のん、最初で最後となるZepp Tokyoライブを開催「良いお年を!」

2021年12月29日 / 16:15

 のんが2021年12月25日にZepp Tokyoにて有観客ライブを開催した。

 のんは、新型ウイルス感染症が広がり始めた昨年2月、自身が主宰する音楽フェス【NON KAIWA FES vol.2】を断腸の思いで無観客形式の開催を決断した。同年5月からはギタリストのひぐちけいと共に、無観客配信ライブ【のんおうちで観るライブ】をスタート。いつか、お客さんの前でライブ活動再開が実現するのを待ちながら、これまでに13回もの無観客配信ライブを行ってきた。感染症の状況がようやく緩和されたこの時期、のんの元に僥倖が届く。2022年1月1日に閉館するZepp Tokyoに空きが出たのだ。Zepp Tokyoは、のんが音楽を始めた頃から目標にしてきた会場。偶然とはいえ、その夢が遂に実現することになった。かくして開催に至ったのんの最初で最後の“Zepp Tokyo”ワンマンライブ。メンバーは盟友ひぐちけいに加え、今年5月の【おうちで観るライブ】以来、のんのサポートには欠かせなくなったベースのなかむらしょーこと、ドラムのナガシマタカトが参加。盤石の体制で臨んだ初の“Zepp Tokyo” のステージがいよいよ始まる。

 開演時間になると、会場にはズシンズシンと地響きが鳴り渡る。ステージに貼られた煙幕に、シャドーで浮かび上がったギターを持った恐竜(これが“のんザウルス”か?)が、足を踏み鳴らす。続いて爆音のディストーション・ギターがかき鳴らされバンドが演奏を始める。煙幕が鮮やかに降ろされると、ステージにはメンバー4人がそれぞれのポジションで構える。のんの真っ赤なテレキャスターがイントロを爪弾くと1曲目がスタート。ゾクゾクするほど、かっこいいオープニングだ。

 この日ののんの衣装は、左右の袖がタータンチェックとストライプ、胸元には大きな白いリボンに、フラワー・プリントのパンツ。そして背中には大きな恐竜の尻尾! パンキッシュでアヴァンギャルドながらキュート。コメント欄にも「かわいい!」と称賛が並ぶ。客席をじっと見据えながら、真摯な姿勢でマイクに向かうのんの姿は実に凛々しい。久しぶりの有観客ライブということもあって、幾分か緊張しているように見える。まずは4曲を立て続けに演奏し、ここでのんは衣装替え。今度は右に黄色、左に赤の大きなリボンがついたグリーン・チェックのジャケットを羽織って登場。この日の観客には入場時、のんからのクリスマス・プレゼントとしてミニ・タンバリンが配られた。声を出せない代わりに、タンバリンを鳴らして欲しいという、のんからの気持ちだ。観客と共にタンバリンの叩き方の練習を経て、次の「僕は君の太陽」で、のんはハンドマイクに持ち替え、花道まで出てきてタンバリン・アクションを実践し客席と一体感を作っていく。

 「ゆっくり飛んでけ」は近田春夫のアルバムにのんが描き下ろした曲。セルフ・カバーは、この日が初披露。身体を大きく揺らしながら客席を煽る。この頃になると、オーディエンスとの呼吸や間合いも取れてきて、のんの表情もリラックスしてくる。「ノンノン・ソング」はカジヒデキが、のんをテーマに書いた楽曲。カジヒデキのアルバム『GOTH ROMANCE』(2019)に収録され、のんはデュエットでも参加した曲だが、ライブで披露するのは、この日が初めて。前半はアップチューンのロック・テイスト楽曲が並んだが、こちらはキュートでポップなナンバー。

