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【米ビルボード・アルバム・チャート】AC/DC『パワーアップ』初登場1位、クイーン『グレイテスト・ヒッツ』初のTOP10入り

 AC/DCのニュー・アルバム『パワーアップ』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 本作は、最高3位を記録した前作『ロック・オア・バスト』(2014年)から約6年ぶり、通算17枚目のスタジオ・アルバムで、首位獲得は8thアルバム『悪魔の招待状』(1981年)、15thアルバム『悪魔の氷』(2008年)に続く3作目、TOP10入りは10作目の快挙。同チャートのランクインは、ライブ盤やサウンドトラック含む通算26作目となる。

 『パワーアップ』の初動ユニットは117,000で、そのうち111,000がアルバム・セールス、5,000がアルバム・ストリーミング(SEA)、トラックごとのユニット数(TEA)は1,000程度だった。2020年度にリリースされたロック・アルバムとしては最大の週間ユニット数で、昨年の9月14日付チャートでトゥールの『フィア・イノキュラム』が記録した248,000ユニット以来の高記録を打ち出した。

 セールスには、LPや一部の小売店で発売された限定版、ロゴが点滅するボックス・セット等による売り上げが含まれており、その内訳CDが71,000枚、デジタル・ダウンロードが23,000、LPが16,000枚となっている。

 今週『パワーアップ』が1位に初登場したことで、AC/DCは1980年代、1990年代、2000年代、2010年代、2020年代の5年代でTOP10にランクインした5番目のアーティストに記録を更新した。その他には、メタリカ、オジー・オズボーン、ブルース・スプリングスティーン、ジェームス・テイラーの4組がいて、グループとしてはメタリカに続く2組目の快挙となる。

 本作から先行シングルとして発表された「ショット・イン・ザ・ダーク」は、2週前の11月14日付メインストリーム・ロック・ソング・エアプレイ・チャートで1位を獲得し、2008年以来12年ぶり、5曲目の同チャートNo.1ヒットとなった。その他、ロック&オルタナティブ・ソング・チャートでは13位まで上昇している。

 続いて2位には、ラッパーのフューチャーとリル・ウージー・ヴァートによるコラボレーション・アルバム『Pluto x Baby Pluto』が初登場。初動ユニットは105,000で、そのうち99,000がアルバム・ストリーミングと全体の9割以上を占めた。週間再生数は1億3,611万回で、今週最大のストリーミングを記録している。セールスはわずか5,500程度だった。

 フューチャーは通算14作目のTOP10入りで、コラボレーション・アルバムとしてはドレイクとの『What a Time to Be Alive』(2015年 1位)、ヤング・サグとの『Super Slimey』(2017年 2位)、そしてジュース・ワールドとの『Wrld on Drugs』(2018年 2位)に続く4作目のランクインとなる。リル・ウージー・ヴァートは3作目のTOP10入りで、これまで他者とコラボレーションした作品はリリースしていない。

 なお、リル・ウージー・ヴァートは『エターナル・アテイク』が3月21日付チャートで、フューチャーは『ハイ・オフ・ライフ』が5月30日付チャートで同1位に初登場しており、両者にとって2020年度2作目のTOP10入りとなる。

 本作『Pluto x Baby Pluto』は11月13日にリリースされ、4日後の11月17日に8曲を追加したデラックス・エディションとして再リリースされた。今年は、この手法でストリーミングを上昇させたヒップホップ系のアーティストが多数いる。前述の『エターナル・アテイク』も、同様のアプローチで2週連続の首位をキープした(3月21~28日付チャート)。

 TOP3は全て初登場作品で、3位にはクリス・ステイプルトンの新作『スターティング・オーヴァー』がデビューしている。本作『スターティング・オーヴァー』は、最高2位を記録した前作『フロム・ア・ルームVol.2』(2017年)から約3年ぶり、4作目のスタジオ・アルバムで、首位を獲得したデビュー作『トラベラー』(2015年)、最高2位を記録した2ndアルバム『フロム・ア・ルームVol.1』(2017年)と、4作全てのアルバムがTOP3入りしている。

