<ライブレポート>上白石萌音、25歳を迎え大きな愛に包まれた初のビルボードライブ公演

2023年2月3日 / 17:00

 女優や歌手として多彩な活躍をみせる上白石萌音が、初のビルボードライブ公演【上白石萌音 Billboard Live 15th Anniversary Premium Live】を2023年1月27日にビルボードライブ東京、1月29日にビルボードライブ大阪で開催した。本稿では、東京公演・1stステージの模様をお届けする。

 この日は上白石25歳のバースデー当日ということもあり、会場は多くのファンが集まり開演前から温かな雰囲気に満ちていた。定刻を迎えると、ステージには誕生日ケーキを持ったバンドメンバーの朝倉真司(Dr.)が登場。その後、遠山哲朗(Gt.)、宮崎裕介(Key.)、須長和広(Ba.)、小林香織(Sax/Fl/Syn./Cho.)が順に1人1人登場し、ケーキのキャンドルに火をつけ一気に祝福ムードに。黒いノースリーブのワンピースを身にまとった上白石萌音が姿を現しキャンドルの火を吹き消すと、会場は大きな温かい拍手に包まれた。

 心温まるムードのなか、上白石が笑顔で「感謝をこめて歌います」とジャジーなピアノ・イントロからスタートしたのは3rdアルバム『name』より「Tea for Two」。スウィング調のアレンジの効いたバンドサウンドと、上白石の優しく透明感のある伸びやかな歌声が会場内を包み込む。上白石が主演を務めた連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でも印象的なシーンで使用されていた楽曲で、音源以上にライブではその圧倒的な歌唱力・表現力と会場の雰囲気も相まって目に涙する人もいる程、一瞬にしてオーディエンスの心を魅了した。

 MCでは足を運んでくれた観客への感謝や、「近いですね~!」とビルボードライブならではの距離感の近さを楽しみ、和気藹々と観客とコミュニケーションを取るシーンも。「誕生日にこんな素敵な場所で歌が歌えるのは本当に幸せです」と特別な日にステージに立てる喜びを口にすると、その流れのまま軽快にカウントが始まり「ジェリーフィッシュ」へ。ジャジーなバンドサウンドに、上白石の優しく力強い歌声が耳と心をくすぐる。演奏が進むにつれ、さらにバンド自体の勢いやテンション感も増していき、上白石もバンドメンバーも終始笑顔で楽しむ様子が印象的で、その引き込まれる魅力やハートウォーミングな空気感など言葉では表し難いなんとも素敵な空間がそこにはあった。

 曲間MCでは「こんな近い距離でやったことはあまりないです」「お一人お一人の顔が見れてめちゃめちゃ幸せです」と観客と手をふり合い、素直な喜びを伝えた。その後のバンドメンバー紹介では、仲の良さが伝わる和やかなトークが展開され、上白石の温かい心意気や優しい人柄は伝染するのだなということが体感できた。この日のセットリストは、1月25日に行われた初の日本武道館公演【MONE KAMISHIRAISHI 2023 at BUDOKAN】とは全く違う“渋めの内容”と発表されると、ステージはゆっくり暗転しアコースティックのギターイントロから始まる「スターチス」を披露。ゆったりとした楽曲だが、息を吸う間さえもときめいてしまう上白石の表現力と、心に染み渡る優しいサウンドにうっとりと聴き惚れた。そして、クラップが起こり会場の一体感が素晴らしかった「土砂降り」、水色のライトに照らされるステージで情熱的に歌い上げた「みずいろの雨」と立て続け、再度MCへ。
 
 観客とのコミュニケーションを大切にたっぷりと楽しむトーク内容で、なんとこの日の観客の中には北海道・台湾・アメリカなどワールドワイドなファンがいる事を知り、驚きと喜びを表すシーンも。「私にとってのライブ週間はたくさんの方々のご縁を嬉しく思う時間です」と今までを振り返り「歌う事と通じるのは演じる事で、そういう雰囲気の曲も聴いていただきたいと思います。久しぶりに歌うこの曲」と紹介され「Woman"Wの悲劇"より」「Oh My Own(from musical“Les Miserables”)」を披露。会場いっぱいにのびやかで力強くまっすぐな歌声が響く。その姿は圧巻で、素晴らしい歌唱力に涙するファンの姿もいる程、言葉に想いをしっかりとのせて観客へ届けていることがよくわかった。

 特別なビルボードライブ公演のために何かスペシャルなことがしたいと考えた末「初めて歌うんですが歌いたい曲があります。タイトルはイントロが教えてくれると思います」と映画『君の名は。』より「スパークル」のカバーを宮崎の生ピアノにのせ初披露。そして、曲の雰囲気が打って変わり、スカのリズムが心地良い「愛すべきブルー」、グルーヴ感が生まれた「ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス」を披露。「私ごとなんですけど、今日は両親に感謝する日で。萌音という名前をつけてくれて。まさかこんな素敵な場所で大人になって歌えると思っていませんでした」「みなさんとの出会いに感謝しております」と感謝を伝え、本編ラストは「君の名前」を歌い上げた。

 アンコールでは、「ずっと笑顔でいられることを願って」と上白石の想いを込め、1stカバーアルバム『chouchou』より「SMILE」を笑顔で披露。最後は、横一列に並びメンバー全員が手を繋いで深く一礼し、オーディエンスの長く温かい拍手に包まれ幕を閉じた。この素敵空間は、きっと優しさに満ちた彼女だからこそできる多幸感と大きな愛に包まれた特別な一夜で、一個人として胸がいっぱいになった。25歳を迎え、これからますます魅力的な女性へと進化し多方面の表現者としても、今後の活躍が心から楽しみに感じた。

Text:Rumi Miyamoto
Photo:板橋淳一

公演情報
【上白石萌音 Billboard Live 15th Anniversary Premium Live】
2023年1月27日(金)東京・Billboard Live TOKYO
※写真は2ndステージのものを使用しています

<セットリスト>
1. Tea for Two
2. ジェリーフィッシュ
3. スターチス
4. 土砂降り
5. みずいろの雨
6. Woman“Wの悲劇より”
7. On My Own(from musical“Les Miserables”)
8. スパークル
9. 愛すべきブルー
10. ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス
11. 君の名前
-En
En1. SMILE


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