渋谷すばる、『babu会 vol.1』のレポートが到着&全国7カ所14公演のツアーを発表

2022年5月4日 / 17:00

4月26日@KT Zepp Yokohama (okmusic UP's)

2022年4月26日KT Zepp Yokohama。『babu会 vol.1』として3公演目となったこの日は、3年前の2019年4月26日にオフィシャルファンクラブ『Shubabu』が発足した日であった。

自身初のファンクラブイベント『babu会 vol.0』は、2019年10月9日の1stアルバム『二歳』でのデビュー日とも重ねて10月8日・9日に大阪・なんばHatch、東京・品川ステラボールにて行われており、2回目の開催となった『babu会 vol.1』は、4月19日・20日のZepp Osaka Bayside、4月26日・27日のKT Zepp Yokohamaと全4公演で行われた。

渋谷は、『babu会 vol.0』の東京公演が行われた同日の10月9日にリリースされた1stアルバム『二歳』でソロデビューを果たし、アルバムを引っ提げ、翌年の2020年1月28日からソロアーティストとして初のライヴツアー『渋谷すばる LIVE TOUR 2020「二歳」』をスタートさせたのだが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、3月に予定されていた初の海外公演だったアジア4公演とツアーファイナルの大阪での野外公演『二歳と364日』が中止を余儀なくされてしまったのだ。

その後、何度も仕切り直して有観客でのライヴを試みるも、来てくれるお客さんの安全を考え断念。そこから約2年近く、有観客イベントへの出演はあったものの、有観客でのワンマンライヴを再開することが出来ずにここまで来たのである。

新たな人生を踏み出したばかりの渋谷にとって、それがどれほどまでに悔しい出来事であったかは、聞かずとも想像が付く。アルバム『二歳』に詰め込まれた渋谷の想いを深く読み取れば読み取るほど、はやる気持ちを押さえるのがどれほどまでのものであったかは、痛いほど伝わってきた。

そして。2022年4月19日。渋谷は待ち焦がれた瞬間でもあった有観客ライヴの再開に、ファンクラブイベントである『babu会 vol.1』を当てたのだ。渋谷いわく“家族みたいな存在”という『Shubabu』。その再会に必然を感じた。何よりも1番近くで応援してくれるファンの安全を願って断念してきたライヴだった故、最初の再会が、渋谷が1番大切に思う“家族みたいな存在”である『Shubabu』のみんなであったことを、必然と思わざるを得なかった。そしてもう一つの必然を感じたのは、渋谷の唄の変化だった。ライヴが出来なかった時間が、渋谷の唄をより強く、そして、優しく、丸く、変えていたのだーーーーーー。
19時ちょうど。定刻通りに客席の照明が落とされると、驚くほど自然体な渋谷がステージ下手からふらりと1人で登場した。この日はファンクラブライヴだったこともあり、ライヴの開始前にトークコーナーが設けられていたのである。あまりにラフな登場に意表をつかれたファン達は、驚きのあまり一拍遅れてしまった拍手で渋谷を迎えた。久しぶりに会う渋谷が目の前に居るのに声を出すことが許されない状況とあり、トーク中に客席に問いかける渋谷の言葉にも拍手で答える姿は、とてももどかしいそうだった。

渋谷もまた、自らの名前を呼ぶ声も歓声も無い講演会の様な慣れない空気の中でのトークに時折戸惑いを見せ、照れ臭そうな表情を浮かべながらも、久しぶりの再会の喜びを噛み締めていた。ファンクラブイベントならではの近い距離のトークコーナーを終えると、ステージに張られていた紗幕が落とされ、バンドセッティングが姿を現した。

スタジオでジャムった音源をそのまま録音した様な、のほほんとしたSEをバックに、塚本史朗(G)、安達貴史(B)、茂木左(Dr)、本間ドミノ(Key)と、渋谷すばる(Vo)が登場した。この面子でのライヴは今回が初。幕張メッセで観た『渋谷すばる LIVE TOUR 2020「二歳」』とは違うバンド編成である。広いステージを敢えて有効活用せず、中央にギュッと集めてセッティングされたバンドセットは、小箱のライヴハウスを切り取ったかの様な光景だった。

