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カノエラナ、アルバムリリースバンドツアーを完遂

10月21日(金)@Spotify O-WEST (okmusic UP's)

カノエラナが2022年8月にリリースした3rdフルアルバム『歌楽的イノセンス』を引っ提げて、東名阪を巡ったツアー『思春期東名阪症候群』。バンドを引き連れてのツアーは約3年半ぶりだ。今回リリースしたアルバムによって、よりバリエーション豊かになった持ち歌の数々で、どんな熱いライブを披露したのか、本稿ではツアー最終公演となった、10月21日(金)の東京・Spotify O-WESTの公演を徹底レポートする。

ショーの始まりを予告するovertureが流れ、眩いライトと観客の手拍子に包まれる中登場したのは、カーキのケープ風のセットアップにカラフルなシャツで秋の装いに身を包んだカノエラナ。「東京の皆さんこんばんは。カノエラナです。よろしくお願いします!」とツアーファイナル公演の始まりを告げる挨拶と共に、1曲目がスタート。ライブの開幕に選んだ楽曲は、明るい曲調にあえてグロテスクな描写を歌詞にのせた、カノエの独特な世界観が感じられるナンバー「花束の幸福論」。アッパーなこの曲で、見事なギター捌きを披露しつつ、会場中のファンを盛り上げる。次にライブ定番曲で人気曲である「ヒトミシリ」を歌唱。カノエのポジティブな変容を序盤から見せつけていく。そして、ニューアルバム『歌楽的イノセンス』のリード曲「思春期中二話症候群」と、3曲立て続けに披露し、疾走感のあるバンドサウンドとキラキラとまぶしいカノエラナの歌声がライブハウスに響き、早くも会場のボルテージは高まりを見せた。

ここで「東京ただいまー!」と、これまでの雰囲気から一転、カノエらしいほんわかしたMCが始まり、会場は温かい空気に包まれる中、久々のバンドツアーの開催とファイナルを迎えられた喜びを語り、次のセクションへと進む。続く4曲目は今回のツアーでライブ初披露となった「天高く響け 青嵐の様に」。和を感じさせるロックチューンで一気に会場の空気が変わり、続けて妖艶で昭和歌謡を彷彿とさせる人気楽曲「グラトニック・ラヴ」を披露。グッと大人っぽい艶やかな歌声や仕草を織り混ぜたパフォーマンスは、改めてバラエティーにあふれた彼女の表現の幅を実感させられる圧巻のステージとなった。そして間髪を入れず「jOKER」の怪しげなイントロが流れ始める。ロックナンバーゾーンのクライマックスとなったこの曲では、凛とした表情で力強く歌唱し、会場は次第にカノエワールドに包まれていった。

ここまでアップテンポで攻めてきたカノエラナだが、続いては、アルバム収録曲の中でも異質で対極な楽曲「ラフレシア」と「無垢なる主人のpuppet show」を披露。ここで、さらに深くカノエラナの世界観へと引き込まれていった。続いて大きく空気を変える「モットアタシヲ」が披露され、オーディエンスの一体感を生み出すハンドクラップなどで観客もカノエのパフォーマンスに魅了され、会場はますます盛り上がっていく。間奏ではバンマスの Gt.のエンドウ.、Ba. rizm、Dr. イトウ”ぼぶ”トモヒコからなるバンド紹介コーナーが入り、それぞれのアーティスティックなソロパートが披露された。その後のMCでもバンドメンバーとの仲の良さを感じさせる和気藹々としたトークが繰り広げられ、会場は笑いに包まれるとともにアットホームな時間が流れていった。

「それでは、ここからは猫ちゃんの可愛い楽曲を楽しんでもらいたいと思います!」と、このご時世の中でも観客と一緒に楽しめる「猫の逆襲」のコールアンドレスポンスを身振り手振りで伝授し、「猫の逆襲」がスタート。カノエラナがキュートな歌声で「にゃーご」と歌うと観客もそれに合わせて、拳を猫の手のように動かし、ステージへとエールを送っていた。そしてバンドの演奏が止み、会場が静まると、静寂を切り裂くように「ココロにアイロンかけましょう」とカノエラナの歌声が会場中に響き渡り、「心に愛論」がスタート。吹き抜ける風のように心地良く、どこまでも伸びやかに広がる歌声に改めて、歌唱力の高さを体感させられた。

ライブはついに終盤戦へ。「沼に落ちろー」と力いっぱい叫び、「沼に落ちて」と「恋する地縛霊」を立て続けに披露。ヲタク心を綴った「沼に落ちて」では、間奏中に「みなさんは今期のアニメは何を見てますかー?」と質問をファンへ投げかけ、カノエ節を炸裂させた。今回新しくリリースしたアルバム『歌楽的イノセンス』について振り返りつつ、「これからも色んな楽曲を作って、色んな場面に寄り添える楽曲を作っていきます!」と宣言すると、「今回のライブに足りなかった爽やかな要素を詰め込んだ2曲をお届けします」と、まずは甘酸っぱい恋模様を描いた「ラブレターヤブレタ」を披露。その後、Gt.のエンドウ.のしっとりしたギターサウンドに包まれた雰囲気の中、来場した観客に向けて「今日は来てくれて本当にありがとうございました!」と感謝の言葉を伝え、今の季節にぴったりの「秋の空またはオレンジの夕暮れ」を最後に披露。どこかノスタルジックでちょっぴり切ないメロディーを会場に響かせ、ハートフルな雰囲気の中、本編は終了した。

観客からの鳴り止まない拍手の中、アンコールがスタート。再びステージにカノエが登場すると、今回のライブグッズをアシスタントとして登場したGt.のエンドウ.と共に、コミカルに紹介。リラックスした雰囲気の中、猫のポーズを取って披露したのは「にゃんこパトロール」。クセになる軽快なサウンドで愛らしい振り付けを踊るカノエの姿に観客も魅了された。「本当に本当にラストですよ!思う存分、楽しんでください!!」と力いっぱいの声で伝えたあと、ツアーのラストソングに選ばれたのは、「夏の祭りのわっしょい歌」。別れを惜しむように、ステージの端から端まで移動し、一人ひとりのファンと笑顔を交わしながら全力で会場中を盛り上げていき、最高潮の熱気が広がる中、ライブを締め括った。

ここでバンドメンバーがステージを後にし、ライブ終了かと思われたその時、カノエラナが1人でステージに立ち、息を大きく吸うと、「重大発表があります!」と、2023年1月9日に新曲「ヨトギバナシ」をリリースすることを告げた。そして、その楽曲はTVアニメ「虚構推理 Season2」に起用されるとのこと。アニメオープニングテーマを担当することは、自他共に認める大のアニメ好きのカノエラナのかねてから夢。この大きな喜びをファンと分かち合いながら、ライブツアー『思春期東名阪症候群』の幕を閉じた。

なお、TVアニメ「虚構推理 Season2」は2023年1月にオンエア開始を予定しているとのことなので、楽しみに待ちたい。

【セットリスト】

1. 花束の幸福論

2. ヒトミシリ

3. 思春期中二話症候群

4. 天高く響け 青嵐の様に

5. グラトニック・ラヴ

6. jOKER

7 ラフレシア.

8. 無垢なる主人のpuppet show

9. モットアタシヲ

10. 猫の逆襲

11. 心に愛論

12. 沼に落ちて

13. 恋する地縛霊

14. ラブレターヤブレタ

15. 秋の空またはオレンジの夕暮れ

<アンコール>

16. にゃんこパトロール

17. 夏の祭りのわっしょい歌

■TVアニメ「虚構推理 Season2」公式サイト

https://kyokousuiri.jp/

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