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日本でCDが最も売れた1997年、オレを震わせた5曲

日本でCDが最も売れた1997年、オレを震わせた5曲 (okmusic UP's)

日本でCDが最も売れたという1997~98年。昭和50年(1975年)生まれのオレは22歳になって、オリコンという音楽チャートの会社に在籍していた。音楽チャートにはGLAY、ミスチル、安室奈美恵とミリオン超えのアーティストがずらりと並び、音楽シーンを華やかに彩っていたけど。地下のライヴハウスではDIY精神を掲げたインディーズバンドたちが新しい時代を生み出し、海外ではミクスチャーやデジタルロックなど新たなジャンルが成熟。『フジロック』や『AIR JAM』も開催されて、みんなが音楽に熱狂し、夢中だったあの時代にオレを震わせた5曲をセレクトしました。「おめぇの話とか、知らねぇよ!」と言わず、自身が97年に聴いてた音楽を思い出しながら、お付き合いください。
「FACE」(’97)/globe

J-POPのジャンルの裾野が大きく広がって、玉石混交でさまざまなアーティストが音楽チャートを賑わせてたあの時代。カラオケボックスも大流行してて、みんなカラオケで歌うために短冊盤(シングル)買っては必死で歌を覚えたりしてたけど。インディーズや海外の流行を追うのに必死だったし、自分の音楽的価値観が広がっていくのが楽しくて仕方なかったオレは、ヒットチャートの音楽を聴いてる暇などナシ! …なんだけど、ヒットチャートで唯一好きだったアーティストがglobe。“TKの本気(マジ)”を感じる、世に媚びないサウンドがカッコ良くて、97年発売のアルバム『FACES PLACES』は大好きで繰り返し聴いてました。改めて調べると、「この作品はカート・コバーンが亡くなった時、小室哲哉がニルヴァーナの作風に傾倒しながら制作した」そうで、オレが好きだった理由もなんだか納得。そうか、globeにはTKのロック魂が込められていたのだ。
「FIGHTING FISTS,ANGRY SOUL」 (’97)/Hi-STANDARD

1995年にリリースした1stアルバム『GROWING UP』が、国内外合わせて70万枚のセールスを記録。自身主催のフェス『AIR JAM ’97』を開催し、1万人の観客を集めるなど、ヒットチャートとは無縁の独自のシーンを築き上げたHi-STANDARD。ハイスタが唯一無二の存在感を知らしめた97年発売のアルバム『ANGLY FIST』は、大人になりかけてたオレの心を震わせ、熱く純粋だった10代の気持ちを思い出させてくれたし、ハイスタを聴くといまもあの時の気持ちに戻ることが出来る。オレたちのパンクヒーロー、ハイスタ。セックス・ピストルズには間に合わなかったけど、オレたちにはハイスタがいた!
「Shangri-La」(’97)/電気グルーヴ

「こんな音楽聴いたことない!」と次々出会う新しい音楽にドキドキしながら、青春時代を引きずって10代から好きだったアーティストも追い続けてたあの頃。その双方の気持ちを満たしてくれたのが、常にアップデートを続けていた電気グルーヴだった。「Shangri-La」の大ヒットに「世は電気の良さに今さら気づいたか!」なんて思いながら、みんなに知られることに複雑な気持ちを抱いていたんだけど、アルバム『A』を聴いてそんな気持ちはぶっ飛んだ。65分49秒、ノンストップで襲いかかる11曲の波状攻撃に大興奮! シングルと違って聴こえる「Shangli-La」もめちゃくちゃカッコ良いし、多分に盛り込まれた悪ふざけも心地よいし、「やっぱり電気最高!」と両手を挙げる名作だった。
「ガソリンの揺れ方」(’97) /BLANKEY JET CITY

同じく10代の頃から好きだった、BLANKEY JET CITY。それぞれのソロ活動を経て完成した、2年振りのオリジナルアルバム『LOVE FLASH FEVER』。アルバムに先行してリリースした「ガソリンの揺れ方」を聴いて震えて、アルバムを聴いて「ソロも良かったけど、やっぱりこの3人がいいな」と改めてブランキーに惚れ直した。その後、98年にアルバム『ロメオの心臓』をリリースしたあと、再びソロ活動に入る3人。00年に活動再開し、アルバム『Harlem Jets』発売するも「最高のアルバムが出来たのでおれたちは解散します」と解散宣言。横浜アリーナでの解散ライヴを見届けて、「僕の心を取り戻そう」と会社員生活に終わりを告げて、灰色の空の下に旅立つことを決意したオレ。デビュー前から解散まで見届け、人生に多大な影響を与えてくれたブランキーはやっぱり特別な存在。
「実験4号」(’97)/Theピーズ

97年、この曲も収録されたアルバム『リハビリ中断』をリリースして、活動休止期間に入るTheピーズ。インタビューなどを読んでもこの頃、はるは明らかに気持ちを病んでいた。死んでしまう、生き延びるなどと生きる力を絞り上げて声で歌うアルバムを聴いて、当時の彼女(今の奥さん)が「はるくんが死んじゃう!」と泣き出したのが忘れられない。オレも気持ちが弱ってる時に今作を聴くと持っていかれちゃうから、あまり聴かないようにしてた時期もあったけど。今聴くと名曲だらけの今作のすごさに気づくし、諦観の念さえあるこの曲の《何かまたつくろう》といった仄かな希望にロックンロールの力を感じる。
5曲を挙げてみたら97年は日本で一番音楽が盛り上がった時期でもあったけど、オレの中でも現在につながる音楽の志向や思考が定まった重要な時期だったことがよく分かりました。
TEXT:フジジュン(おばけえんとつ)

フジジュン プロフィール:1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野だが、EBiDANなど若い男の子も大好き。笑いやバカの要素を含むバンドは大好物。

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