1曲目に選ばれていたのはなんと新曲。2020年の11月にリリースした自身2作目となるフルアルバム『NEED』を披露するはずだった2021年4月からの2度目となる全国ライヴツアー『渋谷すばる LIVE TOUR 2021』も新型コロナウィルスの影響により全公演中止となっている為、まだ『NEED』での有観客ではライヴを行なっておらず、更には2021年9月22日には自身3作目となるフルアルバム『2021』もリリースしており、まだまだライヴで披露していない曲達のストックはたくさんある中で、渋谷は久しぶりのライヴの1曲目に新曲を選んでいたのである。きっと“いち早く新曲を聴かせたい!”という、紛れのない『Shubabu』愛であったに違いない。
定位置に着いた塚本、安達、茂木、本間は、SEを遮る様に力強く放たれた渋谷のブルースハープの音を合図に、“OK! 準備は出来てるぜ!”と言わんばかりにそれぞれの楽器を掻き鳴らして応えると、茂木のシンバルの4カウントと掛け声からイントロのユノゾンの4カウントへと繋げ、曲をスタートさせた。ピタリと息の合った力強いカウントに、ゾクゾクさせられた。“俺はここにいるぜ!”の歌詞を載せたサウンドが最高にロールしまくるロックは、オーディエンスの体を自然と揺さぶらせ、会場の温度を一気に上げた。渋谷が単独で音楽を始めてから、最強のパートナーとして渋谷のサウンドを支えてきた塚本のガレージ色が色濃いロックン・ロールギターを軸とし、絶妙な脱力感で、低音に重心を置いたバックビートの抜けを実に個性的なスタイルで放つ茂木のドラムに、最高のグルーヴとうねりを上げる安達のベースプレイが絡みつき、そこに本間のブルーススケールを使いこなしたロックン・ロールピアノがバンドサウンドを華やかに導き、唯一無二の輝きを与えていた。塚本、安達、茂木、本間が織りなす息の合ったバンドアンサンブルのリズムの重心は最強のノリを作り上げ、渋谷のブルースハープは、そんな極上のロックン・ロールの中で叫びを上げた。4人が発するサウンドとリズムの極上の波に、天性の感覚で飛び込んで唄を絡ませていく渋谷の感性も言わずもがな最高だ。間奏で暴れまくる個の音のぶつかり合いの強さといったら、最高なんて言葉じゃ収まらない。最高以上の表現があったらその言葉を記したいほど、それは圧巻と高揚の連続だった。

茂木は絶やすことなくリズムを刻み続け、間髪入れずに「ワレワレハニンゲンダ」へと繋がれていった。人間として生きる自由をシニカルに唄う渋谷に、メンバー全員による“ニンゲン! ニンゲン!”という、渋谷の叫びへの同意的なコーラスが載る。叫びの中に込められた人間として生きる意味の深さと人間が人間を思いやること、尊重すべきことの大切さを考えさせられる1曲だ。掻きむしられる感情を表現したかの様な塚本のギターと鬱血した感情を表現したかの様な渋谷のブルースハープの重なり合う音像には、歌詞に落とし込まれた憤りを爆発させた凄みがあった。

体を揺らさずには聴けないリズミックな「BUTT」への流れも、ノリを止めずに繋がれた。5人は、途中にMCを設けることなく、曲間に繋ぎ目を持たせないスタイルで、音を途切らすことなく届けていくという、実にストイックな流れを作っていったのである。
アクの強いプレイヤー達が音をぶつけ合い、目まぐるしく曲を変化させて掻き回していった今回の座組でのライヴは、『二歳』のときに幕張メッセで観たバンド編成でのライヴとは全く異なるものだった。どちらが良いということではなく、どちらもそれぞれの良さはあるのだが、言葉にして記すとするならば、幕張メッセで観たバンド編成は、“渋谷すばるという個”をとても素晴らしく引き立てていた様に思う。一方、今回の編成で強く感じたのは、“渋谷すばるバンド”としての“バンドパワー”だった。敢えて“アクの強いプレイヤー達”と記したのだが、渋谷すばるというボーカリストも最上級レベルに“アクの強い唄い手”である。今回の塚本、安達、茂木、本間という“アクの強い編成”は、そんな渋谷の“アク”を、見事にサウンドに中和させていたのだ。プレイヤー個々のアクの強さが、渋谷のアクの強さと思いがけない科学変化を起こし、想像を絶するほどの合致を創り上げ、この5人でしか出すことの出来ない相性の良さを生み出したのだ。個々が相当強い個性を放つプレイヤーであることから、正直、ここまでまとまりのある一つの個体を創り上げられるとは想像していなかったのだが、いやいや、これはすごいことになった。荒々しいまでの音像と感情の抑揚を音に置き換えたサウンドのループで攻め立てた塚本、安達、茂木、本間、渋谷は、紛れもない“バンドパワー”を見せ付けてくれたのだった。

そして。渋谷らしさといえば、やはり他にはない感性で描かれる歌詞である。中でも特有の持ち味を放つ「来ないで」。最初にこの曲を聴いたとき、また随分と赤裸々な歌詞を書いたものだとハラハラしたのを覚えているのだが、この歌詞の結末を知ったときは、なんとも心地良い脱力感に包まれ、肩ガックリと落として、その“渋谷らしさ”を笑った。

ゆっくりとしたコード進行で魅せていくミドルテンポなこの曲は、“我が強い僕だけど 君にはもうこりごり”という歌い出しから始まり、サビでは“もう来ないでくれないか 二度と僕の目の前に”と唄われる。“一度だけの口づけが こんなに脳裏に焼き付いて”とも記されていることから、特別な存在であった特定される“君”に唄われていることが分かる。が、しかし、結末に渋谷によって叫ばれるその“君”の名は、、、、パクチーなのだ。こんなにも時間と手間と最高のロックバンドを使ってまで“パクチー嫌い”を叫ぶ贅沢さよ。これこそが渋谷すばるなのである。
大きく構えた抜けの良い茂木のドラミングのフロアタム使いは格別で、和音から始まりメロにそっと寄り添うルートベースを奏でる安達のプレイも、塚本の強過ぎない心地良いバッキングも、うっすらと楽器隊の上を滑らせる様な奏法の本間の柔らかな鍵盤音も、気怠い感じの渋谷のハープと、極大工脳を切々と唄う渋谷の唄も、ラストに置かれた“パクチー嫌い”を叫ぶ為に在ったのかと思うと、なんとも心地良い脱力感に包まれるのだ。この日の「パクチー」も、いや、「来ないで」も最高だった。

