<ライブレポート>大黒摩季、ヒット曲連発でラブ&ピースを世界に発信した30周年ツアーファイナル

2023年5月30日 / 18:00

 大黒摩季が、2023年5月28日に東京ガーデンシアターでワンマンライブ【MAKI OHGURO 30th Anniversary Best Live Tour 2022-23-SPARKLE- Tour Final ~Non Stop!! MEGA Hits Rave☆ “Next” ~Powered by CHAMPAGNE COLLET】を開催。3時間24曲の大ボリュームでキャリアを総括するステージを見せて、華々しく30周年のフィナーレを飾った。

 このライブは、2022年5月27日にデビュー30周年を迎えた大黒が、同年6月1日の地元・北海道札幌を皮切りに1年かけて47都道府県・全67本のライブを行ってきた全国ツアーのファイナル公演として行ったもの。昨年12月にリリースされた30周年記念アルバム『BACK BEATs #30th Anniversary ~SPARKLE~』に参加したアーティストやミュージシャン、さらにSeason I、Season II、Season III 、Final Seasonに分けられたツアー各公演でバックを務めたバンドメンバー、ダンサー総勢30人以上が集う、まさに30周年の締めくくりに相応しい豪華なステージとなった。
 
 バンドメンバーは柴田敏孝(Key)TAKUYA(Gt)原田喧太(Gt.)北川遊太(Gt.)Ju-ken(Ba.)徳永暁人(Ba.)盆子原幸人(Ba.)SATOKO(Dr.)濵﨑大地(Dr.)宮内告典(Dr.)勝田一樹(Sax.)竹上良成(Sax.)ヒロムーチョ(Sax.)スティーヴ・エトウ(Per.)原田ゆか(Cho.)森崎義文(Manipulator)がセクションごとに演奏を担った。

 会場には5,000人の観客が集まり、客席は1階から4階までギッシリ。徐々に大きくなっていくSEに合わせて客席から手拍子が沸き起こると、暗転してステージには黒いマントを身に纏いピンスポットに照らされる大黒の姿が。ピアノの静かな旋律をバックに歌う「Sing」からライブが始まった。<私はどうして生まれてきたの?>との歌い出しから、満員の観客がジッと息をのんで聴き入っている。<この痛みが 誰かの救いになるなら この人生が誰かの笑顔になるなら>と、30年間第一線で活躍してきたシンガーだからこそ歌える真摯な楽曲だ。息遣いまで聴こえる張り詰めた空気の中、最後に両手を広げて<この声で あなたを抱き締めたい>と歌うと静まり返っていた客席から拍手が鳴り響く、感動的なオープニングとなった。

 すぐにパワフルな演奏が始まり、ゴールドのスパンコールのドレスにレスポールを抱えた大黒がステージ上段から「SPARKLE」を歌い出すと、客席には入場時に配布されたペンライトが掲げられ、白、青、赤とどんどんカラーが変わって行き、飛び交うライティングも相まって一気に興奮が高まった。「さあ盛り上がっていこう!今日はお祭り!歌っていいよ!」と、1993年リリースの「あなただけ見つめてる」へ。ステージ端まで行き煽りながら歌い、途中の歌詞<どこいても捕まるようにポケベル持ったわ>に差し掛かると、「ポケベル、あったね!」と、時代を振り返るひと言で客席に語り掛ける。こんな親しみやすさも長年支持される所以だろう。サングラスに赤いスーツのダンサー(TEAM BLACK STARZ)が登場した「DA・KA・RA」に続き、「じゃんじゃん歌っていいよ!」と「チョット」へ突入したものの、お立ち台の前で転倒して思わず苦笑い。柴田敏孝のキーボードソロから勝田一樹のサックスソロと繋ぎ、サビでマイクを向けると客席からは<チョット待ってよ>と合唱が起こる。ダンサーを引き連れた「Harlem Night」、ファンキーなギターリフから始まる「別れましょう私から消えましょうあなたから」ではグっとクールに聴かせ、TAKUYAの鋭いギターソロが光った「永遠の夢に向かって」ではワイルドなロックシンガーぶりを見せるなど、序盤からヒット曲と幅広い音楽性で魅了した。