 『スターティング・オーヴァー』の初動ユニットは103,000で、75,000がアルバム・セールス、25,000はアルバム・ストリーミング、トラックごとのユニット数は3,000を記録した。週間再生数は3,682万回で、カントリー・アルバムの初週ストリーミングとしては、4月18日付チャートで5位にデビューしたサム・ハントの『サウスサイド』が打ち出した3,680万回に次ぐ、2020年度2番目に高い記録となる。

 初登場を除くと、3週前の11月7日付チャートで首位復帰を果たしたルーク・コムズの『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』(今週6位)が同日に記録した1億226万回が、本年度、そしてカントリー・アルバムの歴代最高ストリーミングで、本作は翌14日付チャートで5,995万回、21日付チャートで5,287万回、そして今週も4,793万回と高記録を維持している。なお、カントリー・アルバムがTOP10に2作以上ランクインしたのは、2019年12月7日付チャート以来約1年ぶり。

 今週TOP3にデビューした3作の週間ユニット数はいずれも10万を突破しており、今年の2月29日付チャートでジャスティン・ビーバーの『チェンジズ』(231,000)、エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディの『アーティスト2.0』(111,000)、テーム・インパラの『ザ・スロー・ラッシュ』(111,000)が記録して以来、約9か月ぶりに上位3作が10万ユニットを超えた。

 初登場作品ではないが、クイーンのベスト盤『グレイテスト・ヒッツ』が先週の36位から8位にTOP10入りしている。今週ユニット数が増加したのは、11月14日にウォルマートで値下げ販売されたLPによる売り上げが急増したため。週間ユニット36,000のうち24,000がアルバム・セールスで、23,000がそのLPによる売り上げだった。トータル・セールスは前週から737%、LPによる売り上げは1,006%も増加している。

 2020年度のLPによる週間セールスとしては、2月29日付チャートでテーム・インパラの『ザ・スロー・ラッシュ』が記録した26,000枚に次ぐ2番目に高い記録で、今週のビニール・アルバム・チャートでは20位から1位にジャンプアップした。

 本作『グレイテスト・ヒッツ』のこれまでの最高位は1992年10月10日付チャートで記録した11位で、今週約28年ぶりにその記録を更新したことになる。クイーンにとっては、通算9作目のTOP10入り。

4位『オペラ座の夜』(1976年)
5位『華麗なるレース』(1977年)
3位『世界に捧ぐ』(1978年)
6位『ジャズ』(1979年)
1位『ザ・ゲーム』(1980年)
4位『クラシック・クイーン』(1992年)
6位『クイーン・プラチナム・コレクション』(2019年)
3位『ボヘミアン・ラプソディ (オリジナル・サウンドトラック) 』(2019年)
8位『グレイテスト・ヒッツ』(2020年)

 10位にはヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインの新ミックステープ『Until I Return』が初登場。初動ユニットは31,000で、そのほとんどがアルバム・ストリーミングによるものだった。週間ストリーミングは4,749万回を記録している。TOP10入りは、9月26日付チャートで1位にデビューした2作目のスタジオ・アルバム『トップ』に続く6作目で、2020年だけでも2月に『Still Flexin, Still Steppin』(2位)、5月に『38 Baby 2』(1位)の計4作をTOP10に送り込んでいる。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、11月27日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『パワーアップ』AC/DC
2位『Pluto x Baby Pluto』フューチャー&リル・ウージー・ヴァート
3位『スターティング・オーヴァー』クリス・ステイプルトン
4位『ポジションズ』アリアナ・グランデ
5位『シュート・フォー・ザ・スターズ、エイム・フォー・ザ・ムーン』ポップ・スモーク
6位『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』ルーク・コムズ
7位『レジェンズ・ネヴァー・ダイ』ジュース・ワールド
8位『グレイテスト・ヒッツ』クイーン
9位『Fuck Love』ザ・キッド・ラロイ
10位『Until I Return』ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン

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