよね。でもほんまに楽しんでもらえたら何よりだと思います（今後リリースされる4時間越えのパッケージについては）かなり長いので、必ず次の日の予定がないときに観てください（笑）。今までにない形で、リハーサルからそのままライブに流れていくという不思議な映像になっていて、オフショットもたっぷりあって隅から隅まで盛りだくさんな内容になっているので、ゆっくり楽しんでもらいたい作品です。よろしくお願いします」とメッセージを送り、「バイビー！　ありがとうございました！　楽しんでください！」と観客に手を振りながらステージを後にした。

　上映会が始まり、スクリーンには甲子園球場に集まる観客の姿、設営の様子などが映し出された。開演のアナウンスと共に映像の中の大観衆が一斉に立ち上がる。サイレンが鳴り響く中、バックステージでは、「泣きそうになる」と呟くあいみょんの姿が。オープニングでバックスクリーンに登場した笑福亭鶴瓶の開会宣言を経て、あいみょんが客席の間を通ってステージへ上がる。歌い出すまでの静寂の中の緊張感がすごい。ギターをかき鳴らして「憧れてきたんだ」から始まったライブは、ボーカルの迫力と、アコースティックギターの弦をかき鳴らす音、ブラッシングする音が生々しくクリアに聴こえる。軽快なコードストロークに乗せて切ない心情を歌った「3636」やシャッフルの「ら、のはなし」等、屋外ライブでのアコースティックギター弾き語りという特性による、空気を震わせて遠くまで飛んでいくような音像が余すことなく体感できる臨場感は格別。度々沸き起こる凄まじい拍手の音もライブの盛り上がりと楽しさを伝えてくれて、自分もあいみょんを囲んでいる客席の中の1人であるかのように思えた。

　球場全体が映し出され、ぐるりと360度を見渡す視点の映像に、いかに巨大な規模のライブだったかを知ると共に、その中央でこれだけの人々の心を惹きつけているあいみょんのシンガーソングライターとしてのすごみを実感できる。ステージを囲んだ青い光が天高く伸びる中で歌われた「裸の心」、ステージ全体が花のように染められた「マリーゴールド」等、照明による演出も鮮やか。このライブのための新曲「サーチライト」で、球場が飛び交うサーチライトとペンライト、スマホの光で埋め尽くされる光景は圧巻のひと言だった。上映会で最も感じたことは、感極まりながら歌う「tower of the sun」等、立体的な音響と鮮やかな映像によって、あいみょんの感情がよりリアルに伝わってきたこと。真っ向勝負の弾き語りと親しみやすさ全開のMCによる約2時間で、まったく飽きることなく楽しめるライブ映像となっていた。

　尚、『Live & Documentary Film “AIMYON 弾き語りLIVE 2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場”』全形態の初回プレス分にはNeSTREAM LIVE視聴シリアルコードが封入される。こちらはディスク収録のライブ映像をDolby AtmosでスマホやTVなどでも簡単にストリーミング再生にて視聴することができ、ライブ会場にいるかのような立体的なサウンド体験が様々な場所で体験できるものとなっている。

Text：岡本貴之