 ここからはカバー・コーナーとなる。「プン・プン・プン(オコリンボ リンボ)」、「I LIKE YOU」はのんが敬愛する忌野清志郎のRCサクセション。THE BLUE HEARTSの「キスしてほしい」は昨年公開された主演映画『私をくいとめて』とコラボしたマルコメ恋愛発酵学会CM曲。原曲と違ったスロウテンポのアレンジでしっとりと歌われ、KIRINJIの「エイリアンズ」もかつてCMでのんが歌ったヴァージョンで披露。透き通るような声を場内に響き渡せ、オーディエンスもじっと聴き入る。照明も幻想的な風景を作り出す。

 まもなく閉館するZeppTokyoでライブが出来たことをのんは「奇跡が起きた!」と改めて、その喜びを噛みしめる。ここでのんは冒頭に登場した恐竜の尻尾を背中に装着。「ZeppTokyoで尻尾をつけるのも今日で最後」と感無量気味に話し、ZeppTokyo終わらなきゃいいのに、時間が巻き戻ったらいいのにタイムマシンでもあったらいいのに、と「タイムマシンにおねがい」に鮮やかに繋げる。2017年に発表したデビュー・カセットに収められた楽曲で、これまで数え切れないほど演奏してきただけに、実に堂々した歌いっぷりで客席を圧倒。「こっちを見てる」は自身が主宰する【NON KAIWA FES vol.2】が感染症拡大を受け、無観客開催を余儀なくされた際、のんが怒りを込めた書いた楽曲だ。あれから1年10か月。ようやくオーディエンスを入れた状態でライブが開催されたこの日に、この曲を歌えることに特別な思いがあったことであろう。

 続いて、スクリーンにはのんが監督・主演を務め、来春2月25日に劇場公開される映画『Ribbon』のトレーラー映像が上映される。この映画は、劇伴をひぐちけいが担当。ベースのなかむらしょーこ、ドラムのナガシマタカトもサントラに参加した。主題歌はサンボマスターが本映画のために描き下ろした「ボクだけのもの」。本編最後はこの曲をこのバンドでカバーした。もちろん初披露だ。女性ボーカルでコーラスも入ると、サンボマスター版とは違ったパワー・ポップ感が増す。エンディングの<La La La…>では場内総立ちとなり、コーラスに合わせ心の中で歌う。歌いきったあとの、のんの“ドヤ顔”がかわいい。

 いつものコンサートだと、ここでアンコールを求めて大きな声が場内に響き渡るが、今日のライブは声出し禁止。ここで観客は思わぬ行動に出る。入場時に、のんからのクリスマス・プレゼントと配られたタンバリンを“ア・ン・コ・ー・ル”のリズムに合わせて叩き始めた。これはたちまち客席中に伝播。賑やかなタンバリンのコールとなった会場に、のんとひぐちけいのふたりがニコニコしながら登場する。花道ステージの最前方まで進み、ふたりでオリジナルの「クリスマスソング」を演奏。続いて、バンドのメンバーふたりが加わり、ラストはのんのライブで、ここぞというタイミングで演奏される鉄板メロコア・ナンバー「わたしは部屋充」を声の限りに歌い、広いステージを右に左にそして花道にと動き回り、オーディエンスの熱気に応えていく。そして「良いお年を! じゃあね!」と客席に別れを告げてステージを降り、全21曲、120分に及んだ有観客ライブは終了。この日のライブは、2022年1月2日23時59分まで視聴可能だ。

Photos by 南賢太郎(FOCUS STUDIO)

◎【のんザウルス in Zepp Tokyo 1st Last LIVE】セットリスト
※2021年12月25日18:00公演
1. スーパーヒーローになりたい
2. やまないガール
3. 正直者はゆく
4. さぁいこう
5. 僕は君の太陽
6. むしゃくしゃ
7. ゆっくり飛んでけ
8. あることないこと
9. 涙の味、苦い味
10. へーんなのっ
11. ノンノン・ソング
12. プン・プン・プン(オコリンボ リンボ)
13. I LIKE YOU
14. キスしてほしい
15. エイリアンズ
16. タイムマシンにおねがい
17. ナマイキにスカート
18. こっちを見てる
19. ボクだけのもの
<アンコール>
1. クリスマスソング
2. わたしは部屋充


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