 MCでは「血、出てた~!キズパワーパッド貼った(笑)」と、先ほどのハプニングを笑い飛ばしながら、「ツアーファイナルへようこそ! 良い眺め!」と、客席を眺めて各階に呼び掛けて、「SPARKLE!」を合図にウェイブを行った。この日の模様はU-NEXTで独占ライブ配信されることが決定しており、カメラが25台も入っていることが明かされると、どよめきが起こった。「盛り上がっている姿を見せて、平和って最高だよって、ラブ&ピースを世界に届けたいと思います。家庭も仕事も全部忘れて、思う存分楽しんで行ってください!」

 ドラマ『味いちもんめII・京都編』の主題歌としてリリースした「あぁ」、 アニメ『中華一番!』の主題歌「空」と、時代を彩ってきたタイアップソングを歌うと、ピアノソロからバンドチェンジで場面転換。白いドレスに着替えた大黒がステージに上がり、和の美しさを感じるメロディが心の琴線に触れる「夢の続き」を丁寧に歌い上げる。力強く壮大なサウンドスケープが広がった「Come To Me, Once Again」に続き、スティーヴ・エトウがステージを縦横無尽に動き回りながらパーカッションソロを聴かせると、ドラムの濵﨑大地とセッションを繰り広げ、躍動的なリズムに乗って黄色い衣装を着た大黒と、青い衣装の原田ゆかが両サイドから登場。ゲストとして、オルケスタ・デ・ラ・ルスのNORA (Vo.) が赤い衣装で加わり、JIN (Vo.)佐久間勲 (Tr.)五反田靖 (Tr.)相川等 (Tro.)、さらに當間ローズ (Vo.)らレコーディングに参加したメンバーも加わり「太陽のサルサ△ ~¡Salsa del sol!~」が始まった。ミラーボールが回り情熱的なサウンドと歌で賑やかに観客を踊らせる。「今年の夏こそは素晴らしい恋をしようじゃありませんか!」と一声かけてから、「夏が来る」を“デ・ラ・ルス スーパーバージョン”として披露。派手なホーンセクション、バンドメンバーのソロ回しもあり、一気に開放感たっぷりな夏のムードに。「Lie, Lie, Lie,」「いちばん近くにいてね」とラテンノリが続き、「さあみなさんご一緒に!」と右手をブンブン振りながら会場一体となるグルーヴを生み出した。

 「次はヤバいよ!」と言い残して大黒がステージ袖に下がると、「大黒摩季の30周年、目一杯祝いに来ました、DJ KOOです!」と叫びながら、DJブースと共にDJ KOOがせり上がってきて、場内は大歓声。ゴリゴリのビートで大黒摩季ソングのミックスをプレイしながら「もっと! カモン! 今日はファイナルだぜー!」と煽っているところに大黒が再びステージに上がると、「熱くなれ」で共演。大黒、DJ KOO、バンド、ダンサーが入り乱れて、真っ赤な照明に包まれるカオスな空間となった。DJ KOOが下がり、一転してポップな「恋はメリーゴーランド」ではスクリーンにカラフルなハートが映し出されてキュートな歌声を聴かせた。ライブは終盤に差し掛かり、「アイデンティティ」ではバンドメンバーと共にEXILEばりの振付けで喝采を浴びた。マイクスタンドを握りお立ち台に足をかけシャウトする迫力のパフォーマンスを見せた「Anything Goes!」を終えると、本編最後の曲へ。

 「今日はどうもありがとう、最高だね! 坂井泉水ちゃんと一緒に作った歌です。一緒に歌って!」と歌い出したのは、「君に届け」。前日(5月27日)が命日だったZARDの坂井泉水との“約束の曲”を歌いながら、時折目元を拭っているようにも見えた。「(坂井泉水が)絶対来てたよ、笑って歌ってたよ! 昨日は私のデビュー日で泉水ちゃんの命日だったんだよ。だからきっといる。ありがとう、東京!」と歌い終えると、「天国に行っちゃった人に、この歌を歌ってあげてね」とステージを後にした。

