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“楽器を持たないネオシティポップバンド”というキャッチコピーで知られるアカペラ・グループ、Nagie Laneにとって特別なライヴ“Point”が行われた。これがなぜ特別なのかというと、このライヴをもってメンバーのreiとeuroが活動終了し、mayu、mikako、keiji、barattiの4人編成になってしまうからだ。すでに新メンバーの公募が始まっているが、とにかく約2年前に固定されたこの6人のライヴはこの日が最後となる。そのためチケットは即完。様々な想いを抱えているのはメンバーだけではなく、ここに集まった満員のオーディエンスも同様なのだ。
SEに導かれて登場したメンバーが横一列に並ぶと、mikakoのリードで始まる「Friday Night」で幕を開けた。女性3人のリード・ヴォーカルが入れ替わるこの曲は彼らの個性を知るにはうってつけの一曲であり、会場のボルテージも一気に上がる。「6人にしか出せないアカペラのサウンドを堪能してほしい」というmikakoのMCの後は、ピチカート・ファイヴのカヴァー「東京は夜の七時」、mayuがリードを取るちょっと切ない「Kiss me dry」、そして、いつしか手拍子が起こる「花と蜜」で盛り上げていく。
euroがゆるいMCで笑いを取り、ジャジーなヴォイス・ベースを決めながらの「SPOON」へ。そして、keijiのラップとbarattiの拡声器ヴォイスで異色の音空間を生み出す「Midnight Door」、mayuのポエトリー・リーディングから緻密なアンサンブルを構築していく「SMDD ~秘密がドラマをドラマティックにする~」、深遠なムードをまとったreiが主役をはるバラード「JOY」という流れはNagie Laneの音楽性の深みを感じさせるパートといっていいだろう。逆にmikakoが「Nagie Laneの原点といえる曲」といって披露した「楽器が買えないわけじゃない」は、euroとbarattiのヴォイス・ベース&パーッカッションのコンビネーションを挟み込みつつもオーソドックスなハーモニーを聴かせてくれた。この対比の面白さも彼らの魅力だ。
ツアーの思い出話などを交えたMCの後は、ゴスペラーズの黒沢薫がプロデュースして話題になったドライヴ感のある「Smile Again」、reiの先導でオーディエンスも振り付けとコーラスで参加する「ふらぺちる」とパーティー感のある楽曲が続く。mikakoが開場を煽って盛り上げた「Wink and Thumbs Up」から、リードが目まぐるしく入れ替わりメンバーそれぞれの個性が浮き彫りになる「愛以外に用はない」への流れは、この日のクライマックスと言っていいだろう。ほのかに切なく聴かせどころの多いポップ・チューン「2021」で、本編を締めくくった。
アンコールの拍手に応えて再登場したメンバーは、それぞれがNagie Laneへの想いを語る。「アカペラでみんなとつながることができてよかった」というeuro。「これまでのNagie LaneもこれからのNagie Laneも愛してほしい」と語るrei。泣いても笑っても彼らはこれで最後なのだ。mayu、mikako、keiji、barattiからも2人との想い出やエールを語り、あらためて彼らの結束の強さを感じることができた。そして、「6人で初めてセッションした曲」だという「Good-bye」は、「さぁ歩き出そう 旅は続くよ」という歌詞がいつも以上に沁み渡る。でも、しんみりと終わらないのが彼らの良さだ。ラストはスウィンギーで躍動感を目いっぱい表現した「ピャバラバ」でにぎやかに締めくくった。いったんステージを降りたメンバーだが、鳴りやまない拍手に応えて予定外のダブル・アンコール。「リハーサルしてないよ」といいつつも、「今夜はブギー・バック」のカヴァーというサプライズを決めて幕を閉じた。
rei、mayu、mikako、baratti、keiji、euroという6人のNagie Laneはこのライヴで完結。ここからはまた次のステップがスタートする。奇しくもmayuがアンコールのMCで語っていた「永遠というものはないから、この瞬間を大事にしたい」という言葉を切実に感じさせられるパフォーマンスだったし、彼ら全員にとってもひとつの大きな到達点でもあったはずだ。今回脱退するreiとeuroを含め、Nagie Laneとそのメンバーの新しい旅の先にある未来が、輝かしいものであることを願っている。
text by 栗本斉(旅&音楽ライター/選曲家)
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