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『フジロック』『サマーソニック』開催が近づき、夏フェスも本格化し始めている一方、うだるような暑さや局地的に豪雨が続くなど、天候面では不安な日々が続いている。とはいえ、夏は地域のお祭りもあったりと、心が踊るシーズンであることは間違いない。今回は夏に似合う楽曲を今の気分で選んでみた。その一発目はBRING ME THE HORIZONがキュレートする新たなフェス『NEX_FEST』(11月3日・幕張メッセ)にBABYMETAL、マキシマム ザ ホルモンらと形を並べて選出された花冷え。からスタートしたい。
「今年こそギャル〜初夏ver.〜」 (’23)/花冷え。
ガールズ・ラウド4人組、花冷え。が遂にメジャー1stアルバム『来世は偉人!』をドロップする。その中から夏を狙い撃ちした完全サマー仕様の超絶アッパーソングを紹介したい。令和に入り、平和ギャルカルチャーが再燃していることもあり、彼女たちはリアルに体験してないからこそ、ギャルに対する羨望の眼差しを歌詞やサウンドに落とし込んでいる。《初夏初夏》《シャカシャカ》と語感が気持ちいい歌詞を織り込み、彼女たちは海外のファンが圧倒的に多いのだが、誰もが簡単に口ずさめるキャッチーさも大きな魅力になっている。ちなみに、”〜初夏ver.〜”と副題が付いているのはこれから楽曲のシリーズ化を企んでいるから。続編にも期待したい。
「さまらぶ❤︎」(’21)/ 東京初期衝動
同じガールズバンド4人組でも、夏をどう切り取りかはそれぞれだ。彼女たちは夏と恋をひっかけ、この季節ならではの解放感をサウンドに気持ちいいくらいブチまけている。《ムラムラサマービッチ》《バカエロビッチ お前が優勝》と耳に残るパワーワードを盛り込み、トキョショキらしさ全開の夏恋ソングに仕上げている。ワイワイ騒ぎたくなるパーティー曲だが、ほんのりセンチメンタルに臭いが漂っている点も好ポイントだ。
「RIDE ON MY WAVE」(’02)/山嵐
自身のレーベル「豪直球」設立第一弾となった4thアルバム『マウンテンロック』の2曲目に収録されているナンバー。この当時の彼らはここから行くぞ!という覇気に満ちあふれ、この曲を含めて冒頭3曲目までは灼熱のサウンドで攻めてくる。《新たな波が俺ら出迎えてる》《気合で乗り切っていく Big Wave》と歌詞にある通り、大きな波を乗りこなし、音楽シーンに巨大な渦を巻き起こしてやる!という野心が楽曲を通してビシビシと伝わってくる。このアルバム自体もバラエティ^に富んでいて、山嵐の音楽的な視野の広さとスキルの高さに舌を巻く名盤である。
「TOP SPEED」(’23)/Wienners
彼らの最新デジタルシングルは、TVアニメ『逃走中 グレートミッション』エンディング主題歌に決定。決して夏に向けて書いた作風ではないものの、人生を全身全霊で走り抜けろ!という情熱的なメッセージを掲げた曲調は、この季節にぴったりハマる。Wienners特有のガチャガチャしたミクスチャー感はグッと抑制され、速いテンポで一気呵成に畳み掛けてくるライヴ感がたまらない。話し言葉のように親しみやすい歌詞も相まって、これまでとはひと味違うキャッチーさを生んでいる。例え曲を知らなくても、自然と口ずさんで、勝手に体が動くノリの良さも痛快で、多くのリスナーを巻き込める新たなアンセム曲と言っていい。理屈抜きに楽しめる爆走ポップチューンだ。
「The Summer Looks Good On You」 (’21)/Cheap Trick
現時点における最新作『IN ANOTHER WORLD』(21年発表)のオープニングを飾る楽曲。曲名にも“Summer”と付いている通り、夏の高揚感をイメージさせる爽やかな1曲目で、胸をすく甘酸っぱいメロディラインもチープ・トリックならではと言っていい。とにかく、このアルバムを含めて近作の出来栄えがあまりにも素晴らしく、いまだ衰えることなく、瑞々しいパワーポップ/ロックンロールを鳴らす彼ら。来日予定があったものの、結局中止になってしまったので、来年には是非とも日本に来てほしい!
TEXT:荒金良介
荒金良介 プロフィール:99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。愛読していた漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(登場人物に洋楽アーティスト名が使用されていたため)をきっかけに、いきなりレッド・ツェッペリンの音源を全作品揃える。それからハード・ロック/ヘヴィ・メタルにどっぷり浸かり、その後は洋邦問わずラウド、ミクスチャー、パンクなど、激しめの音楽を中心に仕事をしてます。趣味は偏ってますが(笑)、わりと何でも聴きます。
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