syudou、初ライブで見せたアーティストとしての本気の勝負

2022年5月4日 / 18:00

 syudouが2022年5月3日に初のオンラインライブ【syudou Online Live 2022『狼煙』】を開催した。

 ボカロPとして音楽活動をスタートし、Ado「うっせぇわ」の作詞・作曲者として大きく名を上げたsyudou。2021年からはシンガーソングライターとしてオリジナル歌唱曲を次々と発表してきたが、ライブ自体はこれが初めてのことになる。ファンやリスナーにとっても「ミュージシャンとして生身の身体で歌うsyudou」をまだ目撃したことのない人がほとんどだろう。そんなタイミングで見せてくれたのは、まさにタイトル通りアーティスト活動の“狼煙”を上げるべく全力で勝負に挑むようなステージだった。

 荘厳なオープニングSEが流れる中、画面が切り替わると、カメラはライブハウスの床に一人座り左手の人差し指を上に向け突き上げるsyudouの姿を映し出す。フードを深くかぶったままマイクを握って「狼煙」を歌い始めると、立ち上がったsyudouはゆっくり歩いてマイクスタンドの前へ。ドラム、ベース、ギター、キーボードを従えたバンド編成のステージがあらわになると、両手を大きく広げ、迫力に満ちた歌声を響かせる。モノクロから途中でカラーになる映像演出も、ラストの“仮面を脱ぎ捨て歩き出す”と歌ったところでフードを脱いで顔を見せるパフォーマンスも、かなりドラマティックな幕開けだ。

 続く「取扱注意」ではsyudouはステージ狭しと動きまわり、お立ち台に足を乗せ、畳み掛けるように歌う。ロックバンドのフロントマンを思わせる、初ライブとは思えないほどのエネルギッシュな佇まいを見せる。

 曲を終えると「始まりました!」とMCへ。興奮を隠せない口調で、ライブをずっとやりたいと思っていたこと、もともとバンドに憧れがあったこと、モテたくてバンドを始めたこと、そこからボーカロイドやインターネットを知って今に至っていることなど、自身のこれまでを振り返りつつオンラインライブに向けての思いを語る。ダークで毒に満ちた作風のsyudouだが、それとは裏腹な、熱のこもった喋りから伝わってくる人間性も魅力の一つだ。

 続く「へべれけジャンキー」はダンサブルなバンドセッションからスタート。酒をテーマにした曲ということで、syudouはバーカウンターへ移動し、グラスのドリンクを飲み干してから歌う。“飲めば飲むほどに飲み込まれそうなんだ はぁ…”と歌ったところで頭を落としたり、曲後半ではカウンターの上に立ち上がったり、曲の主人公の酔っぱらいを演じてるかのようなどこか戯画的なパフォーマンスも繰り広げる。「ボーカロイド、レペゼン!」と叫んで続けた「コールボーイ」も酒の歌。グラスを片手に持ったままバーカウンター前のソファで鬼気迫る表情を見せる。悪意と怒りをストレートに吐き出す「邪魔」は、ライブハウスの床で飛び跳ねながら歌う。目が離せない瞬間が続く。

 「自分が見てきた風景にバンドがあったので、あの頃の夢が叶った」と、MCでsyudouは高校時代にドラマーとしてバンドをやっていたが上手くいかず解散に至ったという経験を語る。そして「この曲が僕を今の状況まで連れてきてくれた大切な曲です」と告げて「ビターチョコデコレーション」へ。皮肉たっぷりの歌詞でボカロPとしてのsyudouの評判を上げるきっかけになった一曲だ。

 続く「笑え」は爽やかなメロディを前面に出したストレートなギターロックの曲調。syudouはギターを抱えプレイしながら歌う。そこから「オーケー、笑ってこう!」と「爆笑」は一転してヘヴィでアグレッシヴな演奏に乗せ、パーカーを脱ぎ捨てたsyudouが髪を振り乱しながら叫ぶ。ライブが後半に至るにつれてどんどんバンド感が増していくような展開だ。

 MCではホリエマム(Dr)、長島涼平(Ba)、Kuboty(Gt)、モチヅキヤスノリ(Key)というバンドメンバーを一人ひとり紹介。凄腕ミュージシャン、というだけでなく歴戦のバンドマンも含むメンバーが揃いタフに支える編成だ。それゆえのタフなバンドサウンドがガッチリとsyudouを支えているのも感じた。

 「まだまだたりねぇんじゃねえの?」と画面の向こうのオーディエンスを煽ってから始めた「たりねぇ」は、ドラム、ベース、ギター、キーボードそれぞれのプレイをフィーチャーしてからスタート。syudouはステージ脇の階段に移動し、“上に上に上に上がるだけ”という歌詞を歌いながら一段一段登っていく。

 2021年末の「WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」を機にプロボクサー・井岡一翔をイメージして書き下ろしたという「たりねえ」。が、このオンラインライブでsyudouが歌う姿を見れば、自分自身の決意を告げる曲でもあることが真っ直ぐに伝わってくる。

 そしてラストは「俺の人生が、そのものがギャンブル!」と叫んでの「ギャンブル」。荒々しくパンキッシュな演奏、ケレン味たっぷりの曲展開、ギラギラとした歌は、シンガーソングライターとしてのsyudouの魅力のど真ん中と言ってもいいだろう。天井から紙幣を模した紙が舞う演出も、白熱のステージに華を添えた。

 満足気な笑顔でライブを終えたsyudouは、感謝を告げ、2022年8月8日に中野サンプラザホールでワンマンライブ「syudou Live 2022加速」を開催することを発表。「本日はありがとうございました、そして、中野で是非お会いしましょう!」と告げてステージを去った。

 ダイナミックな立ち振る舞い、そして生々しい人間味。syudouというアーティストの本性がありありと伝わるような初ライブだった。

Text:柴 那典
Photo by Yuki Maxima

◎公演情報
【syudou Online Live 2022「狼煙」】
2022年5月3日(火)
配信プラットフォーム:PIA LIVE STREAM

セットリスト:
1. 狼煙
2. 取扱注意
3. へべれけジャンキー
4. コールボーイ
5. 邪魔
6. ビターチョコデコレーション
7. 笑え
8. 爆笑
9. たりねぇ
10. ギャンブル

アーカイブ配信:2022年5月6日(金)23時59分まで
チケット料金:3,500円(tax in.)
チケット販売日程: 5月6日(日)20時まで

【syudou Live 2022「加速」】
2022年8月8日(月)
東京・中野サンプラザホール
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット料金:
全席指定 4,950円(tax in.)


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