THE ALFEE「自由にコンサートができる時代、いつまでも続くように──」99回目の日本武道館! 愛と希望の音楽ストーリー創造

2022年12月29日 / 20:00

 1973年の結成以降、日本で最も数多くのライブを開催してきた(グループ最多公演記録保持)THE ALFEE。2022年12月23日と24日、日本武道館にてクリスマス恒例のワンマンライブ【THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造】を開催した。

<劇的な再会を全国各地で繰り広げてきた1年の集大成>

 ちょうど1年前に日本武道館にて2年ぶりの有観客ライブを実現(ライブレポート:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/107371)し、翌2022年の春夏秋には、ニューアルバム『天地創造』を携えたツアーやイベントを集客100%で開催してきた彼ら(【THE ALFEE 2022 Summer Genesis of New World 夏の天地創造】ライブレポート:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/115428)。

 そんなファンとの劇的な再会を全国各地で繰り広げてきた1年の集大成として、なんと累計99本目となる日本武道館での公演をクリスマスイヴに行ったTHE ALFEEは、立見エリアも開放された超満員の観客の前に荘厳なオーケストレーションに包まれながら登場すると、「逢いたいとき逢えない 不安が募るほどに 明日が怖くなるのは まだ愛しているから」とコロナ禍で会えなくなってしまっても絆を深めてきたファンとの関係性を想起させる最新シングル曲「星空のCeremony」を披露。そして「泣かないで 泣かないで いつも僕はここにいる 君だけに 君だけに 惜しみなく愛を贈ろう」と続く「Orionからの招待状」で、ここに集いし人々への愛情を爆発させながらドラマティックな演奏と歌声を響かせていく。

 「さ、始まりました! 泣いても笑っても、2022年、東京でのライブの〆になります! 冬の天地創造、武道館でのクリスマスイヴライブ、盛り上がっていきたいと思います。初めての方もベテランの方もステージで動き回る、生のTHE ALFEEを堪能して頂きたいと思います!」と坂崎幸之助が軽快に挨拶すると、聖なる夜にふさわしい美しき三声ハーモニーと共に「FLOWER REVOLUTION」「STARSHIP -光を求めて-」「Over The Rainbow~ジェネレーション・ダイナマイト」と疾走感溢れるアッパーチューンを連発。その開放感溢れるバンドアンサンブルに誰もが全力でハンドクラップを響かせ、噴き上がる炎に負けじと拳を振り上げていた。

<とことん笑わせて泣かせるTHE ALFEEの振り幅>

 また、THE ALFEEのライブと言えば、音楽の素晴らしさは言わずもがなだが、MCでの掛け合いも魅力のひとつ。3人揃って自己紹介するくだりでどさくさに紛れて「焼酎呑みたい」と言い出した桜井賢に対し、坂崎がツッコんで、高見沢俊彦が「楽屋にあった焼酎の瓶は何よ?」と責め立てると「昨日まで休肝日だったの。あれは今日呑む為に置いてあったの! 昔からこうなんですよ。呑んでもないのに赤ら顔だったんで「呑んだろ!」と言われて、それで頭に来て呑んじゃうようになったんですよ!」と怒り出す桜井。その後も収集のつかないクロストークが続くと、坂崎が「もういいです。簡単に紹介します。ロン毛と薄毛です!」──そんな相変わらず芸人顔負けの掛け合いで、会場は笑いに包まれていた。

 「それでは、演奏会のほうに戻っていきたいと思います。武道館のクリスマスイヴで次の曲をやるのは、かなり久しぶりになるんじゃないですかね。今の季節にピッタリでございます。1985年のシングルでした」と、切ない冬の夜にクリスマスキャロルと愛するソフィアのことを想い出すラブソング「霧のソフィア」をセンチメンタルに歌い上げると、その後も「風に消えた恋」「Far Away」と新旧失恋ソングを立て続けに披露。すべての歌詞と音色があの頃の恋愛をノスタルジックに思い起こさせ、じんわりと涙を誘っていく。坂崎が冒頭に「泣いても笑っても」と話していたが、その言葉通り、とことん笑わせて泣かせるライブを体感させていくTHE ALFEEの振り幅には、毎度のことながら驚かされるばかりだ。

<まさに希望と呼べる音楽ストーリーを創造>

 そして、本編最後のブロックでは、コロナ禍以降「新しい世界を創っていかなきゃいけない」という想いから生み出された、1年間通してレベルアップさせながら体現してきた“Genesis of New World”「天地創造」を満を持してお届け。プログレッシヴに展開されていくストーリーが進行していくほどに、未曾有の事態においても聴き手の希望で在り続けようとしてきた彼らのエモーションが熱を帯びていく。

