エイベックス・グループの北米事業を統括するAvex USAの新たな事業強化計画が明らかに

2021年5月12日 / 11:00

 2021年4月28日、エイベックスの北米事業を統括するAvex USA Inc.の長田直己取締役社長が米ビルボードとのインタビューで、北米地域における音楽出版やレコード・レーベルなどの新たな事業について語った。

 Avex USAは、音楽出版「Avex USA Publishing」、次世代型レコード・レーベル「SELENE」、そして音楽スタートアップへの出資・支援プログラム「Future of Music Investment Fund」の3つの主要部門から成る。米ロサンゼルスのウェスト・ハリウッドに新たに設けられた約600平方メートルの本社オフィス「Avex House」には、4つのレコーディング・スタジオとプロダクション施設が完備されている。

 米ビルボードに対し長田社長は、「音楽業界におけるパラダイム・シフトが技術の刷新により加速する中、クリエイターやアーティストを売り出したり、成長させたり、ブレイクさせるための新たなモデルを確立させるには今が絶好のタイミングだと感じました。我々はブティック型アプローチで音楽、テック、ファイナンスのビジネス思考法をユニークな形で組み合わせ、、日本とアジアのマーケットで我々が持つ強みを活用しながら音楽ビジネスにさらなる革新をもたらしたいと考えています」と述べた。

 エイベックスは、昨年本社ビルの売却や希望退職制度の実施が報じられていたが、これらの動きについて長田社長はダウンサイジングではなく、「新たな事業機会やIPコンテンツへの投資に注力し、情熱を持った新しい時代の人材をエンパワーしていくということです」と説明している。

 また、エイベックスが昔から世界進出を視野に入れてきたことや、IFPI調べで世界第2位の音楽市場を抱える日本の業界と米国の音楽業界との間の架け橋となる役割を果たすことに好機を見いだしていると語っている。「Avex USAは、(エイベックスという)グローバル企業が新たな海外事業の機会に投資をしていく上での重要なカギを握る部分なのです」と長田社長は述べている。

 Avex USAの音楽出版部門であるAvex USA Publishingでは、Christy Saguanpong(元Defend Music)をVP of Publishing Administration、Andrew Hawthorne(元Primary Wave)をVP of Publishing A&Rとして迎え入れたほか、Brandon SilversteinのS10 Entertainmentとジョイント・ベンチャー契約を結んだ。ソングライターやプロデューサーを共同で契約し成長させることがこの新たな合弁事業の目的で、長年ジャスティン・ビーバーとコラボしてきたBernard “Harv” HarveyやInternet MoneyのプロデューサーCxdyと新たに契約している。

 Avex USA Publishingには、すでにBryan-Michael Cox(アッシャー、マライア・キャリー、メアリー・J.ブライジをプロデュース)、Patrick “J. Que” Smith(ブリトニー・スピアーズ、ビヨンセ、アリアナ・グランデ)などのスーパースター・ヒットメイカーが所属している。最近の例を挙げると、ジャスティン・ビーバーの「ピーチズfeat.ダニエル・シーザー&ギヴィオン」、カーディ・Bの「WAP feat.メーガン・ザ・スタリオン」、そしてアリアナの「ポジションズ」、「thank u, next」、「7 rings」などのヒット曲の権利を一部保有している。

 一方、次世代型レコード・レーベルSELENEは、Avex USAのLucas Thomashow(VP Strategy/Operations)が最高責任者となる。Brat TVで音楽レーベルの責任者、Googleではマーケティング戦略を担当していた彼は、新レーベルではまずは米国のアーティストと音楽に集中すると述べており、その第一弾としてZach Hood、DIRTYXAN、Sophie Holohanと契約した。同時に、「(レーベル所属)クリエイターたちにより良いサービスを提供するため、そして新たなファン層獲得へつながるユニークな機会を提供するため、日本とアジアの市場におけるエイベックスの強みを活用します」と彼は説明しており、将来的には日本のアーティストの全米進出も支援するという。

 Avex USAの新事業モデルについて彼は、「最高峰の出版作家ラインナップ、次世代型レコード・レーベル、そして音楽テックスタートアップへの投資による相乗効果を生み出し、トップ・クリエイターや若くて影響力のある次世代アーティストに力を与え、成長させ、ブレイクさせることに主眼を置いています」と語っている。

 そして、“世界の音楽スタートアップとのオープンイノベーションプロジェクト”の一環としてスタートしたFuture of Music Investment Fundは、長田社長とRyusuke (Ryan) Kamada(VP, Head of Finance / 元J.P.モルガン投資銀行部門)がトップを務める。新たなIPコンテンツ、音楽体験、収益モデルを作り出している音楽テックスタートアップへの出資・サポートを行い、ジャスティン・ビーバーやスクーター・ブラウンからも出資を受け現在大きな注目を浴びているヴァーチャル・コンサートの企画・開発会社WaveXR(ジョン・レジェンドやザ・ウィークエンドなどのコンサートの実績)や、ケンドリック・ラマーやビリーアイリッシュ等のツアービジュアル制作会社Strangeloop Studios考案のヴァーチャル・アーティスト・レーベルSpirit Bomb等に初期投資を行っている。

 長田社長は、「我々は、別次元で独立したデジタルの世界が、周りにある物理的な空間と同じくらい重要になると確信し、期待しています。デジタルの世界は、音楽業界に新たな次元を開きます。その世界の重要な一部になるであろう技術に重点を置きながら、それによる新たなIPコンテンツ、体験、収益モデルを創出したいのです」と語っている。


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