『イノマーロックフェスティバル』に観た、愛と優しさに溢れた最強ソング5選

2022年8月1日 / 18:00

『イノマーロックフェスティバル』に観た、愛と優しさに溢れた最強ソング5選 (okmusic UP's)

2019年10月、オナマシ20周年特別企画『ティッシュタイム・フェスティバル ~大感謝祭~』を開催し、同年12月に永眠。俺の師匠でもあった、オナニーマシーンのイノマーが愛したアーティストが一同に集ったイベント『イノマーロックフェスティバル』が、7月16日(土)に東京ガーデンシアターにて開催された。イノマーが死んだ直後、世は新型コロナの流行に襲われ、ちゃんとお別れすることもできなかったファンが多く集い、オナマシの「ソーシキ」の歌詞通り、《パンクロックでお別れ》したこの日。イノマーへの愛がこもった出演アーティストのアクトは、どれも素晴らしかったのですが。個人的に特に印象的だった5曲をセレクト。みんなの想い、イノマーに届け!
「光」(’07)/銀杏BOYZ

イノマーの名を冠するには贅沢すぎる、きれいでどデカい東京ガーデンシアターの大きなステージにたったひとりでアコギを背負って登場。一発で会場の空気を変える、たっぷり気持ちを込めたギターと歌を広い会場に響かせたこの曲で、オープニングを飾ってくれた銀杏BOYZの峯田和伸。会場のどこかで観てるであろうイノマーに届けるように、遠くを見つめて歌う峯田。曲中、楽器隊が加わり、楽曲がよりエキサイティングにドラマチックに展開すると、個人的には生前のイノマーと、銀杏BOYZを舞台袖から観た思い出がフラッシュバック。峯田の言葉や演奏がいつも以上に胸に迫ってきて、泣きそうになってしまった。「イノマーさん! 今日はあんたのことが好きでたまんない人が集まって、みんなあんたのことを思ってるすげぇ日だよ」なんてMCも愛とやさしさにあふれてて、この上なく素晴らしいトップバッターだった。
「拝啓、少年よ」(’18)/Hump Back

生前のイノマーが「オナマシはこんなバンドになりたかった」と憧れを語ってたTheピーズは、イノマーからの愛とリスペクトに応えるようなスペシャルなセットリストで応えて。どインディーズだった頃から惚れ込んでいた氣志團はイノマーとの思い出を語りながら、「オナニーマシーンのテーマ」のカバーなど、気合い十分の楽しいステージで魅せて、どちらも最高だったのだが。「私たちはイノマーさんとの付き合いがそんなに長くないんですが」と言いながら、「拝啓、少年よ」で始まった、純粋でパワフルで真っ直ぐなステージで観る者の心を打ったHump Backのステージもとにかく素晴らしかった。女の子だからこその強さとやさしさとキュートさをもって、性春ならぬ、青春を歌い続ける彼女ら。面識もなかったイノマーから、「“大好きです”のひと言だけが書かれた手紙を渡された」という、あの人らしいエピソードに思わず笑ってしまったが。イノマーがそんな手紙を出したくなる気持ちもよく分かる。便乗するわけじゃないけど、僕も大好きです!
「線香花火」(’01)/ガガガSP

「国道二号線」~「青春時代」をエネルギッシュに響かせる胸アツ展開で始まり、観客を一気にヒートアップさせたのは、日本最古の青春パンクバンド・ガガガSP。00年代前半、イノマーが監修していた音楽雑誌『STREET ROCK FILE』の影響もあり、青春パンクブームの旗手となっていた彼らだが。「懐かしい」だけで終わらせず、「oiの中の蛙」、「これでいいのだ」といった最新曲のいまのガガガだからこそ歌える曲、鳴らせるサウンドで圧倒し、「ガガガSPは今が一番カッコ良い!」と思わせる圧巻のステージを魅せてくれたのが本当に嬉しかったし、興奮した。デビュー直後、イノマーが絶賛してくれたことがバンドの大きなモチベーションになったという、「線香花火」は楽曲の持つ初期衝動的なエネルギーはそのままにいま歌うからこその説得力もあり、明らかに2022 ver.へとブラッシュアップされていたし、《僕の火はまだ消えてはいない》ことを証明した。カッコ良かった!
「薬草」(’21)/四星球

長野のフェスに出演した後に5時間かけて会場に駆けつけたにもかかわらず、パワフルなステージで湧かせ、凝りに凝った演出で笑わせてくれた四星球。「イノマーさんに向けて書いたけど、結局聴いてもらえなかった。あんだけバンドが好きな人やから、来世でバンドを組んだ時にコピーしてほしい」と披露した「薬草」は、会場中の気持ちをひとつにしてくれたし、「だから、四星球のこと好きなんだよ」と思わせるやさしさと笑いと熱量にあふれてて、彼らを表す“日本一泣けるコミックバンド”の名に相応しいものだった。四星球のステージを見ながら、僕は渋谷Lamamaの「ティッシュタイム」のことを思い出していた。どんなに悩んでてもしんどくても、バカバカしくてテンション上がって、何に悩んでたかすら忘れさせてくれた、全裸で演奏するオナマシのステージ。《君に最後に流れるのが こんなにダサい歌だったら 死にきれないはずだから 思い出して欲しいんだ》と歌う「薬草」を聴いて、北島くんもきっと似た気持ちでオナマシのステージを観てたのだろうと思った。
「恋のABC」(’02)/オナニーマシーン

03年、オナマシとともにスプリットEP『放課後の性春』もリリースした、盟友・サンボマスターが想いのあふれた熱いステージでブチアゲて、空気階段が大きな笑いと独創的な世界観で広い会場を包み、最高潮の期待と盛り上がりを見せる中、いよいよ大トリのオナニーマシーンが登場! 亡きイノマーの意志を継ぐ圧巻のステージで、有終の美を飾る!! …となればカッコ良いのだが、そうはいかないのがオナマシ。ベロベロに酔ったオノチンがどうにかステージに辿り着き、ガンガンとふたりで「あのコがチンポを食べてる」「ドーテー島」を披露すると、そのグダグダっぷりに会場中が呆然(笑)。ゲストヴォーカルに江頭2:50が降臨した「恋のABC」はデタラメすぎるオノチンに、江頭が「誰か救急車を呼んで!」と連呼ながら、なんとか熱唱。ベースに大木温之、ヴォーカルに峯田和伸を迎えたスペシャル編成で披露した「チンチンマンマン」は、20年弾いてきたイントロが弾けないオノチンをやさしすぎるふたりが全力で支える。出演者全員が登場したラストは、暴走するオノチンをみんなが笑顔で見守りながら、「I LOVE オナニー」と「オナニーマシーンのテーマ」を大合唱! オナマシ史上、最もめちゃくちゃなライヴだったが、イノマーが死んでなお迷惑をかけ続けるオナマシを、観客含むみんなが愛と笑いとやさしさで包み込む、最低で最高のライヴだった。イノマーさん、観てた? みんなのおかげで最高に面白いライヴになったよ!
TEXT/フジジュン(おばけえんとつ)

フジジュン プロフィール:1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者など、なんでも屋として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野。現在は音楽サイトや、雑誌『昭和50年男』等で執筆。


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