エミネム、2007年のオーバードース後“再び脳が動き出すまで時間がかかった”と明かす

2022年9月9日 / 17:30

 エミネムが、2007年に薬物の過剰摂取で生死を彷徨った事件を、長年のマネージャーであるポール・ローゼンバーグと共に米SiriusXM Shade45のポッドキャスト『Paul Pod』の最新エピソードで振り返った。

 ローゼンバーグはOD後のスリム・シェイディが二度と元の状態には戻れないかもしれないと心配していたそうで、エミネムが、「再び脳が動き出すまで長い時間がかかった」と回顧すると、「お前はマジで過剰摂取から回復していたわけで、(医療チームが)いくつかの薬で安定させる必要があったんだよ。その内のいくつかには慣れるのにしばらくかかった……ということにしておこうか。だから、ある意味本当にラップを学び直してたわけだよね?だって、体内に物質を入れずに創作するのはおそらく何年ぶりだろうって感じだったんだから、そうだろ?」と返している。

 あまりにひどい状態だったので、ローゼンバーグが医療チームに非常に重要な質問をしたことを覚えているとエミネムは話している。彼は、「俺が初めてラップを再開して、それをお前に送ったとき、医者に“彼に脳障害がないことを確認したい”って聞いたんだよな?」と話を振っており、ローゼンバーグは、当時エミネムがうまくラップできるのか、確かに不安だったと認めている。

 そして、「デトロイト・バスケットボール」の楽曲が流出した時、ローゼンバーグは嫌な予感が的中してしまったと思ったそうで、理由はその曲が“良くなかった”からだと語っている。エミネムは、この曲はシラフで書いた最初の楽曲だったと振り返っており、「で、何かファッキン変な感じだったんだよ、脳が動き始めていて……“待てよ、これはまずいな”ってな感じで、歌詞を確認し始めていた」と述べている。

 だがローゼンバーグによると、エミネムの調子が戻るまでそう時間はかからなかったという。彼は、「早かった。確かに気にはなったけれど、合計で5、6か月の話だ」と語った。復帰後初のセッションは米フロリダで行われ、エミネムは“肌がかゆかった”と振り返っている。当時は気づかなかったが、これはまだ禁断症状が活発に出ていたため、薬物が体内から抜けていく兆候だった。

 エミネムが、「一晩に75~80錠のバリウムを飲んでいた」と言うと、二人は致死量に近い数の精神安定剤を毎晩飲んでいたことに驚嘆している。フロリダでのドクター・ドレーとのセッションがうまくいくまでには時間がかかったが、エミネムが「3 A.M.」を作った時から、うまく転がり始めた。この曲で”狂った”連続殺人犯のようなサウンドを出したいという願望について、「ちょうどファッキン連続殺人犯のドキュメンタリーをたくさん見始めたところだった」と明かしている。

 二人は、エミネムが作った最高の楽曲は、『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』の収録曲「FACK」であると同意した。だがローゼンバーグは当時、この曲がそれほど素晴らしいものではないと思っていたことを認めている。彼はまた、エミネムがこのアルバムのリリース後に、自身の回復と向き合うために姿を消し、2009年の『リラプス』という、“ファッキンアクセントがたくさん入ったアルバム”とエミネムが形容する作品で戻ってきたと振り返っている。

 そのアルバムに収録されている、評判の悪い変声のオンパレードについて、エミネムは、それらはただ“築き上げられ”、“どんどん濃く”なっていったといい、今となっては何だったのか分からないと語っている。ローゼンバーグは、「僕はあまり気づかなかったし、ただお前が音楽を作って、それを楽しんでいることに興奮してた。最後に何人かの人に音楽を聞かせに行ったら、“ああ、彼はまたすごくいいラップをしているけど、あのアクセントはどうしたんだ”と言われたよ」と述べている。

 当時についてエミネムは、「初めてシラフになって(薬が)全部体から排出され終わった時、本当に嬉しかったのを覚えている。何もかもが新しくなったような感じだった。(“リラプス”は)すごく久しぶりにレコーディングを楽しむことができたアルバムだった」と語っており、この楽しい時期に実はラップの仕方を学び直さなければならなかったと振り返った。ローゼンバーグは、ダブル・アルバムになり得るほどの楽曲がレコーディングされたことを明かしたが、それは代わりに『リラプス: リフィル』と一連の流出曲になった。

 だが噂とは異なり、『リラプス』のセカンド・アルバムを作るほどの未発表曲はもうないとローゼンバーグは断言した。エミネムはそれを否定しつつも、それらは“駄作”であり、日の目を見ることはないだろうと言った。

 ローゼンバーグは、最近『リラプス』の「アンダーグラウンド」のような曲を聴くと鳥肌が立つと言い、「あれは最高だったよ。お前が脳にダメージを受けなくて、ラップが二度とできない体にならなくて本当に嬉しかった」と語った。一方でエミネムは、『リラプス』を録音した後しばらくしてからもっと昔の自作を聴いたところ、自分の新作について“今は何も感じない”ことに気づいたという。今振り返ってみると、歌詞のライムやヴァースには問題はないものの、「あのアクセントが……あれのせいで頭が悪く聞こえる気がして、そこで固まってしまった気がして、だからそれを曲げ直して、痒いところを掻いたんだ」と、韻を踏んだフリースタイルで気持ちを表現している。

 米ハワイでドクター・ドレーと録音された2010年の『リカヴァリー』の最初のセッションで、エミネムが初期の『ザ・スリム・シェイディ LP』の頃の感覚を求めていたのはそのためだったという。彼は、「まさにとんでもない目覚めのようなもので、自分の古い作品を聴いていたらものの5分とか10分で、“もう一度こんな感覚でやりたい”と思ったんだ」と語っている。


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