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2023年5月2日、ビルボードライブ横浜。RUNG HYANGと奇妙礼太郎の2マン公演という、それぞれにまったく個性の異なるシンガー・ソングライターが交差する、一期一会の夜がそこにはあった。
まず登場したのは今年、活動25周年を迎えた奇妙礼太郎。ギター一本の弾き語りはゆるいムードで始まり、「これはお好み焼きの歌で……」「これはJAFの人を呼んだ時に……」と1曲1曲MCを挟んでいくと、気づけばいつの間にか“奇妙礼太郎の世界”に。先日発表されたばかりの「散る 散る 満ちる」など8曲を歌い上げ、引き込まれたかと思うとあっという間に幕を閉じた。
続いてはRUNG HYANG。敬愛する奇妙礼太郎のパフォーマンスを受けてか、まずは「ギターを抱いて」をピアノ弾き語りで。ミュージシャンを目指してサラリーマンを辞めて東京へ旅立つ青年の物語を描いたこの曲に、さりげなく坂本龍一「戦場のメリークリスマス」のメロディがそっと忍ばされ、いっそう主人公の孤独な戦いが強調されたかのようだった。ここからSANABAGUN.の大樋祐大がピアノに、奇妙礼太郎の作品にも参加している砂山淳一がベースとして入り、「weakness」「AWAKE」「オトナの時間」と観客を揺らしていく。そして5月10日にリリースされる新曲「Our story」を自身のピアノと砂山淳一のウッドベースを中心に紡ぎ、かつての「ルンヒャン」名義での弾き語りスタイルと、今の「RUNG HYANG」モードが掛け合わされたかのようなステージを終えた。
ここで公演は終わるかと思いきや、最後に奇妙礼太郎とRUNG HYANGのスペシャルパフォーマンス。RUNG HYANGの楽曲から、“外野の声に惑わされず、ただあなたと私で心を通い合わせたい”と語りかけるような「TUNING」が2人だけで披露された。2ndステージではピアノを弾くRUNG HYANGが奇妙礼太郎のパートで転調させるという“チューニング”も施され、唯一無二の歌声がさらに切々と響く。この日が初対面という2人の間のぎこちなさすら、お互いの歌に耳を傾けて寄り添いあうための演出であったかのように、そこには正真正銘、「この夜かぎりのTUNING」が生まれていた。
Text:Hiroyuki Suezaki
Photo:muckylee
Hair&Make up:Megumi Kuji
◎ライブ情報
【RUNG HYANG × 奇妙礼太郎 Billboard Live 2023】
2023年5月2日(火)
神奈川・ビルボードライブ横浜
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