そして、更に心を奪われたのは、本間のどこまでも優しい鍵盤ソロから、塚本のアコースティックギターに繋がれて始まった「レコード」。重心を落としレイドバックさせて唄われたこの曲は、渋谷の人間性を浮き彫りにした。とことん熱くて真っ直ぐな渋谷が時折見せる寂しげな表情と似ている優しい唄も悪くない。

安達と茂木の音での掛け合い、いや、もはや音での会話だったソロ対決を挟み、ライヴは後半戦へ。安達の瞬間的にミュートを感じさせるサムと、気持ちの良いアタックが癖になるプルが絶妙な相性で共存したスラップが会場を踊らせた「きになる」も、ただただ同じ言葉が繰り返される実に気になる歌詞が意味深である。が、しかし、歌詞の意味などどうでも良くなるほどに最高にファンキーで踊れる1曲なのだ。もはやこの曲の渋谷の唄は楽器だ。「レコード」からの空気感を一変させた展開の忙しさも、ギュッと詰め込まれたファンクラブならではのセットリストの醍醐味を感じさせるものだった。

渋谷は本編のラスト前に、ハイスピードで音と言葉を激しくぶつけ切った新曲を届け、最後の曲に移る前に、初めてMCを取った。

「ありがとうございました。最後にメンバー紹介させて下さい。ギター塚本史朗、ベース安達貴史、ドラム茂木左、鍵盤本間ドミノ」

本当にメンバー紹介だけの短いMCだったのだが、渋谷にとって、1番伝えたいことだったのだろう。この日のサウンドを一緒に作ってくれた1番大切な仲間をちゃんと紹介したかった渋谷の想いが伝わってきた。この面子がこのタイミングで出逢い、渋谷の久しぶりのワンマン有観客ライヴを支えたことは、きっと必然。今もまだ続く日常の当たり前を変え、大きく世界を変えたコロナという最悪な時間は、偶然なんかではなく、必然に繋がる気付きの時間だったのかもしれない。渋谷が本編の最後に選んでいた「素晴らしい世界に」を聴いたとき、本当に心からそう思えたのだ。

“どんな事にも 意味があるなら これの意味は 何”

辛いことが起こる度に誰もが自問するであろうこの言葉を、渋谷はこの曲の唄い出しに置いている。そして彼は、最後にこの想いが素晴らしい世界に続いていくと唄っている。渋谷の唄が心に響くのは、その全てがノンフィクションだからだろう。そこにある痛みも喜びも、全て自らが体感した感情だからだろう。
鳴り止まない拍手に応えたアンコールで、渋谷はバンドメンバーと、スタッフ、集まってくれたファン達に向けて拍手を募った。そして、最後に「ぼくのうた」を届け、次の『babu会』での再会を約束し、ステージを後にしたのだった。

渋谷を大きく変化させることとなったに違いない『babu会 vol.1』の経験が、この先の彼をどう変化させていくのかも、実に楽しみなところである。今ツアー終了後に、9月14日の福岡サンパレスホテル&ホールを皮切りに『渋谷すばる LIVE TOUR 2022』を全国7カ所14公演で行うことを発表した渋谷。フルサイズでのワンマンライヴツアーでは、いったいどんな渋谷すばるを魅せてくれようとしているのだろう? 今から楽しみで仕方ない。

なお、『babu会 vol.1』の最終日であった2022年4月27日KT Zepp Yokohama公演のアーカイブ配信が2022年5月8日(日) 23:59まで見れるので、是非、そちらもチェックしてみてほしい。きっとこの出逢いも必然。ようこそ。人間・渋谷すばるWORLDへ。

Text by 武市尚子
【『babu会 vol.1』2022年4月27日KT Zepp Yokohamaアーカイブ配信】

2022年5月8日(日)23:59まで
『渋谷すばる LIVE TOUR 2022』
9月14日(水) 福岡サンパレスホテル&ホール

9月15日(木) 福岡サンパレスホテル&ホール

9月21日(水) 名古屋国際会議場 センチュリーホール

9月22日(木) 名古屋国際会議場 センチュリーホール

10月12日(水) 広島文化学園HBGホール

10月13日(木) 広島文化学園HBGホール

10月17日(月) 仙台サンプラザホール

10月18日(火) 仙台サンプラザホール

10月24日(月) カナモトホール(札幌市民ホール)

10月25日(火) カナモトホール(札幌市民ホール)

10月31日(月) 東京ガーデンシアター

11月01日(火) 東京ガーデンシアター

11月05日(土) 大阪城ホール

11月06日(日) 大阪城ホール

※公演に関する詳細情報やチケットに関する情報は後日ご案内いたします


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