 アンコールを求めるコールの中、ステージ中央には500kgあるという大太鼓がセッティングされ、両手にバチを持った和装の大黒が登場して太鼓を叩き出す。東京オリンピック開催をきっかけに「日本をひとつにしたくて」制作された「東京Only Peace」を、大黒の大太鼓の演奏に合わせてみんなでコール&レスポンスしよう、と事前に呼びかけられていたコーナーだ。ヒダノ修一 (和太鼓)、小山豊 (三味線)、石垣征山 (尺八)も演奏に加わり、大黒が叩く大太鼓に合わせて「1,2,3,4,5,6,7,8、ファイナル、ファイナル盛り上がれ! 北海道そーれ! 北海道そーれ! 1,2,3,4、キタキツネ!」と、ユニークなコール&レスポンスで会場が1つに。既に20曲以上歌い上げているにも関わらず、全力で大太鼓を叩き歌う大黒。物凄いエネルギーだ。そんな姿を祝福するようにステージ左右からは花吹雪が舞い上がった。

 Tシャツ姿に着替えると、参加ミュージシャンを1人1人紹介。「大黒摩季みたいな、世の中とうまくやれず躓いてばかり、いつも傷だらけ、そんなアーティストを30年も歌わせてくれてありがとうございました。そして私の最後の居場所をくれて、ありがとうございます」と頭を下げて感謝する大黒に、大きな拍手が贈られた。最後は、総勢15人のメンバー全員による「ら・ら・ら」。途中、客席に降りて手を振ったりハイタッチしながら一周してステージに戻ると、音を止めて観客と大合唱。客席をバックにカメラに向かうと、「世界のみなさん、これが平和の声です!」と語り掛けた。これで終わりかと思いきや、最後にもう1曲、「ROCKs」で豪快に拳を突き上げ、金銀のテープが飛び交う中で、圧倒的なパワーを余すことなく放出してライブを終えた。エンディングでは、スタッフも呼び込んで、バンドメンバー、スタッフ一同で横一列に並んで「67本、ありがとうございました!」と、深々と一礼してお客さんに感謝して、1年間に渡る30周年ツアーファイナルを締めくくった。

Text by 岡本貴之

◎公演情報
【MAKI OHGURO 30th Anniversary Best Live Tour 2022-23-SPARKLE- Tour Final ~Non Stop!! MEGA Hits Rave☆ “Next” ~Powered by CHAMPAGNE COLLET】
2023年5月28日(日)東京ガーデンシアター
<セットリスト>
1.Sing
2.SPARKLE
3.あなただけ見つめてる
4.DA・KA・RA
5.チョット
6.Harlem Night
7.別れましょう私から消えましょうあなたから
8.永遠の夢に向かって
9.あぁ
10.空
11.夢の続き
12.Come To Me, Once Again
13.太陽のサルサ△ ~¡Salsa del sol!~
14.夏が来る
15.Lie, Lie, Lie,
16.いちばん近くにいてね
17.熱くなれ
18.恋はメリーゴーランド
19.アイデンティティ
20.Anything Goes!
21.君に届け
EN1.東京 Only Peace
EN2.ら・ら・ら
EN3.ROCKs

【MAKI OHGURO “NEXT②” SUMMER☆カムバック サーモン TOUR 2023
~ Thanksgiving HOKKAIDO▽道産子よ、熱くなれ〇 ~】
2023年7月2日(日)北海道・岩内地方文化センター
2023年7月4日(火)北海道・北ガス文化ホール(千歳市民文化センター)大ホール
2023年7月6日(木)北海道・大空町教育文化会館
2023年7月8日(土)北海道・名寄市民文化センター EN-RAYホール
2023年7月10日(月)北海道・湧別町文化センター さざ波
2023年7月13日(木) 北海道・北斗市総合文化センター「かなでーる」 大ホール

※「太陽のサルサ△ ~¡Salsa del sol!~」の「△」の正式表記は太陽の絵文字、「【MAKI OHGURO “NEXT②” SUMMER☆カムバック サーモン TOUR 2023 ~ Thanksgiving HOKKAIDO▽道産子よ、熱くなれ〇 ~】」の「▽」の正式表記はハート、「〇」の正式表記は炎の絵文字


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