 そこから流れるように高見沢によるホルスト「惑星」のギターソロが響き渡ると、今から1年前の今日、THE ALFEEの有観客ライブ復活とファンとの再会を劇的に物語った「星空のディスタンス」が畳み掛けられる。「君に遠すぎて 会えない辛さ」を味わったことによって“愛のレジスタンス”と化した者たちのアンセム。そんな進化を遂げた大名曲で今夜最大のスパークを生むと、その勢いのまま「風の時代」で「変わる時は今なのさ」と明日への不安に怯える我々を鼓舞し、さらに「愛という存在」で「さぁその手と手を取り合って 何処までも歩いて行こう」と愛の力で共に未来へ進んでいくヴィジョンを共有していく。なんてコンセプチュアルなセットリストなのだろう。まさに希望と呼べる音楽ストーリーを創造してみせると、盛大な拍手喝采に包まれながら彼らはステージをあとにした。

<新時代へと恐れず進ませるエールとして響くプログレ曲>

 が、THE ALFEEのライブは、本編に劣らぬ濃厚かつフリーダムなアンコールも大きな特徴だ。なんとこの日はアンコール、ダブルアンコール、トリプルアンコールと三度にわたって再登場。武道館を埋め尽くす“ミカエルの剣(マラカスライト)”の光に包まれながら、何故か着物姿の女装で“昭和兄弟”なるトリオを演じながら、桜井の某お笑い芸人を彷彿とさせる「こんにちはー!」という叫びに始まり、コント仕立てのストーリーの中で、まさかの村田英雄「王将」や敏いとうとハッピー&ブルー「星降る街角」、クリスマスソング「きよしこの夜(Silent Night)」、さらには、この日の為に制作したと思われる「毛髪増毛のうた?」をお届け(笑)。そんなバラエティ仕様のショーを繰り広げたかと思えば、次の瞬間にはアコースティックライブで名バラード「心の鍵」で聴き手の涙腺を緩ませ、THE ALFEEのクリスマスソング「Happy Christmas Time」「聖夜 -二人のSilent Night-」などでハートフルな音楽空間を生み出していく。

 また、2度目のアンコールでは、本編の始まりを飾った「星空のCeremony」とのダブルAサイド・シングル曲「Circle of Seasons」を披露。インタビュー(https://www.billboard-japan.com/special/detail/3696)でも「THE ALFEEのもうひとつの魅力であるフォークロック的なアコースティック曲を創りたくて。坂崎が弾いている、オープンDチューニングの妙技を体感できる楽曲。実を言うと、オープンDとか三声コーラスって僕らが聴いてきた音楽のルーツなんですよ」と高見沢が語っていたが、かつて大学のキャンパスで出逢った彼らの原点回帰とも言える趣あるナンバーで、大いに会場を沸かせてみせた。そして「自由にコンサートができる時代、いつまでも続くようにとこの夜に願いたいと思います」と告げると、これまたクリスマスにぴったりの賛美歌「あめつちこぞりて」から「至上の愛」をハイトーンボイスで熱唱。究極のラブソングで感動の渦を巻き起こしていく。

 3度目のアンコール。約3時間にわたるライブの最後を飾った楽曲は「組曲:時の方舟」だった。クリスマスイヴの武道館ライブでプログレを心ゆくままに堪能させてくれるバンドは、この日本においてはTHE ALFEE以外にいないだろう。エキサイティングにめくるめく展開していく組曲の中で「嵐の海を越え 希望峰を目指せ! 羅針盤が示す 未来へ舵を取れ!」「自由に生きよう! 孤独に耐えて 選んだ夢に 迷わず進め!」と全身全霊でメッセージしていくその様は、我々を新たな時代へと恐れず進ませるエールとして突き刺さった。そんな来年49周年、再来年には50周年を迎えるタイミングで最も情熱的になっているTHE ALFEEは、その勢いを消すことなく来春【THE ALFEE 2023 Spring Genesis of New World 風の時代】を開催。変わらず、音楽に愛と希望を乗せて走り続けていく、2023年の活動にもぜひ注目してほしい。

取材&テキスト:平賀哲雄
カメラマン:上飯坂一

◎ライブ【THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造】
2022年12月24日(金)日本武道館 セットリスト:
01.星空のCeremony
02.Orionからの招待状
03.FLOWER REVOLUTION
04.STARSHIP -光を求めて-
05.Over The Rainbow~ジェネレーション・ダイナマイト
06.霧のソフィア
07.風に消えた恋
08.Far Away
09.天地創造
10.Jupiter~星空のディスタンス
11.風の時代
12.愛という存在
En1.昭和兄弟メドレー
En2.心の鍵
En3.Happy Christmas Time
En4.クリスティーナ
En5.聖夜 -二人のSilent Night-
WEn1.Circle of Seasons
WEn2.あめつちこぞりて~至上の愛
TEn1.組曲:時の方舟


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